勇者飛翔ファルブレイク第三話


341 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 18:33:59 ID:efzX6Fuu
第三話行きます・・・生暖かい目で見てもらえれば幸いです・・・。

「では二人とも、準備はいいか?」
ガラス張りの向こうにいるブレイクと乗り込んでいるシンヤに向かって、乃木坂が声をかける。
「問題ありません」
「いつでもOKです」
声を返すシンヤとブレイク。心なしか緊張しているようにも聞こえる。
二人が立っているのはブレイバーズの基地の一角である試験場、通称「練習場」だ。
ブレイバーズの存在は一応は秘密となってるのでロボのテストなども大っぴらにはできない為、
地下にある施設で稼働テストなどが行われる事になっている。
「よし、では合体テストを開始する」
そう言うと乃木坂は目の前のレバーに手をかけた。
「ファルコンウイング、射出!」

第三話 飛べ!ファルブレイク

乃木坂がレバーを動かすのと同時に、練習場の壁の一部が開く。
そして直後に、一機の物体が飛び出した。
既存のどの飛行機とも異なる三角形の様な外見と青いカラーリングが目を引く。
ブレイクの支援メカとして開発された大型戦闘機、ファルコンウイングである。
「相馬!」
「よし!ウイングフォーメーションだ!」
その姿を確認した二人が叫んだ。
ブレイクはビークルモードに変形し、ファルコンウイングと並走する。
それと同時に、ファルコンウイングは本体と左右の翼にそれぞれ分離した。
分離した翼の中に二つになって収納されていた腿と腰が出現、連結して人間の下半身に変形する。
残った本体は折りたたまれていた両腕を展開し、上半身を形成する。
そして上半身と下半身が連結し、人の姿となった。だが頭部はなく、代わりに機首がそのまま残っている。
同時にファルコンウイングの背部が開き、空洞が出現した。
「とう!」
ブレイクは再びロボモードへ変形し、その空洞に向かって脚のブースターを使って跳躍する。
「うおぉぉっ!」
各部を折りたたみ、合体姿勢となったブレイクは、ファルコンウイングの背部と合体した。が、
「!ぐあぁぁっ!!」
突然接合部から火花が飛び散り、シンヤとブレイクは悲鳴を上げた。その衝撃でブレイクは宙に投げ出された。
「がっ!」
地面に叩きつけられ、そのまま地面に倒れ伏すブレイク。
「ぐ・・・相馬、大丈夫か・・・」
「ん・・・ああ・・・」
コックピットに叩きつけられたシンヤも、声を返した。
「・・・駄目か・・・」
乃木坂は頭を抱えた。

事の発端は前日に遡る。
「これが、ブレイクのサポートメカ・・・」
整備室に呼ばれたシンヤは、目の前に置かれているファルコンウイングを目の当たりにして驚いた。
「そうだ。このファルコンウイングと合体する事によって、ブレイクはファルブレイクへとパワーアップできる」
得意げに言う乃木坂。
「ファル、ブレイク・・・」
シンヤは呟く。
「ファルブレイクは飛行能力も持っている。ブレイク単体では手こずる様な敵とも戦える様になるだろう」
「・・・私も、パワーアップ出来るのですか・・・」
後ろに立っていたブレイクもなんとなく浮かれた声で言う。
「ああ。とりあえず、整備が完了次第合体テストを行う。期待していてくれ」


342 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 19:43:59 ID:efzX6Fuu
「・・・すいません、また失敗しちゃって・・・」
制御室に戻ったシンヤはがっくりうなだれた。
「博士、責任は私にあります・・・どうか相馬を責めないでください・・・」
ブレイクは申し訳なさそうに懇願する。
「いや・・・いいんだ、二人とも、そう気を落とさないでくれ・・・」
乃木坂は苦笑しながらもフォローする。
合体が失敗したのは今回が初めてではなかった。前日にも一度合体テストを行ったが、今回と同じで
ファルコンウイングの変形まではうまくいったものの、ブレイクの合体で失敗したのである。
「しかし・・・何故立て続けに失敗してしまうのか・・・」
乃木坂は頭を押さえた。
「相馬クン、合体テストを再び行うにはしばらくかかる。今日はこれまでだ」

「・・・はあ・・・」
練習場を出たシンヤはため息をつく。
乃木坂は責める様言い草ではなかったが、それでも二回立て続けに合体テストに失敗したのは
申し訳がないと感じていた。
「・・・?」
辺りを見回したシンヤは、そこに藤野が立っているのを見つけた。
「・・・また合体テストに失敗したのか?」
いつもとは若干様子の異なる、面白くなさそうな表情で藤野が言う。
「・・・ええ・・・」
こんな状況では一番会いたくない人間だとシンヤは思った。
「・・・そうかい・・・」
心底どうでもよさそうな声でそう言うと、藤野はその場を去った。
「・・・なんなんだ?」
シンヤは少し不審に思った。また何かイヤミを言われると思っていたのだが・・・。
「相馬、今の藤野隊員は・・・」
ブレイクさえも少しおかしいと感じたのか、シンヤの右手の通信機から声を出す。
「・・・さあな・・・」

ブレイバーズに入隊してから十日経ち、シンヤも徐々に隊内の雰囲気に慣れつつあった。
藤野には会う度に毒を吐かれるが、慣れてきたのか最初ほど癪に障る事はなくなった。
初日から出動する事になったが、その後は特に大がかりな事はなかった。
乃木坂は常在戦場と言っていたが、些細な事ではブレイバーズにお呼びがかかる事はなく、シンヤは
この十日間、トレーニングやこれまで破壊活動を行った怪ロボットの事後処理に追われていた。
忙しいと言えば非常に忙しかったが、ヒマを持て余していた警備員よりはずっといいと感じていた。

「博士、頼んだ物は完成したのか?」
目の前の初老の男性に向かって、荒木は問い詰めた。
「フン、心配するな。とっくに仕上がっているさ」
その初老の男、村上は少し不機嫌そうに答えた。
維新機士、というか維新夜天党が保有する兵器の多くは彼の発明品であった。
「ならばいい。早速その完成品を見せてもらおうか・・・」
「わかっている。そう急かすな」
そう言うと村上は部屋の明かりをつけた。
「おお・・・」
荒木は嘆息を漏らした。
そこには、人の体に鳥の頭部と翼を足したような姿の維新機士が二体佇んでいた。
「お前さんの要望通り、飛行能力に重点を当てて開発した維新機士、飛影だ。一体は有人機、もう一体は
無人機として造ってある」
「フフフ・・・素晴らしい、この最強の維新機士の力を持ってすれば、ブレイバーズなどもはや恐れるに足らんわ!」
そう言うと荒木は高笑いする。
「三時間後に出撃する。それまでに整備を終わらせておけ!フハハハハ!」
荒木は部屋を出て行った。
「・・・フン、何も知らない若造が。そんな簡単に最強の維新機士を造れたら苦労はしない。ま、私は自分の仕事には
プライドを持ってるから手は抜いたりしないけどな」
そう言うと村上は光が照らされていない部屋の一角を見た。
「やはり、私にとって最強の維新機士、いや、ロボットはお前だけだ、暁よ・・・」


343 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 21:02:13 ID:efzX6Fuu
「お前、今の自分の現状をどう思ってんだ?」
「・・・なんですか、いきなり・・・」
昼時に自作の弁当をつついていたらいきなり藤野が前の席に座って来た。これだけでも
嫌なのに、いきなりこんな質問を投げかけられた。
「いいから答えろよ」
「答えろって言っても・・・現状ってどういう事ですか?」
「お前、人を守る仕事をしたいって言ってただろ?」
質問に答えようとせず、藤野はそんな事を言い返す。
「・・・そうですけど、オレの質問に」
「今のお前は人を守るどころか自分を守るので精いっぱいだろうが。その足手まといになってる
現状をどう思ってるか聞いてるんだよ」
「・・・足手まといって・・・なんでいきなり・・・」
「敵を倒すどころか手も足も出ずにボコボコにされていた奴のどこをどう見れば足手まといじゃないと判断できるんだ?」
構わず続ける藤野。
「お前、自分がそんな足手まといなんて理解してない・・・いや、認めようとしてないだろ」
「・・・別にそんなこと」
「いや、現にお前を見てると現状を打破しよという必死さがまるで感じられないな」
「・・・だからなんでそんな事」
「お前はブレイクがパワーアップできるって事実をなんとなく嬉しいとしか感じてないだろ。そんな必死さに欠ける態度じゃ合体なんて
失敗して当然だよ。いいか、新米とはいえ、仮にもお前はブレイバーズの隊員の一人だ。そうである以上、お前はブレイバーズとしての
責任を果たす義務が生じる訳だ。ブレイバーズとしての責任ってのは当然この国の人間を守るって事だ。だが今のお前にはそれは出来ない。
話にならない程の半人前ぶりだからな。それに半人前なら半人前なりに現状から脱出しようとするのが普通だろうに、お前はそれすら
出来ていない。目の前にその術の一つが転がってるってのによ。それなのに現状打破が出来ないってのは間違いなくお前の職務怠慢だろうが」
少し感情的過ぎるのではないのかと思う程、藤野は喋り続けた。
「ま、何が言いたいのかって言うとだな」
藤野は席を立った。
「今のお前じゃ、絶対に足手まといの現状から抜け出す事は出来ない。それが嫌ならもっと死に物狂いでやってみろってこった」
そう言い残すと、藤野はその場を去った。
「・・・」
シンヤは何も言えなかった。
警報がその空気をぶち壊したのは、その数分後だった。

「また出撃ですか!?」
慌てて司令室に駆け込むシンヤ。先に到着した藤野はモニターを凝視している。
「ああ。平野隊員、被害はどうなっている?」
麻生が確認の為に訪ねた。
「エリア034に機動兵器が出現!破壊活動を行っています」
洋子の言葉通り、炎を上げる街とその上空に鳥の様な姿のロボットが確認できる。
「よし、藤野、相馬両隊員は迎撃に」
「いえ、オレ一人で行きます」
「・・・な・・・?」
藤野の言葉に麻生は驚く。
「藤野隊員、どういうつもりだ?」
「言葉通りです。すいませんがこの戦い、オレ一人で行かせてください」
「そ、そんな・・・藤野さん・・・」
驚いたシンヤが声を出す。が、
「今のお前なんか何人いたって使い物にならねえよ。0は何倍したって0だからな」
そう言うと藤野は踵を返した。
「相馬、来るならせめて足手まといにならない位の力をつけてからにしな」
そう言うと藤野は司令室から走り去って行く。
「藤野さん・・・」
その様子を見た洋子は不安そうな顔をする。
「くっ・・・敵のデータが殆どないのに、何を考えているんだ!」
乃木坂は頭を掻いた。
「・・・」
シンヤは何も言わずにうつむいた。


345 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 21:46:59 ID:efzX6Fuu
「いいのか大将?オレ達だけで出撃しちまって・・・」
セイバーヘッドも少し驚いていた。
「・・・あんな奴の世話になる事なんてあり得ねえよ。オレ達だけで十分だ・・・」
不機嫌そうな顔で、シンヤは操縦桿を手にした。
「セイバーチーム、テイクオフ!」

ハッチが開き、セイバーヘッド、セイバージャイロが姿を現した。セイバードリルはセイバーヘッドの下部に
搭載されている。
「行くぞ!セイバーフォーメーション!」
藤野の掛け声と共にセイバーチームは空中で変形し、合体した。
「緊急合体!トライセイバー!」
名乗りと共に、トライセイバーは現場に向かって飛んで行く。

機関銃から放たれた無数の弾丸とミサイルが、容赦なく街を破壊してゆく。
「フハハハハ!逃げろ!わめけ!そして維新の糧となれ虫ケラども!」
飛影のコックピットの中で、荒木は高笑いする。これまでの維新機士とは異なり、この飛影は有人機だった。
「待ちやがれ!」
そこへ、叫び声と共に、圧縮された無数の空気の弾丸が降り注ぐ。
「来たか・・・!」
飛影は背中に付いた翼で弾丸を防いだ。
そして飛影の目の前に、トライセイバーが現れた。
「おいおいお前!どこのどいつだか知らねえが、これ以上街を壊させる訳にゃいかねえな!」
啖呵を切って指を指すトライセイバー。
「ククク、待っていたぞブレイバーズ!」
嬉しそうな声を出す荒木。
「人が乗ってるのか・・・?今までの奴とはちと事情が違うみたいだな・・・」
藤野が言う。
「お前ら!いったい何者だ!?」
声を張り上げて藤野は叫んだ。
「ククク、貴様らに名乗る名前などないわ!!」
飛影は脚部のミサイルを発射してきた。
「くっ!」
トライセイバーはミサイルをかわす。目標を失ったミサイルは轟音と共に市街地で爆発した。
「おい大将!あんまあいつらに撃たせたらまずいんじゃないのか!?」
「くそっ!可能な限り市街地にミサイルは落とさせるな!」
そう言うとトライセイバーはガトリング砲を構えた。
「はじけろっ!!」
弾丸が飛影に向けて発射される。
「ふん・・・」
だが飛影はあっさりとその弾丸をかわした。
「まだだ!!」
トライセイバーは更に攻撃を続けようとした。が
「ぐああぁ!?」
突然の背部からの衝撃で、トライセイバーは態勢を崩した。
「儀疑義偽魏、無礼場唖図、まっさつ・・・」
カラーリングと細部が異なるもう一体の飛影が体当たりを喰らわせたのだ。こちらは無人機の様だった。
「くっ!もう一体いたのかよ!」
藤野は舌打ちした。
「どうするよ!?大将!」
「どうするもこうするもねえ!二体まとめて叩き落としてやる!」


346 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 23:56:06 ID:efzX6Fuu
「・・・」
戦いの様子を見ていたシンヤは、ぐっと拳を握り締め、意を決した様に乃木坂の方を見た。
「長官、お願いがあります」
「ん!?」
画面に集中していた麻生が反応する。
「オレを・・・オレとブレイクを出撃させて下さい」
「・・・」
麻生は少し考え込んだ。
「ブレイクは飛行能力を持たない。その上であの二体を相手にするのは流石に無理がある。いざとなれば
トライセイバーを離脱させればいい。だから無理は」
「それなら大丈夫です」
そう言うとシンヤは乃木坂の方を見た。
「博士、現地に向かいながら合体を行わせてください」
「え?」
突然の発言に乃木坂は驚いた。
「ちょ、ちょっと待て相馬クン!君、本気で現地で合体を行う気か!?」
「はい」
シンヤは堂々と答える。
「いくらなんでも無茶だ!まだ基地内でのテストも完了してないのに現地での合体など・・・」
「だからと言って、藤野さんを見殺しにはできません!」
シンヤは声を張り上げた。司令室の全員がシンヤを見る。
「・・・わかった・・・」
乃木坂が答える。
「乃木坂、本気か?」
麻生も少し動揺していた。
「・・・人を守るのが我々ブレイバーズの仕事ですからね。隊員とてその例外ではありませんよ」

「ブレイク」
コックピットに乗り込んだシンヤは、ブレイクに声をかけた。
「ん?」
「・・・今回ばかりは、絶対に失敗は許されない。何が何でも成功させなきゃ、藤野さんに面目が立たないからな」
「・・・わかってる・・・」
「二人とも、準備はいいか!?」
乃木坂の声が響く。
「了解」
二人は声を揃えて返事をする。
「よし、ファルコンウイング、テイクオフ!」

ブレイクが基地から発進するのと同時に、ファルコンウイングも飛翔する。そして二体はほぼ同じスピードで並走する。
「ウイングフォーメーション!」
シンヤの叫び声と共に、ファルコンウイングが分離、変形し、人型になる。
「とうっ!」
開かれたファルコンウイングの背部に向かって、ブレイクは跳躍し、そのまま合体する。が、
「ぐああぁっ!?」
火花が飛び散り、再びブレイクは空中に放り出された。
そのまま落下して行くシンヤとブレイク。やはり、駄目だったのか。
「・・・くっ・・・!」
シンヤは死に物狂いで操縦桿を握った。
「相馬・・・!」
「ブレイク!まだだ!諦めるな!」
「ぐ・・・ぐおぉぉぉっ!!」
ブレイクは一瞬だけ態勢を立て直したのと同時に、脚部のブースターを全力で稼働させた。
「飛べぇぇぇっ!!」
互いに向かって言ったのか、二人はいつの間にかそう叫んでいた。そして再びブレイクが合体姿勢となった。
「うおぉぉっ!!」
ブレイクがファルコンウイングと合体する。今度は接合部分が悲鳴を上げる事はなかった。
同時に展開されていた背部が閉じ、バックパックを形成す、そして機首が折りたたまれて背後に回り、同時に頭部がせり上がり、双眸にオレンジの光が宿った。
「飛翔合体!ファルブレイク!」
誕生したロボ、ファルブレイクは、力強く名乗りを上げた。


347 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/21(日) 00:44:30 ID:YFCTHSJV
「よっしゃああぁ!!」
その様子に乃木坂は思わず歓喜の声を上げる。
「・・・うむ・・・」
麻生も安堵の表情を見せた。
「よし、早速だが二人とも、至急藤野隊員とトライセイバーの援護に向かってくれ」
再び麻生はいつもの厳しい表情になった。
「了解!」
大きく返事をして、シンヤとファルブレイクは現場に向けて飛んで行く。

「フハハハハ!どうしたどうした!」
攻撃をかわしながら逃げるトライセイバーを、飛影は後ろから容赦なく攻め立てる。
「くっ、大将!こいつらかなり素早いぞ!」
「わかってる!」
トライセイバーは飛影の動きに翻弄されていた。飛行能力はあるもののどちらかと言えばパワー重視のトライセイバー
には分が悪い相手だった。今は逃げるのが精一杯だ。
「ククク、無駄だ無駄だ!二号機よ!」
荒木の指令と共に、もう一体の飛影が高速でトライセイバーの前方に回り込んだ。
「くっ!」
トライセイバーは急停止してガトリング砲を構えた。が、
「儀疑義偽魏!」
二号機は腕に収納されていた剣を展開した。そして、
「なにっ!?」
一瞬でガトリング砲は真っ二つに切り裂かれてしまった。
「具疑義偽魏!!」
直後に二号機はトライセイバーの胴体に蹴りを叩き込んだ。
「ぐああぁぁっ!!」
トライセイバーは地面に向かって吹っ飛んだ。

「ククク、これで終わりだな!ブレイバーズ!」
飛影は全身のミサイルポッドを展開した。
「フハハハハ!本物の天誅を味わうがいい!」
そしてミサイルが放たれようとした、その時、
「!?があぁぁっ!!」
突然横から衝撃を喰らい、飛影は吹っ飛んだ。
「ぐっ!?何者だあぁ!?」
勝利を確信した荒木は叫んだ。
「破壊行動もそこまでだ!怪ロボット!」
攻撃を加えたロボット、ファルブレイクは飛影を指差して叫んだ。

「あいつ・・・相馬か・・・?」
空中で態勢を立て直した藤野は思わず呟いた。
「藤野さん!遅れてすいません!」
シンヤが通信を送って来た。
「・・・遅いんだよ、バカ!」
そう言いつつも、藤野の声はどこか嬉しそうだった。
「お前はそっちの奴をやれ!オレはこっちの奴を仕留める!」
「了解!」

「くっ!またしても我々を邪魔するとは・・・!そもそも飛行能力を持つブレイバーズのロボは一体だけじゃなかったのか!?」
「ごたごたほざくな悪党め!貴様の事前の調査不足が原因だ!」
そう叫ぶとファルブレイクは背部に手を伸ばした。
「ファルソード!」
そして機首の一部が変形した剣、ファルソードを構えた。
「おのれ・・・!このままでは済まさんぞ!!」
そう叫ぶと荒木は飛影の腕から剣を展開させた。
「叩き切ってくれるわ!!」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらう!」
互いの叫び声と共に、二つの剣が鈍い音を立ててぶつかり合った。


348 名前: 勇者飛翔 投稿日: 2008/09/21(日) 01:05:15 ID:YFCTHSJV
「具儀唖亜亞!!」
二号機は再度トライセイバーに斬りかかろうとする。が、
「ガトリング砲だけが、オレ達の見所だと思うなよ」
藤野はニッと笑う。
同時に、トライセイバーは背部から剣の様な武器を取り出した。セイバージャイロのローターが
変形した武器、ジャイロソードである。
「儀我唖亜亞!」
「ふんっ!」
トライセイバーは斬撃を受け止めた。
「おらあぁぁっ!!」
そして直後に、さっき自分たちがやられた様に、飛影の腹部に向かって蹴りを叩きこんだ。
「具儀也唖亜亞!!」
飛影は後方へ大きく吹っ飛んで行く。

「お前達の目的はなんだ!?」
目の前の飛影に向かって、シンヤは叫んだ。
「フン、貴様等に教えてやる道理などはないわ!!」
そう言うと飛影はファルソードを払いのけた。
「貴様等に教えてやるのは、我らが提唱する破壊と殺戮の宴の素晴らしさだけだっ!!」
そう叫ぶと荒木は飛影のミサイルポッドを再び展開させた。
「死ねい!!」
そして全身からミサイルの雨がブレイク目がけて飛んで行く。
「ぐっ!!」
ミサイルは次々と爆発を起こし、ブレイクは炎に飲み込まれた。
「フハハハハ!!何がブレイバーズだ!実に呆気ないな!」
荒木は勝利の愉悦に浸って高笑いを上げる。が、
「どこを見ている?そして何がそんなにおかしいんだ?」
背後から声が聞こえた。
「!なっ・・・」
飛影が振り返るとそこには、無傷のファルブレイクが立っていた。
「ぐっ・・・あの弾幕を無傷でかわしたというのか・・・!」
荒木は驚愕で目を見開いた。
「おい相馬、そろそろケリ付けちまえ。今回はお前に二体とも譲ってやる」
通信機から藤野の声が聞こえた。
「了解、ブレイク!」
「まかせろ!」
ブレイクは再びファルソードを構えた。


349 名前: 勇者飛翔 [sage] 投稿日: 2008/09/21(日) 01:30:57 ID:YFCTHSJV
「ぐっ!おのれ・・・!」
再度荒木はミサイルを撃ち尽くそうとした。が、
「ぐあぁぁっ!?」
「儀下唖亜亞阿!?」
荒木の飛影にトライセイバーによって吹っ飛ばされた二号機が激突した。

「悪党ども、貴様等のその歪んだ正義、このファルソードで切り捨ててくれる!」
そう言うとファルブレイクは全身のブースターを解放した。
「うおぉぉっ!!」
叫び声と共に、ファルブレイクは二体まとめて落下して行く飛影目がけて飛んで行く。
「ヒッ!く、来るなぁぁぁ!!」
荒木は絶叫したが、激突した衝撃で操縦系統が大破して逃げる事は不可能だった。
「喰らえ!ジェットスラッシュ!」
ファルブレイクが叫んだのと同時に、ファルソードが二体の飛影を切り裂いた。
そのままファルブレイクは着地し、脚で地面を数メートル抉った時点で停止して振り返り、
ファルソードを背部に収納した。
「具下唖亜亞阿!!」
断末魔と共に、飛影は爆散した。
「くううっ!!二度ならず三度までもおぉぉっ!!」
捨て台詞を吐きながら、荒木はコックピットが変形した脱出艇で飛び去って行った。
「・・・一見落着、だな」
「ああ・・・」
シンヤとファルブレイクは安堵の声で言った。

「藤野さん!大丈夫ですか!?」
戦いを終え、藤野の元に駆け寄るシンヤ。
「・・・ふん、これ位どうって事ねえよ・・・」
藤野はバツが悪そうな顔でそっぽを向いた。
「大将、こういう時くらい素直になれよ。な?」
横からトライセイバーが口を出す。
「うるっせえな・・・」
藤野は頭を掻いた。
「・・・とりあえず、礼を言うぜ・・・ありがとよ・・・」
その顔は非常に恥ずかしがってる様に見えた。
「・・・こっちも、礼を言っておきます・・・」
「はあ・・・?」
予想外の返答に驚く藤野。
「・・・これからは、半人前から抜け出せる様に頑張りますよ・・・」
そう言ってシンヤはファルブレイクを見上げた。

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