分割コロガシのページ


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なお、このページの内容は、元々なかやさんとの「効率的な分割コロガシの分割数は?」と言う議題に付いて、電子メールでやり取りした往復書簡が元になっています。当初では指数分布を用いた近似式での議論を行っていました。

分割コロガシとは?

分割コロガシとは、古くは&amazon;の付録、新しくは&amazon;で紹介されていた「馬券投資法」です。
「馬券投資法」とは一体何でしょうか?
実は競馬と言うのは予想だけで勝つ事は至極難しいゲームです。投資競馬と言うジャンルが創設されてから、「馬券の買い方」がとても重要な物である、と認知されてきました。つまり、せっかくの上手な予想でも「馬券の買い方」がヘタだったら負ける可能性は充分あり得るのです。
この観点から、最近の競馬では「資金マネージメント」と言うジャンルもそれなりに定着して来た感じはします。 結論から言うと、投資競馬の主張しているように「資金マネージメント」だけでは競馬で勝つ事は出来ません。同様に「競馬予想」だけでも競馬で勝つ事は出来ないのです。大事なのは如何にこの二つを組み合わせるのか?これが上手く行かないと回収率100%超えは難しいでしょう。
分割コロガシとは、馬券プロが自己資金を溶かさないように、徐々に投資額を上げていって、大きな利益率を叩き出す為に自然発生的に生まれてきた投資法だと言えるでしょう。
ここでは、数学的に効果的な「分割コロガシの方法」に付いて、思いついた事を記述して行きたいと思います。

馬券の的中率は独立事象?

確率的な議論としては、馬券の的中率は次の条件を満たすもの、とします。

馬券の的中率は独立事象である

独立事象とは、例えば、前のレースの馬券を当たった/ハズしたとして、その結果が現在買おうとしている馬券の的中率に影響しない、と言った意味です。
ところで、&amazon;でも「馬券の的中率は独立事象である」と言い切って書いてありますが、実はこの認識は正しくありません。正確には「独立事象と仮定する」なのです。*1
本当の事を言えば、確率事象が「独立である/ない」を見分けるのは大変難しいです。仮想的な数学的な議論はいくらでも出来ますが、問題は現実の観察している事象に関して、これをどちらか、と判定するのは実は容易な事ではありません。*2
そんな中で、「独立であると仮定する」のが好まれる理由は、次の一言によるのです。

数学的な扱いが簡単だから(笑)

いや、これがマジなトコなんです(笑)。*3
実は、仮定を「独立ではない」とした途端に、数学的な議論は激ムズになっちゃうんです。「独立事象でない確率」を通称「確率過程」(Stochastic Process)と呼ぶんですが、この数学議論はチョー激ムズで、確率・統計ジャンルでも、純数学やっている人間以外にはムチャクチャ評判悪いです(笑)。

ホント、誰かこれを易しく解説してくれ(笑)!←ヘタレ

まあ、そんなワケで、ここではオーソドックスに

馬券の的中率は独立事象である

としましょう。

なお数学的には、事象A、Bがあって、

P(A\cap~B)=P(A)~\times~P(B)

と表現できる場合*4の、事象A、Bを独立事象と呼びます。

連敗率

馬券を買う時大事なのは「当たる可能性」だけではなくって、「ハズれる可能性」も常に考慮していなければなりません。
一般に馬券の不的中率qは的中率pを用いて次のように表現されます。

q=1-p

例えば、的中率30%の馬券術があったとして*5、その不的中率qは次のように計算されます。

q=100%-30%\\~~=70%

まあ、これは簡単ですよね。
では、的中率30%の馬券術があったとして、2連敗する確率はいくらか?
この計算に必要なのが、前項で仮定した「独立事象」で、2連敗する確率は次のように簡単に求める事が出来ます。

q^2=70%\times70%\\~~=49%

同様に、的中率30%の馬券術で6連敗する確率は、

q^6=70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\\~~=11.7649%

そして、的中率30%の馬券術で1日中ハズれまくる(12連敗)確率は、

q^{12}=70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\times70%\\~~=1.384129%

このように、一般的にx連敗する確率は次のように記述されるのです。

q^x=(1-p)^x

幾何分布

前項で定義した「連敗率」を、もう少し数学的に「確率分布」として定義しなおしましょう。
統計学では、「x回連敗したあと、x+1回目に初めて馬券が当たる確率」を表現した確率分布を幾何分布*6として定式化しています。
数式はx=0、1、2、3・・・・・・、p>0、q>0、p+q=1として、次のようになっています。

p(x)=pq^x

例えば、的中率30%の馬券術の幾何分布のグラフは次のようになっています。

幾何分布.jpeg

上のグラフがx=0〜16の範囲(つまり連敗数が0から16連敗まで)の的中率30%の幾何分布です。
棒グラフで表されている確率(x=0〜∞)を全て足し合わせれば1になるのが確率分布の特徴です。*7

ちなみに、グラフを見てもらえば分かりますが、どんな的中率の馬券術でも投資1レース目に的中するのが一番確率が高い、と言う事が分かります。

では的中率30%の馬券術では平均で何連敗後に的中するのでしょうか? 幾何分布の期待値(平均)E(x)は次のように定義されます。

E(x)=\frac{q}{p}

上式を利用すると、

70%\div30%=2.333\dots

となり、「平均で2連敗後に的中する」と言う事が分かります。
言い換えると「3回に1回は当たる」と言う事。これは僕らの常識と照らし合わせて考えてみても納得できる結果と言えるでしょう。

では的中率30%の馬券術だったら手持ち総資金を3等分すればやり過ごせるのでしょうか?
そう考えるのは大変アブない、と言うのが結論です。平均はあくまで平均なのです。連敗と言うのはとても怖ろしい物。連敗をナメたら痛い目にあいます。そしてこのとんでもない“連敗”と言う現象を避ける術はありません。
僕らにできる事は、「連敗を計算に入れた資金マネージメント」を考案する事だけなのです。

累積分布関数

連敗を避ける事は不可能、でも連敗を考慮に入れた上での資金マネージメントを作成する事。
一体この相反したような二つの事柄を併せる事なんてできるのでしょうか?

ここでちょっと視点を変えてみます。
例えば、的中率30%の馬券術で、平均である3レース目までに的中する確率とは如何程のものなんでしょうか?
数学の問題みたいなんですが、これは「全くハズさないで投資1レース目に当てる確率+1レース目をハズして2レース目に当たる確率+1レース目、2レース目共にハズして3レース目に当たる確率」と全ての「可能性」に関して足し合わせれば答えとなります。
前項の「幾何分布」に照らして考えてみれば、

pq^0+pq^1+pq^2=p+pq+pq^2\\=30%+30%\times70%+30%\times70^2%\\=30%+21%+14.7%\\=51.147%

となります。つまり的中率30%の馬券術では50%弱の確率で投資3レース目「まで」には的中馬券を手にする事が出来るといえます(別の言い方では的中率30%の馬券術では、50%の確率で的中するまで3レース以上かかる、と言った意味になります)。
では的中率30%の馬券術で、6レース目までに的中する確率は如何なもんでしょう?
同様の議論で、

pq^0+pq^1+pq^2+pq^3+pq^4+pq^5=p+pq+pq^2+pq^3+pq^4+pq^5\\=30%+30%\times70%+30%\times70^2%+30%\times70^3%+30%\times70^4%+30%\times70^5%\\=30%+21%+14.7%+10.29%+7.203%+5.0421%\\=88.2351%

つまり、的中率30%の馬券術では88%弱の確率で投資6レース目「まで」には当たり馬券を手にする事ができるのです。
もう一つ例を考えてみましょうか?
的中率30%の馬券術で第1レースから買い始めて、最終レース(第12レース)までに的中する確率は何%でしょう?

pq^0+pq^1+pq^2+pq^3+pq^4+pq^5+pq^6+pq^7+pq^8+pq^9+pq^{10}+pq^{11}\\=p+pq+pq^2+pq^3+pq^4+pq^5+pq^6+pq^7+pq^8+pq^9+pq^{10}+pq^{11}\\=30%+30%\times70%+30%\times70^2%+30%\times70^3%+30%\times70^4%\\+30%\times70^5%+30%\times70^6%+30%\times70^7%+30%\times70^8%+30%\times70^9%\\+30%\times70^{10}%+30%\times70^{11}%\\=30%+21%+14.7%+10.29%+7.203%+5.0421%+3.52947%\\+2.470629%+1.729440%+1.210608%+0.8474257%+0.593198%\\=98.61587%

つまり、的中率30%の馬券術ですと、98%弱の確率で12レース以内に当たるという事が出来ます。
この様に、任意のx+1レース目までの累積的中率P(x)を求める場合、次の式が一般式になります。

P(x)=p+pq+pq^2+\dots+pq^{x-2}+pq^{x-1}+pq^x

そして上のような確率分布上の確率の和を特に累積分布関数(もしくは単に分布関数)と呼びます。
なお、上式をもうちょっと数学的にキレイに整理すると、次のようになります。

P(x)=\sum_{k=0}^{x}~pq^k

これが幾何分布の累積分布関数(舌を噛みそうですが・笑)の公式となります。
なお、的中率30%の幾何分布の分布関数のグラフは下の図のようになります。

幾何分布の累積分布.jpeg

ご覧の通り連敗数xが大きくなるに従って、累積分布関数の値は1(100%)に近づいていきます。
数学的に書きなおすと次のような性質を持っている、と言えます。

\lim_{x~\to~\infty}~\sum_{k=0}^{x}~pq^k=1

言い換えると、「どんな馬券術でも永遠に買い続けていくといつかは当たる」という事です。
当たり前と言えばあまりにも当たり前な話ですよね。
しかしながら、僕らにはそれを実現する無限大の資金はありません。また、有限の資金を無限大に分割する、と言うのも現実的ではありません。なんせ馬券は100円単位でないと購入できないのですから。
という事で、有限の資金で有限の分割数と言った条件の下で如何にして資金を溶かさないようにすればいいのか、が課題となるわけです。


危険率

さて、前項の議論を振り返ると次の事が言えます。

  1. 的中率30%の馬券術では総資金を3分割すれば、51.147%の確率で破産を回避できる。
  2. 的中率30%の馬券術では総資金を6分割すれば、88.2351%の確率で破産を回避できる。
  3. 的中率30%の馬券術では総資金を12分割すれば、98.61587%の確率で破産を回避できる。

上のテーゼは次のように言い換えることも出来ます。

  1. 的中率30%の馬券術では総資金を3分割すれば、破産する確率は48.853%である。
  2. 的中率30%の馬券術では総資金を6分割すれば、破産する確率は11.7649%である。
  3. 的中率30%の馬券術では総資金を12分割すれば、破産する確率は1.38413%である。

当たり前の話ですが、破産する確率と累積分布関数の値はトレードオフの関係になっています。
そこで、破産する確率を危険率αとして定義すると、次のような関係になっています。

\alpha=1-P(x)\\=1-\sum_{k=0}^{x}~pq^k

この危険率αを0%にする事は有限の資金、有限の分割数を考えると原理的に不可能です。
しかしながら、主観で・・・・・・個人的に納得できる程度まで小さくする事は理論的には可能なのです。そして、それによって総資金の分割数を決定する事も可能となるわけです。
そこで、上の式を書き換えて、

\sum_{k=0}^{x}~pq^k=1-\alpha

とした時、xに付いて上の方程式を解けるのかどうかが、焦点となるわけです。

等比数列の和

ところで、次の2つの数式を見比べてみてください。

  • \sum_{k=0}^{x}~pq^k=p+pq+pq^2+\dots+pq^{x-2}+pq^{x-1}+pq^x
  • S_n=a+ar+ar^2+\dots+ar^{n-2}+ar^{n-1}

最初の式は先程の幾何分布の分布関数の方程式です。
もう一つの式は高校数学でお馴染みの、初項a、公比r、項数nの等比数列の和と呼ばれるものです。両者とも大変良く似ていますね。
この「大変良く似ている」と言うのは数学的には重要な性質です。言い換えると、幾何分布の分布関数の方程式は初項p、公比q、項数x+1の等比数列の和と捉える事ができるのです。
また、等比数列の和には次の公式が存在していました。

S_n=\frac{a(1-r^n)}{1-r}

従って、これを利用すると、幾何分布の分布関数は次のように書き換えられます。

\sum_{k=0}^{x}~pq^k=\frac{p(1-q^{x+1})}{1-q}

ここで、q=1−p⇔p=1−qに注意すると、結果分母と分子は約分が出来て、

\sum_{k=0}^{x}~pq^k=1-q^{x+1}

と大変簡単な式に変形する事ができるのです。
よって、危険率と累積分布関数の関係は、

\sum_{k=0}^{x}~pq^k=1-\alpha\\1-q^{x+1}=1-\alpha\\~\therefore~q^{x+1}=\alpha

となります。

対数変換

あとは上で得られた方程式をxに付いて整理すればいいだけなんですが、ご覧の通り、

q^{x+1}=\alpha

とxを含んだ項が不的中率qの指数となっています。
こう言う場合は、底は何でもいいので、取りあえず両辺対数を取ってしまいます。*8

\log~q^{x+1}~=~\log~\alpha~\

そして、対数の公式としては次のようなものがあります。

nが正の数のとき、\log_a~x^n=n\log_a~x

これを利用して与式を整理すると、

(x+1)\log~q=\log~\alpha~\\~x+1=\frac{\log~\alpha}{\log~q}

このままでも構わないのですが、もう一つの対数の公式、

\log_x~y=\frac{\log_a~y}{\log_a~x}

を利用して整理すると、結果、

x+1=\log_q~\alpha

となります。これが分割コロガシの総資金最適分割数を決定する公式となり、それは馬券の不的中率q=1−pを底とした危険率αの対数として求める事ができるわけです。
なお、左辺の+1を移項しない理由は、あくまでもxは連敗数であり、連敗数+1レース目で的中するギリギリのラインを表しているからです。
よって、これが気になる方は分割数n=x+1とでもして、

n=\log_q~\alpha

と覚えておけば宜しいでしょう。

分割数の例

では実際に前項で求めた総資金最適分割数の公式を用いて、様々な的中率の馬券術での最適分割数を求めてみましょう。
例えばここに総資金が4万円あって、的中率30%の馬券術があるとする。破産危険率を5%(つまり、95%の確率で分割コロガシは成功し、と同時に20回に1回は破産する)として、一体いくらから投資金額をスタートすればいいのか?
公式を用いて計算すると次のようになります。

n=\log_q~\alpha~\\=\log_{0.7}~0.05\\=8.399054

つまり、4万円を8〜9分割程しておけば、95%の確率で分割コロガシは成功するのです(そして20回に1回の割合で失敗します)。この場合初期投資額は4,400〜5,000円くらいになりますね。
今度は的中率25%の馬券術だったら如何な物でしょう?その他の条件は全て同じとします。

n=\log_q~\alpha~\\=\log_{0.75}~0.05\\=10.41334

今度は4万円を10〜11分割程しておけば95%の確率で分割コロガシは成功します。この場合、初期投資額は3,600〜4,000円程度になりますね。
もう一丁行ってみますか?的中率15%の馬券術だったら如何程のものでしょうか?

n=\log_q~\alpha~\\=\log_{0.85}~0.05\\=18.43313

4万円を18〜19分割程度にしておけば95%の確率で破産を回避できるようです。初期投資金は2,100〜2,200円程ですね。
的中率だけでなく、危険率も色々変えてみて、ご自分の馬券術に合わせた最適分割数を探してみてください。
なお、これは個人判断の範疇ではありますが、端数は切り上げて考えた方がより安全だと思います。

総資金分割表

なお、ものぐさなお方の為に、ここで総資金分割表なるものを挙げておきます。
的中率は大穴狙い(5%程?)から堅実な複勝狙い(60%程度?)まで対応できるように5%刻みで掲載いたします。
また、どんなに口を酸っぱくして言っても、

「ワイは馬券をハズしそうな時のドキドキ感がタマランのや!!!」

等と言った奇特なお方もいる事でしょうし(笑)、逆に

「万が一、資金が溶けてしもうたら目も当てられへん」

と言った慎重なお方もおいででしょう。なので、危険率の幅も10%〜0.01%(文字通り万が一の確率)と取り揃えております。
自分の馬券の的中実績、そしてお好みの破産危険率と相談して最適な分割数を決めてください。
なお、端数は切り上げ、となっています。

危険率
馬券の的中率10.00%5.00%1.00%0.10%0.01%
60%346811
55%346912
50%4571014
45%4681216
40%56101419
35%67111722
30%79132026
25%911172533
20%1114213142
15%1519294357
10%2229446688
5%455990135180

なお、余談ではありますが、&amazon;で著者の鶴田仁氏が、

「的中率25%の馬券術で総資金を24分割」

と言っていましたが、これは計算上破産する確率が約1000分の1と言った大変小さな値となっています。
もちろん、数学的に計算して出した値ではなくって、経験上のものなんでしょうけど、非常に理に適っていると思います。
プロの経験と勘って怖ろしいものですね。


コメント

  • 1'
  • 1 >むーてんさん

ごめんなさい。ここのレスに気付きませんでした(苦笑)。遅レスです。

>なかやさんのところの分割コロガシシュミレータの場所がわからない

確かココに置いてあったんじゃないかしら・・・・・・?最近カズキング1031さんもダウンロード出来たらしいんで、無くなってはないとは思うんですが・・・・・。なかやさんもちょくちょく細かいみんなが気付かないようなトコ変更しますからねえ(笑)。

>本命サイドと穴サイドの場合、律速段階を過ぎたあとの資金の増え方は違いがあるんでしょうか?

トータルの「殖え方」に関しては、どちらもあまり変わりありません。ただし、利殖スピードそのもので語るなら、一般には本命側の方が有利です。と言うのも、連勝の確率がやっぱり高いからなんですね。続けざまに引っ掛かれば、それこそ爆発的にそこで利殖スピードが跳ね上がるから、です。反面、穴の方はやはり的中するまで時間が掛かるので、一発の返りは大きいですが、また引っ掛かるまで時間を要します。 -- 亀田? 2006-07-29 (土) 09:22:08

  • 亀田さん、おはようございます。なかやさんのところの分割コロガシシュミレータの場所がわからないので質問ですが、ちなみに本命サイドと穴サイドの場合、律速段階を過ぎたあとの資金の増え方は違いがあるんでしょうか? -- むーてん? 2006-07-18 (火) 07:22:23
  • 増額投資のところも議論が盛り上がってますが、普通の人がいわゆる投資感覚で利益をあげようと思えば、やはりコロガシだと思ってるのですが。問題は的中率が高くて回収率100%越える馬券術の確立です。もっともこれに近いのはやはり複勝馬券なんでしょうね。投資に向いているのは良く分かるんですが、競馬というギャンブル性を考えると普通の競馬親父は物足りないのが本音です。やはり、馬単や3連複で一攫千金を狙いたいのが本音です。しかし、良く考えれば1レースを馬単などで高配当を1点でしとめるのは至難の業で、それこそ確率低くなっちゃいますね。ただ、いかに複勝といえども1点勝負はストレスですね。馬券をうまく組み合わせてレース単位での的中率アップと全体としての回収率100%越えの馬券術を身につけたいとは思っていますが。でもレース単位でみると結局は150〜200%程度になっていて、複勝1点勝負と変わらないことが多いのも分かってはいるんですけど。 -- むーてん? 2006-07-17 (月) 20:27:32

>つまり1番人気の勝率×2番人気の2着率+1番人気の2着率×2番人気の勝率ですから20%にはならないでしょう。

これはごもっともな指摘だと思います。
一応、僕の見解では1番人気の連対率×2番人気の連対率、と言うのは馬連の出現頻度を語る上で近似式とすれば依然有効だとは考えています。
問題は次のような事です。
正確な計算をすれば、むーてんさんが仰った通りになるんですが、では理論値を求める場合、単勝1番人気の勝率(約35%)×単勝2番人気の勝率(約18%)で約6%を連対率同士の積、20%から引かなければなりません。が、今度は引きすぎちゃうんですよ。勝率同士でもこれなので、今度は2着同士引くとしたら・・・・・もう、お分かりでしょう。
つまり、現実のデータでさえ、同着が含まれてますが、データから取った理論値が現実の連勝馬券のデータの動向とあまりにも合わないんですね。これだったら一応連対率×連対率の近似計算の方がまだマシなんじゃないか、と思えてきます。
もちろん、実際は単勝1番人気の標本数と単勝2番人気の標本数が同じではない、と言った理由もあるんでしょうが、どうもそれだけでの誤差では説明しきれない何かが連勝馬券と言った計算にはでて来るように思います。
簡単に連勝馬券の頻度を理論的に計算できない難しさが、何かしら背後にあるように感じています。

>例のケリーの公式で面白い例がありました。クイズダービー攻略法というものです。

ジャイトロファでしょ(笑)?僕も読んだ事があります(笑)。

>コロガシで利益をあげようとしたら、本命馬券(確率高い)でないといけないんですね。穴を狙う傾向がある私にはつらいです。

原理的にはコロガシで穴狙いも可能です。ただし、分割数が増えていくのですね。
つまり、理論的には、穴狙いの方が、本命狙いよりも余計に準備金が必要になってしまう、と言った意味です。
例えば、上の分割コロガシ表ですと、仮に、回収期待値100%以上的中確率60%の複勝狙いで、破産回避率0.01%で設定した場合、用意する金額は、最低馬券購入代金100円を鑑みれば1,100円用意すれば済みます。が一方、同じく回収期待値100%以上、的中確率5%の馬券術の場合、同条件で準備金はその16倍にあたる18,000円用意しなければならない、と言う事です。
単にこれが大きいだけなんで、それでも構わない予算が立てられるのならその限りではないと思います。 -- 亀田? 2006-07-17 (月) 18:31:36

  • 単勝1番人気の連対率54%、2番人気の連対率37%だとすると、1番人気-2番人気で決まるのは1番人気が1着-2番人気2着あるいは、1番人気2着-2番人気1着ですから、単純な計算では、1番人気の勝率と2着率と2番人気の同じものが必要ですから、単純な54%×37%にはならないと思います。つまり1番人気の勝率×2番人気の2着率+1番人気の2着率×2番人気の勝率ですから20%にはならないでしょう。まあ、1着同着ということもあるんですけど(笑)。話はかわりますが、例のケリーの公式で面白い例がありました。クイズダービー攻略法というものです。要旨は篠沢教授に賭けるよりもはらたいらに賭けつづけたほうが10万円に届くというものです。コロガシで利益をあげようとしたら、本命馬券(確率高い)でないといけないんですね。穴を狙う傾向がある私にはつらいです。競馬で最後に笑うのは本命党なのだ、という格言めいた言葉を思い出します。 -- むーてん? 2006-07-17 (月) 11:05:38

>連馬券の勝率は?。それとも馬連の出現頻度を代用でもしているんでしょうかね。

こりゃまたすさまじい指摘ですね(笑)。
データ弄くっていれば気付きますけど(当然むーてんさんも気付いているでしょう)連勝馬券の確率計算は至極困難です。と言うか、この辺りから「事象の独立性」って仮定がかなり疑わしくなっていますよね(笑)。僕もその通りだと思います。
例えば単勝1番人気の馬連の連対率が大体54%前後、単勝2番人気のそれが37%くらいあるんですが、そうすると、単勝1番人気と単勝2番人気の組み合わせの馬連の的中率は大体概算で20%程度はなければなりません。
ところが、そう言った馬連の的中率は15%程度しかありません。一体どうなっているのでしょうか?5%も低下しているのです。
ここで確率は収束するって議論が出てきてもいいのですが、いい加減馬連が登場してから日も経っているので、これもアヤシイんですよね。
単純に言うと、仮定としては、

組み合わせには何らかの相性がある

って考えた方が妥当かもしれません。
単勝人気順ではないですが、伊吹雅也さんと仰るお方が騎手同士の相性に付いて、&amazon(480940384X);でこれに付いて語っています。つまり、連対率がそれぞれ確固とした数字を持っていながら、Aって騎手はBと言う騎手を良く連れて(連絡み)くるが、一方Cと言う騎手はBと言う騎手と相性が悪い、と。
そうすると、騎手A-Bの馬連と騎手B-Cの馬連ですと、それぞれの的中率は

P_{place}(A)~\times~P_{place}(B)~\\~P_{place}(B)~\times~P_{place}(C)

となる*9筈なんですが、そうはならない、と。馬連B-Cは計算上の的中率より遥かに落ちるそうです。こう言う現象は面白いですね。
いずれにせよ、ケリーの公式の単純な競馬への適用と言うのは難しい事には変わり無い、と僕も思います。 -- 亀田? 2006-07-17 (月) 05:40:15

  • ちょっとケリーの公式をつかった有料競馬情報会社のページを覗いてみました。買い目それぞれに総資金の何%を賭けるようにしているみたいです。単勝とか複勝の一点買いなら、過去の自分の勝率がある程度出せると思うんですが、これが連勝馬券を複数買うときなんかはどうしたらよいのやら。ケリーの公式では勝率がわからないとダメなんじゃないですか。単複ならともかく、連馬券の勝率は?。それとも馬連の出現頻度を代用でもしているんでしょうかね。 -- むーてん? 2006-07-16 (日) 19:08:47

>律速段階を堪える忍耐力はちょっと自信がないなあ(笑)

あはははは(笑)。
ただ、知ってる限りこの分割コロガシが今の所最強の投資法ですね。
他に、雑誌競馬王で取り上げられていたケリーの公式*10が他の有力候補になり得るかもしれません。が、調べてみた限り、ケリーの公式と言うのは少なくとも現段階では競馬にあまり適さない*11事が分かっています。
ケリーの公式の場合、単純なケースですと、それこそコイン投げのような確率が変動しない場合の仮想的な設定での議論*12でして、一方、競馬のような、どう考えても条件によって確率が揺らぎそうなゲームの場合、プロパーにユニークな確率分布を設定しなければならないんですが*13、それこそ、一般論でこう言う確率分布を使えと指定するのが至極難しいんです。そう言ったワケで、ケリーの公式は確かに可能性はあるんですが、実用面では困難が伴なうと思いますね。*14
その点、分割コロガシでしたら、ご自分の的中実績に従って比較的簡易に計算できるので、プラグマティックな意味では遥かに強力だとは思っています。 -- 亀田? 2006-07-14 (金) 15:59:52

  • 亀田さん、コメントありがとうございます。そうですね、一気に取り返そうとするのがこれまでのコロガシだったような気がします。でもいわゆる律速段階を堪える忍耐力はちょっと自信がないなあ(笑) -- むーてん? 2006-07-14 (金) 15:14:42

>総資金を3分割するのであればオッズはすくなくとも3倍より大きくないといけません

いや、必ずしもそうとは限りません。
確かに、「1回の的中で一気に損失分を取りかえそう」と言うのなら、その考え方は正しいです。3分割ならオッズは3倍以上と言うように、です。
ただし、ここで必要とする条件はもっと緩やかで、それは

回収率が100%超えている馬券術である

これだけです。
例えば、的中率60%の複勝狙いの馬券術ですと、平均でオッズが1.7以上あれば、たとえ危険率が1%=6分割だとか危険率が0.01%=11分割でも理論的には利殖は充分成功します。
詳しくはなかやさんのところに置いてある分割コロガシシミュレータで見てもらえば分かりますが、初めは資金の増え方は緩やかですが、後半になればなるほど資金が増減を繰り返しながら爆発的に増大していきます。*15
逆に回収率100%を切る馬券術ですと、さすがの分割コロガシでも資金の目減りが起こります。それもやはり確率通りなんですね。
一回分割コロガシシミュレータを手に入れてシミュレーションしてみて下さい。 -- 亀田? 2006-07-14 (金) 14:39:47

  • 分割コロガシはリスクを少なくするためには大切な考え方ですが、問題は的中した時の利益です。つまり的中したときに元本以上の資金が残っていなくてはいけません。コロガシは資金を雪だるま式に増やそうというのが目的ですから、的中時の配当を考える必要があります。総資金を3分割するのであればオッズはすくなくとも3倍より大きくないといけませんし、分割数に応じたオッズでないとコロガシはできませんね。今回の破産危険率を考慮した分割数とそれに見合う配当が得られる馬券術が必要ですね。 --むーてん? 2006-07-14 (金) 13:17:11

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*1 実際の話、サイコロやコイントス以外で、“完全独立事象"の現象を探す方が難しいでしょう。この仮定が容易に満たされていないケースの方が圧倒的に多く、かつこの数学的要請はかなりキツいモノなので、現実世界への統計解析技術の転用が凄く難しい理由でもあるのです。
*2 実際、僕自身はあまり詳しくないですが、“勝負気配読み”の中では“独立事象ではない”として扱っている馬券術もあるようです。ゴッチンさん?
*3 こう言う“数学的扱いの容易さ”で仮定を決定してしまう事は、応用数学の世界ではワリと良くあります。
*4 ちなみに∩は積集合の記号で、意味は“かつ”。つまり、P(A∩B)はAかつBが起きる確率、の意。
*5 ただし、暗黙の了解として、当然回収率100%超えの馬券術である、とします。
*6 幾何分布の名前は“幾何級数展開”に由来していて、“幾何学”とはまるっきり関係がありません。このように、確率分布の名前は一般に、それが指し示している意味ではなく、人の名前であるとか、式の公式への類似性から名付けられているケースが圧倒的に多いのです。それがまた確率分布の“意味”を分かりづらくしているのですね。
*7 正確に言うとそれが確率分布の“定義”です。
*8 対数の底は2でも3でも構いません。一般に簿記会計や他の文科系では10を底とし、一方、自然科学等の理科系では底をネピア数e= 2.718282・・・・・・と言った無理数にするのを好みます。文科系(経済学以外)が10を好む理由は、複利計算の過程で10の指数関数が良く出てくるからであり、理科系(経済学も)がeと言ったヘンな数を好むのは、微分・積分が行いやすいから、です。なお、10を底とした対数を通称“常用対数”と呼び、eを底として対数を“自然対数”と呼びます。
*9 ちなみに、英語で"place"とは「2着以内」の意。実は日本ではあまり知られていないが、アメリカでは日本で言う複勝馬券は2種類あって、2着以内に入る馬の馬券を"place"、そして日本で言う通常の複勝馬券を"show"と呼ぶ。つまり、連対率とはprobability of a placeになると思います。そして複勝率はprobability of a showでしょう。多分(笑)。
*10 平たく言うと分割コロガシの一種です。がアプローチが若干違います
*11 と言うか正確に言うと、条件を設定するのが少々ややこしいです。
*12 雑誌「競馬王」で取り上げられていたのはこの段階の議論。
*13 一般には経済学系のアイディアで“ケリー基準”と呼ぶらしい。これが“ケリーの公式”の一般化です。
*14 この辺りの話は理系の僕の専門外なんで(笑)、経済系に詳しいお方がいたらそちらに訊ねられてみたら宜しいでしょう。
*15 なかやさんのトコにおいてあるのはちょっと古いタイプだったと思います。そのうち修正予定です。