SCSI


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Small Computer System Interface

SCSI (スカジー、Small Computer System Interface)は、主に周辺機器とコンピュータなどのハードウェア間のデータのやりとりを行うインタフェースである。SCSIを使用可能なインタフェース装置をSCSIインタフェースと呼ぶ。ANSI(米国規格協会)によって規格化されている。

読み方

「スカジー」という発音は英語圏での一般的な発音「scuzzy(スカジィ)」が元になっている。 (が、英語圏でも「sexy(セクシィ)」などの異称が存在する。) 日本では「スペイン語圏の人間が英語で「Excuse me」を発音した時の音が元になっていると言う説」が流布されているが、誤謬の可能性が高い。スペイン語で英語の「Excuse me」をそのまま発音すると「エクスクセメ/エスクセメ」となり、またスペイン語に訳した場合はまったく違う言葉になる。あるいは強引に「excuse」を言い訳の意として「excusa」に訳しても読みは類似しない。 英語の「Excuse me」をスペイン語に類似するイタリア語に訳した場合「Scusi(スクゥジィ)」となり、「SCSIをイタリア語のScusiに見立ててイタリア語読みをした」という説が誤って流布した可能性がある。

歴史

パソコンやワークステーションと周辺機器との接続インタフェースとして、シュガート社のSASIを拡張し、ANSIによって規格化されたバス型のインタフェースである。8bitまたは16bitのパラレルインタフェース。SCSI-3ではシリアル型もある。

概要

SCSIバスの基本

SCSIは、周辺機器を接続するインタフェースではあるが、コンピュータと周辺機器という、主従関係ではなく、各機器が対等の動作をすることを基本として設計されている。入出力要求を行なう要求を出す機器(イニシエータ)から実際の動作を受ける機器(ターゲット)に対して指示を行ない、その結果を返す、という形で動作する。

一般には、インタフェース1台に複数のSCSI機器を接続するものであると認識されているが、実際には複数台のパソコンで1台のディスクを共有するなどの構成も可能な仕組みになっている。すなわち、イニシエータは1つのバス上に複数の機器が存在してもよい。しかし、実際には、コンピュータがバス上の唯一のイニシエータで、各周辺機器(ディスクやテープ装置など)はターゲットとしてのみ動くのが普通である。


SCSIの概要

SCSIバスから各機器のコントローラやホストバスアダプタまでの接続線をスタブと呼称し、規格上は各々の機器につき15cmまでが許容されている。また、SCSIバス上での機器の間隔は25cm以上が推奨されている。

SCSIはバス形式ではあるが、各機器を数珠つなぎで繋いでいくため、デイジーチェーン接続とも言われる。各機器は1つのSCSIバスに接続しなければならない。また、バスの両端には信号の反射を防ぐため、ターミネータを接続しなければならない。なお、ターミネータは、必ずしもバス終端に接続されるわけではなく、ホストバスアダプタやSCSI機器に内蔵される場合もある。

SCSIバスに接続する各機器はSCSIデバイスと呼ばれる。各々0から7(または15)までの番号で区別される。この番号のことをSCSI IDという。通常、SCSI機器は各々、明示的にSCSI IDを設定しなければならないが、SCAMという拡張仕様を用いることで、自動的に設定することも可能である。

SCSI IDは、7→0,15→8の順にバス使用優先権が割り振られるため、コントローラのIDは7に、処理が遅くバスを頻繁に開放する機器(テープドライブやCD-ROM等)に優先順位の高い番号を割り当てる。

また、各々のSCSIデバイスは、さらにユニットを8つまで持つことができる。これをロジカルユニットという。各ロジカルユニットには番号がつけられる。この番号のことをLUN(Logical Unit Number)という。ロジカルユニットは、1つのデバイスで複数の媒体を持つことができる多連装CD-ROM装置や、ディスクアレイ装置、多連装テープ装置などで使われる。 注)ディスクアレイ装置の場合、LUNではなく、RAIDコントローラを介して内部に別のSCSIバスを用意しそこにHDDを接続する実装が殆どである。

もっとも、一般向けの機器でこれを用いているのはPD、DVD-RAM、多連装CD-ROMドライブ程度であるため通常の使用においてはまず気にする必要は無い。

SCSI装置の区分

SCSI装置はいくつかの種類ごとにカテゴリ分けされる。たとえば、ディスク装置、テープ装置などであり、それぞれのカテゴリごとに利用できるコマンド類が定義される。これは、ディスクはランダムアクセスできるが、テープはシーケンシャルアクセスしかできないため、ランダムアクセスのコマンドは定義しようにもできないからである。

SCSIのバス幅

並列(パラレル)SCSIでは、8ビット幅(NARROW)では50芯、16ビット幅(WIDE)では68芯のケーブルを用い、各機器をバス接続する。バスの両端には終端抵抗(ターミネータ)が必要である。 NARROWでは8台、WIDEでは16台のSCSI機器を接続できる。

なお、SCSI-2の16/32ビットWIDEはNARROWにケーブルをもう1本追加するものであったためまったく普及せず、SCSI-3で廃止され、新たに16bit WIDEが規定された。 通常、WIDEといえばSCSI-3の16bit WIDEを指す。

規格

規格の基本

アダプテック製SCSI-2インターフェイスボード

バッファロー製PCカード形SCSI-2インターフェースボード

SCSIは何度か規格を更新し、速度の向上や機能の追加が行われている。 SCSI-1 1986年にANSIにて制定された最初の規格。HVD(電圧差動型)もこの時点で制定されている。 CCS(Common Command Set) SCSI-1制定後、色々と開発されたHDD以外の製品などの制御方式を統一するために業界が制定したコマンドセット。ANSIとは無関係である。 SCSI-2 1989年にANSIで制定。CCSをベースに、Fast10、16bit/32bit WIDE(要オプションケーブル)、ケーブル、ターミネータの抵抗値、コネクタ形状、パリティの必須化、記憶装置以外の周辺機器(モデム、スキャナ等)の接続機能等が規格化された。 SCSI-3 1992年にANSIで制定。WIDEの再定義、シリアルSCSI、Fast20等、包括的に様々な仕様が定義された。これ以降の機能追加(Ultra2、U160、U320)はSCSI-3の改訂と言う形で行われている。

SCSI-2や3という規格名より、Wide SCSI、Ultra SCSI、Ultra Wide SCSIなどという名称のほうが一般的である。

SCSIには、転送速度やバス幅以外にも電圧、伝送方式による違いがあり、現状、SE(シングルエンド)、HVD(ハイボルテージディファレンシャル)、LVD(低電圧差動型:ローボルテージディファレンシャル)の3種類の機器が流通している。SEとLVDに関してはピン互換性があり、また、電気的に相互に接続する事が可能となるよう設計されているが、HVDについては、電気的互換性が考慮されていないため、誤って接続すると機器の故障の原因となるので注意を要する。