会話の断片


会話の断片(仮)
霧隼翔 作

「まいったな…」
そう言って、五條警部は頭を掻いた。
+1世界との戦争が始まり、+1世界の技術を悪用する輩が出始めた。
それを捜査するのが、五條警部の主な仕事だ。
「最近は人に似た人造人間だ、人が突然消えただの訳がわかんなくなってきやがった…」
言葉からも分かるように、五條警部の歳は50は越えている。禿てはいないが、短く刈った白髪頭。四角い顔に、垂れた目が乗っている。
「昔は平和だったのにな…」
そう言って、煙草に火をつける。
「けーぶー!」
向こうから今にもこけそうになってやってくるのは炭島。
「で、どうだった。」
「だめですねぇ。あの金髪の男、何も持ってません。」
頭を掻きながら、立ち並んだ墓の近く、倒れている男の方を見やる炭島。
「+1から落ちてきたなら何か持ってるかもしれなかったのになぁ…」
「ええ…。」
その時、一人の男が炭島に話し掛ける。
しばらく会話して、炭島が五條の方に向きなおる。
「警部。この近くで、また人が消えたそうで。」
声がさほど驚いていないのは、そんなことは日常茶飯事の事だからだ。
「そうか…」
そう言って、五條警部は上を見上げる。
澄んだ空。その上では、戦いが続いている。人造人間と、この世界の人間との。
「ちょっと前までは平和だったのにな…」


あとがき
はい、どっかーん。
酷いよ〜。一気に現実味を帯びてきました。あの『記憶』が。
どう?

感想をどうぞ


2006年3月15日仮公開
©2006 月見里