法医学 / そのほか


・法医学(Legal Medicine)とは、法律上問題となる医学的事項を取り扱い、その研究・解明にあたる学問である。日本は法治国家であり、戸籍上でヒトの出生と死亡は管理されている。(昔は嬰児殺などあって、厳しくは管理されていなかったそうです) ・法医学が対象とするもの  1.生体   a)DNA等を用いた個人識別、年齢推定、親子鑑定   b)損傷・・・損傷による血液、骨や毛髪からのMt DNAを対象とする。   c)性犯罪  2.死体    異状死体・・・外因死あるいはその疑いのあるもの(明らかな病死以外) ・死亡診断書と死体検案書  死亡診断書は、最終診療から24時間以内の病因による死亡の際に記載する。  死体検案書は、それ以外の場合の死体に対して記載するとのこと。(医学的判断により、自他殺の区別や病死なのかを決定する) ・死体との遭遇後の流れ  死体→病死(診療後24時間以内)→死亡診断書→火葬許可  死体→異状死体→(医師が届出)→警察→検視(検察官・司法警察員が行う。その際に、自他為・死後経過・死因等を医師が助言する。これを検死という)→死体検案書へ ・検視の種類  行政検視・・・犯罪性がないときの検視をいい、その後行政解剖が行われることがある。        (但し、行政解剖は東京23区、大阪、名古屋のみ)  司法検視・・・犯罪性があるときの検視をいい、その後司法解剖が行われることがある。 ・解剖の種類 1. 系統解剖 2. 病理解剖 3. 法医解剖・・・行政解剖、司法解剖、承諾解剖

9月15日 死体現象論(池田先生)プリントなし ・死とは呼吸・循環の永久的、不可逆的停止を意味する。 ・死の三徴候説   呼吸・循環(心拍、血圧)・中枢機能(対光反射)の消失 ・脳死について  池田先生は、正確に「脳死」と診断された脳死が、死であることに疑いの余地はないと強調されていました。ただ、正確に「脳死」であると診断できるのかが問題であり、事実診断は難しいようです。  脳死とは、人工的に呼吸管理、強心剤やホルモン剤などで循環管理を行っているが、確実に時間がたてば死亡にいたる状態である。 ・仮死について  仮死とは、呼吸(−)・心拍(−)・対光反射(−)の状態であるが、生へもどる状態のことである。最も多いのが、低体温状態であり、他には催眠剤(中毒)、溺水、感電でもなる。 ・死の判定を行うにあたって 1. 死の徴候をみる。   上で述べた死の三徴候を調べる。      →呼吸停止、循環停止、対光反射消失が15分持続する。 2. 早期死体現象があるかどうかをみる。

9月16日 アルコールの法医学(池田先生)プリントなし ・アルコールの一つのエチルアルコールは麻酔作用があり、中枢の高次機能を抑制する働きがある。 ・アルコールの血中への吸収・代謝について  吸収 胃<20% 代謝 分解     95%(肝細胞が95%、体細胞が5%担う)     腸>80%    尿・呼気・汗 5%   ・肝臓でのアルコールの分解について  まず肝細胞内に取り込まれたエチルアルコール(エタノール)はアルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドになる。 そして生成されたアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸になり、TCAサイクルに入って代謝される。 ADHには個人差はなく、ALDHは個人差が大きいことが特徴である。 飲酒による諸症状はアセトアルデヒドによるため、ALDHの働きが小さいといつまでもアセトアルデヒドが酢酸へと代謝されないため、「お酒に弱い」ということになる。 ・アルデヒド脱水素酵素(ALDH)について  ALDH活性は個人差が大きく、黄色人種には3つのタイプがある。    NN type 活性normal 60%の人がこのtype ND type 活性 中間  30%   〃    DD type 活性 defect  10%   〃  ちなみに、白色、黒色人種はすべてNN typeであり、お酒に強いそうです。 ・血中アルコール濃度について  日本の道路交通法では血中アルコール濃度0.3mg/ml以上が飲酒運転となる。(英国は0.8mg/mlだそうです)  アルコールの呼気濃度は血中濃度の1/2000である。     (道路交通法違反→呼気濃度では0.15mg/l以上ということになる)  ビール中瓶一杯で、血中濃度は0.5mg/mlとなる。  血中アルコール濃度     <0.5mg/ml           アルコールの代謝にはおおよそ6時間かかるそうです。   0.5〜1.5mg/ml 軽度   1.5〜2.5mg/ml 中等度   2.5〜3.5mg/ml 高度   3.5〜4.5mg/ml 意識(−)     >4.5mg/ml 死  アルコールは、交通事故などの傷害や急性・慢性アルコール中毒などをもたらすこともあり、社会的責任を考えてのみ過ぎないようにとのこと。  アルコール飲酒で頭部外傷患者や酩酊患者が来た場合には一晩入院させるのがよいとのこと。

10月14日 窒息総論(池田先生) プリントなし

10月20日 司法解剖見学のため、休講

10月20日、11月1、9日は法医学実習の説明および実習  実習本を参照