勇者飛翔ファルブレイク第九話


850 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:18:36 ID:4cC6hzi.O
「村上博士よ! 次の維新機士の準備は完了しているのか!?」

声を荒げながら、荒木が村上に問いただす。
「ちょっとぉ荒木さあん。今回は私が先客なのよお」いつも通りの気持ち悪さで、小坂がその間に割って入る。
「・・・・・・お前ら、いつもいつも懲りもせずにぎゃあぎゃあと・・・・・・」
額にわずかに青筋を浮かべ、村上は頭を抱えた。
「・・・・・・心配せんでも手は打ってある。が、今回は条件付きだ」
「なに?」
「なんですってえ?」
荒木と小坂の目が点になる。
「今回は、私が作り上げた最高の維新機士が、奴らの相手をするのだからなあ・・・・・・」
そう言って村上は、口元に不敵な笑みを浮かべた

第九話 血塗られし翼、暁登場!

「どうっすか永津さん! オレの撮影した写真が、こーしてまた紙面を飾ったんすよ!」
都内の一角にある、借り手のないテナントビルの屋上で、依田はどや顔で手に持った新聞を掲げていた。
「・・・・・・」
その新聞に無言で目を通すのは、依田の先輩カメラマンの永津だ。
新聞には依田が撮影したブレイクと暴牙の戦いを収めた写真が載せられている。
先日、命からがら撮影した写真が、めでたく採用されたのだ。
「まあ、これもオレにとっては通過点に過ぎないっすね!
流石にまだ永津さんには及ばないけど、このロボットのスクープ写真を撮りまくっていつかはオレも」
「依田、あんまりのぼせ上がってんじゃねえぞ」
上機嫌で喋る依田の言葉を遮るように、永津がぴしゃりと言い放つ。
「お前、随分と得意になってるようだが、一歩間違えれば死んでたって自覚あんのか?」
「い、いきなりどうしたんですか永津さん・・・・・・」
永津の言葉に、依田は一転してたじろいだ。
「ついこないだまで三面記事用の写真ばっか撮ってた奴が、数回まぐれでデカいネタにありつけたくらいで有頂天になってんのが気に入らねえんだよ。
オレみたいに海外の途上国を歩き回るのが、今よりずっとキツいことぐらい、お前にも分かるだろ?」
「そ、そんな目くじら立てなくても・・・・・・」
永津にまくし立てられ、依田は及び腰になる。
海外の途上国を渡り歩いて生計を立てている永津には、目先の記事に踊らされている依田の発言が許せなかったのだろう。 「・・・・・・まあ、正直オレは、お前が舞い上がってることよりも、お前が正義の味方と思ってるこの黒いロボットが気に入らないんだよ」


851 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:20:56 ID:4cC6hzi.O
「以上が、現在進行中の、ブレイバーズのロボの強化プランだ」
ブレイバーズ基地の会議室にて、乃木坂は資料を片手に、隊員達に説明をしていた。
「説明を要約すると、ビーストブラザーズは格闘戦と運動性能の向上、セイバーチームは戦闘能力と汎用性の向上、ブレイクチームは機動力と近接戦闘力の向上がメインとなる訳ですね」
「流石隊長。察しが早いですね」
「なるほど・・・・・・」
「お前絶対理解仕切れてないだろ」
「そんなことないですよ!」
乃木坂の説明を受けた武藤、シンヤ、藤野は、それぞれ反応を述べた。
「博士、この強化プランはいつ始動するのでしょうか?」
資料に再度パラパラと目を通した武藤が、乃木坂に質問する。
「ブレイクに関してはまだ時間が掛かりそうです。 が、ソウトーガ、トライセイバーの強化ユニットとなる新型機は、上田博士指揮の下、既に開発が進んでいます。
近い内に御披露目出来るかと思います」
「そうですか・・・・・・中々手際が良いのですね」
乃木坂の返答に、武藤は少し驚いた声で言う。
「ふふっ。ロボット一体造るよりも、一人の人間の命を救う方が、遥かに大変ですからね・・・・・・」
そう言って乃木坂は、僅かに顔を俯けた。
「・・・・・・博士 どうかしたんですか?」
その様子に気付いたシンヤが、乃木坂に声を掛ける。
「ん? あ、いや、すまない、なんでもないさ・・・・・・」
乃木坂は慌てて表情を取り繕う。
「敵は益々力を増して来てる。迎え撃つには、我々も更に強い力と覚悟を持って望まねばならない。
みんな、今後ともよろしく頼む」
そう言うと乃木坂は、そそくさと会議室を後にした。
「・・・・・・お前、またなにか余計なこと言ったんじゃねーの?」
藤野がシンヤの脇を肘でつつく。
「またってなんですか!」
それを聞いたシンヤが反論する。 毎度の流れである。
「・・・・・・誰しも、思い出したくもない嫌な過去の一つ二つがあるということですね・・・・・・」
二人に聞こえないような小声で、武藤は呟いた。


852 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:22:50 ID:4cC6hzi.O
「これが今回、貴様等に乗ってもらう維新機士だ」
村上はそう言って、倉庫の照明を点けた。
「これは・・・・・・」
「右から、維新機士・天魔、球魔、砲魔だ。貴様等には球魔と砲魔を使ってもらう」
そこには、姿形の違う、三体の維新機士が並び立っていた。
四脚獣に虫のような羽が生えたような姿をした維新機士・天魔。
ベーゴマのような上半身、脚の代わりにキャタピラ、右手に破砕球、左手に大型のクローを装備した維新機士・球魔。
球魔と同じ形状の上半身に、四本の脚と、両腕の代わりに二連装の砲台を装備した維新機士・砲魔。
「アタシが乗るにはちょっとがさいわねえ・・・・・・もうちょっとどうにかならないのかしらあ?」
球魔と砲魔の姿を見た小坂は、露骨に不満を口にした。
「嫌なら乗るな。今回は私の条件に従ってもらうのだからな」
「・・・・・・わかったわよお・・・・・・」 村上にぴしゃりと言いくるめられ、小坂は口を閉じた。
「ちょっと待て、一番端の天魔は無人機なのか?」
今度は荒木が質問をする
「違うな・・・・・・暁、こっちに来なさい」
「暁?」
聞き慣れない名前に、荒木と小坂は首を傾げた。
「・・・・・・はい、お父さん・・・・・・」 車椅子に乗った一人の少女が、倉庫の奥から姿を現した。
中学生くらいだろうか。黒いロングヘアーに少し幼く見える顔立ちと、白い肌が目を引く。
ピンクのパジャマの上に赤いカーディガンを着込んでいるが、それがどことなく弱々しい印象を生み出している。
「はじめまして、村上暁です。不束者ですが、よろしくお願い致します」
暁、と呼ばれた少女は、荒木と小坂に、深々とお辞儀をした。
「お、お父さんって・・・・・・」
「貴様、子持ちだったのか!?」 仰天したような顔をする荒木と小坂。
「そこまで驚かんでもいいだろうが・・・・・・まあいい、貴様等は球魔と砲魔に乗って、暁の乗る天魔のサポートに回ってもらう。それが私が提示する条件だ」
「サポートだと・・・・・・こんな子供に戦闘が出来るのか!?」
「コケにするなよ。この暁は、私の最高傑作なのだからな・・・・・・」


853 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:25:30 ID:4cC6hzi.O
「そんな・・・・・・けど永津さん! あのロボットはオレを助けてくれたんですよ!?」
永津の言葉に、依田が反論する。
「・・・・・・お前がどう思ってるかは知らんが、ブレイバーズとか言ったか、確かに奴さんはテロの現場に現れて何度か救助活動を行ってると聞くし、命を救われたって言う人間もいる。
問題は、奴さんとその敵のテロリストにも言えることだが、情報が少な過ぎるってことだな・・・・・・」
そういって永津は、胸のポケットからタバコの箱を取り出した。
「俺の場合は、奴さんが例え為になるようなことをしていたとしても、それがどういう目的があってのことなのかが見えねえんだ。
奴さんにどういうメリットがあるのか、そんなことを可能にする資金、技術はどこから来てるのか・・・・・・とな。
どうしても裏に黒い何かを勘ぐっちまう訳だ。
だから、俺はブレイバーズが単純な正義の味方とは思えない、という訳だ」
「そんな・・・・・・」
依田は納得出来ないという顔をしていたが、永津の言ってることは間違ってはおらず、言い返すことは出来なかった。
「・・・・・・ま、オレが何を言おうが、ブレイバーズが何者かってのはいずれ分かる筈だ。 奴さんがこれから、何をするかでな・・・・・・」
そう言って永津はタバコを口にくわえ、ライターで火を灯した。
「・・・・・・確かに、永津さんの言う通りかもしれないっすけど・・・・・・それでもオレは・・・・・・」
依田の言葉を遮るように、爆発音のような音が響き渡った。
「!?」
「なんだ!?」
永津と依田が、音の方向へ目を向ける。
ビルからある程度離れた市街地から煙が上がっているのが確認出来た。
「・・・・・・まさか、また奴さん達が戦いを始めやがったってのか!?」
「・・・・・・永津さん、オレ、行って来ます!」
間髪入れず、依田が屋上のビルに向けて走り出す。
「ちょ・・・・・・おい待て依田!」
「例え正体が分からなくても、オレはブレイバーズを信じたいんです!」
永津の言葉も聞かずに、依田はビルの階段を走って下って行く。
「ちっ・・・・・・待てって行ってんだろ!」
依田の後を追って、永津もその場から走り去った。


854 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:29:16 ID:4cC6hzi.O
「うっふうん! アタシも暴れさせてもらうわよおん!」
小坂の駆る球魔が、鎖で繋がれた破砕球を振り回し、ビルを次々となぎ倒す。
「うーん、見た目はがさいけど、この子、中々いいわねえ」
既に、砲魔と球魔によって、今までの維新機士の倍近いスピードでの破壊行動が行われていた。が、
「そこまでだ! 破壊ロボット軍団!」
そうはいかんとばかりに、ブレイバーズのロボットが姿を現した。
「現れたなブレイバーズ! 今日こそ叩きのめしてくれる!」
砲魔が二連装砲をブレイバーズに向ける。
「粉々に砕け散るがいい!」
直後、砲身から放たれた銃弾が、一斉にブレイバーズに襲い掛かった。
「パンチジャガー! キックチーター! 合体です!」
「了解!」
武藤の指示で、ビーストブラザーズが跳躍、瞬時に合体を行った。
「双獣合体! ソウトーガ!」
着地したソウトーガは、ソウトーボウを構えた。
「必殺! 百花繚乱!」
直後、ソウトーガが放った攻撃が、迫り来る砲魔の弾丸とぶつかり合い、これを相殺した。
「ちい! 小癪な真似を!」
予想外のやり方で攻撃を防いだソウトーガに、荒木は舌打ちした。
「この維新機士は私が引き受けます! 相馬君と藤野君は向こうの維新機士を頼みます!」
「了解!」
命令を受けたシンヤと藤野は、ブレイクとセイバーヘッドを球魔の方へ向かわせた。
「ドリルとジャイロは救助活動で動けない! セイバーヘッドとブレイクだけで食い止めるぞ!」
「はい! ブレイク!」
「おう! チェンジ!」
ブレイクとセイバーヘッドが、それぞれロボモードに姿を変えた。


855 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:32:24 ID:4cC6hzi.O
「んっふうん、行くわよおん」
球魔の胴体から、両腕と下半身が分離し、ベーゴマのような胴体と頭部だけが宙に浮いた状態になった。
「ベーゴマ!?」
「なにを始める気だ!?」
「こうするのよん!」
球魔の胴体が、ベーゴマの如く高速で回転を始めた。
「おーっほっほっほ!」
球魔は自転しながら、ブレイクとセイバーヘッドに向けて高速で突進して来た。
「なっ!?」
ブレイクとセイバーヘッドは、回避行動に移ることができなかった。そして、
「うぁああっ!」
球魔に激突され、ブレイクとセイバーヘッドは吹っ飛ばされた。


「ふん! そんな子供みたいな体格でこの砲魔に戦いを挑もうなど笑止千万! 完膚無きまでに叩き潰してやる!」
荒木は相変わらず根拠のない自信に溢れていた。
「ちっこいからってバカにしてると、痛い目みるよ!」
ムスッとした表情で、ソウトーガはソウトーボウを構え直す。
「ほざけ! 死ねえ!」
砲魔が再び、弾丸を乱射する。
「当たるかっての!」
ソウトーガは空中に跳躍し、弾丸をかわした。
「ほう、ならば・・・・・・」
砲魔は四本の脚を折り曲げ、身体を屈めた。
「これはどうだ!」
そして、折り曲げた脚をバネにして、砲魔は空中に跳躍した。
「なに!?」
「うそぉ!?」
それを見た武藤とソウトーガが、思わず驚愕の声を上げた。
「食らえ!」
ソウトーガとほぼ同じ高度まで跳躍した砲魔が、弾丸を発射した。
「そのくらい!」
ソウトーガはソウトーボウを扇風機のごとく回転させ、弾丸を防ぐ。が、
「悪あがきを!」
荒木がそう言うと、砲魔の四本の脚が左右それぞれ前後で重なり合い、二本の脚へ姿を変えた。
「落ちろおっ!」
変形した脚から放たれた蹴りが、ソウトーガに襲い掛かる。そして、
「うあぁぁっ!」
とっさに受け身の構えを取ったソウトーガだが、どうすることも出来ず、そのまま地面へと落下してゆく。


856 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:34:15 ID:4cC6hzi.O
「んっふうん、そんなひ弱なガラクタじゃあ、球魔ちゃんは止められないわよおん」
コックピット内の小坂は、余裕綽々と言わんばかりの様子だった。
「ちっ・・・・・・ベーゴマみたい体型してるだけのことはあるな・・・・・・」
「悠長なこと言ってらんないですよ藤野さん!」
シンヤは藤野の冗談も聞けないほど焦っていた。
「わかってるよ! とりあえずお前は一旦ここから離れろ!」
「な、なんでですか!?」
「いいから離れろってんだよ!」 「は、はい・・・・・・ブレイク!」
「あ、ああ・・・・・・分かった」
藤野の指示に困惑しながらも、シンヤとブレイクはセイバーヘッドの側から離れた。
「んっふうん、まだまだ行くわよおん!」
球魔が再度突進を仕掛ける
「・・・・・・押さえられるか? セイバーヘッド!」
「ちょいとばかしキツいが・・・・・・やったるぜ!」
藤野の声に応えるように、セイバーヘッドの口がニッと歪む。
「なにを企んでるのか知らないけど、なにをやっても無駄よおん!」 直後、球魔とセイバーヘッドが接触した。が、
「えええ!?」
小坂が驚愕の声を上げる。
「くおぉぉっ!」
金属が軋む音とともに、セイバーヘッドは両腕に力を込め、球魔を抱えるように押さえ込んだ。そして、
「どっせい!」 球魔の回転の勢いが、セイバーヘッドによって失われていく。
「え? ちょ、ちょっと! なんなのこの馬鹿力! 聞いてないわよ!」
セイバーヘッドの予想外のパワーに、小坂は先程とは一転して焦り始める。
「相馬! この隙に一発ぶちかましてやれ!」
シンヤとブレイクに向かって、藤野が大声で叫んだ。
「り、了解!」 唖然となっていたシンヤとブレイクだったが、藤野の指示で我に戻る。 「行くぞ! ブレイク!」
「よし!」
ブレイクは瞬時にバイクモードに姿を変え、球魔に向かって突進する。
「とうっ!」
そして、ブレイクは球魔の頭部目掛けて跳躍した。そして
「あひいぃっ!?」
情けない小坂の悲鳴とともに、ブレイクに突っ込まれた球魔が宙を舞った。


857 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:36:04 ID:4cC6hzi.O
「あ、あんちゃん・・・・・・大丈夫かい?」
地面に叩きつけられたソウトーガが、よろよろと立ち上がる。
「ええ・・・・・・問題ありません・・・・・・あんな隠し玉を持っているとは・・・・・・」
砲魔の予想外の攻撃に、武藤は驚いていた。
「フハハハハ! 残念だったなブレイバーズ! ここで一気にカタをつけてやるぞ!」
荒木の声とともに、砲魔の砲台が百八十度回転し、銃口の代わりにミサイルのような物が姿を現した。
「ミサイル!?」
「あんなの来たら流石にマズいよ!」
「フハハハハ! 死ねえ!」
間髪入れずに、ミサイルがソウトーガに向けて発射された。
「うわあああっ!」
ソウトーガが回避する隙もないまま、ミサイルは地面に着弾し、爆発を起こした。
「フハハハハ! 我々の勝利だ!」 高笑いする荒木。が、
「うおぉぉっ!」
立ち込める煙を切り裂き、ソウトーガが姿を現した。
「ちっ! 生きていたか! しかし、ここまでは届くまい!」
ミサイルを撃った反動で、砲魔は更に高度を上げていた。
ソウトーガと言えど、一飛びで到達するのは不可能に見えた。が、
「ソウトーガ!」
「おっけー! とう!」
掛け声とともに、ソウトーガが左右に分離する。
「チェンジ! ビーストブラザーズ!」
分離したパーツが、瞬時にパンチジャガーとキックチーターに姿を変えた。
「なにをする気だ!?」
荒木が思わず目を見開く。
パンチジャガーは手を前に組んだ姿勢、バレーボール選手がボールをトスする姿勢を取った。
「弟よ!」
「兄さん!」
組んだ手の上に、キックチーターが乗っかる。
「うぉぉぉぉ!」
ボールをトスする要領で、パンチジャガーはキックチーターを空中に放り投げた。
「なにいいい!?」
予想だにしなかったビーストブラザーズの攻撃に、荒木は対応出来なかった。
「チーターファング!」
キックチーターの蹴りが、砲魔に直撃する。
「ぐあああっ!?」
姿勢を崩した砲魔は、地面へと真っ逆様に転落していった。


858 :勇者飛翔:2010/11/08(月) 20:38:05 ID:4cC6hzi.O
「藤野君! 相馬君! 今がチャンスです!」
シンヤと藤野に向かって、武藤が叫ぶ。
「了解! セイバーヘッド!」
「合点承知! 野郎ども! 合体だ!」
救助を完了したセイバージャイロとセイバードリルに向かって、セイバーヘッドが合体命令を出す。
「相馬! 我々も合体だ!」
「よし! 平野さん! ファルコンウィングを発進させて下さい!」
「大丈夫、もうそっちに向かってるわ」
洋子がそう言った直後、エンジン音とともに、ファルコンウィングが姿を現した。
「・・・・・・手早いな・・・・・・」
「ああ・・・・・・」 シンヤとブレイクも思わず唖然となった。
「まあいいか。ブレイク!」
「おう! ウィングフォーメーション!」
「セイバーフォーメーション!」
掛け声とともに、ブレイクとセイバーヘッドがそれぞれ合体する。
「飛翔合体! ファルブレイク!」 「緊急合体! トライセイバー!」 合体を完了した二体の巨人が名乗りを上げる。
「一気に決めるぞ!」
ファルブレイクがファルソードをえた。が、
「二人とも待って! そっちに向かって正体不明の機影が!」
全員の耳に、洋子の叫び声が響いた。
「なに!?がっ!?」
直後、セイバーヘッドが背後から、何者かの攻撃を受けた。
「トライセイバー! 何者だ!」
ファルブレイクは攻撃を仕掛けた相手の方を振り向いた。
「あれは・・・・・・!?」
そこにいたのは、神話に出てくる悪魔を思わせるシルエットを持った 維新機士、天魔だった。
「・・・・・・脳波演算システム、正常駆動を確認・・・・・・村上暁、維新機士・天魔、これより目標を抹殺します」
口から上を無数のチューブが伸びるヘルメットで覆った暁は、静かにそう呟いた。

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