ドラッグオンドラグーン / Drag-on Dragoon


  • スクウェアエニックス square-enix / キャビア cavia
  • プレイステーション2
  • 2001.9-2003.7
  • サウンドディレクション、楽曲製作

  • 効果音
    • ムービー部を含め株式会社ウェーブマスターに依頼。
      • 製作途中でもゲーム自体の仕様で不明な点が多かったため、サウンド仕様もこちらで比較的細かく決め作っていってもらった。
      • ゲーム全体の規模がなかなか掴めず、また判明している仕様のみでも膨大であったため、とにかくひとつひとつこなしていくだけで精一杯だった。とはいえ時間の限りより高いクオリティにすべく修正をお願いし、全て対応してもらった。特に劣悪なモニター環境でも出来る限り問題が無い様なバランス作りを心掛けた。
  • ボイス
    • 顔出しの俳優さんを除く声優さんのマネージメントと収録時のディレクションは東北新社に依頼、極めてスムーズな作業だった。
  • 楽曲 #amazon(B0000DJWL1) #amazon(B0000C9VNA)
  • 製作前にストーリーとゲーム仕様を読み込むにつれ、ゲームが進むほどに狂気感を増していく感じを楽曲でも煽りたいという気持ちが強まった。
  • 狂気感、という意味でまず参考とした楽曲は映画エクソシストのスタッフロール曲「弦楽のためのファンタジー」。但しこの曲そのままのイメージで楽曲を作成しても狂気感の増幅は表現できない、そこで以前から考えていたオーケストラ楽曲のサンプリングによる再構築、を検討した。オーケストラサウンドを使用し、オーケストラではあり得ないフレーズを作り出していく、そのさじ加減で狂気感の増幅を実現できるのではないかと考えた。
  • また同時期にゲームのプロトタイプを作成する機会があり、その際にテストとしてこの手法で作成した楽曲を乗せてみたところ、ゲームプレイ自体にも非常に合っていることを確認、この方向性でいく事に決定した。
  • ゲームを満足させる楽曲数から考えて共同製作者が必要だったので、前述の考えを理解しかつ実現できる人ということで、相原氏に打診、快諾を得た。
  • まずは相原氏にこの方向性に合う既存のオーケストラ楽曲を選定してもらい、そこから二人でネタを抜いていく作業を行った。その後、具体的な落としどころが見えなかった事もあり、とにかく作りながらイメージを固めて行った。
    • 楽曲群全体の統一感を特に重視、少しでもずれる要素は全て容赦なく削ぎ落としていった。結果的に自分の楽曲も含めリテイク数は通常時の数倍。
    • たとえばエフェクトの選択一つにしても、間違えると狂気感が薄まり笑いさえ感じてしまうので試行錯誤を繰り返す事となった。例えばオーバードライブ等の歪み系、ディレイ、リバーブ等の空間系は効果的だが、コーラス、フェイザー等のモデュレーション系は非常にハマりが悪かった。その他多用したエフェクトはCUBASE VST純正のchopper。
  • その後、使用したサンプルを全てフルオーケストラ(東京ニューシティ管弦楽団)により演奏、収録を行いデーター化、これらに差し替えた上でより作り込んでいった。
    • プリプロ版ではさまざまな時代、場所で録られたレコードからサンプリングしたネタを使用していたことから、それぞれの響きが千差万別となりその特異性が気に入っていたのだが、差し替えることでこの点がきわめて希薄になった。ネタそろぞれに対しEQ、リバーブ、オーバードライブ、コンプ等の 様々なエフェクトを駆使し可能な限り変化をつけていったが、さすがに元ネタの良さには適わなかった。
    • 製作当初はHalionを使用していたが、差し替え後は直接オーディオデータを張り付けていった。フレーズもピッチチェンジで付けていったので、通常あまり書かないようなフレーズが生まれた。
    • ディレイまたはリバーブのウェット音のみEQ的にオーバードライブをかけ、劣悪なアナログエフェクターの雰囲気を出すのも気に入っていた。
  • 賛否両論、特に批判の目立つ本楽曲群だが、出来には大変満足しているし、将来的にはもっと評価されても良いと思っている。
    • 聴き返してみると今のほうがこの楽曲から滲み出す強烈な狂気感を強く感じる。また、今後このような楽曲は作りたくても作れないのではないかと思う。冗談抜きで製作中の自分自身にどこか狂気感が乗り移っていたところがあるのかもしれない。
  • また、ここまで特異性がある曲を書かせてくれた、また、リリースする機会を与えてくれたクライアントと開発スタッフには大変感謝している。
  • オーケストラフレーズサンプリングの再構築のノウハウを非常に多く得られたので、今度は狂気感とは別の形で展開していきたいと考えている。
  • B路スタッフロール曲「尽きる」は、楽曲単体でみても、傑作中の傑作。

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