【質問】 本当に,中国が正規空母を所有しても脅威ではないのでしょうか?


 【質問】
 以前,『愛川欣也のパックインジャーナル』で,中国が空母を開発しているという新聞記事を紹介していましたが,軍事評論家(?)の人が
「空母は単体で所有したって無意味.
 そんなものは脅威たりえない.
 そうやって悪戯に恐怖心を煽る風潮はよくない」
と言っていました.

 果たして本当に,中国が正規空母を所有しても脅威ではないのでしょうか?
 一般的感覚からすると,日本に敵意剥き出しの軍事大国が,更なる攻撃展開能力を持つ事になるかも知れない,と聞いただけで十分脅威に感じるのですが…

 【回答】
 空母とは「動く飛行場」以外の何ものでもありません.
 その脅威とは,自国近海に相手の航空基地が丸ごと持ってこられる事であり,また,艦隊が航空基地を連れ回す事により,充実したエアカバーが提供される事です.
 ですから「飛行場」があっても,「それ以外」が充実してなければ,政治的・宣伝的にはともかく,軍事的には脅威になりえません.

 が,その反面,建造にも運用にも空母はとにかく金がかかる上,大掛かりな艦船なので,運用するノウハウの蓄積も大仕事です.
 また,空母とはその性質上,自国の陸上航空基地の勢力圏内では,より大きく優れた飛行場が既にあるため,存在意義がとても薄れます.
 そのような艦種が活躍するであろうと予測されるのは,自分の勢力圏にない場所,つまり侵攻作戦でこそ輝くものなのです.
 それらのコストを捻出できる軍事予算や侵攻用兵器を持ちたがる裏にある意思は,軍事的にもある程度の脅威といえるでしょう.

 なんにせよ,0か1かの脅威判定や色眼鏡を通した評論に捕われる事なく,正しい尺度で脅威度を認識するのが大切です.

軍事板,2010/12/19(日)

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