※本作品は「華代ちゃんシリーズ番外編&ハンター・シリーズ『未来への手紙』 」の別バージョンとなっております。
こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。
最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。
さて、今回のお客様は…。
今日、警察官である僕は非番をとって故郷の神社に来ていた。
僕がここへ来た理由、それは子供の頃に埋めたタイムカプセルを掘り起こす為だ。
近くこの神社は建て直される。そうなればタイムカプセルを掘り起こすのが困難になってしまうだろう。
そこで僕は、今日そのタイムカプセルを掘り起こそうと思いここへ来たのだ。
地図を見て目的地へ向かう。自分で言うのもなんだが子供ながらによく出来ている。これで字が間違えて無ければ完璧なんだか……。
直ぐに目的地に着き僕はタイムカプセルの掘り起こし作業に入った。神社の主には事前に事情を説明しているので問題無い。
探していた物はは直ぐに見つかった。タイムカプセルとして使っていたのは古ぼけたクッキーの缶で、当時のおもちゃやら未来の僕への手紙、数枚の写真などが入っていた。
「わぁ、かなり古い缶ですね。これってなんなんですか。」
ふと、後ろから声を掛けられた。そこには白いワンピースを来た9歳ぐらいの少女が立っていた。
「これ?これは僕が君ぐらい頃に埋めたタイムカプセルだよ。」
「あっ、そうなんですか。……、どんな物が入ってるんですか?」
「興味あるなら一緒に中身を見るかい?」
「えっ、いいんですか?」
「うん、いいよ。」
「あっ、これ可愛い。この子お兄ちゃんですか?」
華代ちゃんは母が撮った写真を手にし、質問してきた。
「えっ?あっ、そうだよ。ちょうどこれが埋めた頃の写真だ。記念として一緒に埋めたんだろう。」
「お兄ちゃん、これは?」
華代ちゃんは缶の中に入ったペンライトのような形をしたおもちゃを指差して訊いてきた。
「僕が子供の頃にやっていた変身ヒーローのおもちゃだよ。たしかこれを空にかざして変身するんだ。懐かしいなぁ、子供の頃そのヒーローにすごく憧れていたのを今も思い出すよ。」
「そうなんだ♪」
「あっ、手紙がある……。読んでもいい?」
それは昔の僕が未来のつまり今の僕に送った手紙だった。
「いいよ。じゃあ、一緒に読もう。」
その手紙には、今の僕は元気にしているか、どんな仕事をしているか、夢は叶ったかなど書いてあった。
「夢、叶ったんですか?」
この頃の夢、それは『変身ヒローになって人の役に立ちたい』だったと手紙には書いてある。
にしても字が汚い。”ヒーロー”の棒線が一本抜けてる上に後の棒線と”に”がくっついて見える。
「ううん、さすがに叶わなかったかな。あっ、人の役に立つって意味じゃあ半分叶っているか……。」
「あ、あの、よければ今その夢叶えましょうか?」
「えっ?」
「あ、私こういうものです。」
“ココロとカラダの悩み、お受けいたします。 真城華代”
「えっと、華代ちゃんってカウンセラー?」
「ううん、セールスレディー。いろんな人の悩みを叶えてあげているの。」
ふ〜ん。手の凝った一人遊びだな。付き合ってあげるか……。
「じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「はい♪では、行きますよ。」
華代ちゃんがそう声をあげると例のおもちゃは一瞬光を放った。
「はい、出来ましたよ。」
「えっ?今さっきの光は一体……。」
僕は不安になって体を見回したが特に異常はなかった。……、気のせいだよな?
「あ、変身時間は1時間にしといたんでバレない様に気をつけてくださいね。じゃあ、私これからお仕事なんで失礼しますね。」
そう言って、華代ちゃんは小走りで去っていってしまった。
「な、なんだったんだ?」
タイムカプセルっていいですね。私も埋めてみたくなっちゃいました。
う〜ん、なに入れようかなぁ。まずこの名刺は外せないですよねぇ?
えっ、「華代ちゃんにしては珍しく失敗してたね。」ですか?
私失敗なんかしてないですよ?「にしては何も変わってないじゃないか。」って?
そんなことないですよ。ちゃんと仕事していますよ。見くびらないで下さい。
華代ちゃんが、帰って一時間ぐらいたったかな。
あの後、僕は後片付けをし神社の主にお礼をいってから家への帰路に着いた。
そして家に着いた頃に聞きなれない、でも聞き覚えのあるどこか懐かしい「ピコーンピコーン」という音が聞こえた。どうやら僕の頭の中だけでなっているらしい。
僕は必至にそれが何か思い出そうとした。音は時間が経つに連れて早くなっている。そしてこの音が長く続くとやばい気がする。
あっ、あのヒーローの時間切れのときになる音だ。その事に気付いた時、不意にあのヒーローが戻る時の真似をすれば治まる気がした。
駄目元だ、やってみよう。そう決意し、僕は右手を挙げ叫んだ。
「デュワ!!」
すると僕の体が光輝いたと思うとその次の瞬間には光と音は治まっていた。
僕はほっとし、思わず腰を落すとその座り心地に違和感があった。なんと言うか座りやすい。
と、腰を落した勢いの所為かなにか頬にサラっとしたものがまとわりついてきた。
「なんだ?……髪?」
そう、髪だ。それもどうやら僕自身のもののようだ。って、あれ?いまさっきの声も変じゃなかったか?
「あ〜、あ〜、あ〜。本日は晴天なり。」
やはりおかしい。こんな高い女の子のような声じゃなくって僕の声はもっと低いはずだ……。
「あっ、鏡……」
そう思いついた僕は立ち上がり洗面所へ向かった。そういえば立ち上がった時に気づいたが、視界も明らかに低くなっていた。
「・・・、これが僕?」
洗面所の鏡には綺麗な長髪の小学校ぐらいのかわいい女の子が映っていた……。
ねっ?ちゃんと解決してるでしょ?
後半は叶ってるって言ってたから変身後は相談受けたときの姿になるようにしたの。
で、手紙には”変身ヒロインなって人の役に立ちたい”って書いてあったから女の子にしてあげて……。
でも、手紙の字が汚くて読むの苦労しちゃった♪
じゃあ、お姉ちゃん、世のため人のためにこれからも頑張ってね♪
《後書きというかなんというか》
冒頭で書いた通り『未来への手紙』の別バージョン。
今回の変身アイテムのイメージはウルトラマン系のやつだったりします。
……、“ヒローに”を“ヒロイン”と読み間違えさせるのは無理あったかもw
普通に変身=魔法少女と華代ちゃんが思い込んでると言う手もあるんですけどねw
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