アウトサイダー・サークル


 初期のコリン・ウィルソンの思想はアウトサイダー・サークルの本編6冊と補遺1冊にまとめられている。この時期のCWはもっとも哲学的傾向が強く、思弁的な方法でアウトサイダー問題を追求している。『宗教と反抗人』では歴史学と宗教、『敗北の時代?』では社会学、『夢見る力』ではSFとファンタジー、『性の衝動』では性の心理学とさまざまな方向から問題を探求した。バーナード・ショーG・I・グルジェフホワイトヘッド?ウィトゲンシュタイン?、そして、フッサール?といった思想家のアプローチを総合することで、独自の解決策を提示している。この7冊には、デビューから十年間の彼の足取りが克明に記されている。
 だが、アウトサイダー・サークルでは、CWはアウトサイダーの問題に具体的な解決を与える事が出来なかった。『至高体験』や『フランケンシュタインの城?』などの中期の著作によって、エイブラハム・マスロー流の心理学を踏まえた新たな楽観主義の確立によって、アウトサイダー問題は解決に至ることになる。とはいえ、この時期のコリン・ウィルソンの考察の中には、すでにその後の解決の糸口となるものが多く存在している。