国内において1年間に生産された付加価値の合計をGDP(国内総生産)という。言い換えれば、誰に経済活動であるか問うことなく、国内の経済活動によって生み出された付加価値の合計がGDPということになる。従って、国内の生産である以上、外国企業による生産も含まれ、逆に、海外に生産拠点を移すと含まれなくなる。
また、GDPを所得の面からとらえたものをGNI(国民総所得 Gross National Income)といい、支出の面からとらえたものを、GDE(国内総支出 Gross Domestic Expenditure)といい、概念的には、GNI、GDE、GDPは一致する(三面等価の原則)。
一国に所属する国民が生産した財の総生産額から、中間生産物(原材料・燃料)の額を引いもの、つまり一国の国民が生産した付加価値の合計額を、GNP(国民総生産)という。言い換えれば、国民の、国内外における経済活動によっt得生み出された付加価値の合計がGNPということになる。
日本では国内の経済活動をより正確に把握できるとして、GNP中心から、GDP中心へ変更された経緯があるが、経済政策においては、海外シフトが進む現在、GNPを基準とするのが望ましいといわれている。
経済統計において、景気の動きを敏感に示すデータ、およびそれらを合わせて作成された指標を、景気指標という。
指標には、景気動向に対する時間的な関係の違いにより、景気に先駆けての動きを見せる先行指標、景気と同時に動く一致指標、景気に遅れて動く遅行指標などがある。
代表的な指標として、内閣府が毎月公表するDI(景気動向指数 Diffusion Index)があり、これは、通貨供給量などからなる先行指数、完全失業率からなる遅行指数などにより構成されている。
DIの動きではわからない景気動向の強さ・速さを知るために、各指標の変化の度合いを加えて作成されたのが、CI(景気総合指数 Composite Index)である。
日本銀行が四半期に一度発表する経済の先行き等に対する企業アンケート調査をまとめたもので、「全国企業短期経済観測調査」の略称。調査項目は売上高や設備投資額などの計数項目に加え、業況など企業判断を求める項目と多岐にわたっており、経済指標の中でも特に注目されている統計となっている。日銀短観は、企業の業績見通しが集約されるため、株価に与える影響が最も大きく、特に業況判断DI(業況が「良い」と判断する企業の割合から「悪い」と判断する企業の割合を引いたもの)は注目されている。
個々の財の価格を総合し、平均買いsて得られた総合的な価格の動向を物価といい、通常は、指数、すなわち基準とする年を100として、各年の物価の変動を測定できる形にしてしめされている。
景気の変動により物価も変動する中で、物価がかなりの期間にわたり、継続して上昇する状況を、インフレーションといい、逆に、物価が下落する状況をデフレーションという。なお、物価下落と景気後退が相互に繰り返される状態をデフレ・スパイラルという。
消費者の生計費の動きを調べるために、日常的に購入する標準的な財の組み合わせ(財のバスケット)について、基準年における財のバスケットの購入費を100として、比較年の価格水準を指数化したものを、CPI(消費者物価指数 Consumer Price Index)という。総務省統計局が公表するもので、5年毎に財のバスケットや、基準年が変更される。ちなみに、2006年8月公表分から、基準年が2000年から2005年に変更されている。
なお、これに対して、企業物価指数(CGPI)とは、従来の卸売物価指数に相当するもので、企業間で取引される際の商品の価格動向を示すものとなっている。1ヶ月単位で測定され、翌月の第8営業日に速報値が、翌々月の同日には確定値が、日銀から公表される。
4月1日から翌年の3月31日までの一会計年度の歳入と歳出の予定を予算という。
また、このように予算の対象となる会計年度を1年間とする原則のことを、世賛嘆根戸主義という。ただし、この例外として、継続費・国庫債務負担行為がある。
予算には、まず分類の方法として、一般会計(予算)・特別会計(予算)・政府関係機関予算の3分類がある。また、予算の性質から、本予算・補正予算・暫定予算に分類される。
国・地方公共団体が、財政支出を経常収入でまかないきれない場合に、資金調達のために発行する証券を公債といい、このうち、国が発行する公債を国債と呼ぶ。
種類 | 発行目的 |
建設国債 | 公共事業の資金にあてるため |
赤字国債(特例国債) | 歳入不足を補うため |
借換国債 | 既存国債の借り換えのため |
政府短期証券 | 財政の一時的な不足を補うため |
また、償還期間は、最短3ヶ月の政府短期証券から、最長30年の超長期債まである。一般に、償還期間が1年以内のものを短期国債、2〜5年程度のものを中期国債、10年程度のものを長期国債とよぶ。
また、個人の資産運用向けとして、10年変動金利の国債、5年固定金利の国債が発行されている。
国の借金といえる国債の発行は、戦後、ドッジ・ラインによる健全均衡財政主義に基づき、国債の発行は厳しく制限されていた。しかし、1964〜65年にわたる不況による税収不足対策として、1965年度に初の赤字国債が発行された。これに対する批判から、1966年には建設国債が発行されるようになった。しかしその後、オイルショックの影響を受け、1975年度から赤字国債の大量発行が始まり、これ以降、1990〜93年度を除いて、毎年赤字国債が発行されている。そして、1999年度以降、国債発行額は減少傾向をみせたが、2002〜05年度はまた増加し、30兆円を超えるものとなっている。2002〜04年度には40%を超えた国債依存度も、2005年度には落ち着きを見せているものの、それでも35%を超えている。
かつて財政赤字をかかえた先進諸国も着実な財政再建を進めた結果、国債発行残高は減少傾向にあるが、我が国に限っては、急速な増加傾向にあり、2006年3月現在の国債発行残高は671兆円に達している。
財政投融資とは、政府の信用で調達された郵便貯金や公的年金などを、投資や融資の形態で運用するものをいう。予算と異なり、あくまでも融資なので金利を付けて返還する必要がある。
財政投融資は、一般会計に比してもその半分近くになる規模であることから第二の予算とも呼ばれ、重要な位置付けにある。以前は、この資金が自動的に特殊法人の財源として活用される仕組みになっていたが、平成13年4月1日から「資金運用部資金法などの一部を改正する法律」が施行されたことにより、特殊法人の施策に真に必要な資金を、市場から調達する仕組みに変更したことにより、大きく形を変えている(財政投融資改革)。
これにより、いままで資金運用部から投融資を受けていた特殊法人などは、原則として、財投機関債を発行して、金融市場から資金調達することになる。これで不足が生じる場合は、財政融資資金特別会計が発行する財投債を発行するなどして補うこととされた。
金融とは、貸し借りの仕組み、すなわち、余裕のあるところ(供給者・資金余剰主体)から資金を集め、必要とするところ(需要者・資金不足主体)へ融通することをいう。こうしたところで仲介役を果たしているのが、金融機関ということになる。
資金の貸借や、証券の売買を行う市場を、金融市場という。証券取引所が中心となって、株式・社債・公債などの売買を行っている金融市場を、特に、証券市場(株式市場)という。
金融市場は、短期金融市場と長期金融市場に分類される。
短期金融市場とは、満期までの期間が1年未満の金融商品を取引する市場をいう。参加者が金融機関に限定されているインターバンク市場と金融機関以外の一般企業なども自由に参加可能なオープン市場に分類される。
これに対して、長期金融市場とは、満期までの期間が1年以上の金融商品を取引する市場をいう。国債をはじめとする債権を取引する債券市場と株式を取引する株式市場に分類される。
会計とは、個人・団体などが、自ら行う経済活動を記録して、それを伝達・報告することをいう。そうした中で、営利を目的とする企業の経済活動を報告の対象とする会計を、企業会計と呼ぶ。一般に、会計といえば、この企業会計を意味する。
企業会計は、その報告対象により、財務会計と管理会計とに分かれる。
会計情報の報告対象が、企業外部の利害関係者(ステークホルダー)である会計を、財務会計とよぶ。報告対象が企業外部にあるものであることから、外部報告会計と呼ばれることもある。
財務会計において、会計情報は、財務諸表によって、利害関係者に報告される。
投資家・株主・債権者など、企業外部の利害関係者にとって、会計情報のもつ意義は極めて大きく、社会的影響が重大であることから、財務会計は制度的に多くのルールに縛られている。
会計情報の報告対象が、企業内部の利害関係者である会計を、管理会計とよぶ。
管理会計は、企業内部で意思決定をする際に必要な情報を提供する役割を果たすものである。したがって、その方法は、会社の業績・形態にあわせて、効率の良い物を選べばよく、特定のルールに縛られることはない。
企業の会計情報を、投資家・債権者など利害関係者に報告するために作成される計算書類を財務諸表という。
財務諸表は、規制する法律、すなわち、債権者保護に重点をおく商法と、投資家保護に重点をおく金融商品取引法では、その名称・内容が異なる。金融商品取引法上の財務諸表の種類は、次の通り。
企業の現金・現金同等物の収支状況を示す計算書を、キャッシュフロー計算書とよぶ。
ここでいう現金とは、普通預金などの要求払預金も含まれ、また、現金同等物とは、例えば、短期の投資など、現金化・価格変動のリスクの少ないものをいう。
キャッシュフロー計算書は、次の3つに区分される。
なお、企業評価の基準として注目されるものにフリーキャッシュフローがある。これは、営業活動によるキャッシュフローに、投資活動によるキャッシュフローを加えたもので、これが大きいほど経営上の自由度が大きくなるとされている。
憲法
民法
行政法
商法
一般知識