ルーマン自身もスペンサー-ブラウン代数のような、もう一つの論理学を好んでもちだすが、それらは着想のきっかけではあっても、それ以上のものではない。(同書15ページ)
彼(G・スペンサー・ブラウン)はプール代数を派生態として生み出すような原始代数を見いだせると主張した人です。のちに彼の唱えた原始代数はプール代数のパラフレーズにすぎず、どちらかが原始態でどちらかが派生態だという区別に意味がないことが証明されましたけれども。彼の業績に関してはいろいろと異論があるかとは思いますが、私は彼を、哲学的なメタファーを有効にもちいた人という観点で評価しています。(宮台真司『日常・共同体・アイロニー-自己決定の本質と限界』の272ページ)