創発ブレサガ番外編004


創作発表版ブレイブサーガ

「村上博士よ!頼んでいた維新機士は完成したのか!?」
いつも通りのやかましい声とともに、荒木が格納庫に現れる。
「・・・・・・わかっている。ほら」
そしていつも通りのうんざりした顔で、村上は照明に手を伸ばした。
「維新機士、不知火だ」照明に照らされた維新機士・不知火は、首から下は鎧武者のような出で立ちながら、首から上は円錐のような独自の形状をした維新機士だった。
「しかし珍しいな。いつもは性能ありきで見た目など気にしないお前が珍しく外見にまで口を挟むとはな」
村上は物珍しそうな顔をする。
「フッ、この不知火はこれまで散っていった維新機士達の仇を伐ち、我が維新夜天党が作り出す新時代の象徴となる機体だからな・・・・・・」
得意気な顔をする荒木。
「新時代とはまさしく日本国にとっての新たなる夜明け!その象徴たるこの不知火には腐りきった現代を立て直さんと戦い続ける我ら侍の魂が込められている!まさに現代に蘇った侍、それがこの不知火なのだ!ハハハハハ!」
「・・・・・・侍というには随分精神性に乏しいようだな・・・・・・」
妄言を垂れ流して高笑いする荒木を見て、村上は呆れていた。が、
「ホホホ・・・・・・噂通り実に面白い方々ですねえ」そんないつも通りの格納庫に、背筋の凍りそうな薄ら寒い声が響いた。
「!?何者だ!」
驚いて辺りを見回す荒木。
「これはこれは、少々驚かせてしまったみたいですねえ」
声とともに、荒木の目の前の空間がどす黒く歪み始める。
「ヒッ!?」
その光景を見た荒木は思わず後ろにのけぞった。「ホホホ・・・・・・」
どす黒く歪んだ空間を割って現れたのは、ピエロのような奇抜なメイクと服装に身を包んだ男だった。
「き、貴様!一体何者だ!?」
「・・・・・・セキュリティは万全のハズだが、どうやって侵入したんだ?」
突然の侵入者に取り乱している荒木に対し、
村上は意外と冷静な対応をする。
「ホホホ・・・・・・そう身構えないで頂きたい・・・・・・ワタクシの名前はダークラウン、超次元ワンダランドの幹部にございます・・・・・・」
ダークラウンと名乗ったピエロは、ニタリと薄気味悪い笑顔を浮かべた。「超次元ワンダランド?なんだそれは・・・・・・」
とりあえずは平静を装った荒木は、ダークラウンに不振な目を向けた。
「ホホホ・・・・・・それはこれを見て頂ければ御理解頂けるかと」
そう言うとダークラウンは懐からビラを取り出し、
荒木と村上に手渡した。

超次元ワンダランド開園!
世界中の皆様に、素晴らしい夢を!
ワクワク ドキドキ ワンダランド!
忘れられない思い出を!

目が痛くなりそうなけばけばしいレタリングで、ビラには謳い文句が描かれていた。
「これは・・・・・・遊園地かなにかの宣伝か?」
「ホホホホホ・・・・・・そのように捉えて頂いて結構でございます・・・・・・」
冷めた目でビラに目を通す村上の問いに、ダークラウンが答える。
「貴様、ここがどこかは分かっているのか?」
「もちろんでございます・・・・・・全ての人々に夢を与えるのが我々の仕事ですから・・・・・・ホホホ・・・」
「ほう・・・・・・ではお礼に、貴様に特別に我々の仕事を見学させてやろう・・・・・・」
「義偽疑」
言い終わると同時に、整備ドッグに固定されていた不知火が動き出した。
「我々が与えるもの、それは破壊と殺戮だ!不知火よ!このピエロを踏み潰してミンチにしてしまえ!」
「疑偽違!」
不知火はダークラウンを踏み潰さんと右足を上げた。
次の瞬間、ゴキッという嫌な音とともに、ダークラウンは不知火の右足に踏み潰された。
「馬鹿め。虫けらの分際で神聖な維新夜天党総本山を汚した天誅だ」
「・・・・・・お前、掃除する人間のことも少しは考えろよ・・・・・・」
勝ち誇る荒木に対し、村上は嫌そうな顔をする。ダークラウンのことはどうでもよく、格納庫が汚れることの方が不満のようだった。が、
「ホホホ・・・・・・噂通りの恐ろしい人達ですねえ」「なっ!?」
荒木が振り返ると、今目の前で不知火に踏み潰されたハズのダークラウンが、宙に浮いてこちらを見下ろしていた。
「ば、馬鹿な!貴様は今踏み潰されたハズ・・・・・・」
「ホホホホホ・・・・・・ワタクシもいきなり殺されそうになるとは予想外でしたよ・・・・・・」
そう言うとダークラウンは出てきたときと同じように、空間にどす黒い歪みを発生させた。
「今回はこの辺で失礼させて頂きます。あなた方とはいずれまた会うことになるでしょう・・・・・・ホホホホホ・・・・・・」
「ま、待て!貴様!」
荒木の静止も虚しく、ダークラウンは歪みの中に姿を消した。
「・・・・・・また妙な奴らが暴れ出したようだな・・・・・・まあ私にはどうでもいい話だが・・・・・・」
村上はそう言うと、手に持ったワンダランドのチラシを丸めてポケットに突っ込んだ。


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