FT-901シリーズとはどんな無線機だったか? †
八重洲無線による、発売当時の最高級機。発表は1977年。だから今年(2017年)で上市からちょうど40年が経過する無線機である。
- いうまでもなく、真空管終段機(ハイブリッド機)である(12BY7A-6146B)。ハイブリッド機の最終モデルはFT-102なので、ラス2だ。
- 「シングルコンバージョンのスーパーヘテロダイン方式な受信部で、PLLを初めて本格採用」。当時ライバル関係にあったトリオとヤエスはそれぞれ、TS-820シリーズとFT-901シリーズでこの構成を初めてアマチュア用に実用化した。受信機の性能は、820と901によって劇的に向上した。
- AGCも101時代のファストアタック・スローリリース固定ではなく、FAST/SLOW/OFFとなった。つまりは、トリオ方式を取り入れたのだろう。
- 実際、受信フィーリングは良好で、 ノイズから信号が素直に離れてくる感覚はまさにシングルコンバージョンの聞き易さだ。
- ただし受信音は、静かかというとノイジー。IFゲインの配分が当時の設計ではまだ最適化されていなかったののかもしれない。101以前のガサガサした受信音とは違って耳あたりはずっとよくなったが、520トーンというかいわゆる「トリオトーン」ほど音は柔らかくない。
充実した機能。 †
40年経った今使ってみても、送受信の付加回路はかなり充実していると思う。
- ハムバンドで運用する上で今時の無線機についていてほしい機能(コンプレッサー、RIT/XIT、PBT(WIDTH)、ノッチ(REJECT)、APFなど)の大半は(性能はさておき)装備されている。その点では、ライバル・トリオの820はもちろん、一部は後継TS-830さえも凌駕していたほどだ。そのため商品価値という意味で、901以降HFの中級機以上には混信除去が付いていなければ売れなくなった。
- おまけに八重洲が得意とする、μ同調(ミュー - )と呼ばれる送受信兼用の比較的急峻な可変同調を装備している。μ同調の作りは実に精緻である。ツマミに合わせてコイルパックの中をコアがスムーズに上下する様は「よう作ったな」としか言いようがない。手づくりニッポンの工芸品。
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