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設立 †
株式会社とは †
株式会社とは、社員の地位が株式という細分化された割合的単位とされ、その社員(株主)は会社に対して間接・有限責任を追うに過ぎないという形態の会社をいう。
- 間接責任
- 社員が会社に出資をした財産が、会社債権者に対する責任財産になると言う意味で、社員は会社を通じて間接的に責任を負うという形態
- 有限責任
- 社員の責任が一定限度額まで(有限)であるという形態
設立とは †
株式会社の設立とは、株式会社という団体を設立し(=資本を集め、定款を作る)、株式会社が法人格を取得して(=登記をする)、法律上の取引主体となることをいう。
設立方法には以下の2通りがある。
- 発起設立
設立の企画・執行を行う発起人が設立の際の発行株式の全部を引受する方式
- 募集設立
発起人は設立時の株式の一部を引き受けるに過ぎず、残りを発起人以外の者を募集して引き受けてもらう方式
定款 †
定款とは、会社の組織や活動に関する根本規則を実質的に確定し、これを形式的に書面に記載する等して、発起人が記名押印をし、公証人の認証を得たものをいう。
定款の内容には、絶対的記載事項(定款に必ず記載すべき事項)・相対的記載事項(絶対的ではないが、定款に記載しないとその効力が認められない事項)・任意的記載事項(前記以外にも会社法の規定に反しない限り定款に記載することができる事項)がある。
- 絶対的記載事項
- 目的
- 商号
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能株式総数
- 発行可能株式総数は、原始定款(会社設立時の最初の定款)には不要だが、原始定款に記載がなければ後日定款に必ず追加記載される
- 相対的記載事項
- 現物出資:金銭以外の財産をもって出資をおこなうことで、設立時には発起人しかなしえないとされている
- 財産引受:会社のために会社の成立を条件として、特定の者から一定の財産を譲り受けること
- 発起人の報酬
- 設立費用:設立費用は、発起人が払い、後に会社に求償できるとされている
- 上記の会社の財産的基礎に関わるような4つの事項を、特に、変態設立事項といい、原則的に裁判所の選任する検査役の調査を受ける必要がある
- 株式の内容制限事項 など
- 任意的記載事項
- 定時総会の招集時期
- 総会の議長
- 取締役、監査役の員数 など
登記 †
会社の実態を作成した後に、会社の内容を商業登記簿に記して公示することを会社の設立登記という。この登記によってはじめて、会社は法人格を取得する。
商号などの登記事項については、会社は登記をしないと善意の第三者に対抗できず、また、登記された事項については、例え事実と異なっていても善意の第三者に対抗することができない。
機関 †
機関設計の自由 †
株式会社の機関総説 †
会社は法人なので、実際には自然人の合議体や自然人により意思決定を行ったり行為を行うことになる。この合議体や自然人のことを会社の機関とよぶ。
従来とは異なり、現在の会社法では、一定の制約の中ではあるが、会社が自由に自社の機関設計を行うことができるとされており、選択した機関設計は定款で定め登記する。
機関設計の規制の概要 †
- すべての株式会社には株主総会と取締役が必要となる。
- 公開会社には取締役会が必要。
- 公開会社:発行する株式のうち1株でも譲渡制限を付していない株式を発行する定めがある会社
⇔譲渡制限会社(非公開会社):発行している全ての株式について譲渡制限がある会社
- 取締役会を置いた場合には、監査役(監査役会を含む)、三委員会・執行役のいずれかが必要(但し、例外として大会社以外の非公開会社で会計参与を置いた場合は、この限りではない)。
※三委員会を置いた場合には、監査役を置いてはならない
- 三委員会:取締役会に置かれる指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の3つの委員会
- 大会社:最終事業年度の賃借対照表上の資本金の額が5億円以上または負債の合計額が200億円以上の株式会社
- 取締役会を置かない場合には、監査役会や三委員会・執行役を置くことはできない。
- 大会社では、会計監査人が必要。
- 会計監査人を置くためには、監査役(監査役会)または三委員会・執行役のいずれかが必要。
- 公開会社である大会社は、監査役会または三委員会を置かなければならない。
- 具体例(三委員会は除く)
- 公開会社・大会社
- 取締役会(3名以上の取締役)+監査役会+会計監査人が必須
- 公開会社・大会社以外
- 譲渡制限会社・大会社
- 取締役会設置会社→取締役会+監査役+会計監査人
- 取締役会を設置しない会社→取締役+監査役+会計監査人
- 譲渡制限会社・大会社以外
- 取締役会設置会社で会計参与設置→取締役会+会計参与
- 取締役会設置会社で会計参与無し→取締役会+監査役のみ必須
- 取締役会を設置しない会社→取締役のみ必須
株主総会 †
取締役会設置会社では、会社の重要事項については、株主の合議体である株主総会で決定し、その他の日常の業務については取締役などの経営陣に行わせるというシステムを採用している。
招集 †
- 株主総会は、取締役会(無ければ取締役)が株主を招集して開催する。
- 招集の時期は、決済期毎に提示に招集される他、臨時の必要がある場合には臨時総会を開催することもできる。
- 招集は、取締役会(無ければ取締役)が行うこととし、総会の2週間前までに招集通知を株主に対して発送して行う(非公開会社では原則1週間前まで)。
- また、議決権を有する株主の全員が同意すれば招集手続を履践しなくても開催はできる。
権限 †
取締役会設置会社では、株主総会では会社の重要事項における意思決定のみを行い、業務執行は行うことができない。また、その意思決定の権限についても、原則として会社法で定められた下記の事項に限られている(定款の定めによって権限を増やすことも可能)。
- 取締役設置会社での株主総会権限
- 取締役・監査役などの機関選任
- 会社の基礎的な変更に関する事項(定款変更等)
- 株主の重要な利益に関する事項(剰余金配当等)
- 取締役の報酬等
これに対して、取締役会を設置していない会社では、株主総会は一切の事項(会社の業務執行についても)について決議できる万能の機関となっている。
株主の議決権 †
株主は原則として、一株につき一議決権を有し、株主総会の決議は、この議決権を基準とした多数決によって行われる。
また、株主はこの議決権を代理人によっても行使可能であるし、複数ある議決権を統一せずに行使することもできる。
さらに、議決権を有する株主が1000人以上ある会社では、書面による投票制度が義務付けられている(その他の会社は任意)。
株主総会の決議 †
株主総会の決議は、多数決によって行われる。但し、その要件は決議案件によって異なる。
- 普通決議
- 特別の要件が法律や定款で定められていない場合の決議で、定員数は議決権数の過半数を有する株主の出席であり、そのうちの過半数の賛成により成立する決議をいう。
- 普通決議の定員数は、定款により加重・軽減・排除できる。実際にも多くの会社では定員数を排除し、単に出席した議決権の過半数としている場合が多い。
- 但し、例外として役員の選任・解任に関する決議においては、その定員数を議決権の1/3を下回る数にすることができないとされている。
- 特別決議
- 議決権を行使できる株主の議決権の過半数の株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上の賛成により成立する決議をいう。
- 募集株式に関することや、定款の変更、事業の譲渡に関すること、会社の解散などの事項が該当する。
株主総会の運営 †
- 取締役等の説明義務
株主総会では、取締役等の役員は、株主から説明を求められた事項について説明義務を負う。
- 株主の議題提出権および議案提出権
一定の株主には、自身が議決権を行使できる事項を株主総会の目的事項にすることを取締役に請求することができる(議題提案権)。また、株主は、自身が議決権を行使できる株主総会の目的事項について議案(要するに議題の中身)を提出することができる(議案提出権)。
いずれも、取締役に対して総会の日の8週間前までに請求しなければならない。なお、招集通知に記載を要しない議案提出権は、8週間前ということは要求されない。
- 株主総会議事録
会社は、株主総会終了後、議事録を作成し、その原本を本店に10年間、支店に5年間備え置くことが必要となっている。
株主総会決議の瑕疵 †
株主総会決議に、手続上もしくは内容上の瑕疵がある場合には、その決議は違法であり、そのまま看過することはできない。その一方で、株主総会決議は、非常に多くの関係者に関与するため、むやみに取り消させたり誰もが主張できるとすると法的安定性を欠くため、適切な者のみに主張させ、画一的に処理する必要がある。
そこで、会社法では、決議の瑕疵の主張は裁判に寄ることとし、決議取消の訴え、決議不存在・無効確認の訴えを用意している。
決議取消の訴え †
- 適用範囲
- 株主総会の招集手続または決議方法が法令もしくは定款に違反するとき、または著しく不公正なとき
- 決議内容が定款に違反するとき
- 決議に特別の利害関係を持つ株主の議決権行使により著しく不当な決議が為されたとき
- その他
- 株主は、その不当な決議の日から3ヶ月以内に決議取消の訴えを提起することができる。取消の判決がなされるまでは、決議の効力は一応有効であり、もし、3ヶ月以内に訴えがなされない場合には、瑕疵は治癒され決議は有効として確定する。
- また、決議を取り消す判決がなされると、その効力は会社と株主以外の第三者にも及ぶ(対世的効力)。
決議不存在・無効の訴え †
株主総会決議が存在しない場合または決議の内容が法令に違反する場合には、不存在または無効の確認を求める正当な利益を有する限り、誰でも、いつでも、不存在または無効確認の訴えを提起することができる。この訴えの効力は、第三者にも及ぶ(対世的効力)。
役員 - 取締役・取締役会・代表取締役 †
取締役 †
- 選任
- 会社の経営者である取締役は、株主総会の決議で選任する。
- 選任された取締役と会社との関係は、民法の委任の規定に従うことになる。
- 終任
- 取締役と会社との関係は委任契約に基づくので、取締役はいつでも辞任することができるし、委任における解約の終了事由はこの場合にも適用される。
- また、会社は株主総会の普通決議で、いつでも理由を問わずに取締役を解任することができる。
- 員数・資格
- 員数については、取締役会設置会社では3人以上であることを要するが、それ以外については1名以上あれば足りる。
- 取締役は自然人に限られ法人には資格がない。その他法定の欠格要件に該当しないことが必要となる。
- 任期・報酬
- 取締役の任期は、原則として公開会社では2年となる。通常は、株主総会の同意を得て再任する。
- 公開会社以外の会社では、定款により任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結島で伸長可能としている。
- 委員会設置会社では原則として1年が任期となる。
- 取締役の報酬は、定款または株主総会決議によって定めるとされている。
取締役会 †
取締役会は取締役全員で構成し、その会議により業務執行に関する会社の意思決定をするとともに、取締役の職務遂行を監督する機関となっている。
- 権限
- 取締役会設置会社の業務執行の決定
- 取締役の職務執行の監督
- 代表取締役の選任および解職
- 招集
取締役会は各取締役が招集する。取締役会の招集には、取締役会の1週間前までに各取締役と各監査役に対して招集通知を発して行う。但し、取締役と監査役全員が同意してこの招集手続を省略することもできる。また、場合に因っては株主が招集請求することもできる。
- 決議
取締役会の決議は、取締役の過半数が出席して、その過半数によって決定する。
代表取締役 †
原則として取締役は会社を代表するが、取締役が複数ある場合には、定款もしくは定款の定める取締役の互選もしくは株主総会によって代表取締役を定めることもできる。
また、取締役会設置会社では、取締役会が代表取締役を選任する。
代表取締役は、内部的・対外的な会社を代表する業務執行権限を有する常設の機関となる。
会社の業務執行 †
- 取締役会を設置していない会社の場合
各取締役が会社を代表するが、複数の取締役がある場合には過半数で意思を決定する。また、代表取締役を選任した場合には、その者が代表権を有することになる。
- 取締役会を設置した会社の場合
個々の取締役は取締役会を通じて行為をすることになり、取締役会が会社の業務執行の意思決定機関となる。但し、取締役会は常設の機関ではないので、取締役の中から代表取締役を選任し、この者が会社を代表して行為をすることになる。
役員 - 会計参与・監査役・会計監査人 †
会計参与 †
会計参与は、取締役と共同して計算書類等を作成する者をいう。その設置は、原則として会社の任意による。
- 資格
- 会計参与は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人でなければならない(資格の限定)。法定の欠格者は会計参与にはなれない。
- さらに、会計参与は株式会社またはその子会社の取締役・監査役・執行役・支配人その他の使用人・会計監査人を兼務することはできない。
- 員数・任期
- 員数には特に制限はない。
- 任期については取締役と同様となる。
- 職務権限
- 計算書類の共同作成
- 会計参与報告の作成
- 株主総会における説明義務
- 計算書類の保存
- 計算書類の開示 等
- その他
- 会計参与は、株式会社および第三者に対して取締役と同様の責任を負い、この責任は株主代表訴訟の対象となる。
- また、会計参与を設置した旨、指名または名称、計算書類を備え置く場所は登記する必要がある。
監査役 †
監査役とは、取締役(および会計参与がある場合には会計参与も)の業務執行を監査する機関であり、原則として会計監査を含めた業務監査を行う。また、委員会設置会社以外の大会社で公開会社である会社は監査役会を置く必要がある。
- 資格・員数・任期
- 監査役は法定の欠格要件に該当しないことが必要であり、また、会社・その子会社の取締役や支配人等と兼務することができない
- 員数としては、監査役には制限がないが、監査役会設置会社では3名以上でかつその半数は社外監査役である必要がある。
- 任期は原則として4年であるが、公開会社以外の会社は取締役と同様に定款により10年まで伸長することができる。
会計監査人 †
会計監査人とは、計算書類等の監査(会計監査)を行う者である。大会社および委員会設置会社は会計監査人が必須であるが、その他の会社は任意となる。
※会計参与は会社の一員として共同して書類を作る。会計監査人は、第三者として会社が作った書類の監査を行う。
- 資格・員数・任期
- 会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければならない。法定の欠格者は会計監査人にはなれない。
- 員数は特に制限はない。
- 任期は1年。
役員 - 委員会設置会社 †
株式会社における委員会制度とは、従来型の企業統治の形式だけではなく、違い形での企業統治の形式を発展させ、さらに業務監督を強化しようとするものとなっている。
以前は、委員会設置は原則として大きな会社のみに認められていたが、会社法では、規模要件を廃止して、小さな会社でも委員会設置を可能とした。ちなみに、委員会を設置するかどうかは会社の任意となっている。
設置の手続 †
委員会設置会社となるためには、定款にその旨の定めが必要となっている。
三委員会 †
委員会設置会社は、以下の3つの委員会を設置しなければならない。
- 指名委員会
株主総会に提出する取締役および会計参与の責任と解任に関する議案内容を決定する
- 監査委員会
執行役・取締役・会計参与の職務執行の監査を行う。また、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任に関する議案を作成する。
- 報酬委員会
執行役・取締役・会計参与の個人別の報酬額の内容を決定する。
各委員会は委員3名以上で組織され、取締役の中から、取締役会決議によって選任される。なお、この場合、各委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならない。
執行役 †
委員会設置会社は、1名以上の執行役を置く必要がある。執行役とは取締役会の委任を受けて実際に業務執行を行う者をいう。執行役は取締役会決議により選任され、任期は1年となっている。取締役が兼務することも可能であり、また複数の執行役を選任した場合には代表執行役を選任することもできる。
取締役会との関係 †
委員会設置会社では、取締役会は、業務の執行機関から監査機関に変化しているといえる。
従って、委員会設置会社の取締役は任期を1年とされ、原則として業務執行はできない。
取締役会も、監督機能を強化するために、業務執行のかなりの部分を委員会や執行役に譲り、取締役会は、基本事項の決定、委員会のメンバーの選任監督、執行役の選任監督に限定して行うことになる。
役員 - 役員等の損害賠償責任 †
役員等の会社に対する責任 †
取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人は、その任務を怠った場合には、会社に対して、生じた損害について賠償する責任を負うものとされている。これは、いわゆる過失責任であり、取締役党には過失がない場合には責任を負わないものとされている。
但し、以下の場合には注意が必要となる。
- 利益相反取引
自己のために会社と直接利益相反取引をした取締役は無過失責任となる。但し、それに関与したに過ぎない取締役は過失責任となる。
- 利益供与
利益供与の場合には、利益供与を行った取締役については無過失責任となる。但し、それに関与したに過ぎない取締役は過失責任となる。
- 違法な剰余金分配
分配可能額を超えて剰余金を分配した場合には、業務執行者は分配された額を会社に支払う義務があるが、無過失を立証した場合には義務を免れる。
- 決議に賛成した取締役等の責任
任務懈怠等によって損害賠償責任を負担するのは、行為をした取締役であるのが原則であるが、その行為が取締役会決議に基づいてなされた場合には、その決議に賛成した者も、それについて任務懈怠があれば同一の責任を負う。
責任の免除 †
上記の取締役等の責任は、総株主の同意があれば免除される。
役員の第三者に対する損害賠償 †
取締役等がその任務に違反した結果として、株主や会社債権者が損害を受ける場合には、会社法はこれに対しても責任を定めている。なお、責任を負うべき役員が複数ある場合には連帯責任となる。
上記の責任を負うのは、役員等が職務を行う際に、悪意または重大な過失に基づいて行為した場合が原則となる。
株式 †
株式の意義と株主の権利 †
株式とは、株式会社の出資者である社員の地位を細分化して割合的単位の形にしたものをいい、この株式を有する社員を株主という。
株主の義務 †
株主は、その有する株式の引受額を限度とする有限責任を負うのみであり、それ以外に責任や義務はない。
株主の権利 †
株主の権利は自益権と共益権とに分類される。
- 自益権
株主が会社から直接経済的な利益を受けることを目的とする物であり、剰余金配当請求権等がある。
- 共益権
会社の経営に参加することを目的とする権利であり、株主総会における議決権がその最たるものとなる。
また、株主の権利としては、単独株主権と少数株主権という分類もある。
- 単独株主権
- 一株の株主でも行使ができる権利
- 自益権、株式総会における議決権など
- 少数株主権
- 一定数以上の株式が纏まらないと行使できない権利
- 株主提案権、株主総会招集請求権、会計帳簿閲覧請求権、簡易合併等に対する反対権など
授権株式制度 †
会社が将来発行する株式の予定数を予め定款で定めておき、その受験の範囲内で会社が取締役会決議等によって適切な時期に株式を発行することを認める制度をいう。但し、設立時には授権株式数の少なくとも1/4は発行する必要がある。
株主平等の原則 †
株主は、株主としての資格に基づく法律関係においては、その有する株式の数に応じて平等の取り扱いを受けるべきであるという原則。この原則は、株式の内容が同一であれば平等の取り扱いが必要ということであり、異なる内容の株式では取り扱いが異なっても良い事になっている。
利益供与の禁止 †
会社は、誰に対しても株主が権利行使を行うことについて、自己またはその子会社の計算において財産上の利益を供与してはならない。
株券 †
株券発行会社は、株式発行日以降遅滞なく株券を発行しなければならないが、例外として公開会社ではない株券発行会社は、株主の請求があるまでの間は株券を発行しなくても良い。
株式の種類および株式の譲渡等 †
株式の多様化 †
会社法では、以下のような株式の内容の多様化を認めている。
- 全ての株式について、3つの事項について特別な内容を定めること
- 同時に権利の内容の異なる複数の種類の株式を発行すること(種類株式制度)
全ての株式の内容として特別な定めを置くこと †
会社法では、定款の規定によって、全ての株式を、以下の内容で発行することを認めている。なお、この内容は種類株式でも実現することができる。
- 譲渡制限株式
- 取得請求権付株式
株主がその株式について会社に取得(買取)を請求できるような株式
- 取得条項付株主
一定の事由が生じた場合に、株主ではなく、会社の側から取得権を有するような株式(強制的な買取)
種類株式 †
会社法では、以下のような限定的な事項について、異なる権利内容の株式を発行することを認めている。
- 剰余金の配当・残余財産の分配について優先・劣後すること。
- 株主総会における議決権行使を制限すること。
- 株主総会で当該株式の全部を会社が取得できること(全部取得条項付株式、原因が株主総会である点で取得条項付と区別される)。
- 株主総会で決議すべき事項のうち、普通株主総会決議で決議をしたものに対して、当該種類株式の株主のみから構成される種類株主総会の決議があることを必要とすること(拒否権付種類株式)。
- 当該種類の種類株主総会で取締役または監査役を選任すること。
株式の譲渡 †
株主にとっては、原則として、資本投下の回収方法としては、株式を譲渡することが唯一の方法なので、会社法は株式譲渡の自由を認めている。
ただし、例外として、法律による制限・定款による制限等がある。
- 法律による制限
- 時期による制限
会社成立前または新株発行前の株式引受人の地位の譲渡は、当事者間では有効であるが会社に対しては対抗できない。
- 子会社による親会社株式取得の制限
子会社は親会社の株式を取得することは一部の例外的場合を除いて、原則として禁止される。
- 定款による制限
同族経営を行っているような会社のために、会社法は定款で株式譲渡について会社の承認を必要とすると言う制限を行うことを認めている。
この場合においてhあ、全ての株式について譲渡制限を課すことも可能であるし、一部の種類の株式についてのみ譲渡制限を課すことも可能となっている。
この場合には、会社は投下資本回収方法として、株主が会社に対して承認を求め、もしそれが受け入れられない場合には、株主が会社に対して買取請求を行うことが認められている。
また、会社法は、譲渡制限株式について相続その他の一般承継によって株式を取得した者に対して、会社からその株式を会社に売り渡すことを請求できる制度を設けている。これにより、相続等の事情により会社にとって好ましくない株主が発生することを防止している。
自己株式の取得 †
会社は、原則として、自己株式を取得することは認められていない(但し、例外が認められているので事実上は自己株式の取得は広く認められる結果になっている)。
また、会社は取得した自己株式を特に期限無く保有でき(但し剰余金の配当はできない)、またいつでも消却し処分できる。
募集株式の発行等および新株予約権 †
新しい会社法では、旧商法の新株発行と自己株式の処分を併せて「募集株式の発行等」という概念に統一した。ここでの募集とは、会社が資金調達のために、会社が行った新しい株式や処分をする自己株式の募集に応じて来た者にそれらの株式を割り当てることをいう。
公開会社の募集事項の決定と公示 †
募集株式の発行等の手続は、公開会社の場合には、原則として取締役会が法定の事項を決定して公告し、これに応じて来た募集株主は、払込期間内に払込取扱場所において全額を払い込む。なお、払込期日の場合にはその日に、払込期間の場合には出資の履行日に株主となる。
非公開会社の募集事項の決定と公示 †
非公開会社の場合には、原則として株主総会の特別決議が必要となり、募集事項の公示は不要とされている。
募集事項の決定の比較 †
| 公開会社 | 非公開会社 |
募集事項の決定 | 原則として取締役会の決議で足りる。 | 原則として株主総会の特別決議が必要。 |
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募集事項の通知等 | 必要 | 不要 |
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募集株主について | 払込期間内に払込取扱場所において金額を払い込む。 なお、払込期日の場合にはその日に、払込期間の場合には出資の履行日に株主となる。 |
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募集株式の発行等の差し止め †
会社法は、株主の利益を保護するために、不公正な募集株式の発行等に対する特別の救済手段として、募集株式の発行等を止めるように請求することができるものとしている。
新株予約権 †
新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
新株予約権の発行については、公開会社は原則として取締役会が決定し、非公開会社では原則として株主総会で決定する。
通常の場合、新株予約権は、これを行使する期間が定められ、その期間内であれば新株予約権者の判断で権利行使日が決定される。そして、新株予約権が行使された場合には、会社は株式を発行することになる。
計算等 †
計算書類 †
株式会社の会計帳簿 †
株式会社は、一般に公開妥当と認められる企業会計の慣行に従って作成された、正確な会計帳簿を作成しなければならず、またそれらの書類を保存する義務がある。
計算書類 †
会社は、定款所定の決算期毎に、その事業年度に関する以下の書類を作成する必要がある。
- 計算書類
貸借対照表・損益計算書・その他会社の財産および損益の状況を示すために、必要かつ適当な者として法務省令で定めるもの(株主資本等変動計算書)
- 貸借対照表:企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表す一覧表。バランスシート。
- 損益計算書:企業のある一定期間における収益と費用の状態を表す一覧表
- 事業報告
一定の事業年度中の会社の事業の状況の概要を文章の形で記載した報告書
- 上記1,2 の付属明細書
監査 †
- 監査役設置会社
計算書類・事業報告・付属明細書について、監査役の監査を受ける
- 会計監査人設置会社
計算書類とその付属明細書は監査役と会計監査人両方の監査を受け、事業報告とその付随明細書は監査役の監査を受ける
- 取締役会設置会社
取締役会設置会社では、計算書類・事業報告・付属明細書について取締役会で承認をする
株主総会の承認 †
取締役は、監査を受けた計算書類・事業報告を定時株主総会に提出して、事業報告は報告をし、計算書類は総会承認を受ける。
決算公告 †
株主総会での承認後、会社は法務省令で定める所定の事項および方法により、書類の一部を公告する。
臨時計算書類 †
会社法が新設した制度で、事業年度中の一定の日を臨時決算日として決算をすることが認められている。手続は、原則として通常の決算と同様となっている。
これを行うことで、臨時決算日までの損益を剰余金配当等の分配可能額に含めることができる。
資本金と準備金、剰余金の分配 †
会社法では、資本金と準備金という制度が定められている。これは、会社債権者にとっては、会社財産だけが債権の担保であるところから、まずは資本金という枠を定め、さらに保険として準備金という制度を定めている。
会社は、資本金と準備金を内部留保として、これを上回る会社財産がある場合だけ、剰余金として株主に利益を配当することができるとしている。
資本金 †
資本金とは、会社の財産を確保するための基準となる一定の計算上の数字をいう。
原則として、株式の払込額の総額となるが、株式発行の際にその1/2までは、資本に組み入れないことが認められている。ただし、その場合には、それを資本準備金としなければならない。
準備金 †
準備金は、将来見込まれる多額の支出や損失の発生に備えて準備金勘定として貸借対照表の純資産の部に積み立てる金額のことをいう。
準備金には、資本準備金と利益準備金があるが、両者の取り扱いについて差異はない。
会社法では、剰余金の配当をする場合には、会社は当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に1/10を乗じて得た額を資本準備金または利益準備金として計上しなければならない。
剰余金の配当 †
剰余金の配当は、会社財産が減少することでもあるため、会社法では以下のような厳しい制約が設けられている。
- 純資産額による制限
株式会社は、その純資産額が300万円以下の場合には、剰余金の配当ができない。
- 株主総会の決議
剰余金の配当を行うには、原則として株主総会決議が必要となる。
- 分配可能額
剰余金の分配は、一定の計算によって算出された可能額の範囲で行う必要がある。
社債 †
社債とは、要するに会社が一般の人に向けて借金をすることであり、会社法では、従来は株式会社のみがなし得るとされてきた社債の発行を、''会社法の規定する全ての会社が行いうるとした。
社債の発行 †
社債を発行するには、取締役会の決議が必要であり、取締役設置会社でない会社は、取締役の過半数による決定が必要となる。
社債権者の権利 †
社債権者は、社債の期限が到達したときに償還をうけ、それまでは発行時に定められた内容の利息の支払いを受ける権利を有する。
新株予約権付社債 †
新株予約権付社債とは、新株予約権を付した社債をいう。この場合に、新株予約権を行使すると、社債全額の償還に代えて払込があったとされるもの(転換社債型)と、そうでないものがある。
株式との違い †
| 社債 | 株式 |
目的 | 広く公衆の零細な資本を結集して、長期的な会社資金を調達できる。 |
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権利の内容 | 発行時の契約により定める | 株主平等原則等の規則がある |
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経営的側面 | 経営には参画しない | 議決権行使や、各種の監督権を有して、 所有者として経営に参画 |
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経済的側面 | 会社の利益に関わらず契約により定められた 利息を受け取ることができる | 会社に配当可能な剰余金がある場合のみ 配当金を受け取れる |
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会社財産への 優先度 | 債権者として株主に優先して会社財産から 弁済が受けられる | 株主は、会社債権者に劣後する |
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組織再編等 †
組織変更 †
組織変更とは、株式会社を持分会社に変更したり、持分会社を株式会社に変更することを指す。なお、持分会社の中で合名を合資に変更するような場合には、組織変更とは言わず、持分会社の種類変更という。
株式会社の事業譲渡 †
株式会社が自社で行っている事業を他社に移転することを事業譲渡という。これには株主総会の特別決議が必要となる。
合併 †
会社の合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つの会社に合体することをいい、新設合併と吸収合併がある。
- 新設合併
2つ以上の会社が合併する場合に、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるもの。要するに合併に際して会社を新設すること。
- 吸収合併
ある会社が他の会社を飲み込むようにして合併するものであり、消滅する会社の権利義務を存続する会社が承継するもの。
会社分割 †
会社分割とは、1つの会社を2つ以上に分けることをいう。
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