テレビ放送技術


Study

テレビの基本技術(電波)

  • 放送元が放送データとして出す電波をまず「アンテナ」により受信する
    • 電波として受信したデータが「チューナー」により受け渡され,映像データへと変換する(デコーダー)
    • チューナーは信号を復調して情報に戻す装置のこと
  • テレビ塔
    • 東京タワー
    • 名古屋テレビ塔
    • さっぽろテレビ塔

地上波

  • 関東では東京タワーから放送用の放送電波を出力している電波による放送
    • 現在ではアナログ信号・デジタル信号と2つ流しているが,2011年からすべてデジタル放送へと完全移行することが決定している
    • デジタル放送自体は2003年の12月から既に始まっている
  • 地上波には,VHFとUHFの2種類がある

VHF*1

  • 1〜12chの一般的なテレビ放送
  • 超短波帯 (30MHz〜300MHz) の周波数の電波
    • 電離層では普通反射せず、地表波は減衰が大きく利用しにくいため、空間波による見通し範囲の通信が基本

UHF*2

  • 13〜62chのローカル放送など
    • 地上デジタル放送には,このUHFの周波数帯を使う
    • 今,割り当てを変更している段階
  • 極超短波帯(300MHz〜3GHz)の周波数の電波
    • 地デジでは470〜770MHz
    • 電離層で反射せず地表波の減衰が激しいため、直進する空間波による短距離通信に利用される
    • 波長が短くアンテナが小型化できるので移動通信に適する

衛星放送

  • 利点
    • 上空からなので、影響が少なくきれいな映像になりやすい
    • 直接衛星から受けるので中継地点もいらない(山間部とか)
    • 1機の衛星で広範囲に届けやすい
  • BSとCSの違い
    • CSは大きなアンテナが必要
    • BSはそこまで大きく無くていい

BS*3

  • 放送衛星(東経110°)から送られてくる電波による放送
    • 衛星放送は電波が上空から来るため,地上波よりも直接届き電波が受け取りやすい
    • そのため映像がきれいに受信できることが多い
  • こちらも地上波同様,2011年のデジタル放送へと移行する
    • BSデジタル放送自体は2000年12月から開始
    • そのため,現在BSアナログ放送をしているNHK第1・第2とWOWOWはデジタルへと移行を開始している
  • 他の民放はBSデジタルからの参戦ということになる
  • 導入当初は、NHKなどはサイマル放送をしていた
    • 地上波のNHKと同じ内容のものを流すこと

CS*4

  • 通信衛星から送られてくる電波による放送
  • 昔,同じ衛星(東経124°)を用いていた2社の合併による「スカイパーフェクTV(スカパー)」のCSデジタル放送
    • JskyB
    • パーフェクTV
    • CSアナログ放送は90年代にすでに終了済み
    • その後に128°のCS衛星を用いるディレクTVもスカパーに合併した
  • さらにBSと同じ110°のCS衛星を用いるスカパー2も出てきた
    • スカパーとはまったく違う
    • BSの仕組みさえそろっていれば,特別なことをしなくてもスカパー2の番組を見られる  

モバHO!

  • 移動端末のための放送技術
    • 東経144°のMBSatを利用してサービス展開

その他のテレビ放送

  • 電波としてではなく有線で映像データを送信する放送

CATV*5

  • テレビの有線放送サービス
    • 電波のとどきにくい場所へ送信するのが当初の目的である
    • CATV局内のルータからインターネット網へとアクセスするISP*6としての役割もある
      • インターネットサービスなどを武器に都心部でも普及している
    • CATV局で一括で衛星放送なども受信して,そこから配信を行う
  • 同軸ケーブルや光ファイバ
    • 昔は全て同軸ケーブルだったが,今は途中までは光,家庭には同軸ケーブルとなる
      • 光信号を通すので,CATV局と家庭にて,E/O*7変換とO/E*8変換が必要となる
      • 信号を増幅するアンプが中継地点にないと,光信号が衰えてしまう
    • 家庭で,分配器により分けられる
      • ホームターミナル:テレビ放送
      • ケーブルモデム:インターネット通信
  • パススルー
    • ケーブルテレビ会社を通すと,その会社の周波数帯に電波が収まってしまう
      • 来たデータの中からその会社に合わせた周波数を指定しなければ番組を取り出すことが出来ない
    • 元の信号を直接テレビまで届けることによって,どこでも共通の周波数を指定すれば番組を取り出せるようになる
    • このように,ケーブルテレビ等の会社の周波数に合わせずに直接信号を届けることをパススルーという
  • ちなみにうちのJ:COMは地デジ・地アナはパススルーなのか普通にテレビで見られるが,BS・CSはどうやっても直接だとテレビで見られない
    • 衛星放送はパススルーじゃないみたい

FTTH*9

  • 光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス
    • この放送の場合はプロバイダなのサービスの1つとして, 家まで放送データを家まで届け,テレビ画面で見ることができるようにするもの

映像の種類

SDTV*10

  • 横:縦=720:480(走査線)で構成される4:3の対比による画面
    • 1つのピクセルは正方形ではないので走査線の比とは一致しない
    • 圧縮方法は,MPEG-2(MP@ML*11)で2〜6Mbps程度

HDTV*12

  • 横:縦=1920:1080(走査線)で構成される16:9の対比による画面
    • 正方形ピクセルなのでコンピュータとの相性が良い
    • 1080i*13
  • 圧縮方法は,MPEG-2(MP@HL)で15〜20Mbps程度
    • データ量が大きいため,通常のDVDでは収まりきらず大容量DVDによる管理が求められる
    • H.264による圧縮方法によりそのBlue-Ray・HD-DVDへの保存が可能となる
  • ちなみに「ハイビジョン放送」というのはNHKが用いる商標

デジタル放送


デジタル放送における画像圧縮方式

  • MPEG-2(MP@HL)によるデジタル動画像圧縮技術
    • 地上デジタル放送では13〜16Mbps程度に
    • BSデジタル放送では15〜20Mbps程度に
  • ワンセグ
    • H.264を用いる
      • MPEG-2の約2倍の圧縮率
      • 狭い帯域でもきれいな映像が送れるように

利点

  • データ伝送時のノイズ等に強い
    • OFDM*14を用いる事による
      • マルチパス・ノイズに強い
    • 悪くなる限界までは,劣化する事無く伝送する事ができる
  • デジタル情報の送受信
    • 映像だけでなく、情報のやり取りで楽しいテレビ生活が

画質

  • 基本的にすべてHDTVによる高詳細な画質
    • 縦1080pixel、横1920pixel
    • 実際には昔の映像や一部のCMなど,ソースとなる映像素材がSDTV映像も多い
      • SDからHD形式へアップコンバートを行って送出している場合も多い

アップコンバート方式

  • SDTVのソース(横:縦=4:3)をHDTV(16:9)へとアップコンバートするには基本的に3つの方法がある
    • テレビなどでも設定ではその3つが基本となっているようだ.
    • サイドカット
      • 横長である16:9の両サイドをカットして4:3のサイズにする方法
      • サイドにあった部分が見えなくなるのでそこまで必要な情報があったときにはつらい
    • レターボックス
      • 16:9の横長な対比はそのままで横幅をあわせるため,上下に黒い帯が入ってしまう方法
    • スクイーズ
      • 無理やり16:9→4:3に直してしまう方法
      • 縦につぶれるため,少し太って見える

ワンセグ

  • 移動端末向けの地上デジタル放送
    • 狭い帯域でもきれいな映像を送るためにH.264方式の高圧縮による映像情報配信
  • 携帯電話の基地局とデータ送受信
    • 映像と同時に関連するWebページの情報をやり取り
    • HTMLをベースにしたBML*15の記述言語を使用

セグメント

  • 通常のHDTVの番組では,12セグメント
    • SDTVでは4セグメントが必要
      • アナログ放送の1チャンネルが6MHzの周波数帯
    • 1局に割り当てられる13セグメントのうち,1つのHDTVか,3つのSDTVが割り当てられる
      • WOWOWのデジタル放送では,時間帯によってこれらが切り替わる
  • 移動端末向けのテレビ放送であるワンセグメント放送
    • 残った真ん中の1セグメント帯域を割り当てたもの

アナログ放送

伝送方式

  • NTSC*16で策定された帯域圧縮技術により,信号処理を行うことで効率的に伝送できる

利点

  • 高圧縮を行わない
    • 同条件下においてはデジタル放送よりもきれいな映像を見ることができる(MUSE)

欠点

  • アナログ電波
    • 複数の反射して来た電波を受け取るマルチパス時におこるゴースト等

映像信号

  • 端子に関しては映像端子にて
  • 音声は赤(Right)と白(Left)のステレオでまかなう

コンポジット

  • 黄のケーブル
    • 標準のSDのみ,高詳細のは無理

S映像

  • 輝度(Y)と,色(C)を分離(Separate)して伝送する
    • ちょっとキレイ

コンポーネント 

  • D端子でまかなう
    • Dは穴の形のことで、デジタルのことではない
      • 映像はアナログデータ伝送
    • YとCb(青)とCr(赤)に分けて伝送
    • すごくキレイ
      • D1:525i(480i)
      • D2:525p(480p)
    • D3:1125i(1080i)
    • D4:750p(720p)
    • D5:1125p(1080p)
    • この5つの定義
      • ハイビジョンはD3以上
      • pはプログレッシブ(同時に走査線を流す)
      • iはインタレース(走査線を交互に流す)

*1 Very High Frequency
*2 Ultra High Frequency
*3 Broadcasting Satellite
*4 Communications Satellite
*5 Community Antenna TeleVision
*6 Internet Services Provider
*7 電気/光
*8 光/電気
*9 Fiber To The Home
*10 Standard-Definition TV
*11 Main Profile at Main Leve
*12 High-Definition TV
*13 インタレース方式
*14 直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing
*15 Broadcast Markup Langage
*16 National Television Standards Committee