High Noon


来生たかお大百科自作曲 >『遊歩道

概要

オリジナルアルバム遊歩道』に収録された楽曲である。

来生が歌唱以外に楽器の演奏でもレコーディングに参加している、数少ない楽曲の1つである。

上記アルバムの制作に当たり、多少地味でも音楽性の高いものを作ろうと珍しく我を通した来生は、7分を超える本曲を冒頭に収録したという*1。上記アルバムに関して一部のファンから「難しい」という声が上がった原因は、本曲を冒頭に配したからだと解した来生だったが、もしアルバムの最後に収録したら、最も聴いて欲しい本曲が長いという理由だけで聴いて貰えない可能性があると思い、それは避けたかったと述べている*2

遊歩道』は大ヒットした『夢の途中』の次に制作された為、多少プレッシャーを感じていた来生は、曲作りに難航したが、本曲が出来てからはスムーズに進んだと語っている*3

本曲は、移り変わって行く東京の風景や純粋さを失って行く人間に対する寂しさ、嘆き等が描かれた「都会のメッセージ」を意図し*4、歌詞に登場するリュックサックを背負った男は、アウトドア関連の仕事をしている、来生えつこの友人をイメージの源泉にしているという*5。また、貸しボートがグラスファイバー製か何かの人工物に替わり、その色がポリバケツを思わせた事や、公園のベンチや民家の湯船等の素材が木から人工物に替わって行く風情を「トーキョーの空の青〜色合いはポリバケツ」と表現して異議を唱えている*6。『夢の途中』のヒットで世間がそのイメージしか持ってくれない事に抵抗して『遊歩道』を制作したものの、思い入れが強くなり過ぎてエンタテインメントの部分が足りなくなってしまったと来生えつこは感じており、その例として本曲の世界観を挙げている*7

来生は、フルオーケストラで歌ってみたいと語った事があり*8、『来生たかお With フルオーケストラコンサート STELLA』で実現させている。

収録

  • 作詞:来生えつこ
  • 作曲:来生たかお
  • 編曲:坂本龍一/矢倉銀
  • 7:42
  • Key:C(ハ長調)
発売年月日収録作品メディア:規格品番発売元/レーベルトラック備考
1982.11.10遊歩道LP:28MS-0020キティレコードSideA-1●オリジナルアルバム
CT:28CS-0020
1983.03.16遊歩道CD:3133-2キティレコード1●オリジナルアルバム
1991.04.25遊歩道CD:KTCR-1051キティレコード1●オリジナルアルバム(復刻)
1995.07.21遊歩道CD:KTCR-1563キティエンタープライズ/キティレコード1●オリジナルアルバム(復刻/歌手デビュー20周年/Q盤CD選書/デジタルリマスター)
2001.05来生たかお作品集 Times Go By11CD:ANYC-238ANYDisc8(Illusion 幻 まぼろし)-15●ベストアルバム(BOX仕様)
2007.03.21来生たかお大全集21CD:UPCY-6355/75ユニバーサルミュージックDisc8(遊歩道)-1●オリジナルアルバム(復刻/BOX仕様/1995年版を収録)
2019.01.30遊歩道 +1CD:UPCY-9885ユニバーサルミュージック1●オリジナルアルバム(復刻/限定/紙ジャケット仕様/デジタルリマスター/SHM-CD)

★Musicians★
Keyboards:野力奏一/Casiotone HT-400:来生たかお/Electric Guitar:鈴木茂/Electric Bass:ミッキー・長岡/Drums:菊池丈夫/Latin Percussions:中島御/Chorus:山川恵津子、鳴海寛、松田真人/Strings:加藤グループ/Synthesizer & Emulator:坂本龍一/Flute:衛藤幸雄/French Horn:山口弘治/Flügel Horn:中沢健次


*1 「キティサークル」の総合機関誌『HEAD ROCK』1986年8月25日号 Vol.63“TAKAO CLUB VOL.34〈『来生たかお 10th ANNIVERSARY ELEVEN NIGHT THEATER』のMCから抜粋〉”(キティ・ミュージック・コーポレーション/1986.08.25)
*2 『KEYBOARD LAND』1983年9月号“September's Face 巻頭インタビュー”(リットーミュージック/1983)
*3 『FM STATION』1982年11月22日号"話題のアーティスト WHO'S WHO 来生たかお 朝、目をさましたら、シンガーとしても作曲家としても超売れっ子に。ハード・スケジュールとプレッシャーの中で、でも、彼は昔のまま…。"(ダイヤモンド社/1982.11.22)
*4 『Hot・Dog press』1982年12月25日号“HUMAN HOT INTERVIEW 内弁慶メロディ・メーカーはオリコンを毎週愛読しているのだった。”(講談社/1982)
*5 オフィシャルファンクラブ「TAKAO CLUB」の会報『égalité』vol.28(ベイシック/1993.08)
*6 来生えつこ著『「なぜ?」の本 素朴な疑問がわきました』“第一章 なんかヘン? トーキョーの空はポリバケツの青”(清流出版/2008.04.26)
*7 来生たかお Concert Tour '83 ミディアム気分で…』のツアーパンフレット
*8 オフィシャルファンクラブ「TAKAO CLUB」の会報『égalité』vol.1(キティ・ミュージック・コーポレーション/1988.04)