ROMANTIC CINEMATIC


来生たかお大百科 >『Ordinary』←自作曲→『ONLY YESTERDAY

概要

1984年にリリースされた10枚目のオリジナルアルバムである。

アルバムタイトルは、これまでに作って来た多くの「ロマンティックな歌」「映像的な歌」を改めて打ち出す意味合いで*1、レコーディングが始まる前から決定しており、来生が好きな洋画に描かれた愛の情景をベースに新しいラヴソングを作りたいと思ったという*2。ただ、歌詞やタイトルを実際の映画から採った楽曲は多いが、内容は今風に変えてある*3。前作のオリジナルアルバムOrdinary』もポップだったが、更にその要素をストレートに出したと述べている*4

映画好きの来生えつこの影響も大きく*5、来生のテーマをより強烈にしてくれたが*6、元々情景が浮かんで来る姉の歌詞をより強烈にするのは大変な作業で、書き直しが沢山あったという*7

また、初めての試みとして1人のアレンジャー(椎名和夫)が全曲を担当しており、歌詞のコンセプトも含め、これまでで1番トータル性の高いアルバムになったのではないかと述べている*8。最初からコンセプトを決めるのはやり易いのと同時に縛られる感じがあるが、1人のアレンジャーで全曲が纏まったという*9

作曲は、リリース年の1月から4月までの4ヶ月間で順調に進み*10 、かなり完璧に作ったデモテープに沿って編曲をして貰ったという*11。なお、当初は、初のセルフプロデュースで7割方の楽曲を自ら編曲したオリジナルアルバムSparkle』のようにする考えもあったと明かしている*12

アルバム名のノスタルジックな響きから、ストリングスがふんだんに入っているイメージを持つ人が多いと思うが*13、例えば、リズム隊に管楽器かコーラス、またはシンセサイザーを加えるだけで余り音を被せず、通常であれば生のストリングスが合うような楽曲でも敢えてシンセサイザーやコーラスでアレンジする等、シンプルさを心掛け、自身でもサウンドが気に入っているセカンドアルバム『ジグザグ』のようなものを意図したと語っている*14

クレジットはされていないが、山下達郎がギターで参加しているという情報もある。「Special Thanks」には、山下の所属事務所「Smile Company Inc.」が記されている。

アナログレコーディングによる最後のアルバムで、CD版はLP版やCT版よりも後の9月1日にリリースされている。

LP版の帯では、既出のオリジナルアルバムベストアルバムが写真入りで宣伝されている。

収録曲

トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間トラックタイトル作詞作曲編曲収録時間
LP/CTCDLPCTCDLP/CTCDLPCTCD
SideA-11裸足で散歩来生えつこ来生たかお椎名和夫3:4620:363:46SideB-16そっとMIDNIGHT来生えつこ来生たかお椎名和夫4:2722:214:26
SideA-22ローマン・ホリディ来生えつこ来生たかお椎名和夫4:074:07SideB-27見知らぬ他人来生えつこ来生たかお椎名和夫4:274:26
SideA-33いつか月夜で来生えつこ来生たかお椎名和夫4:344:34SideB-38幸福来生えつこ来生たかお椎名和夫3:463:46
SideA-44いつも永遠の夏じゃなく来生えつこ来生たかお椎名和夫4:034:03SideB-49夏のスクリーン来生えつこ来生たかお椎名和夫3:393:37
SideA-55予期せぬ出来事来生えつこ来生たかお椎名和夫4:464:44SideB-510これから始まる物語来生えつこ来生たかお椎名和夫6:106:09

参加ミュージシャン*15

  • Keyboards:難波弘之、松田真人、中村哲、中西康晴、野力奏一
  • Electric Guitar:椎名和夫
  • Acoustic Guitar:安田裕美
  • Electric Bass:伊藤広規、岡沢茂
  • Drums:青山純
  • Latin Percussions:ペッカー、斉藤ノブ、菅原由紀
  • Chorus:山川恵津子、鳴海寛、椎名和夫、比山清、楠瀬誠志郎
  • Synthesizer Programming:浦田恵司
  • Brass Section:数原晋、新井英治、ジェイク H. コンセプション
  • Strings:ジョー・アンサンブル

参加スタッフ

  • EXECUTIVE PRODUCER:多賀英典
  • PRODUCED BY:来生たかお
  • Sound Producer:椎名和夫 & 来生たかお
  • Directed by 本間一泰
  • Recording and mixdown engineer:清水高志 for KRS
  • Assistant engineers:脇田貞二、H.Inoue and 飛澤正人
  • Recorded at:KRS Recording Studio, Tokyo
  • Remixed at:Kitty Izu Studio, Shizuoka
  • Recording date:from April 7 to June 26, 1984
  • ALL SONGS WRITTEN BY:来生たかお AND 来生えつこ
  • Art Direction, Design and Photographs:田島照久
  • Production Management:Kitty Artists Inc.
  • Artist Relation:中野薫 and 柴田幹夫
  • Special Thanks to:Emiko Tamura for Smile Company Inc. and Asako Kurosawa
  • Superviser:石谷仁 and 川瀬泰雄
  • Digital Mastering Engineer:前田欣一郎

録音

  • 1984.04.07-06.26/KRSレコーディングスタジオ、キティ伊豆スタジオ(リミックス)

初出 & 復刻

リリースメディア:規格品番レコード会社/レーベル備考
1984.08.10LP:28MS-0065キティレコード○LP:オリコン最高18位(売上累計35,980枚)/CT:オリコン最高19位(売上累計20,920枚)
CT:28CS-0065
1984.09.01CD:3133-17(35KT)キティレコード
1991.04.25CD:KTCR-1054キティレコード
1995.07.21CD:KTCR-1565キティエンタープライズ/キティレコード○歌手デビュー20周年に際し、高城賢によるデジタルリマスター
○帯に「20th anniversary」の記載
○Q盤CD選書シリーズの1枚
2007.03.21CD:UPCY-6364ユニバーサルミュージック○21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』に1995年版を収録
○帯なし
2013.06.19CD:PROT-1069Tower To The People○タワーレコード限定
○新たにデジタルリマスター
○制作:ユニバーサルミュージック
2019.01.30CD:UPCY-9888ユニバーサルミュージック○限定
○ボーナストラックに「Goodbye Dream」を収録
○紙ジャケット仕様
○デジタルリマスター
○SHM-CD

アルバムタイトルの表記

ジャケットケースの側面部
LPロマンティック、シネマティックROMANTIC CINEMATICROMANTIC、CINEMATIC
CT※帯がないので該当なしROMANTIC CINEMATICロマンティック、シネマティック
CDオリジナル版ロマンティック、シネマティックROMANTIC、CINEMATICロマンティック、シネマティック
1991年版ロマンティック、シネマティックROMANTIC CINEMATICロマンティック、シネマティック ROMANTIC、CINEMATIC
1995年版ROMANTIC CINEMATICROMANTIC CINEMATICROMANTIC CINEMATIC
2007年版※帯がないので該当なしROMANTIC CINEMATICROMANTIC CINEMATIC
2013年版ROMANTIC CINEMATICROMANTIC CINEMATICROMANTIC CINEMATIC
2019年版ロマンティック、シネマティック(復刻LP版)
ROMANTIC CINEMATIC +1(新版)
ROMANTIC CINEMATICROMANTIC、CINEMATIC

パッケージの体裁

  • オリジナル版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、歌詞カード)を挿入
  • 1991年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、オリジナル版CDのものを基調とした歌詞カード)を挿入
  • 1995年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード・既出オリジナルアルバムのディスコグラフィー)を挿入
  • 2007年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入(及び厚紙製ケース付き)
  • 2013年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入
  • 2019年版CD:紙製ケースにLP版のものを基調とした歌詞カード(及び、ボーナストラック分の別紙歌詞カード)を挿入

帯のコピー

  • LP:君の瞳に、乾杯。来生たかおのシネマコレクション
  • オリジナル版CD:君の瞳に、乾杯。来生たかおのシネマコレクション
  • 1991年版CD:※記載なし
  • 1995年版CD:シネマ、ミュージカル等のタイトル・イメージをモチーフに10編の新たなストーリーが綴る、来生たかお10thアルバム。
  • 2013年版CD:シンガーソングライター、来生たかおが映画をモチーフに創り上げた10枚目のオリジナル・アルバム。椎名和夫 (g)、伊藤広規 (b)、青山 純 (ds)、難波弘之 (key)らの演奏による都会的で重厚なサウンドにも注目。
  • 2019年版CD(復刻LP版コピー/新版コピー):君の瞳に、乾杯。来生たかおのシネマコレクション来生たかおオリジナルアルバム18タイトル 紙ジャケット・コレクション 君の瞳に、乾杯。来生たかおのシネマコレクション 曲目:裸足で散歩/ローマン・ホリディ/いつか月夜で/いつも永遠の夏じゃなく/予期せぬ出来事/そっとMIDNIGHT/見知らぬ他人/幸福/夏のスクリーン/これから始まる物語 全10曲 ボーナス・トラック「Goodbye Dream」収録

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*1 『FM STATION』1984年8月27日号“WHO'S WHO アーチスト来生たかおをリスナーにアピールする“シネマティック”音楽”(ダイヤモンド社/1984.08.27)
*2 『平凡』1984年10月号“THE MUSIC REVUE 10 来生たかお 毎日9時-5時までの仕事場通いが素敵なメロディーを生む”(マガジンハウス/1984.10.01)
*3 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*4 『シンプジャーナル』1984年9月号“「ロマンティック、シネマティック」リリース直前インタビュー”(自由国民社/2084.09.01)
*5 来生たかお 20th Anniversary Concert Tour '95〜'96 夢より遠くへ』のツアーパンフレット
*6 『平凡』1984年10月号“THE MUSIC REVUE 10 来生たかお 毎日9時-5時までの仕事場通いが素敵なメロディーを生む”(マガジンハウス/1984.10.01)
*7 『GB Guitar Book』1984年9月号"NEW MUSIC EXPRESS 昭和30年代の日本映画って好きなんだ!"(CBSソニー出版/1984.09.01)
*8 『シンプジャーナル』1984年9月号“「ロマンティック、シネマティック」リリース直前インタビュー”(自由国民社/2084.09.01)
*9 来生たかお Concert Tour '86 I Will…』のツアーパンフレット
*10 『GB Guitar Book』1984年9月号"NEW MUSIC EXPRESS 昭和30年代の日本映画って好きなんだ!"(CBSソニー出版/1984.09.01)
*11 『シンプジャーナル』1984年9月号“「ロマンティック、シネマティック」リリース直前インタビュー”(自由国民社/2084.09.01)
*12 『シンプジャーナル』1984年9月号“「ロマンティック、シネマティック」リリース直前インタビュー”(自由国民社/2084.09.01)
*13 『FM STATION』1984年8月27日号“WHO'S WHO アーチスト来生たかおをリスナーにアピールする“シネマティック”音楽”(ダイヤモンド社/1984.08.27)
*14 『シンプジャーナル』1984年9月号“「ロマンティック、シネマティック」リリース直前インタビュー”(自由国民社/2084.09.01)
*15 楽曲毎の表記なし