フィルター選択ガイド †
TS-440Sの8.83MHz帯の2nd IFについては、デフォルトではAMを通せる6kHz幅のMCF(モノリシック・クリスタル・フィルター)が内蔵されているだけである。このためCW運用はおろかSSB運用においても、選択度やスカート特性が甘い3rd IF(455kHz)のセラミックフィルター頼みとなってしまうため、とても良好な選択度は期待できない。*1。これでは、TS-440の本来の実力を出しきることはできない。
換言すれば、IFフィルターを内蔵することで無線機としての実用性を向上させることが可能である。
フィルターは2個まで搭載可能であり、SSB/CW/AM/AFSKにおいて、パネル右下のロータリースイッチを用いて任意に帯域を切り替えられることがこのリグの売りの一つであった。フィルターを2個とも内蔵させる場合、組み合わせは「SSBとCW」「SSBとSSBナロー」「CWとCWナロー」いずれも可能である。下記にYK-88SN, YK-88Cの搭載例を示す。
2nd IFにはINRADのクリスタルフィルターを内蔵するという手もある。しかし今になってTS-440に$115も掛けて鍛えることには、抵抗を感じなくもない。
SSBフィルター †
- YK-88S...SSBフィルターであり(2.4kHz/-6dB)、[[TS-440Sの改造/IFフィルターの増設・取替 ]]にも書いたとおり、内蔵すると受信性能(選択度)が一変するので、SSBにおいてTS-440を実戦に使いたければ是非挿しておきたい。
- YK-88SN...SSBナローフィルター(1.8kHz/-6dB)。455kHzのフィルターも元々狭いためトータルでのパスバンドが狭く、通常のSSBナローフィルターよりも聴感的な帯域の狭さが少々きつい。7MHzなどの混み合ったバンドでSSBを運用するなら挿すと快適に運用できる。
CWフィルター †
- YK-88C...CWフィルター(500Hz/-6dB)であり、多くの場合このフィルターがあればCW運用に困らない。
- YK-88CN...CWナローフィルター(250Hz/-6dB)であり、少々リンギングが気になるが、混み合ったバンドで有効。
AMフィルター(オマケ) †
- YK-88A...SWL用に用意されたフィルターで、TS-430S用のオプションだが、TS-440Sにも実装は可能。希少なため中古価格が高い。筆者は1個だけ持っているのだが、実際のところは455kHzのAM用フィルターの音が支配的となるため、選択度が上がり混信の解消に効果的ではあるが、聴感的には実はあまり効果が大きくないためあえて挿すメリットはあまり無いだろう。
TS-440を今日日しっかり使ってやろうと思うなら、フィルターは二本とも挿しておきたいところ。
SSB専門で7MHz辺りを運用するならYK-88S/88SN、CW専門ならYK-88C/88CN、SSB/CW両方をこなすなら無難にYK-88S/88Cの組み合わせが良いだろう。
なおケンウッドのオプションフィルターはYK-88S-1など型番に”-1”がついたものが多く売られているが、TS-440やR-5000, TS-430に用いられている「”-1無し”のIFフィルターに下駄を吐かせただけ」「実は中心周波数が若干ずれている」など諸説ある。
もし中心周波数がずれているようであれば、キャリア周波数を変更する必要が出てくるので、覚悟が必要。
その他のオプションガイド †
- 音声合成ユニット(VS-1)...日本語または英語で、今となってはたどたどしく周波数をアナウンスする。ほとんどの人にとっては、ネタやハッタリにしかならないだろう。
- 電源, スピーカー(SP-430)...
- 純正オプションだけあって並べると統一感があるが、特に無線機を”ライン”で揃える癖でもない限りは、別にメリットはないと思う。
- 電源には10W機用のPS-20〜PS-22、100W機用のPS-30〜32が使用可能。100W機用には、ヘビーデューティ仕様(20Aを連続出力可能)のPS-50〜52も用意されている*2。
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