商法 / 商法


FrontPage

商法(総則・商行為)

 商法とは、企業(=一定の計画に従い継続的意図をもって営利行為を実現する独立の経済体)の生活順序を規律する法(実質的意義の商法)であり、民法に対する特別法たる地位を占めるものをいう。

 法源とその適用順序は以下の通りとなっている。

  1. 商事自治法(定款など)
  2. 商事特別法(商業登記法、手形・小切手法など)
  3. 商法典
  4. 商事慣習法
  5. 民事特別法
  6. 民法典
  7. 民事慣習法

商人と商行為

商人

 商人とは、自己の名を以て商行為をすることを業とする者をいう。

  • 擬制商人
     以下の者は商行為を行うことを業としていなくても商人とみなす
    1. 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者
    2. 鉱業を営む者
    3. 営利社団法人。いわゆる商事会社。
  • 制限行為能力者の商行為の特則
    1. 未成年者が商人として営業を行うときは登記をしなければならない。
    2. 後見人が被後見人の代理として商人として営業をなすときは、登記をしなければならない。
      ※制限行為能力者本人がなす場合でなく、後見人(法定代理人)が本人のために営業をなす場合の規定
    3. 後見人の代理権に制限がなされていても、これをもって善意の第三者に対抗することはできない。

商行為

  • 絶対的商行為
     次の行為はいかなる場合も商行為とする。
    1. 利益を得て譲渡する意志を持ってする動産、不動産もしくは有価証券の有償取得またはその取得したものの譲渡を目的とする行為(いわゆる、転売して利益を得ようとする行為)
    2. 他人から取得する動産または有価証券の供給契約およびその履行のためにする有償取得を目的とする行為(債権回収業など)
    3. 取引所においてする取引
    4. 手形その他の商業証券に関する行為
    5. 商人が自己の営業のためにする行為
  • 相対的商行為
     次の行為は営業としてなす場合には商行為とする。
    1. 賃貸する意志を持ってする動産もしくは不動産の有償取得もしくは賃借またはその取得しもしくは賃借した者の賃貸を目的とする行為
    2. 他人のためにする製造または加工に関する行為
    3. 電気またはガスの供給に関する行為
    4. 運送に関する行為
    5. 作業または労務の請負
    6. 出版、印刷または撮影に関する行為
    7. 客の来週を目的とする場屋の取引
    8. 両替その他の銀行取引
    9. 保険
    10. 寄託の引受
    11. 仲立または取次に関する行為
    12. 商行為の代理の引受
    • 但し、専ら賃金を得る目的を持って物を製造しまたは労務に服する者の行為は以上に該当する場合でも商行為とはならない。つまり、サラリーマンが顧客と取引をする場合には、会社の商行為とみなされるが、サラリーマン個人の商行為ではない。
  • 商行為の推定
     商人の行為はその営業のためにするものと推定する。
     つまり、商人の行為は、例え商行為目的でなかったとしても、本人からの反証があがらない限り、債務不履行などで争うときは商法の規定が適用される。

商行為における民法との相違

 商行為とは、実質的には営利活動に関する行為、特に商(企業関係)に関する法律行為をいい、形式的には、商法が商行為と規定している一定の行為をいう。

 商取引では、営利性・安全性・簡易迅速正当が要求されるので、商行為については民法と異なる規制を受ける。

商法民法
営利主義に
基づく特色
数人が商行為によって負担したときは
特約のない限り、連帯債務となる。
分割債務が原則。
 
主たる債務が商行為によって生じたとき、
またはその保証が商行為であるとき、
その保証は連帯保証となる。
通常の保証債務であり、補充制・分別
の利益を有する。
 
商人がその営業の範囲内で他人のために
行為をしたときは、相当な報酬請求をできる。
特約がなければ報酬請求はできない
 
商人の金銭消費賃借または商人が
その営業の範囲内でなした立替金
については、利息が生じる。年6%。
遅延損害金も同様。
特約がなければ利息請求はできない。
特約があれば年5%。
但し遅延損害金は定めが無くても年5%
請求できる。
商行為によって生じた債務の法定利息は
年6%である。
法定利息は年5%である
 
迅速主義に
基づく特色
''商行為の代理人が本人のためにする
ことを示さない場合でも、その行為は
本人に対して効力を生じる
顕名しないと、本人に効力を生じない
 
 
商行為の受任者は、委任の本旨に反しない
範囲で委任を受けない行為ができる。
特約がない限り、原則委任者の委任には
応じなければならない。
商行為の委任による代理権は本人の死亡に
よって消滅しない。
本人の死亡によって代理権は消滅する。
 
商行為によって生じた債権は、原則として
5年の消滅時効にかかる

【例外】
商行為に基づく契約であっても解除などに
よって得る不当利得返還請求権は、民法の
原則通り10年の消滅時効にかかる。
債権は10年、物件は20年が原則
 
 
 
 
 
【契約の申込に関する特則】
‖佻端坿屬砲いての申込は、その対話
 中に承諾がなければ効力を失う。
各地者間において期間を定めない契約の
 申込を受けた者が相当の期間内に
 承諾の通知を発しないときは、申込の
 効力は執行する。
【契約の申込に関する特則】
‖佻端坿屬亡悗垢訥蠅瓩呂覆ぁ
期間の定めがない契約の申込は、相当
 期間に承諾がないだけでは消滅せず、
 相当期間経過後に申込者が申込撤回した
 時に失効する。
 
【売買の特則】
’簀磴量榲物に付相手方が受領拒否を
 した場合、売主は供託をして相当の
 期間を定めて催告した後なお受けとら
 ないときはその物を競売して金銭を
 受けることができる。
期日に履行しないと意味をなさない
 契約において、当事者の一方が履行
 せずに期日を経過したときは、相手方が
 直ちに履行を請求しないときは、
 契約解除されたとみなされる。
【売買の特則】
〜蠎衒が受領拒絶した場合でも、
 原則として履行義務は存続する。
期日に履行しないと意味をなさない
 契約が履行されないときでも、解除の
 意思表示がなければ契約は解除されない。
 (但し、解除をするときに催告は不要)
 
 
 
 

商業登記

 商業登記とは、適正な取引を確保するため、会社(=商人)に公示する制度をいう。

基本原則

  1. 商法総則の規定により登記すべき事項は、当事者の申請により、商業登記法の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。
  2. 登記した事項に変更が生じ、またはその時効が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記または消滅の登記をしなければならない。

対抗力

  1. 登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
  2. 故意または過失によって不実の事項を登記したものは、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

商号

 商号とは、商人が営業活動において自己を標章する名称で、商人個人とは別個の権利義務主体を観念し、営業活動を行いやすくするために、商法上様々な権利が付与される。

商号の選定

  1. 商人はその氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
  2. 商人は、その商号の登記をすることができる。

機能

  1. 他者と自己とを識別する、個別化機能を持つ
  2. 商号を持つことによって、社会的な信頼が与えられる

商号権の保護規定

  1. 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称または商号を使用してはならない。
  2. 1 の規定に違反する名称または商号の使用によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができる。
  3. 1 の規定に違反した者は、100万円以下の過料に処する。

商号の譲渡

  1. 商人の商号は、営業とともにする場合または営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。
  2. 商号の譲渡は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

商業使用人

 商業使用人とは、会社の手足となって働く者をいい、営業活動のための企業補助者をさす。

商法上の種類

  1. 支配人(支店長、事業部長など。名称ではなく権限で判断する)
  2. 店舗使用人(コンビニの店員など)

支配人の権限

  • 条文
     支配人は商人に替わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する。(担当する部署においては取締役同様の権限を有する)
  • 趣旨
     会社の適正迅速な営利活動のため一定の使用人に取締役に近い権限を与えている。

支配人の登記

 商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。支配人の代理権の消滅についても、同様とする。

支配人の競業の禁止

  1. 支配人は、商人の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    1. 自ら営業を行うこと
    2. 自己または第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること
    3. 他の商人または会社もしくは外国会社の使用人となること
    4. 会社の取締役、執行役または業務を執行する社員となること
  2. 支配人が1 の規定に違反して1-ii の行為をしたときは、当該行為によって支配人または第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

表見支配人

 商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

代理商

 代理商とは、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理または媒介をする者で、その商人の使用人でないものをいう。


代理商の義務

  1. 代理商が取引の代理または媒介をしたときは遅滞なく商人に対しその旨の通知をしなければならない。
  2. 代理商は商人の許可が無ければ、自己または第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をすること、その商人の営業と同種の事業を行う会社の取締役、執行役または業務を執行する社員となることができない(競業避止義務)。
  3. 代理商が2 の規定に違反して行為をしたときは、当該行為によって代理商または第三者が得た利益の額は、商人に生じた損害の額と推定する。

商業使用人との異同

  • 同じところ
     競業避止義務を負う。
  • 異なるところ
    1. 商業使用人は会社の企業補助者に過ぎないが、代理商は独立した商人である。
    2. 商業使用人は必ず自然人であるが、代理商は独立した商人であり、自然人たると法人たるとを問わない。
    3. 商業使用人は従業員である以上、会社との契約は雇用契約であるのに対して、代理商との契約は委任契約となる。

商行為

交互計算

 交互計算とは、契約で一定期間を定めて、その期間内に当事者相互に取引から生じた複数の債権・債務について、その都度決算しないで、期末に一括決済をする制度をいう<商法529条>。
 これにより、期末に差額だけを精算することになるので、支払費用や手間暇が軽減され、かつ相殺と同じように担保的機能を有することになる。

匿名組合

 匿名組合とは、当事者の一方が相手方の営業のために出資をして、その営業から生じた利益を分配すべきことを契約するものをいう<商法535条>。
 匿名組合は、実質的には資本を集めて資金として活動するため、いわゆる株式会社などと変わりは無いが、出資を行う匿名組合員は営業上の取引について外部には名前が出ることは無く、出資は営業者の財産に帰属し、法律上は営業者のみの事業となる。従って、出資を行い事業による利益の配分は欲しいけれど、自分の名前が表に出ることが嫌だという者には好都合な制度ということになる。


仲立営業

 仲立営業とは、他人の商行為の媒介をなす事を業とする者をいう<商法543条>。例えば、自己が契約当事者とはならず他人の間の商行為を成立させるようにするような仕事が該当する。仲立営業が行うのは、他人間の商行為の仲立であって(当事者の一方にとって商行為であれば良い)、当事者のいずれにとっても商行為と為らない媒介を営業とする場合には、民事仲立人とよばれる民事仲立人は、商法の規定は適用されるが、商法543条以下の仲立営業に関する規定は適用されない。

その他(整備法関係)

従来の確認会社の取り扱いについて

問題点

 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」により設立されている、いわゆる確認会社については、同法第3条の2に規定されている最低資本金に関する特例により、設立から5年間は最低資本金制度の適用が猶予される。
 しかし、他方で同法第3条の19により、5年以内に最低資本金まで増資できない場合には、解散させられる旨を定めている。そこで、これらの規定と、会社法が最低資本金制度を廃止したことによる整合性が問題となっている。

解決策

 会社法施行後、確認会社の定款に記載されている解散事由を、取締役会等の過半数の決議で変更し、解散事由の登記を抹消する登記申請をすれば、会社は増資することなく存続する。


従来の有限会社の取り扱いについて

従来の有限会社の取り扱いについて

 原則として、会社法施行後は、「特例有限会社」として会社法上の株式会社として存続する(整備法21)。そのための定款変更手続や登記等は原則として不要。

商号について

 特例有限会社は、会社法上の株式会社として存続するが、特例有限会社は「株式会社」と名乗ることができない。
 従来通り、有限会社と商号に記さなければならない(整備法31)。

例外的に定款変更や登記が必要となる場合

 従来の有限会社が、特例有限会社になるためには、原則として変更手続や登記は不要だが、例外的に、以下の場合には、会社法上の種類株式とみなされるので(整備法10)、会社法施行から6ヶ月以内に、当該株式の種類・内容・種類毎の数の登記が必要となる。

  1. 定款に「議決権の数または議決権を行使することができる事項」について記載がある場合(有39条の1但書)
  2. 定款に「利益配当」について別段の定めがある場合(有44条)。
  3. 定款に「残余財産の分配」について別段の定めがある場合(有73条)。

機関構成

 特例有限会社では、機関構成は現行の有限会社と同様のものにするために、取締役および監査役以外の機関の設置が認められていない(整備法17条1の2項)。

取締役・監査役の任期

 現行の有限会社を引き継ぎ、任期に制限はない(整備法18条)。

決算公告について

 特例有限会社については、会社法440条が適用除外とされており、現行の有限会社と同様に決算公告の義務は課されていない(整備法28条)。

特例有限会社の通常株式会社への移行について

 特例有限会社が会社法の下で通常株式会社に移行するためには、次の手続が必要となる。

  1. 定款を変更して、その商号を株式会社という文字を用いた商号に変更(整備法45条の1)
  2. 上記の定款変更決議から、本店の所在地において2週間以内に以下の登記をする(整備法45条2項、46条)
    1. 当該特例有限会社の解散の登記
    2. 商号変更後の株式会社についての設立の登記