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Another story of ZI 第十二章:友軍との合流(1) 『先輩、どこまで行くんですか〜?』  ティア=シュラー少佐の赤いバーサークフューラーシュトルム改を追走する ピンク色のバーサークフューラーに乗るエア=オーフレ准尉が疲れたように喚く。 「ヘリックの実験部隊に言いなさい。彼らが何を見つけたか知らないけど、調べる のが任務なんだから」 『ですけど〜、サポート部隊がかなり遅れて、付いてきませんよ』  ティアは冷静になって周囲を見回す。 「そ、そうね・・・。少し距離が開いたようね。この位置で待機しましょう。一応、 向こうも止まったようだし・・・」  ティアは機体を停止させるとマルチチャンネルレシーバー(MCR)を 最大出力にしてヘリック部隊の通信を捉えようとした。どうやら戦闘を行っている ようだった。 『俺様はロブ・・・蒼い・・・貴様は・・母国ヘリック・・・仇敵・・・始末してやる・・・勝負 しろ!!』  ティアは断片的に聞こえる通信に驚く。「蒼い」と「ヘリックの仇敵」という 単語が一つの推測を予想させる。だが、 『先輩!!何か、凄い速さで近寄ってきます〜!!どうしましょう!?!』  エアがかなり慌てた様子で聞いてきた。ティアは考えにふけっていた為か、 初めてレーダーを見る。凄まじい勢いで識別信号を発信せずに接近してくる1機の ゾイドの反応があった。妙なことはこちらを無視し、ヘリック部隊の停止した 方向に向かっていた。 「友軍機じゃない・・・、かといって、こちらを攻撃する意思は無いようね。安全策を 取って無視するのが一番かしら」  ティアが判断し、 「この場で警戒しつつ待つしかないわ。エア、周囲警戒をお願い!」  エアは、反論をしなかった。サポート部隊を待ちながら、ティアはMCRでの 状況把握を実行していた。MCRからの音声に集中する。 『やっ・・・「蒼雷」・最後・・・』 『素体・・・装甲が無い・・・今度・・・息の根を止め・・・』  MCRの拾った断片的な言葉で、ティアは確信した。生死不明の、彼女の パートナーである、ブレイズ=ドレッセル中佐が前方の戦闘エリアにいる。 決定的だったのは、 『確かに装甲は無い・・・良いんだ!』  この声は!!ティアは今度こそ確信した。 『先輩どうしたのですか?』  ティアの様子がおかしいことにエアが問う。しかし、ティアは、 「エア、先行するわ!!サポートお願い!!」 『え、え〜っ!!』  動揺するエアを黙殺して、ティアはその愛機―赤いBFシュトルム改を前方の 戦闘エリアに駆る。

Another story of ZI 第十二章:友軍との合流(2) ブレイズは、意識が薄れる中で見慣れた赤い恐竜型のゾイドが接近してくるのが わかった。遠くなりそうな意識を繋ぎとめ、 「ティア・・・」  とだけ声を発した。赤いBFシュトルム改のティアからも、 『ブレイズ・・・』  一言だけ発した。だが、 『この機体は!!敵です!先輩!!』  エアのバーサークフューラーがすばやく接近して、ブレイズの素体ゼロと、 ティアはそのシュトルム改の間に滑り込むと、ブレイズ機に向けて 全方向ミサイルをばら撒く。ステップで回避するブレイズ機の着地を狙って右の バスタークローを回転させつつ、突き出す。 「クッ、一体なんだ?!」 ブレイズは姿勢を低くして、攻撃を受け流す。派手な音がしたが、掠った程度で 損害はたいしたことは無かった。カウンター気味に爪を振り、逆にエアの バーサークフューラーが吹き飛ばされ、転倒する。 『エア!!敵じゃない!!』  戦いを制止しようと、ティアの叫ぶ声もエアには届かない。どうやら戦闘中は 無線が聞こえなくなる性格のようだ。 「どうなっている?!ティア!!」  ブレイズはAZ125寸河∩ビーム砲を右ステップでかわしつつ、ティアに 呼びかける。 『・・・味方、なんだけど、勘違いしているみたい!無線に反応が無いわ!』 「バーサークフューラーに乗ったバーサーカー(狂戦士)か!厄介だな!! チョット荒療治になるが・・・」  連続して撃ち出された3連衝撃砲を更に左ステップと左前ステップでかわした。 そのままダッシュにつなぎ、慣性で滑りながら近接間合いに踏み込む。 そのまま大振りで胸部の装甲の厚い部分を狙って、引っかき、エアの バーサークフューラーを地面に叩きつけた。起き上がろうとするエアの バーサークフューラーの眼前に赤いアクティブシールドとそれから展開された刃が 突きつけられた。 『エア!!いい加減にしなさい!!!』  戦闘に参加できずにいたティアが一瞬の隙にエアの動きを抑止する。その瞬間、 『!!あれれ・・・先輩?・・・私、まさか・・・』  エアが無線に反応した。 「正気に戻ったか・・・」  ブレイズがため息を付き、力を抜く。 「後は、頼む・・・」 と、同時に限界が来たようだ。ブレイズは意識を失った。

Another story of ZI 第十二章:友軍との合流(3) ブレイズが意識を取り戻したのは白いカーテンの狭いスペース内のベッドの上 だった。 「気付かれましたか?」 医務室在勤の、白衣を着た衛生兵がブレイズに問い掛けた。 「ああ・・・、ここは?」 「ここは、レスダト海峡国境警戒部隊駐屯地内の医務室です。中佐は6時間ほど お休みになっていました。ここに軽食とメモがあります。食事が済みましたら、 退室をお願いします」  女性衛生兵は御決まりの台詞を吐くと、隣のカーテンで仕切られた個室に移った。 ブレイズは、サンドウィッチを手に取り、口に含む。ミネラルウォーターで 流し込み、メモの内容を確かめる。   [貴官の機体は先日、補給用CASパーツが届いた為、修理を開始している。 意識が戻り次第、第6格納庫に来られたし 作業主任]

 ブレイズは身支度を整え、教えてもらった順路で第6格納庫に向かった。 既に格納庫内ではブレイズのライガーゼロの機体にCAS「イクス」、正確には、 既に改造されているCAS「イクスver.XB」が取り付け作業の真っ最中だった。 その巨体を見上げながら、ブレイズは作業主任を捜す。 「ン、その有様を見ると、悪運だけは強いようだな・・・」  どこかで聞いたような悪態にブレイズは、「はっ」として振り向く。 サポート担当のビル=ジャモンの声だった。 「ああ、なんとかな。だけど、なぜお前が、ここにいるんだ?」  ブレイズが怪訝そうに聞く。ビルは、 「ハッハハ、話は複雑だが、追々話すとして、また機体の管理を担当することに なったぞ。とりあえず、これを見てくれ」  と、答え、手元のモニターを指し示す。モニターには、ブレイズのゼロ素体の パラメーターと機体各種データが表示されていた。 「CAS『イクスver.XB』を装備していた時と今回の機体状況を比べると、機体 駆動系にかなりの負担増が見られた。まあ、戦闘自体も同じじゃないから単純に 比較はできんが、な。今回位なら、駆動パーツの交換程度で済むが、こういった 戦闘が続くと、最悪、作戦行動中に機体自体の崩壊もありうるよ」  ブレイズは並列表示されたデータを見比べて、苦虫を噛んだ表情になる。 ほとんど全てのパーツがシュミレートによると限界値以上の値を示していた。 整備が専門家でないブレイズにもこの状況が示すことは良くわかった。 「機体の損害状況を見ると、これしかない時の非常手段にするさ。だが、 こんなことも有るのが戦場だ。悪いが、最悪の状況も想定して万全の整備を頼む」  ビルはうなずく。 「わかった。とりあえず、新品同様に仕上げておくさ。まぁ、お礼はメモリーに あったヘリックとゼネバスの新型機との戦闘記録で相殺だな。メモリーと言えば、 妙なことがあるんだ。作戦行動中に数時間分の行動記録が機体のメモリーに記憶 されていない、というか、消されている。何か機体にトラブルでもあったのか?」 ビルの問いにブレイズは『フォートレス・ザウルス』とその中での出来事を思い 出す。だが、現実だったのか?言うか、言わないか、答えが出なかったが、 とりあえず誤魔化しておく事にした。 「さぁ、思い当たる節は無いな・・・」 ビルは怪訝そうな表情を見せたが、 「・・・まぁいい。あと、部隊隊長が作戦の命令書が来ているから、お前が姿を 見せたら、顔を出せ、ということだったから、行ってくれ。こちらから先方には 連絡は入れておくよ」  そういって、作業に戻った。