形而上学者の性の日記


ジェラード・ソーム三部作の2作目。ジェラード・ソームが伴侶となる女性と出会うまでの生活を日記形式で描いている。

 ウィルソン本人の日記流出事件がもとになって生み出された小説。(CWの日記の内容が妻ジョイの父親の知るところとなって、CWは父親に殴打されることになり、さらにその内容がマスコミに流されてしまった。CWは『アウトサイダー』以降、人気が急落していたこともあり、この事件はCWにとって深刻なものとなった。)
 『性の衝動?』と対応する作品と位置づけられる。主人公ソームが性的体験と哲学的思索を繰り返しながら、音楽家キーアステンや奇妙な人物カラドック・カニンガム(魔術師アレイスター・クロウリーがモデル)との出会いと交流を書き綴っている。日記形式で書かれていて、他人の日常生活を覗き見しているような気分に浸れる作品である。ソームは音楽家キーアステンの妻ダイアナと不倫関係になるが、キーアステンとの交友を維持したままで、ダイアナを離婚させ新しい伴侶とすることになる。だが、カニンガムの主催する性的魔術の儀式に参加したことから、スキャンダラスな噂をたてられてしまうことになり、ソームとダイアナはアイルランド旅行に出かけてしまう。
 最初の翻訳書に対して、中村保男はかなり劣悪な翻訳であると指摘している。中村保男の新訳がペヨトル工房から出版された。序文をティモシー・リアリー?が書いていて、この本が時代のさきがけになっている、と指摘している。


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