三国一の毒舌男として世に知られる人物。
恵まれた才能を持つがそれゆえの傲慢さと他人を酷評する癖で嫌われており、孔融は数少ない理解者であった。
その孔融が曹操へ推挙しても「俺は気が狂った」などと口実を付けて断っている。
しかしその後も孔融が強く勧めるのでやむなく曹操に面会するが、粗末な格好で現れた上に曹操を罵倒して怒らせている。
とはいえ殺してしまうと自身の評判が落ちることを懸念した曹操によって厄介払いとばかりに劉表の元へ送られる。
また、太鼓が上手であると聞いたことで曹操は太鼓の演奏をさせたのだが、役人が打ち間違いを指摘すると、
その場で服を脱いで着替えたことで曹操は「禰衡に恥をかかせようとしたが、わしが恥をかかされた」と語っている。
(ちなみに太鼓打ちは間違えた時着替えるという規定があったため、禰衡の着替えはこれに則ったものである。
さんぽけ版のイラストにはこの場面が採用されており、太鼓を前に半裸以上全裸未満の姿を曝しているのはこのためと思われる。)
劉表のもとでは劉表自身にはおとなしくしていたものの配下の者には傲慢だったため、恨まれて遠ざけられる。
その後黄祖の子・黄射と友人になるが黄祖に対して傲慢な態度をとったため、ついに殺害されてしまう。
演義では孔融の推挙で曹操の元へ赴くと
「天下は広いのに、なぜろくな人間がいないのだろう」というセリフを皮切りに、曹操軍の諸将を片っ端から罵倒しまくる。
その中で太鼓叩きでもやっとけと言われた張遼の怒りを買い、太鼓の演奏をさせられる以降は史実とほぼ同様の展開となる。
ちなみに史実で罵倒した記録が残っている人物は陳羣、司馬朗、曹操、荀彧、趙融の5人で、しかも本人に直接言っていない。
中国では「曹操を真っ向から罵倒した男」として人気が高く、京劇では彼を主役とした「打鼓罵曹」という演目が存在する。
コーエー三國志では「6」での登場が印象に残る。
全武将中唯一最初から「隠遁」の夢持ちで(他にこの夢になるのは勢力を滅ぼされ、滅ぼした群雄の配下になった群雄やイベントで曹操配下になった後の徐庶)、
「何かしら行動させると不満が溜まり、何もさせないと不満が減る」という能力の高さに反した扱い辛い武将なのである。