山小屋で隠遁生活を送っていたブレイク学者デイモン・リード。そんな彼のもとに、捜査協力を求める警官がやってきた。ロンドンで起こっている連続殺人事件で、犯人が必ず残していく神秘的な言葉。それがウィリアム・ブレイク?の詩だというのだ。リードはその場では依頼を断ってしまったものの、事件のことが頭から離れなくなってしまう。
山の少女との結婚に悩んでいたデイモンは、この事件に取り組むことでちょっと気分転換になるかもしれない、と以前に住んでいたことのあるロンドンへと出掛けてゆくことになる。そして、音楽家のクリストファー・バトラーの部屋を訪れる。 リードは昔のロンドンの生活を取り戻して、さまざまな人々との交流の中から、犯人の足取りを探し始める。ブレイクにそれほど関心を持つのはどうしたわけなのか?
一つの可能性として、主人公のデイモンはCWの息子のデイモンから取られたと考えることができる。というのも、CWは友人のブレイク学者に息子の名前を決めてもらったからだ。『暗黒のまつり?』の主人公ジェラード・ソームも、最初の結婚相手ドロシーとの間に生まれた長男の名前から取られている。
ブレイク愛好者が連続殺人に手を染めるというトマス・ハリスの『レッド・ドラゴン』の先駆的作品。だが、猟奇性や犯罪の描写などは時代的な制約のためか、極力押さえられている。ウィルソンの犯罪小説が1990年代に書かれていたら、もっと赤裸々な描写で問題を引き起こしていたかもしれない。
デイモン・リードの文通相手には、ノースロップ・フライ、フォスター・デイモン、キャスリーン・レインといったブレイク学者がいる。デイモン・リードのモデルはフォスター・デイモンと言われている。
CWは大英図書館で作家のアンガス・ウィルソンと知り合ったが、『ガラスの檻』では、アンガス・ウィルソンはゲイロード・サンドハイムがユダヤ人のタルムードの注釈を書いている老人と喧嘩になり、仲裁に入った、というエピソードに登場する。
犯罪三部作としてCWは、『暗黒のまつり?』、本書『ガラスの檻』、『殺人者?』の三作品を分類している。したがって、本書は犯罪三部作の第二作に当たる。 また、本書の登場人物クリストファー・バトラーはスパイ小説『黒い部屋?』では主人公となり、東欧で事件に巻き込まれていく。
第一部:
デイモン・リード:ブレイク研究者
ランド:殺人事件の捜査でリードの山小屋を訪問
ユリアン・ルイス:サラの叔父。骨董書籍商
サラ:リードと婚約した少女
ジョージ・ピッキンギル:霊能力を持った老人
第二部
クリストファー・バトラー:ロンドンのリードの友人で現代音楽家
ミラベル・ディクソン:
ジェレミー・ブライス:ブライス社社長
ミリセント・ブライス:
オリヴァー・ブライス:ジェレミーの叔父。リードへ手紙を書いた
ヴィヴィアン・マーティン:ブライス社長の秘書。黒髪
ハリー・フィッシャー:スパイ小説作家
ゲイロード・サンドハイム:ブレイクを個人的に研究
ビアトリス・サンドハイム:ゲイロードの妻
オーヴィル・サンドハイム:息子
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