臨床腫瘍 / まとめ


腫瘍病理 †

細胞診 †

 組織診に比べ短時間・得られる情報が限られる

剥離細胞診 †

 利点:非侵襲的。癌検診などの集団検診・肺小細胞癌
 欠点:検体採取部位が限られる・変性等の変化

穿刺吸引細胞診 †

 利点:新鮮で変性がない、体のどの部分からでも、侵襲が少ない
    乳腺、甲状腺、前立腺−前立腺癌、甲状腺乳頭癌、髄様癌、未分化癌
 欠点:組織亜型までは困難

組織診断 †

亜型まで決定できない:卵巣癌・小児固形腫瘍・軟部腫瘍
検体の採取部位:潰瘍(腫瘍)の辺縁をとってこないと癌の進展がわからない


免疫組織化学染色のマーカー †

 第1段階の検索:
  リンパ腫−CD45(LCA)
  上皮性−cytokeratin
  メラノーマ−S-100
  肉腫−vimentin
  胚細胞−placental ALP
  神経内分泌(カルチノイドなど)−chromogranin A
  神経系−GFAP(グリア)neurofilament(神経細胞)S-100(シュワン細胞・グリア)
 第2段階の検索
  リンパ腫:
  B細胞−CD20
  T細胞−CD3・CD45RO
  NK細胞−CD56・CD57(Leu7)・CD16
  組織球−lysozyme・CD68(KP-1)
  形質細胞−cIg(カッパ鎖・ラムダ鎖)

  上皮性:
  腺癌−cytokeratin・CEA・(vimentin+)
  中皮腫−cytokeratin(−)・(CEA+)・vimentin
  移行上皮癌−CEA・低分子ケラチン
  前立腺癌−prostatic specific antigen・prosatate acid phosphatase

  肉腫:
  平滑筋−desmin・平滑筋アクチン
  横紋筋−myoglobin
  血管内皮−CD31・CD34
  筋線維芽細胞−desmin・平滑筋アクチン

  胚細胞:
  セミノーマ・胎児性癌−placental ALP
  卵黄嚢腫瘍−placental ALP・αfetoprotein
  絨毛癌−placental ALP・HCGβ

  神経系:グリオーマと髄膜腫をEMAとGFAPで判別(EMA:Epithelial Membrane Antigen(Protein) GFAP:Glial Fibrillary Acid Protein)
  グリオーマ−EMA−、GFAP+
  髄膜腫−EMA+、GFAP−

予後推定因子 †

MIB−1・・・どれだけの細胞がG2M期に入っているのかを示す。
p53・・・癌抑制遺伝子

治療方針決定のマーカー †

乳癌
エストロゲンレセプター:癌細胞にこれがあるとタモキシフェンが効く
プロゲステロンレセプター:特にふれませんでした
HER2:上皮成長因子レセプター(Epidermal Growth Factor Receptor)
HER2に対して分子標的療法がなされる

術中迅速診断: †

 甲状腺腫瘍などで臨床的画像と細胞診の結果が合わなかった場合や摘出した臓器が目的の臓器かの確認の場合(副甲状腺などはリンパ節や異所性甲状腺などと肉眼的に見分けることは難しい)や臓器の切除断端の診断の場合や所属リンパ節への転移の有無(Sentinel Lymph Node(SLN):一番最初にある部位からのリンパ流を受けるリンパ節のこと)を見分ける場合などに用いられる。
 
しかし術中迅速診断には限界がある(←これをよく覚えておくようにとのことでした)
 限界1:細胞の詳しい形態はくずれてしまい悪性リンパ腫などでは診断できない
 限界2:作成する標本の大きさや数が制限される(多くて2個、3個)

☆ 悪性リンパ腫や消化管ポリープ(アデノーマの中にカルチノーマがあるか?など詳しいことはわからないため、消化管ポリープでの悪性像の有無などはわからない)などは術中迅速診断では判断ができないので病理に依頼しないでくれとのことでした

脳腫瘍 †


プリント †

原発性脳腫瘍−神経膠腫(glioma):28%・髄膜腫(meningloma):26%・下垂体腫瘍:17%
転移性脳腫瘍−全体の15〜17%:肺52.5%・乳腺8.8%
局所症状
 大脳半球:運動麻痺、知覚麻痺、失語症、痙攣発作
 トルコ鞍部:内分泌障害
 視床下部:内分泌障害
 脳幹部:脳神経障害と錐体路症状の合併・・・感覚障害、意識障害、呼吸障害
 小脳:平衡障害
 小脳橋角部:めまい、耳鳴り、難聴、三叉神経麻痺、顔面神経麻痺
CT、MRIでリング状造影効果:膠芽腫(glioblastoma)・転移性脳腫瘍(Metastatic brain tumor)・脳膿瘍(Brain abscess)

まとめノート †

※良性脳腫瘍→脳内容部の増加→脳圧亢進→脳ヘルニア→死
 もともと脳内は髄液の産生と吸収を調節することによる圧緩衝作用が存在するため、脳ヘルニアにはなりにくいメカニズムとなっているが、そのメカニズムが破綻したときの転帰には緊急を要する。

ヘルニアには以下のようなものがある(:以降は損傷部位もしくは症状)
�� 中心型ヘルニア:両側性・動眼神経・交感神経
�� 帯状回ヘルニア:片側性・動眼神経・瞳孔不同
�� 鉤ヘルニア(テント切痕ヘルニア):動眼神経・大脳脚・後大脳動脈・反対側の大脳脚(Kernohan’s notch:経テントヘルニアにより脳幹がテント切痕におしつけられてできる大脳脚の切痕)
�� 大後頭孔ヘルニア:延髄の圧迫

脳腫瘍の頻度(良性腫瘍が多い!!)
 1.髄膜腫(meningioma)
 2.神経膠腫(all gliomas)
 3.下垂体腺種(pituitary adenoma)
 4.神経鞘腫(schwannoma)
 5.頭蓋咽頭腫(craniopharyngioma)

�/駛貅陝並燭�の症例をスライドで出していました)
・ 髄膜にできる腫瘍
・ 腫瘍は外頚動脈支配
・ できる位置によって手術の難易度が違う
・ 上矢状静脈洞付近にできた髄膜腫→上矢状静脈洞を損傷せずにする手術は難しい
・ 大脳鎌から発生した髄膜腫→症状として痴呆や尿失禁
・ 嗅溝にできた髄膜腫
・ 蝶形骨梁にできた髄膜腫→骨破壊・hyperplasia
・ 大脳脚を圧迫している髄膜腫
・ トルコ鞍付近にできた髄膜腫→頚動脈穿通枝や脳神経などがあり、手術が難しい
・ 脳幹を圧迫している髄膜腫
・ 小脳テントにできた髄膜腫は内頚動脈からも栄養されている
・ 脳を下方から見たときに大脳脚付近にできた髄膜腫→手術が難しい・下位脳神経をやられると何も飲み込めなくなる
・ 脳室にできた髄膜腫
・ 視神経付近にできた髄膜腫→γ-knifeでも視神経を障害するので、治療の仕様がない

��下垂体腺腫
A)機能性腺種
1. プロラクチン産生腺種
2. 成長ホルモン産生腺種
3. 副腎皮質刺激ホルモン産生腺種
4. 甲状腺刺激ホルモン産生腺種
5. 性腺刺激ホルモン産生腺種

 B)非機能性腺種
  視野・視力障害、下垂体機能低下
視交叉の内側を圧迫する
画像所見などでは下垂体腫瘍がトルコ鞍を破壊しながら拡大するのでトルコ鞍が大きく拡張して見え、これをトルコ鞍のバルーニングという(←ヤマらしい)

 術式:Transphenaidal surgery(上歯肉に切開を加え病変部に到達する方法)
  ※ただし、外側に広がっている場合は開頭手術をすることもある

�F�蓋咽頭腫
 ・頭蓋咽頭管の遺残由来であり、内容物はモーターオイル様(コレステリン結晶)(←ヤマらしい)  ・症状としては、両耳側半盲・内分泌異常
 
 大人:石灰化(−)・嚢胞(−)
 小児:石灰化(+)・嚢胞(+)   (←ヤマらしい)

 画像所見ではSaucer like sella(平皿様トルコ鞍)  (←ヤマらしい)

�た牲仂篌陝�schwannoma)
 もっとも代表的なのが聴神経腫瘍である。聴神経は前庭神経と蝸牛神経から成っているが、実は聴神経腫瘍は前庭神経に発生しており、神経鞘腫の中で最多である。佐々木教授は蝸牛神経を損傷させずに、前庭神経に発生した神経鞘腫を摘出することに関して日本一らしいです。
 下位脳神経(�宗Ν勝Ν将機砲某牲仂篌陲�できると頚静脈孔部を圧迫し、難聴や耳鳴り、めまい、嚥下障害などがでて大変!!

放射線治療 †

過去問 †

・最近の放射線治療の進歩は著しい。(中略)ターゲットの決定においては、理学的所見、画像所見などを総合して(GTV(=gross tumor volume))(CTV(=clinical target volume))(ITV(=internal target volume))(PTV(=planning target volume))などを決定する。ここで、(GTV)とは、画像や触診で確認できる腫瘍体積であり、(CTV)とは(GTV)と顕微鏡的な進展範囲を含む標的体積、(ITV)とは、(CTV)と呼吸性移動や消化管ガスの影響などによる体内の動きによる誤差を考慮に入れた標的体積、(PTVとは(ITV)と毎日の治療における設定誤差(set up margin)を含めた標的体積である。
治療計画とは、これらのターゲットを治療計画装置に入力し、照射方向、放射線のエネルギーなどを決定し、表示された線量分布を評価して、最適な放射線照射法を決定する。この際、(DVH(=dose-volume histogram))はターゲットやその他の重要なリスク臓器の照射線量を各臓器別に線量と容積の関係を示したものであり、治療計画の評価に有用である。
・悪性腫瘍に対する近年の放射線治療の進歩について、新しい照射法の種類と、それによりどのような点が改善されたか述べよ。
【解答】
3次元放射線治療(3DCRT)、定位放射線治療(リニアック、ガンマナイフ等)、粒子線治療、密封小線源治療、などにより、主要組織に放射線を集中し、正常組織への被爆を軽減するような治療が可能になった。

骨髄腫瘍~ †

AML:急性骨髄性白血病
ALL:急性リンパ性白血病
CML:慢性骨髄性白血病
CLL:慢性リンパ性白血病
MDS:骨髄異形成症候群


疫学~ †

10万あたり5人(AML3人・ALL1人・CML1人)
好発年齢
 AML/CML:40歳以上
 ALL:3〜4歳ピーク
 CLL:60歳以上・欧米に比べ少ない
 成人:AML80%
 小児:ALL80%
MDS:白血病に匹敵・60−70代

急性白血病の化学療法~ †

ALL~ †

 寛解:anthracycline,CY,VCR(神経毒性・2mg超えない),PSL,I-asparaginase(key)
 地固め:MTX,ara-C,寛解導入薬剤、髄注
 維持療法:あり

これまでで~ †

・AMLは不均一な疾患群、層別化による治療戦略
・化学療法剤の追加や強化は、必ずしも治療成績の向上につながらない
・分枝標的役(ATRA,imatinib)は奏功

移植~ †

白血病再発:化学療法>自家移植>同種移植
治療関連死:同種移植>自家移植>化学療法


予後因子~ †

AML~ †

・MDSやMPDの先行
・高年齢
・予後不良な染色体異常(5,7染色体)
・FLT3変異陽性
・芽球における低いPOX陽性率

ALL~ †

・年齢
・染色体:ph染色体・t(4;11)
・白血球数(多いと悪い)

分枝標的~ †

 急性前骨髄性白血病(APL):ALL-trans retinoic acid(ATRA)
 ph陽性白血病(CML,ALL):Glivec

多発性骨髄腫~ †


疫学~ †

新規3779人2004年
死亡率:10万人に3人
男女比同じ
人口高齢化により増加傾向

治療~ †

・MGUS・くすぶりがた多発性骨髄腫:経過観察
・多発性骨髄腫:全身化学療法
・骨性孤立型形質細胞腫・髄外形質細胞腫:局所放射線療法

まとめ~ †

(疫学)
・急性白血病の年間発生数は10万人に1人
(白血病の原因)
・ 白血病は造血幹/前駆細胞の腫瘍化が原因であり、腫瘍化により分化がある段階で停止してしまう。どこの段階で分化が停止するかによって急~性骨髄性白血病はFAB分類でM0〜M7に分類することができる。 ・ 白血病では、腫瘍細胞のプールの増殖によりもっとも細胞の寿命が短い好中球(数時間が寿命)から減っていって、風邪様症状を呈する。白血~球数は増加するものの未分化な(もしくは分化の途中の)白血球が増えているにすぎず、役に立たない白血球が増えているだけなので感染症などを起こしやすい。
・ 慢性骨髄性白血病の原因は分化の異常ではなく、造血幹細胞が腫瘍性増殖能を獲得することによる。(ただし最終的には急性転化を起こし(原~因は不明)、芽球比率が増えることで死に至る) したがって慢性骨髄性白血病は芽球増加(−)・成熟停止(−)・成熟顆粒球増加となる。(STEP P285)
7.(診断)
・白血病の分類において、細胞表面マーカーによって診断している。
 例)CD19もしくはCD20→B細胞
 CD19とCD20とsurface Igを失っている→形質細胞
CD3→T細胞
(原因としての遺伝子型)
・遺伝子異常のうちで、c−ABLとRARαは重要
・CMLの原因は遺伝子異常であり、その原因となる染色体をフィラデルフィア染色体という。フィラデルフィア染色体は9番染色体長腕の断端~部(ABL遺伝子)に22番染色体長腕の断端片(BCR遺伝子)が結合したもので、できあがったキメラ遺伝子(BCR/ABL遺伝子)の発現~タンパク質であるBCR−ABLチロシンキナーゼにATPが結合することによって腫瘍性細胞増殖を起こしてしまう。このATP結合を阻害する~薬がSTI571(グリベック)であり、分子標的薬として注目を浴びている。
・前骨髄球はRetinoic AcidがRARα(RA receptorα)に結合することにより分化している。
 AMLのうちM3では、17番染色体長腕にあるRARαと15番染色体長腕にあるPMLが転座を起こし、その結果PML/RARαという~キメラ遺伝子ができあがっている。キメラ遺伝子の発現タンパクであるRAレセプターでは通常のRAでは分化がすすまなくなっている。しかし、al~l-trans retinoic acid(ATRA)を用いると分化が進行し、正常の好中球に分化することとなる。 (治療と治療成績と予後因子)
・顕微鏡下で腫瘍細胞が見られなくなることを完全寛解(腫瘍細胞数10^9個=1g)といいます。
・高齢者で起こった白血病は予後が悪い。小児のALLは80%は治る。
・白血病の予後に最も影響するのは染色体異常型
(骨髄移植による治療成績)
・寛解後の治療として成績がよいのは、同種骨髄移植・自家骨髄移植・化学療法の順である。
(骨髄腫)
・組織生検での形質細胞腫・M蛋白(monoclonal protein)・Bence Jones蛋白・Punched out lesionは重要!!
・ 症状は貧血・尿蛋白・腎障害・赤沈亢進・腰痛。検査で特徴的なのは、血清蛋白電気泳動でM蛋白のスパイクが出現すること。
・MGUS(Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance)とは、M蛋白血症のある無症状の人の病態をいい、骨髄腫に移行する人もあ~れば何事もなく天寿をまっとうする人もいるそうです。半年に1回のフォローが必要。
・治療としては、化学療法(MP療法)が基本。保険適用外の治療としてサリドマイドの投与がある。
 予後不良例の標準治療としては、大量化学療法+自家移植であり、ダラダラとMP療法を続けたらダメだそうです。