電話網の利用


Study

電話網によるインターネット利用

ダイヤルアップ(アナログ)

  • 電話網をアナログ回線として利用するデータ通信
    • 接続先ポイント電話番号にダイヤルして,電話回線経由でインターネットにつながる
    • モデムの利用
      • デジタルデータをアナログデータにして流し,受信側でまたデジタルデータに戻す
    • 最大で56kbps

ISDN*1

  • 総合デジタル通信網サービス
    • TA*2を用いる
    • 電話網を全てデジタル化した
      • しかし,あくまでもダイヤルアップなので電話代もかかる(つなぎっぱなしも怖い)
  • 回線
    • ISDNでは,1回線で64kbps
    • 時分割多重により、1回線を複数回線に多重化して高速なデジタル伝送路を構築する
      • 日本やアメリカでは、24回線を多重化の単位とした1.5Mbps
      • ヨーロッパでは32回線の2.0Mbpsが使われる
    • パルス符号変調PCM*3によって音声をデジタル化する
  • チャネルという概念で,物理的には1回線でも2回線の利用が可能
  • デジタル通信なので安定した通信品質
  • ITU-T(電気通信標準化部門)によって規格が標準化された
    • NTTでの名称
      • 高度情報通信システムINS*4
      • サービス名で,INSネット64
      • 銅線以外にも,光ファイバを使用するINSネット1500がある
      • INSネット1500は64kbps×23本

64kbpsの計算

  • 音声帯域の限界である3.4kHz以下(可聴域3400Hz)に制限してデジタル化する
    • それをまかなう4kHzの2倍の8kHzのサンプリングを行うことで、きちんと標本化(サンプリング)出来る(サンプリング定理)
  • 符号化するときに8bitにするため、8kHz×8bitで64kbpsとなる
    • ISDNの基本インタフェースのBチャネルは8bit単位

利用

  • 音声通話品質
    • 0.3〜3.4kHzを64kbpsの回線交換でISDN網内を伝送している
    • VoIPより音声品質が安定している
  • ISDNでデジタル回線として使用する場合
    • TA(アナログデジタル変換)とDSU(デジタル信号制御機器)を設置
    • これで,電話線がデジタル回線となる
  • ISDNの利点
    • 速度が128kbps(64kbps+64kbps)の速度でデジタル信号による通信を行える
    • 2回線であることにより,電話をかけながらインターネットなどが出来る
      • 1つの線で2つ分の回線で扱えるので,電話番号を別々に割り当てられる
    • FAXの受信には適している
      • IP網などではFAXの映像受信は不安定な事がある

ADSL*5

  • 非対称デジタル加入者線
    • 上り(アップリンク)と,下り(ダウンリンク)の通信速度が変えられる(非対称)
      • 下りは50Mbpsまでいけるが,上りはだいたい12Mbpsくらいで,下りを重視した
    • 当初でも,1.5MbpsとISDNに比べて高速な通信回線の利用が魅力
  • xDSL
    • 2本の銅線の電話回線を使用して高速なデジタルデータ通信をする技術の総称
    • ADSL,SDSL*6,HDSL*7,VDSL*8
      • ADSLは自宅
      • VDSLはマンション内まで光ファイバを引き込んだ後に各部屋に接続する
    • ReachDSLという規格では,通信速度よりも距離による劣化を抑えるのに特出した技術
  • アナログ通信
    • アナログ回線にデジタルデータを乗せてる
    • 音声信号とデジタルデータを多重化している
      • 音声通話に使わないような高い周波数帯を使ってデータ通信
      • 8MbpsADSLの場合,音声で使用する4kHzよりも上の26kbps〜11Mbps
  • 利点
    • 音声通話などで使用しない高い周波数帯を用いることから高速な通信が可能となる
    • 上りと下りで別の周波数帯を用いる
      • 周波数帯が違うから,かち合わない
  • 欠点
    • 距離による劣化があることから基地局との位置関係が問題となる(7kmくらいが限界)
  • 電話網を介すADSL
    • Yahoo!網専用網か,NTTのフレッツ網を経由してのプロバイダ網からインターネットへとアクセス
電話網のインターネットアクセス.gif

電話網のしくみ

  • 加入者網と中継網に分かれる
電話網.gif
  • インフラとしては同じケーブル
    • その両端に接続する端子(装置)によってその用途が変わってくる
  • ユーザ端末から市内の局舎までが加入者線,その上の交換機局舎同士が中継線で結ばれる

加入者網(アクセスネットワーク)

  • 各拠点(家など)からNTTの局舎へアクセスするためのネットワーク
    • その用途によって端末の機器が変わってくる
加入者網.gif

 

  • 加入者線信号方式
    • 電話機と加入者線交換機の間でやり取りされる信号方式
      • 発呼:受話器をあげたとき
      • 発信音:交換機からダイヤル数字を受ける準備の通知
      • 選択信号:相手番号のダイヤル
      • 話中音:話中なのを知らせる
      • 呼出信号:着信側にベルを鳴らす
      • 呼出音:発信側に呼び出し中を知らせる
      • 応答:相手が受話器をはずす
      • 終話・切断:話が終わって受話器を置く  
  • 業者
    • 基本的な加入者網のケーブルはNTTによってしかれていた
    • その後,民営化されたことにより他会社によってケーブルの提供が始まる
  • 関西では,関西の電力会社のケーブル提供により,加入者網のNTT依存率は55%と低い
    • ケイ・オプティコムのシェアがでっかい激戦区
    • 逆に,中部の方の三重や静岡はNTTの依存率は98%と他の会社の参入は少ない
  • NTTからの借り受けケーブル
    • ダークファイバー
      • NTTの光ファイバーを借り受けてサービスを提供するもの(KDDIの光プラスなど)
    • ドライカッパー
      • NTTのメタルケーブルを借り受けてサービスを提供するもの(e-accessやYahoo!,あとKDDIのメタルプラスなど)

中継網(コアネットワーク)

  • NTTの局舎どうしをつなぐネットワーク
  • インフラとしてはすべて光ファイバー
    • その使われ方によって用途が変わってくる
    • 特に,ADSLで用いるIP網の部分をフレッツ網という
      • この中のゲートウェイから利用するプロバイダのネットワークへとアクセスする
  • 3分10円GCエリア部分をMAといい,全国に567エリアある
    中継網.gif
  • 局間信号方式
    • 交換機と交換機の間でやり取りされる信号方式
      • 選択信号:経路を選択するための制御情報
      • 制御信号:起動・切断の指令
      • 表示信号:接続状態を伝える
      • 課金信号:料金情報の転送
      • 網管理信号:ネットワークの管理・運用
  • これらの信号だけをまとめて専用のデータ通信回線で共通に送る方式を共通線信号方式という
    • 反対が個別線信号方式
      • 個々の通話回線の中にこれらの信号もやり取りする
      • 通話の邪魔にならないように,通話の前後に送る
  • 業者
    • この部分も,NTTのケーブルのみだったのが,民営化後には他の会社の参入が著しくなった
    • 低い階層の交換機ではなく,上位階層の長距離間の通信分野において,自分の会社のケーブルを使うような争いが始まる
    • 初めの3つの新規参入会社
      • 日本テレコム:JR系で,線路沿いの光ファイバーから始まる.
      • 第二電電(DDI)(現KDDI):無線(マイクロウェーブ)から始まり,現在は加入者網にまで発展
      • 日本高速通信(テレウェイ)(現KDDI):高速道路沿いの光ファイバーから始まる
    • その他
      • NTT Communication
      • NTT東日本
      • NTT西日本
      • TEPCO(東京電力):電力会社の強みで電柱を含めたインフラ
  • 電電ファミリー
    • NTTの交換機を作る会社(ONFH)
      • O:沖電気
      • N:NEC
      • F:FUJITSU
      • H:HITACHI

装置

  • GC*9
    • 群局
  • ZC*10
    • 中継局
  • SZC*11
    • 特定中継局
  • DSU*12
    • 加入者回線終端装置
      • デジタル回線に端末装置を接続するための装置
  • MDF*13
    • 主配電盤
      • NTT地域会社の電話局で,回線と交換機の間にある装置
      • ケーブルの種類によって振り分ける配線分配装置

電話網とインターネット網

同期転送について

回線交換方式

  • 8ビット単位(1バイト,1オクテット)の固定タイムスロットとしてのオクテット信号を,フレーム内の回線ごとに振り分ける
    • 時分割処理により,一定時間ごとにスロットを呼び出す同期転送モードSTM*14交換方式である.
      • 遅延などは起こらないが,可変速度用の通信には不向き
    • 経路が決まってしまえば,あとはそこを伝送するだけで,データの大きさも一定の単純な制御処理

パケット交換方式

  • ソフトウェアによるルーティングでパケットの大きさはマチマチで制御処理を行っている.ランダムに送る非同期転送モードATM*15による転送方式を使っている
    • データの中身を見て,各ルーターが制御処理を行うちょっと面倒な処理

*1 Integrated Services Digital Network
*2 Terminal Adapter
*3 Pulse Code Modulation
*4 Information Network System
*5 Asymmetric Digital Subscriber Line
*6 Symmetric DSL
*7 High-bit-rate DSL
*8 Very high-bit-rate DSL
*9 Group Center
*10 Zone Center
*11 Special Zone Center
*12 Digital Service Unit
*13 Main Distributing Frame
*14 Synchronous Transfer Mode
*15 Asynchronous Transufer Mode