【質問】 バルチック艦隊が日本海に来たから勝てたように,米軍にもこの作戦通用しないのですか?


 【質問】
 アメリカが制海空権を確保できたのは,日本軍が伸びきった戦線で戦力を消耗しまった為と思うのですが,どうでしょうか?
 バルチック艦隊が日本海に来たから勝てたように,米軍にもこの作戦通用しないのですか?

 【回答】
 バルチック艦隊は日本寄り中立の英国,その圧力を受けた他列強のせいで,地球半周の大航海の間,ろくな休憩も補修も受けられなかったことをご存知ですか?

 軍歌「日本海海戦」の一番の歌詞. いきなり敵の苦労に触れるあたり,いい趣味してます.

海路一万五千余浬
万苦を忍び東洋に
最後の勝敗決せんと
寄こせし敵こそ健気なれ

 まさに「万苦」だったわけですよ,ええ.
 これは日本とロシア,他の諸外国が基本的に中立,という条件があったから成立したわけで,極東において日本以外はすべて敵勢力,という状況ではぜんぜん成立しません.
 日本が日本海海戦のように,日本近海で米軍の侵攻を待ってたりしたら,南方航路は米潜水艦にずたずたにされ,石油の供給は途絶すること間違いなし.
 訓練も補給もまともに出来ない(資源供給の途絶とはそういうことです)ボロボロの連合艦隊が,じっくり補給線を構築して準備万端,大規模建艦計画のおかげで,ありとあらゆる艦種において,日本側を数倍しのぐ巨大な米艦隊に,一瞬で壊滅させられることになったでしょう.

 一応,日露後の海軍は「漸減作戦」といって,侵攻してくる米海軍を艦隊決戦で打ち破るという計画(まあ,基本的には日本海海戦の焼き直し)を,メインの戦略としていました.
 でも上述のように,相手が侵攻してくるのを待っているようでは,開戦後に完成した米艦の物量に押し切られてしまう.
 で,米国の戦時大増産体制によって,戦力バランスが絶望的になる前に,無理な進軍を行って,短期決戦で済ませてしまおうとしたことが
>日本軍が伸びきった戦線で戦力を消耗
するという結果になった訳で・・・

軍事板,2002/08/29

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