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法規範適用の原則 †
- 後法上位の原則
- 同じ法形式の二つの法律の内容が矛盾する時は、時間的に後の者が前の者より優先する
- 特別法優越の原則
- 同じ法形式の二つの法律の間においては、特別法が一般法に優越する
後法と特別法とでは特別法が優先される
- 形式的効力の優越の原則
- 異なる法形式間において、同じ事項について異なる内容の規定がされた場合、一つの形式が常に他の形式に優先することを予め決めておく原則
一般的な成文法形式間効力
憲法>条約>法律>命令(政令≧内閣府令≧省令)・規則>条例
法の解釈 †
- 文理解釈
- 条文の文言に基づき、そのまま行う解釈
- 拡張解釈
- 条文の文言の意味が狭すぎて、文理解釈によっては法の真の意味がつかみがたい場合に、文理解釈の示すところより広く解釈する方法
刑法126条1項の「汽車または電車」にガソリン列車を含むと解す場合
- 縮小解釈
- 条文の文言の意味が広すぎて、文理解釈によっては法の真の意味からはみ出してしまう場合に、それよりも狭く解釈する方法
民法177条の「第三者」を「正当な利益を主張しうる第三者」に制限して解す場合
本来の法文に何らか書いてない条件を付すのが縮小解釈
- 変更解釈
- 条文の文言が不正確な場合や邦語法が明らかに誤っている場合にその字句を変更して解釈する方法
- 反対解釈
- 条文の示す要件と反対の要件が存在する場合には、条文が示す効果が生じないことをその条文の反面として規定されているとして解釈する方法
民法737条1項に「未成年の子が婚姻をするには父母の同意を得なければならない」とあることから、
成年の子ならば父母の同意は不要であると解する場合
- 類推解釈
- 法に規定のない事項について、これと類似の性質を有する事項についての規定を適用することによって行う解釈する方法
cf. 法自身が類似した事項に他の事項についての規則を適用することは準用
民法13条1項3号の「不動産その他重要な財産に関する権利」に類似の性質を有する電話加入権や特許権を加えて解する場合
刑罰法規においては拡張解釈は許されるが類推解釈は原則禁止
刑を科される者に有利になる場合には類推解釈可
法の効力 †
法の効力が及ぶ範囲 †
日本は属地主義を原則としつつ、属人主義で修正を図っている
属地主義 †
原則として法は日本国内に存在する全ての人に対し、その国籍を問わずに適用され、日本国外にある人には適用されない
例外:治外法権、一定の身分を有する者(天皇、摂政等)
- 属地の範囲
- 国の領域の全部(領海・領空・領土)
- 領土の延長(外国にある日本国籍の船舶・航空機内)
属人主義 †
いずれの場所にいても国民であるかぎり、所属国歌の法が適用される
時に関する効力 †
法の効力発生時期 †
- 原則として法は成立時ではなく、公布・施行の時から効力を生じる
- 法律は原則として公布の日から起算して満20日を経過してそれを施行する
cf. 条例は10日を経過した時から施行
法不遡及の原則 †
原則として法は施行後の事項について効力を有し、施行前の事項までさかのぼって効力を生じない
- 特に刑罰法規については原則的に認められない
- 刑を科される者に有利になる場合は刑罰の遡及適用も許される
- 公務員の給与関係法令の改正等については例外が認められる
法消滅の効力 †
- 原則として法が廃止されその効力が消滅した後の事項についてはその法の効力が及ばない
- 例外として、法が廃止されても一定の範囲でその法の効力を存続させる旨の規定(限時法)を置けば、法定の期間が到来するまで効力を維持する
日本の裁判制度 †
最高裁判所を頂点として、下級裁判所である高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の4種類がある
最高裁判所 †
- 最上級の裁判所として、上告及び特別上告の裁判権を有する
- 訴訟手続の規則制定権、下級裁判所の人事権を有する
- 14名の判事と1名の最高裁長官によって構成される
- 法令などの違憲判断と判例変更については15名全員の合議体である大法廷で裁判
- それ以外の事件については5名の合議体である小法廷で裁判
高等裁判所 †
- 東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の8カ所
- 地方裁判所などの判決に対する上訴事件を主に取り扱い、原則として3名からなる合議体で審理
- 平成17年からは知的財産高等裁判所が東京高等裁判所の特別支部として設定されており、特許権・商標権などに関する事件の控訴事件を専門に担当している。
地方裁判所 †
- 全国に50カ所ある第1審の裁判所(簡易裁判所の判決には第2審として機能する)
- 単独裁判官または3名の裁判官からなる合議体で裁判される
家庭裁判所 †
- 地方裁判所とほぼ同格
- 夫婦関係や親子関係などの火事事件についての調停・審判や、少年事件の調査や審判、また婚姻関係・養子縁組・親子関係などの身分関係である人事訴訟も扱う
簡易裁判所 †
- 全国に438カ所
- 少額軽微な訴訟事件についての第1審裁判所であり、裁判官は単独で事件を扱う
- 民事訴訟については訴額が140万円を越えない事件、債務者を調べないで金銭支払い命令を出す督促手続、60万円以下の金銭請求事件についての少額訴訟などを扱う
- 刑事事件では、罰金以下に該当する罪、選択刑として罰金が定められている罪その他一定の軽微な犯罪、50万円以下の罰金、科料ですむ略式命令手続、交通事故即決裁判手続を扱い、逮捕状などの令状の発布も行う
審級制度 †
- 第1審の判決に不服な場合、原則として控訴により第2審、さらに上告により第3審の裁判を受けることができる3審制を採用
- 審理方式には事実審と法律審がある
- 事実審
- 事実の認定に関する事実問題と法律の解釈適用に関する法律問題とを併せて審理する
- 法律審
- 事実審の裁判について事後的にその法律問題だけを審理する
- 刑事事件では第1審が事実審、控訴審は事実誤認と量刑不当を審理する時に限り事実審で一般的には法律審、上告審は原則として憲法違反・判例違反の有無を審理する法律審
- 民事事件では第1審、第2審が事実審で、上告審は法律審
民事裁判 †
私人間の争いについての解決を図る
民事手続の流れ †
- 訴状の提出
- 第1回口頭弁論期日の指定・呼び出し
(答弁書の提出)
- 第1回口頭弁論
(答弁書の陳述)
- 争点整理手続
- 証拠調べ期日
- 最終口頭弁論期日
- 判決言い渡し期日
(期間内に上訴がないことにより判決が確定)
- 執行手続
家庭裁判所の民事事件は家事審判という非訟事件であり、家事審判法によって通常の民事訴訟とは異なる手続となる。
家事裁判の対象は
- 特別養子許可や遺言状の検認などの争いがない事件(甲類事件)
- 離婚の場合の親権者決定や遺産分割などの争いの生じる対立当事者がある事件(乙類事件)
に分類され、乙類事件の場合は事前に調停が必要となる。
刑事裁判 †
刑事手続の流れ †
- 捜査(令状主義)
- 検察官の起訴
起訴の原則
起訴独占主義:検察官のみが起訴できる権利を有する
起訴便宜主義:検察官が起訴するか否かの裁量を有する
起訴状一本主義:起訴に当たっては起訴状のみを提出、証拠を提出してはならない
公判前整理手続(公判前に事件の争点及び証拠を整理する手続)
- 公判手続
- 冒頭手続
- 人定質問
- 起訴状朗読
- 黙秘権等の告知
- 罪状認否
- 証拠調べ手続
- 弁論手続
- 検察官の論告求刑
- 弁護人の弁論
- 被告人の最終論述
- 確定(上訴が無ければ)
14歳未満の少年事件は少年法に基づいて家庭裁判所で少年事件として取り扱われる。家庭裁判所が少年事件を受理すると、家裁の調査官が調査を行い、その調査に基づき非公開の少年審判手続が開始、審理される。
14歳以上の少年については刑事裁判により処罰するのが適当と判断された場合には、事件は検察官に送り返され検察官は原則としてその事件を起訴しなければならない。
裁判以外 †
仲裁と調停 †
- 調停
- 具体的な解決内容について両当事者の合意が必要であり、これ自体に強制力は無い
- 仲裁
- 調停人の裁定に従うことを予め当事者が合意し、問題解決は当事者の合意を必要としない
訴訟上の和解 †
- 訴訟の進行中に当事者がお互いにその主張を譲歩することにより、合意によって訴訟を終了させる
- 当事者が裁判官の和解勧告に従って和解内容が調書に記載されると確定判決と同一の効力を有することになる
調停 †
- 民事調停と家事調停がある
- 夫婦や親子などの家事紛争については、裁判に入る前に家庭裁判所に調停を申し立てる必要がある
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