一般知識 / 政治


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政党

政党の意義

 政党とは、一定の政治理想の実現を目標に掲げ、政権への参加・獲得を目指して結成し、運動する団体をいう。
 なお、同じく団体でも、政権獲得を目的とせずに、候補者の推薦や選挙資金の提供を背景として圧力をかけ、何らかの利益を得ようとするのが圧力団体となる。

関連する法律

  • 政治資金規正法
    • 政治資金規正法は、政党等の政治団体および政治家に、年1度、政治活動に関する収支報告を義務付け、それを公表し、国民の監視・批判にさらすことにより、政治の公明・構成を確保することを目的とし、1948年に制定されて以来、度々改正されている。
    • 1994年の改正により、政治家が指定する政治資金管理団体は1つに制限され、1企業からは年50万円までしか献金を受けられないことになった。
    • また、2000年以降の政治家個人に対する企業献金は禁止とされた。しかし、自ら支部長を務める政党支部で献金を受け入れ、個人の政治資金管理団体に還流することが、方の抜け穴として問題となっている。
    • 2005年には、政治団体間の寄付を5000万円までに制限するとともに、政党本部が、支部を解散できるように改正された。
  • 政党助成法
    • 政党助成法とは、政党活動に対して、国費により援助を与える法律をいい、1994年に成立した。政党助成法による援助と引き換えに、企業・団体献金の廃止・規制が行われた。
    • 交付の対象となる政党は、所属の国会議員が5人以上の政治団体、あたは直近の国政選挙における全国投票率が2%以上で所属の国会議員が1人である政治団体とされた。
    • 交付金は、国勢調査人口に250円をかけた額とされ、これおw議員数割と得票数割に応じて、各政党に分配する。また、共産党はこの分配を拒否している。
  • 政党法人格付与法
    • 1994年、選挙管理委員会が政党認証の手続を取ることを定めた政党法人格付与法が成立した。政党の管理する必要性を認めつつも、国家の不当な干渉を招きかねない政党法を避けようという考えに基づくものとなっている。

政治資金規正法の改正

改正の主要点

 国会議員に関する政治団体について、政治資金の収支報告が適正に行われるようにすると共に、政治資金の透明性を向上させることを目的としたもので、主な内容は以下のようなものとなる。

  • 国会議員に関係する政治団体を対象とする。
    • 対象となる政治団体を明確にするため、国会議員関係政治団体が定義され、国会議員の氏名と政治団体の名称などを公表することとされた。
       ここで、国会議員関係政治団体とは、政党、政治資金団体および政策研究団体以外の政治団体で、
      1. 国会議員・候補者(候補者となろうとする者を含む)が代表者である資金管理団体その他の政治団体
      2. 租税特別措置法に規定する寄付金控除の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員・候補者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体
      3. 国会議員に係る選挙区の区域を単位として設ける政党支部のうち、国会議員・候補者が代表者である支部については、a と同様となる。

収支報告の適正の確保

 国会議員関係政治団体について、弁護士、公認会計士または税理士(登録政治資金監査人)による監査制度を創設し、平成21年分から、収支報告書を提出する前に、必ず監査を受けることとなった。
 また、より良い収支報告に向け、収支報告書の記載方法や監査人による監査方法などについて検討するため、学識経験者からなる政治資金適正化委員会が設置されることとなった。

収支報告の透明性の向上

 国会議員関係政治団体は、平成21年1月1日からは、1円以上のすべての支出について領収書を徴収し、保存することが義務付けられるとともに、活動の翌年に提出する収支報告書の記載内容を充実(政治活動費に加えて人件費以外の経常経費についても明細を記載、記載基準を1件5万円以上から1万円超に引き下げ)させることになった。
 また、総務省などに提出されていない少額の領収書についても、情報公開請求をすることができるようになった。
 平成21年1月から、総務省などで閲覧されている収支報告書のコピーを請求することが可能になるとともに、平成21年4月から、総務省がインターネットで公表している収支報告書についても、自宅などでプリントアウトができるようになった。
 なお、収支報告書に添付して提出する領収書等の写しについて、平成20年分の提出時以降は、コピー機により複写した者に限定された。
 また、平成20年1月から、領収書等の写しについても、総務省または都道府県選挙管理委員会において、要旨公表の日から3年間保存することとされた。

選挙

公職選挙法 - 我が国の現在の選挙の基本情報

公職選挙法に規定されている選挙の種類

  • 衆議院議員総選挙
    • 総選挙とは、衆議院議員選挙を指す。
    • 小選挙区選挙と比例代表選挙が、同じ投票日に行われ、衆議院議員の任期満了によるものと、衆議院の解散によって行われるものの2種類がある。
    • 衆議院議員の定員は480人で、うち300人が小選挙区選出議員、180人が比例代表選出議員となっている。
  • 参議院議員通常選挙
    • 参議院議員の半数を選ぶための選挙を指し、任期満了によるもののみ。
    • 参議院議員の定数は242人で、うち96人が比例代表選出議員、146人が選挙区選出議員となっている。
  • 一般の選挙(地方選挙)
    1. 一般選挙(地方の議会)
      • 一般選挙とは、都道府県や市町村の議会の議員の全員を選出する選挙。
      • 任期満了(4年)だけでなく、議会の解散などによって議員または当選人のすべてが無い場合も含む。
    2. 地方公共団体の長の選挙
      • 都道府県知事や市区町村長など地方公共団体の長を選ぶための選挙。
      • 任期満了(4年)のほか、住民の直接請求(リコール)による解職や、不信任議決による失職、死亡、退職、被選挙権の喪失による失職の場合などにも行われる。
    3. 設置選挙
      • 新しく地方公共団体が設置された場合に、その議会の議員と長を選ぶために行われる選挙。
  • 特別の選挙
    1. 再選挙
      • 選挙が行われても、必要な数だけの当選人が決まらなかったり、投票日の後で当選人の死亡、当選の無効があったなどの場合で、しかも繰上当選などによっても当選人がなお不足する場合に行われる選挙。
    2. 補欠選挙
      • 選挙の当選人が議員となった後に死亡や退職し、しかも繰上当選によっても議員の定数が不足する場合に行われる選挙。
      • 再選挙とは、その人が既に議員であるかないかという点が異なる。
      • ただし既に議員であっても、選挙違反などにより当選や選挙自体が無効となった場合は、再選挙となる。
    3. 増員選挙
      • 議員の任期中に、議員の定数を増やして行われる地方公共団体の議会の議員の選挙。
      • ただし、現在の議員の任期満了6ヶ月以内で、議員数が増員後の定数の2/3以上である場合は行われず、次の一般選挙で定員は増員される。

選挙権

  • 要件
    1. 衆議院議員・参議院議員の選挙
       日本国民で満20歳以上であること
    2. 知事・都道府県議会議員の選挙
       日本国民で満20歳以上であり、引き続き3ヶ月以上その都道府県内の同一市区町村に住所のある者
    3. 市区町村長・市区町村議会議員の選挙
       日本国民で満20歳以上であり、引き続き3ヶ月以上その市区町村に住所のある者
  • 欠格事由
    1. 成年被後見人
    2. 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
    3. 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
    4. 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
    5. 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
    6. 公職選挙法に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
    7. 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、被選挙権が停止されている者

被選挙権

  • 要件
    1. 衆議院議員
      • 日本国民で満25歳以上であること
    2. 参議院議員
      • 日本国民で満30歳以上であること
    3. 都道府県知事
      • 日本国民で満30歳以上であること
    4. 都道府県議会議員
      • 日本国民で満25歳以上であること・その都道府県議会議員の選挙権を持っていること
    5. 市区町村長
      • 日本国民で満25歳以上であること
    6. 市区町村議会議員
      • 日本国民で満25歳以上であること・その市区町村議会議員の選挙権を持っていること
  • 欠格事由
     選挙権と同じ

投票方法

  • 期日前投票制度
    • 対象
      • 従来の不在者投票のうち、名簿登録地の市区町村の選挙管理委員会で行う投票が対象となる。また、投票対象者は、選挙期日に仕事や用務があるなど現行の不在者投票事由に該当すると見込まれる者となる。
    • 投票期間・投票場所
      • 選挙期日の公示日または公示日の翌日から選挙期日の前日までの間となる。
      • 投票場所は、各市区町村に一箇所以上設けられる期日前投票所となる。
  • 不在者投票制度(郵便投票、洋上投票など)
    • 不在者投票の手続
      1. 名簿登録地以外の市区町村の全巨管理委員会における不在者投票
         名簿登録地の市区町村の選挙管理委員会に、直接または郵便で投票用紙など必要な書類を請求し、公布された投票用紙などを持参して、投票する市区町村の選挙管理委員会に行く。
      2. 指定病院等における不在者投票
         投票用紙は病院長等を通じて請求し、投票は病院長等の管理する場所で行う。
      3. 郵便等による不在者投票
         名簿登録地の市区町村の選挙管理委員会に投票用紙など必要書類を請求し、公布された投票用紙に自宅等自分がいる場所において記載し、これを郵便等によって名簿登録地の市区町村選挙管理委員会に送付する。なお、郵便等による不在者投票は、身体障害者手帳か戦傷病者手帳を持っている選挙人で、一定の障害のある者または、介護保険の被保険者証の要介護状態区分が「要介護5」の者に認められている。
      4. 国外における不在者投票
         法律の規定に基づき国外に派遣される組織のうち、総務大臣により特定国外は件組織として指定された組織に属する選挙人が、国外において不在者投票管理者(当該組織の長)の管理の下で行う投票。
      5. 洋上投票
         一定の業務や航行区域を持ち、日本国外の区域を航海する船舶(指定船舶)に乗船する船員のために、船舶からファクシミリによって投票するのが洋上投票となる。洋上投票の対象は、衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙となる。
      6. 南極投票
         国の行う南極地域における科学的調査の業務を行う組織に属する選挙人がファクシミリによって投票する制度となる。南極投票の対象も、洋上投票と同様に、衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙となっている。
  • 在外選挙制度
    • 意義
      • 海外在住の日本人が、外国にいながら国政選挙に投票出来る制度を在外選挙制度といい、これによる投票を在外投票とよぶ。
      • 在外投票は、日本国籍を持つ20歳以上の有権者で、在外選挙人名簿に登録され在外選挙人証を持っている者が行える。
    • 在外選挙人名簿への登録
      • 登録は、現在の居住地を管轄する在外公館(大使館・領事館)の領事窓口で行う。
      • なお、実際に登録されるためには、その在外公館の管轄区域内に引き続き3ヶ月以上住所を有していることが必要。
    • 投票方法
      • 投票は在外公館で行う在外公館投票、郵便党によって行う郵便等投票、選挙の際に一時帰国した者や、帰国後間もないため国内の選挙人名簿にまだ登録されていない者が行う日本国内における投票がある。
  • 電子投票
     「地方公共団体の議会の議員および長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律」(電磁気録投票法)により、地方公共団体が条例で定めた場合には、その地方公共団体の議会の議員および長の選挙において電磁的記録式投票機を用いて行ういわゆる電子投票が行える。

公職選挙法 - 公職選挙法における不正選挙防止の取り組み

選挙運動

 公職選挙法では、政治活動と選挙運動を区別している

  • 政治活動:政治上の目的を持って行われるいっさいの活動から、選挙運動にわたる行為を除いたもの
  • 選挙運動:特定の選挙に、特定の候補者の当選をはかることまたは当選させないことを目的に投票行為を勧めること
    • 公示日(告示日)に立候補の届出をしてから投票日の前日までに限りすることが可能となっている

禁止される選挙運動

  • 買収および利害誘導
     当選を得もしくは得しめまたは得しめない目的をもって選挙人または選挙運動に対し金銭、物品その他の財産上の利益もしくは公私の職務の供与、その供与の申込みもしくは結束をしまたは供応接待、その申込みもしくは約束をすることや、当選を得もしくは得しめまたは得しめない目的をもって選挙人または選挙運動者に対しその者またはその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導したときを処罰している。
  • 戸別訪問の禁止
     何人も、選挙に関し、投票を得もしくは得しめまたは得しめない目的をもって戸別訪問をすることができないと定めている。
     また、いかなる方法をもってするを問わず、選挙運動のため、戸別に、演説会の開催もしくは演説を行うことについて告知する行為または特定の候補者の氏名もしくは政党その他の政治団体の名称を言い歩く行為は、戸別訪問に該当するものとみなすとする。
  • あいさつ状の禁止
     公職の候補者または公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)は、党外選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これらに類するあいさつ状(電報その他これに類するものを含む)を出してはならない、とする。
     さらに、何人も、選挙の期日後において、当選または落選に関し、選挙人にさいさつする目的をもって、例えば、選挙人に対して戸別訪問をすることや、当選祝賀会その他の集会を開催することを禁止としている。
  • 飲食物の提供の禁止
     何人も、選挙運動に関し、いかなる名義をもってするを問わず、飲食物(湯茶およびこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く)を提供することができないとする。
     ただし、選挙運動員に渡す一定の数の弁当は提供することが可能とされている。
  • 署名運動の禁止
     何人も、選挙に関し、投票を得もしくは得しめまたは得しめない目的をもって選挙人に対し署名運動をすることができないとしている。
  • 気勢を張る行為の禁止
     何人も、選挙運動のため、自動車を連ねまたは隊伍を組んで往来する等によって気勢を張る行為をすることができないとしている。
  • インターネットに関する制限
     純粋な政治活動として仕様するホームページであっても、選挙運動期間中に解説したり、または書き換えをすることは、新たな文書図画の頒布とみなされ、選挙運動の禁止を免れる行為として公職選挙法に違反することがある。

国際政治

国際連合

主要機関

  • 総会
    • 全加盟国の代表により構成され、国連憲章の範囲内の全ての問題を討議し、加盟国・安全保障理事会等に勧告をする機関。
    • 総会では、各国が1票の議決権を与えられ、国際連盟のような全会一致ではなく、重要な事項なら2/3以上、手続事項であれば過半数で、決議が採択される。
  • 事務局
    • 国連の諸機関が決めた活動計画・政策を実施する機関。
    • 事務局は、総会や安全保障理事会の監督・指揮の下、会合・資料の準備等の支援的な活動の他に、開発援助・人道支援といった業務活動も行う。
    • 事務局の長を、国連事務総長といい、安全保障理事会の勧告に基づいて、総会により5年の任期で任命される。
    • 事務総長は、紛争が生じた場合、自ら調停役を引き受け、紛争を終結に導くこともある。
    • 国連事務職員による汚職事件等に対する批判を受けて、2006年、事務局内に倫理局が設けられた。
  • 安全保障理事会
    • 国際平和と安全の維持に関して、総会にも優越する主要な責任を負う機関
    • 安保理は15の加盟国により構成され、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5ヶ国の常任理事国、任期2年(再選不可)で、総会により選出される非常任理事国により成り立つ。
    • 安保理決議のうち、重要事項の決議については、5常任理事国の全てを含んだ上で9ヶ国以上の賛成で成立。言い換えれば、常任理事国の内、1国でも反対すれば、重要事項に関する決議は否決され、このように、常任理事国が反対票を投じて決議の成立を妨げることを拒否権という。
  • 経済社会理事会
    • 経済・社会等の国際事項について研究・報告を行い、総会・加盟国等に勧告を為し、また、勧告を通じて専門機関の活動を調整する役割を担う機関。
    • 任期3年で、総会により選出される54の理事国で構成。下部機関として、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)等の委員会が設けられている。
  • 信託統治理事会
    • 指定された旧植民地(信託統治地域)ごとに施政権者(国家・国連)を配置し、独立に向けた施策を行うこと(国際信託統治制度)の運営担当機関。
    • 現在、信託統治された地域はなく全て独立しているので、活動停止中。
  • 国際司法裁判所 ICJ
    • 国連の主要な司法機関で、国家間の紛争を国際法に従って裁判する。
    • 国連関係機関の申立てについて、勧告的な意見を与える。
    • 裁判官は国籍の異なる15人で構成され、任期は9年、総会と安保理で別々に選挙し、双方で多数票を得た者が任命。
    • オランダのハーグが所在地。

専門機関

 特定の専門領域における、国連の一種の外郭団体、すなわち、国際条約により設立された経済・社会党に関する国際協力機関の中で、経済社会理事会との協定により、国連と連携関係にあるものを、専門機関という。
 国連の下部機関ではなく別個独立の国際機構であることから、独自の目的・機能をゆうしている。

  • 国際労働機関 ILO
    • 第一次大戦後、平和条約により設立。第二次大戦後、改定憲章により、専門機関となる。
    • ILOの総会は、政府代表2名、使用者・労働者代表各1名により構成され(3者代表制)、国際労働条約、または勧告の形式で、国際的労働基準を設定。
  • 国連教育科学文化機関 UNESCO
    • 教育、化学、文化面等の国際協力を推進することで、世界の平和、安全の確立に寄与することを目的とする。
    • 最近は、開発途上国の援助にも力を注いでいる。
    • 加盟国には、国内協力団体として、国内委員会が設置されている。
  • 世界保健機構 WHO
    • 国際的保健事業の中心機関としての調整をはじめとして、緊急支援、保健事業の援助・技術協力、HIV等の対策、たばこ対策等、その活動は広範囲にわたる。
    • 特に、HIVについては、UNAIDS(国連合同エイズ計画)および、ユニバーサル・アクセス(2010年までに、全ての人の治療へのアクセスを可能とする)を展開中。
  • 国連食糧農業委員会 FAO
    • 人々が健全で活発な生活を送れるように、十分な品質の食糧への定期的なアクセスを確保し、食糧の安全保障を達成するために組織されたもの。
    • 主な活動として、開発途上国に対する農村開発援助、世界食糧情報・早期警戒システム(GIEWS)等があげられる。
    • 世界の食糧問題の重要性に対する関心を高めるため、創立記念日の10月16日を、世界食糧デーとしている。
  • 国際通貨基金 IMF
    • ブレトン・ウッズ協定に基づき、国際復興開発銀行と共に創設されたもの。
    • 加盟国の出資により、為替平衡資金を設定し、これによって国際収支の不均等を是正することを目的とする。
    • 加盟国に当初課せられていた為替市場への介入義務は、変動為替相場制が浸透したことから、1978年のIMF協定第2次改正により廃止された。
    • 通貨危機に見舞われた諸国の経済支援にも、主導的な役割を果たしている。
  • 国際復興開発銀行(世界銀行) IBRD
    • 指定された旧植民地(信託統治地域)ごとに施政権者(国家・国連)を配置し、独自にブレトン・ウッズ協定に基づき、国際通貨基金とともに設立された。
    • 加盟国の出資による銀行の保証または融資によって、経済復興および開発途上国の開発のための投資を容易にすることを目的とする。

補助機関

 主要機関の決議等により設立され、与えられた任務を遂行するための手足となる機関を補助機関という。
 補助機関のうち、国連児童基金・国連難民高等弁務官事務所・国連大学は、独自の意思決定期間等を有し、ある程度独立した人事権・財産権をもつことから、自律的補助機関と呼ばれている。

  • 国連貿易開発会議 UNCTAD
    • 主に、貿易と開発に関する南北間の諸問題を協議するために設置された、総会直属の補助機関。
  • 国連児童基金 UNICEF
    • 開発途上の児童のため、医療・栄養面での援助をし、また、天災・戦災に見舞われた地域の母子に対して緊急救助を行う等、子供と女性の援助を目的とする総会の自立的補助機関。
    • ユニセフカードの売上げによる活動資金集めも行っている。
  • 国連難民高等弁務官事務所 UNHCR
    • 難民保護のために、総会によって設立された自立的補助機関。
    • 難民に国際的な保護を与え、その安全かつ自発的な帰還を促す、または定住先へうまく溶け込めるように援助を行うことが、高等弁務官の任務とされている。
  • 国連環境計画 UNEP
    • 国連の諸機関が実施する環境関係の活動を調整・促進することを目的とする補助機関
    • 国連人間環境会議を契機に設立されたもの。
  • 国連大学 UNU
    • 通常の意味での大学と異なり、人類の存続、開発、福祉についての研究の世界的組織を目的とする国連総会の自立的補助機関。
  • 国連ボランティア UNV
    • 開発途上国への開発援助のため、農業・医学・経済学等の専門家を、ボランティアとして派遣する機関で、国連総会決議に基づいて設立されたもの。

平和維持活動 PKO

 紛争の拡大防止、休戦協定履行監視、選挙監視のために、国連加盟国の自発的な兵力提供を受け、国連で編成し、受け入れ国の同意に基づいて派遣することを、国連平和維持活動という。

関連機関

  • 世界貿易機構 WTO
    • GATT(関税貿易一般協定)が発展的に消滅し、代わって成立した国際貿易の中核機関。
    • GATTよりも強固な基礎を持つ国際貿易機関。
    • GATTが対象としていなかった農業・繊維・サービス・知的財産に関する協定が作成される。
    • 迅速な紛争解決をめざして、手続を統一化。
  • 国際原子力機関 IAEA
    • 原子力の平和利用促進と、軍事転用を防止するための保障措置を実施するもの。
    • 1953年、アイゼンハワー米大統領が国連総会で「アトムズ・フォー・ピース」演説(平和利用のための原子力技術解放)により設立を提唱、これにより1957年に発足。
    • 湾岸戦争後のイラクの核開発査察・北朝鮮の核開発疑惑での査察等で知られる。

地域統合

  • アジア太平洋経済協力会議 APEC
    • 1989年、オーストラリアのホーク首相が、アジア太平洋地域の狭義シスtめうの総説を提唱したことにより創設された。アジア太平洋地域の経済発展のための、防疫・投資の自由化、円滑化、技術協力を活動目標としている。
  • 東南アジア諸国連合 ASEAN
    • 1967年当初は、経済・社会分野での経済協力を目指したが、後に政治分野も含めての地域協力組織となった。最も世効した途上国の地域協力組織と言われている。
    • 1997年からは、日本・中国・勧告との会議もスタートした(ASEAN+3)。
    • 構成メンバーは、東南アジア全域をカバーするに至っている(ASEAN10)。
  • 欧州連合 EU
    • 1991年、マーストリヒト欧州理事会で再編された欧州統合の包括的組織体で、1992年、欧州連合(EU)条約として調印、1993年に発効した。
    • EU首脳会議は、各国首相と欧州委員会委員長により構成され、また、閣僚理事会は、加盟国閣僚と欧州委員会委員により構成される。
    • 1999年には単一通貨ユーロの導入に伴い、ヨーロッパ中央銀行制度が発足し、2002年、ユーロ紙幣・貨幣の流通が開始された。
    • ノルウェー、スイス、クロアチア、トルコ、ロシアは未加入。

EU設立の歴史


ローマ条約:1957年

 現EUの母体であるEEC(欧州経済共同体)設立の条約をローマ条約といい、現在も維持されている。ローマ条約では経済統合の達成などが規定されている。
 EECが後に欧州石炭鉄鉱共同体(51年設立)と欧州原子力共同体(58年設立)を加え、67年に欧州共同体(EC)に発展した。

マーストリヒト条約:1992年

 1991年12月にオランダのマーストリヒトで開かれた欧州共同体(EC)首脳会議で合意された後に、ECの基本法であるローマ条約の改正、さらにECを欧州連合(EU)に発展させて、外交・安全保障政策の共通化と単一通貨ECUを基礎とする通貨統合の達成を謳った欧州連合条約を採択(92年2月に調印)した。
 この条約では、外交・安全保障政策の統合と経済・通貨統合の他に、EU共通市民権の導入や欧州議会の権限拡大など統合の深化が規定された。同条約は93年11月1日に発効し、EUが正式に発足した。

アムステルダム条約:1997年

 欧州連合(EU)は、1996年3月からマーストリヒト条約見直しのための政府間会議をスタートさせ、EUの機構改革、共通外交・安全保障政策(CFSP)の基盤強化などの懸案を巡って交渉を進め、97年6月にオランダのアムステルダムで開催された定例首脳会議までに妥結し、アムステルダム条約が成立した。条約見直しに当たって最大の焦点となったのは、意思決定方式であり、欧州委員会は現行の全会一致方式から多数決方式への移行を主張したのに対し、イギリスは現行方式の維持を譲らなかったが、結局、共通政策の原則・指針などの決定に当たっては賛成国だけが実施義務を負い、棄権国は義務を免れる建設的棄権性の導入で決着をみた。最終的には2000年12月に調印されたニース条約でこれらの問題は決着した。

ニース条約:2000年

 2000年12月11日にフランスのニースで開催されたEU首脳会議で、EUの基本法となってきたローマ条約、マーストリヒト条約とこれを改正したアムステルダム条約を更に改正することが決定され、開催地のニースからニース条約と呼ぶこととなった。
 ここでは、EUの政策決定を合理化するために閣僚会議全会一致を必要としない多数決制の対象範囲を通商や地域振興などの40の分野に拡大し、また一部の加盟国だけで共通政策化を進めることのできる先行統合に必要な参加国の数を現行の過半数から8ヶ国に引き下げ、将来に東欧諸国が大量に下命しても先行統合を行いやすい環境が整えられた。
 2001年6月7日に実施されたアイルランドでのニース条約批准を巡る国民投票では反対が多数を占め批准できなかったが、2002年10月の再投票では賛成が多数を占め批准できることになった。