デマンド ドリブン マニュファクチャリング



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デマンド ドリブン マニュファクチャリング

== リアルタイム エンタープライズの実現に向けて ==

デマンド ドリブン型経営への転換

製造企業が顧客とサプライヤの間で板挟みに合いながらも生き残ってゆくためには、日常業務のキーとなる次の3 つの事に取り組まなければなりません。

第一に、企業ビジョンの転換です。かつてのように効率性を重視した経営戦略は、現在のように複雑で競争の激しい製造環境には効果がありません。それよりも自社に独自の能力を発見し、それを活かすことで顧客のニーズを満たす製品やサービスを提供し、利益へとつなげることが重要なのです。企業の長所に徹底的に集中するという経営戦略のシフト、そしていかに顧客の問題を解決する特定の製品やサービスを提供し独自性を確立できるかということが、製造企業の新たなビジョンと企業目標の礎となります。

第二に、この新たなビジョンを支えるとともに製造プロセスにおける制限を軽減して改善を促進するように、ビジネス ルールとビジネス プロセスをビジョンに合致させることです。ビジネス ルールとビジネス プロセスを変えない限り、ビジョンを実現することは不可能です。そしてこの新しいビジネス ルールは、これらを支えるテクノロジのフレームワークとなるのです。

第三に、デマンド ドリブン型企業への転換に向けた新しいスリム化技術の適用です。Gartner社 リサーチ ディレクタのBrian Zrimsek 氏は「スリム化技術は、製造企業に価値ある生産性をもたらします。リーン生産方式は、サプライ チェーン アプリケーション、生産アプリケーションおよび基幹システムを統合するテクノロジによって支えられ、無駄を排して収益幅を増大させることのできる戦略的なアドバンテージをもたらします」と指摘しています。ビジョン、ビジネス ルールそしてテクノロジをしっかりと見極めて、それら全てを合致させた時にこそ、デマンド ドリブン型の経営で成功するために必要な相乗効果を生み出せるのです。

デマンド ドリブン マニュファクチャリングの展望

デマンド ドリブン マニュファクチャリングの概念は、本質的にシンプルなものです。そこでは、顧客からの需要シグナルが生産計画や生産業務を動かします。うまくいけば、生産や購買、サプライチェーン工程が短縮され、同じリソースを使いながらもスループットが向上し、さらに収益を増大させることが可能です。このようなリーン環境では、在庫レベルを抑えながらも注文履行率や総収益を引き上げることが可能です。 リーン生産方式、制約理論 (TOC)、販売・生産計画 (S&OP) を統合することで、リソースを追加せずともより高品質なアウトプットを生み出すことのできるデマンド ドリブンマニュファクチャリングは、次に挙げる 3 つの原則にしたがって運用します。

第一の原則は、その日の顧客の需要を満たすのに必要なものだけを生産することです。そうすることで、大量バッチや大型ロット生産にありがちな過剰在庫を削減することができます。これについて、S&OP の生みの親である Dick Ling 氏は「今日の経済における成功の可否の大部分は、いかに効率的かつ効果的に需要を満たすことができるかにかかっています」と述べています。

第二の原則は、需要の引き金が原材料の消費であるかまたは完成品の販売であるかにかかわらず、リアルタイムな需要に基づいて要員を確保して在庫を補充することです。これについて、JCIT社 CEOのDean Gilliam 氏は「純然たるデマンド ドリブン型システムでは、一日中シグナルが送信されています。たとえば、材料が少なくなったことをシステムが検知すると、保管場所から材料が取り出され、次に在庫を補充するようにサプライチェーンへとシグナルが送信されます」と説明しています。

第三の原則は、業務を成功させる上で最もクリティカルとなるものを測定・評価する能力、そしてそれに対処する能力を磨くことです。成功するデマンド ドリブン型企業は、スループットの正確な指標を測定するパフォーマンス評価基準を実装しています。評価基準は、小売業における商品投下資本粗利益率 (GMROI) であったり、製造業における在庫ダラーデイズであったりしますが、要するにある品目のサプライチェーンにおけるスループット バリューとスピードの両方を数学的に組み合わせたものになります。

そして、リーン生産、TOC、S&OP による相乗効果をてこに、スループット バリューを上げることが最終目標となります。現在の製造企業は資本設備と労働力におけるコストとリソース稼働率を元にサプライチェーン計画を策定しています。そこではフル操業で生産を行っている工場が優良な工場と見なされます。しかしながら、デマンド ドリブン マニュファクチャリングではさらに重要な質問を投げかけます。たとえば、工場は予測によって計画された商品ではなく、実際の需要に応じて適切な商品を生産しているかどうか、またそれらの商品は、計画された時間ではなく適切な時に生産されているかどうかです。Gilliam 氏は次のように述べています。「材料が穿孔、折り曲げ、塗装などを行う前の未加工の状態であれば、必要な時に、お客様が実際に望んでいる通りに簡単に加工することができます。これは予測に基づいて作るのとは対照的です。これが、デマンド ドリブン マニュファクチャリングの基本前提となります。」

また、デマンド ドリブン マニュファクチャリングでは、社内・社外を問わずサプライチェーン内部に存在する制約(またはボトルネック) を発見することに力点を置いています。個々のボトルネックの解決に計画性をもって取り組み、そうすることで業務を助長します。そこで重要性を増してくるのが、重大なボトルネックを予測できる能力です。実際、ほとんどの企業はそのための分析ツールを持ち合わせていません。Gilliam 氏は次のように説明しています。「たとえば、在庫補充シグナルが 20 のサプライヤに送信され、その中の 15 のサプライヤが予想どおりに対応した場合、残りの 5 つのサプライヤは、品質や納品になどの問題があるという可能性を示唆しています。純然たるプル型システムに制約理論を適用すれば、サプライヤが原因となっているボトルネックを発見し解決することができます。こうした分析力の強化によって、最も効率的かつ効果的なデマンド ドリブン型生産環境を作ることができます。」 サプライチェーン上の制約を体系的に検知し解決するためには、企業の内外を通して可視性を高めることが必要です。高度な洞察力とボトルネックを軽減する能力によって、製造企業のスループットと価値の向上が実現するのです。

デマンド ドリブン型企業と一口に言ってもわかりずらいかもしれませんが、事実、それにはコスト重視の考え方からスループット重視の考え方への大幅な経営シフトが求められます。そして、デマンド ドリブン型の世界に飛び込むには、顧客の需要にリアルタイムに応えるという新しい優先事項に対応するように報酬計画や奨励金計画を合致させなければなりません。この目標は生産業務や物流業務における報酬・奨励金だけでなく、販売業務やマーケティング業務にも同様に影響を及ぼします。すべての生産プロセスがスループット バリューを向上させることにフォーカスするなら、パフォーマンス評価基準もこの新しい優先付けに対応するように変更しなければなりません。業務目標、パフォーマンス測定・評価および報酬計画におけるこのような根本的なシフトは、製造企業がサプライチェーン上にある全ての構成要素を統合できた時にのみ達成することができます。それはつまり、サプライヤ、顧客、従業員とのより緊密なコラボレーションを意味します。

Ling 氏は次のように説明しています。「今では、動的でコラボレーティブなプロセスに複数の人々が関わることができるようになりました。以前は、社内・社外の両方に真のコラボレーションが欠如していました。それは、静的で断片化されたデータにしかアクセスできない上に必要な人をタイムリーにプロセスに参加させることがほとんどできなかったためです。現在では、グローバルかつリアルタイムに情報へアクセスできることから、必要な人々と連携して計画サイクルを短縮化することができます。また、ソフトウェアを使って顧客とサプライヤとデータを繋ぐことで、このコラボレーションを実現させることができます。」

リーン生産、TOC、S&OP を統合すれば、その成果はこれらの単なる集合体が生み出すものをはるかに上回ります。デマンド ドリブン マニュファクチャリングは、リーン生産、TOC、S&OP という個々の基本原則の影響を受けながらも、この 3 つの原則が統合された時に生まれる強力な相乗効果を享受するのです。徹底的に焦点の合った新しい企業理念、緊密に統合された生産環境をサポートするビジネス ルール、サプライチェーン上の全ての構成要素との真のコラボレーションによって、製造企業は 21 世紀を勝ち残り、強い競争力を維持し、継続的に最終利益を向上させることができます。では、このパズルを完成させる最後の1ピースは何でしょうか?それは、この新しいデマンド ドリブン型企業のすべてのニーズをサポートするように設計されたテクノロジです。

デマンド ドリブン マニュファクチャリングのためのソリューション

ピープルソフトは、デマンド ドリブン型の製造企業に生産現場から企業経営に至る完全なソリューションを提供します。ピープルソフトのサプライヤ、顧客、従業員の各リレーションシップ マネジメント ソリューションによってコラボレーティブな環境を築くことで、デマンド ドリブン型企業として成功することができます。さらに、ピープルソフトは複雑化する生産環境に応えるために、デマンド フロー テクノロジと完全な生産スループット分析セットを用意しています。

PeopleSoft サプライヤ リレーションシップ マネジメント (SRM ) を使用すれば、サプライヤ ネットワークを効率的に管理し、サプライチェーンの全てにわたるコラボレーティブなパートナー関係を築くことができます。サプライヤは製造企業の良きパートナーとして、商品やサービスのコスト低減をサポートし、今までにない高い即応性と収益性を発揮することができます。PeopleSoft SRM では、業者間で予測・実績データをオンラインで共有できるため、デマンド ドリブン型の製造企業は本当に需要があるものだけを生産して在庫を削減することができます。このように即応性が高まれば、製造企業とサプライヤの両者が流動的な需要と顧客の構成要求にすばやく対応することができます。サプライヤと製造企業とが緊密に統合されるということは、つまりサプライヤが製造企業のニーズをリアルタイムに把握し、取引履歴にアクセスし、自社の最新のパフォーマンス状況を把握するということを意味し、サプライヤがデマンド ドリブン型サプライチェーンをサポートできるということになります。

また、生産業務が顧客の需要を満たすことを中心に置くならば、カスタマ リレーションシップ マネジメント (CRM) が極めて重要になってきます。PeopleSoft CRM および CRM アナリティクスを使用すれば、顧客の行動を見抜いて顧客の需要にすばやく対応し、市場の動向を予測することができます。そして、最終収益に影響が出る前に顧客に対して何が効果がないのかを知っておくことも重要です。

デマンド ドリブン マニュファクチャリングで成功するためには、サプライヤと顧客との間で緊密な理解とコラボレーションを得ることが不可欠です。それと同時に、サプライヤの変化や顧客の需要の変化に迅速に対応できる俊敏さとスピードを持つことも重要です。そのためには、設計や管理に携わる最適な人材を集め、モーチベーションを維持し、その業績をモニターすることが、デマンド ドリブン型製造企業にとって最優先事項になります。PeopleSoft Enterprise ヒューマン キャピタル マネジメントのワークフォース アナリティクスを使えば、従業員に関する重要な情報から従業員の生産性を評価し、企業目標との合致を確認することができます。また、PeopleSoft を使ってデマンド ドリブン型経営を完全にサポートする報酬プログラムや処遇プログラムを開発することによって、ワークフォース全体を企業目標に対して合致させることが可能です。

コラボレーションは重要なポイントではあっても、それを可能にするだけではまだ十分ではありません。真のデマンド ドリブン型製造企業になるためには、複雑さを増してゆく製造業界の課題に取り組むための能力が必要です。PeopleSoftは、動的なライン設計、製品データ管理、カンバン型管理、需要の平坦化、製造現場の実行管理およびフロー原価計算など、考えられるあらゆるタイプの複雑性に対応できるソリューションを用意しています。

ピープルソフトは、より一層複雑化する製造業界の課題に対応するために、JCIT International 社が特許を取得したデマンド フロー テクノロジを製品に組み込んでいます。デマンド フロー テクノロジ を PeopleSoft のサプライチェーン ソリューションと組み合わせることによって、迅速な対応、在庫レベルの削減、そして企業内のみならずサプライチェーン全体にわたる無駄の排除を実現します。そして、それはデマンド ドリブン マニュファクチャリングに欠かせない土台となります。デマンド フロー テクノロジ は、デマンド ドリブン型企業が必要とする混合モデル方式をサポートします。たとえば、ハイテク、医療機器、消費財、工業製品の製造企業では、業務コストを削減しながらも生産構成と生産量の変更に日々対応することができます。

デマンド ドリブン マニュファクチャリングに必要なのは、徹底した即応性にほかなりません。管理者は情報に基づいた意志決定をリアルタイムに下せなければなりません。PeopleSoft 製造アナリティクスではリアルタイムなインサイトを提供し、重要なビジネス上の意思決定を下すために必要な情報を提供します。その結果、スループットが向上し、売れる商品と売れない商品を効率的に管理し、最も利益を生む製品の収益性を最大化させることができます。

PeopleSoft のお客様のひとりであるFWMurphy 社(品質管理制御装置の大手製造企業) は、デマンド ドリブン型企業におけるテクノロジの影響を容易に数値化できることに気づきました。FWMurphy 社事業部部長のMitch Myers 氏は次のように述べています。「私たちは、世界でトップクラスの生産管理を追求して次の2 つの分野にフォーカスしました。そのうちの 1 つは、リーン生産方式でした。当社は間もなく世界一流の製造企業として認められ、それ以来、リーン生産方式の最終目標に向けて進歩を重ねてきました。これまでは常に 70-80% の範囲で留まっていた納期順守率が 96-97%にまで改善されるなど、当社の達成した成果のほとんどはPeopleSoft ソフトウェアを使用することで実現できたものです。また、ビジネス上の意思決定が改善されたことで、在庫を一定に保ちながらも売上を伸ばして収益性を向上させることができたのです。」


全面的な改革

デマンド ドリブン マニュファクチャリングという新しい時代で、コスト削減とレイオフに苦しむのか、または生産性と収益性を増加させるのかは、いかに素早く市場へ対応することができるかにかかっています。製造企業として成功するには、いくつかの生産ラインを改革するだけでは不十分です。企業のビジョン、ビジネス ルール、テクノロジを、この新しいデマンド ドリブン型の使命を支えられるように変えなければならないのです。サプライヤ、顧客、従業員とのすべての関係は、スループット バリューを上げるという最終目標に向かってフォーカスしていかなければなりません。

ピープルソフトは、生産現場からオフィスまで、デマンド ドリブン型製造企業が変化する顧客の需要を認識し対応するために必要なテクノロジを手に入れることをお約束します。PeopleSoft テクノロジは、複雑さを増すプロセスに対処し、サプライ チェーン上のパートナーとのより緊密なコラボレーションを促進することを支援します。そしてリーン生産を実現するだけでなく、企業の内外を問わずサプライ チェーン全体にわたってボトルネックをピンポイントで発見し、解決することを可能にします。21 世紀を勝ち 抜いてゆく?ピープルソフトは、この実現不可能な使命を達成するためのソリューションをデマンド ドリブン型製造企業に提供するのです。