- メジャーで初めて自分の曲がCD化したのがこれ。
- タイトルは佐野案。つーかof終わりが。of終わりはもちろん「千のナイフ(thousand knives of...)」のオマージュ。
- 当時 Pro Tools はおろか、A-DATやDA88などというものが一般的ではなく、機材をそのままスタジオに持ち込んでTDした。楽曲製作に関わった人数も多かったため、まずは問題なく各自の曲を音を鳴らす環境を構築するまでが一苦労。しかもスタジオが山中湖だったため結果的に大掛かりなプロジェクトとなった。
- 初めての外部スタジオワークだったので、いわゆるTD(トラックダウン)というものがどういうものなのかここで初めて知った。加えて、プロのエンジニアというものが、自分のイメージを間違いなく実現してくれる人では無いということを学んだ。
- 一般的なプロのスタジオではまだハイファイ、ハイクオリティー追求という雰囲気だったのだが、アンダーグラウンド、というかいわゆるテクノな人々は、ローファイ万歳だった。まあ万歳というか、それしか選択の予定がなく、かつそれをカッコいいと認識した事がテクノだとも言える。
- で、アンダーグラウンドなアーチストがメジャーなスタジオで作業し始めた当時、この考え方の違いから沢山の衝突が見られたらしい。
- この作品では佐野の曲はテクノとは程遠かったが、「なんか高そうな機材使って時間かけているのに面白くも無い効果しか出ないな。よっぽど自分が仕込んだ音そのままのほうが良いのに」と感じでエンジニアと衝突していたのはこういう背景もあるのかもしれない。
- その後エンジニアと上手くやる方法を試行錯誤した。例えば前もって作りたい音の感じのCDを持っていくなり、細かい設定書を渡すなり、プリプロの2MIXを聞かせるなり等々...。が、結論としては「自分が良いと思う音を作ることが出来る、もしくは強く同感できるエンジニアに頼む」事が重要だと言う事だった。逆に、ここが大丈夫なら音以外は何も用意しなくても良い。いや、用意しないほうが良い。
- ペイントツールでパーカッションの打ち込みをしたのは後にも先にもこの時のみ。そんないい加減な打ち込み方にしては結構グルーヴが出せていると思う。音源はE-muのワールドだったはず。とても好きな機材だった。
- 当時、憧れの名機JD800でオリジナル音色を作るのに凝っていたため、この作品でもかなりの数聴ける。ランダム波形をフィルターにかけるのが特に好きだった。
- コラボレーションということで、作曲者と編曲者が違う製作形態をとった。よって佐野が作った変拍子の曲は編曲担当だった川田さんから「うわー大変だー」「だけどこの曲って変拍子じゃなくするとなんか違うんだよなあ」と言われた。大先輩というか上司と一緒に曲を作るっていうド緊張モード時にこのコメントはなにか一人前として見られたような気がして嬉しかった。ちなみに完成した曲は、失礼かもしれないが「さすが川田さん上手くまとめるなあ、そつが無いな」と感じた。ある意味アルチザン的な印象を強め、細江、相原両氏とは別のベクトルでリスペクトした。
- SONY D7のディレイパッチがきれいにハマって気持ち良かったのも覚えている。ディレイがグルーヴを作り出すことに気がついた。
- CD1曲目では水の音でグルーヴを作った。つまりpointより10年以上前に。とはいえ極めて誰でもやってそうなので自慢にならない。が、単に拍子に合わせて水の音が鳴るのではなく、水がポチャンと落ちる時のゴーストノート風な音を上手く使ってグルーヴを作り出せている点が良い。
- CD2曲目か?では坂本風コード進行を、坂本風のデチューンでピッチゆれまくりな鐘系の音で実現できて嬉しかった。この曲のコード進行は今でも良いと思うし、楽曲自体も好きだ。ただ、この曲の最終部のwindbellの音を削って風の音だけにしたかったのだが(JD800のパッチ)、なぜか上手くいかずに断念したのが悔やまれる。イントロでは上手くいっていたのだが...。
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