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ニクラス・ルーマンについて

  • ルーマン〔人 Luhmann, Niklas 1927-99〕---ドイツの社会学者。社会学を社会のシステム理論として再構成することをめざしており、方法としての機能主義を徹底化し、社会秩序の存立を、システム形成によって環境世界の複雑性の縮減(吸収)をはかる自己準拠システムの選択的はたらきの結果としてみる機能-構造的理論を提唱している。組織・行政社会学を本来の専門とするかたわら、普遍的な妥当要求を掲げて展開されるその壮大な理論は、パーソンズ亡きあとの社会学の一般論をめざすものとして世界的な注目を浴びている。〔『縮刷版社会学事典』(弘文堂、1994)なお、この項執筆は山口節郎〕
  • ルーマン〔人 Luhmann, Niklas 1927-99〕---社会学者。社会システム論は、20世紀前半から後半にかけてT.パーソンズ Talcott Parsons によって構築されたが、パーソンズ亡き後、社会システム論を独自の仕方で展開したのがN.ルーマンである。パーソンズの「構造機能主義」に対して、ルーマンは、現象学、サイバネティックス等々を援用して「機能構造主義」を提唱した。パーソンズと違って、ルーマンの機能概念は、構造や秩序を維持する働きを指しているのではなく、可能性を選択する働きを指している。社会システムは、可能性に対する選択的機能をとおして世界のなかから自己と環境を切り出すとともに(「複雑性の縮減」)自らの複合性を増大させている(「複合性の増大」)。ルーマンは、このような社会システムの選択的機能に関連づけながら、法・信頼・貨幣・権力・真理・組織・時間等々といった多様な社会現象を分析した。  1980年代に入ると、ルーマンは、生物学の分野で提起されたH.R.マトゥラーナとF.J.ヴァレラのオートポイエーシス論を社会システム論に導入しながらさらなる展開をはかった。ルーマンは、人間と社会を2つの自立的なオートポイエティック・システムの構造的カップリングの関係として捉えるとともに、近代社会の機能的に分化したシステム(経済システム、法システム、科学システム等々)もそれぞれオートポイエティック・システムとして捉えた。ルーマンのシステム論は、近代的主体を前提にした伝統的な人間論からの決別を意図するとともに、中心のない現代社会の複雑性を把握するための理論として構想されている。〔『縮刷版政治学事典』(弘文堂、2004)なお、この項執筆は正村俊之〕

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