サーラ / 真夏の少年少女達


プリティーサーラ「真夏の少年少女たち(仮)」



〜Opening〜

   あたし、星杖沙良。夢見小5年胡桃組。
 夏っ! 夏真っ盛り! 雲ひとつ無い空にさんさんと輝く太陽は、あたし達をガンガン容赦なく照り付ける。
 でもね、みんなの夢を守る魔法少女はこんな暑さでは負けないのだ! 
 夏の暑さも何のその 魔法少女プリティー・サーラ 今日も元気にただ今到着♪


プリティーサーラ
「真夏の少年少女たち(仮)」


〜出会い〜

   夏休みのある日、あたしとアッちゃんの二人は町の中を歩いていた。
 
「暑い」
「そりゃ、夏だもん」
「暑い暑い暑い暑い暑い、あっちぃ〜!!」
「そだね、夏っぽくて良いよね♪」
「……、サーラは暑くないのかよ……」
「ん〜、確かに暑いけど……、夏ってこんな物だよ?」
「それで納得できるおまえが信じらんねぇ」
「アッちゃん、そんなに暑いならお母さんが用意してくれた服に着替えてくれば良かったのに……」
 
 アッちゃんは夏なのに関わらず身体のラインを隠すような厚手の長袖の上下を着ている。
 折角あたしより女っぽい体つきしてるのに勿体無いと思う。
 
「いやだっ、あんな恥かしいの着るぐらいなら死んだ方がましだっ!」
「えっ〜、そんな事無いよ。あたしとお揃いだからアッちゃんも絶対似合うはずだよ? あたし、あの服着たアッちゃん、絶対可愛いと思うなぁ」
 
 あっ、ちなみにあたしは淡い緑のサマードレスに麦藁帽子。
 帽子に付けた白くて長い鳥の羽がワンポイントなの♪ 
 お母さんがアッちゃん用に用意した桃色のサマードレスのセットとは色違いのお揃いなんだよ。
 
「だから余計に嫌なんだっ!」
「むぅ。絶対似合うのにぃ〜」
 
 なんだかんだ言いながらも二人して町を歩く。
 1時間ぐらい歩いてるけど目的の人物は見つからない。
 まあ、待ち合わせしている訳じゃないから当たり前と言えば当たり前なんだけど……。
 
 
「あっ」
「なんだ!? ルミナ姫が見つかったのか?」
「違うよ、レイお兄ちゃん」
「なぁんだ、レイジか……」
 
 なぁんだとは何よ、なぁんだとは! 
 レイお兄ちゃんに失礼じゃない!! 
 
「よっ、サラちゃんにアルちゃん」
「こ、こんにちは。レイお兄ちゃん」
「おっす、レイジ」
「こんな所で会うとは奇遇だね」
「は、はい。そうですね♪」
「二人ともこんな所で何してんだ。って、アルちゃん。暑くないのか?」
「暑いに決まってんだろ?」
「じゃあ、何でそんな服着てるんだ?」
「これ以外は着たくないっていうんですよ? 折角お母さんがあたしとお揃いの奴を用意してくれたのに……」
「ははっ、そりゃ似合いそうだ」
「でしょ?」
 
「そ、そんな事よりレイジは何でこんな所にいるんだよ?」
「人と待ち合わせしてるからそこへ行く途中。サラちゃん達は?」
「わたし達、お姫様探してるんです」
「お、おい、サラっ! 余計な事言うんじゃ……」
「お姫様? そういえば公園の方でそれっぽい服を着た女の人がいたよ?」
「えっ、ホントですかっ!?」「ホントかっ!?」
「ホント、ホント。多分今ならまだいるんじゃないかな」
「よし、行くぞ。サラ!」
「えっ、でもぉ」
「でもじゃない! レイジも待ち合わせ、大丈夫なのかよ?」
「おっと、早く行かないとスズが怒るな。じゃあな、二人とも。日射病に気をつけるんだよ。」
「はぁ〜い♪」
 
 あぁ、レイお兄ちゃん行っちゃった……。
 アッちゃんがあんな話振るから……。
 この前もそうだったけど、もしかしてアッちゃんってレイお兄ちゃんのこと嫌い? 
 
「ほら、とっととルミナ姫を探しに公園へ行くぞ」
「はぁ〜い」
 
 
 
 反対側へ走り去っていったレイお兄ちゃんに後ろ髪引かれつつ、公園へ向うあたし達。
 公園に付くとちょうど噴水の方から柄の悪い男の声がした。
 どうやら女の人相手に騙りをしてるみたい。
 
「ねえちゃん、金、持ってそうだなぁ。」
「……」
「ちょいっと、おいらに金を分けてくんないかい?」
「……」
「シカトしてんじゃねぇ。ええから跳んでみぃ!」
「……」
「このあまっ! なんなら身包み剥いてもいいんやぞ!?」
 
 無言を貫き通す女の人に、とうとう声を荒立てるチンビラ。
 って、アレっ!? 
 あの女の人の服装って、もしかして…… 
 
「……わたしはルミナ姫。このまま去っていただけますか」
「なんや? ねえちゃん。暑さで頭いかれたか?」
「……わたしはルミナ姫。夢を失い荒れ果てた母国を救うために、異世界からやってきました。今は夢をかなえる魔法が見つかるまで、このままにさせていただけますか」
「わ、わかったわかった。もうええわ。相手してられんわ。」
 
 ルミナ姫の雰囲気に飲まれ、チンピラはそのまますこすこと去って行った。
 うわぁ〜、格好いい。あたしもあんな女の人になりたいな♪ 
 とか何とか考えてる間に、アッちゃんがルミナ姫の元へ向ってる!? 
 あっ、待ってよ〜。
 
「ルミナ姫っ! 待ってくれ」
 
 アッちゃんの呼びかけにルミナ姫が振り返る。
 
「確かに、私はルミナです。でも貴方たちは?」
「あたし、星杖沙良です。こっちが……」
「夢代アルト。でも、夢の国の関係者、と言った方かいいかもな」
「……、話を聞きましょう」
 
「夏の国の女王に頼まれて、あなたを連れ戻しに来た。……と言っても素直に帰る気はないんだよな?」
「わたしは母国を救うために来ました。今帰るわけには行きません」
「そういうと思った……」
 
 手を広けて肩をすぼめるアッちゃん。なんか似合ってない……。(笑 
 
「……ねぇ、アッちゃん。あたし達で協力できないかなぁ?」
「……一週間だ。それ以上は待てない。」
「えぇ〜、たった一週間」
「仕方ないだろ。一週間経って姫が帰らなきゃ、夏が終わらない、って事になりかねないんだ」
「うぅ、わかったよぉ。そうなっちゃたら大変だもんね……」
「ルミナ姫もそれて良いか?」
「分かりました。お心使い感謝します」
「じゃあ、その服のままじゃ、また絡まれるだろうから一旦家に戻ろう。沙良のお母さんなら、なんか用意してくれるだろ」
「だね♪ それにルミナ姫さまを家に泊めてくれるとも思う。」
「……、ほんとにいいのですか?」
「うん♪」
 

〜夢〜

 
 気が付けばルミナは城にいた。
 窓から顔を覗かせれば、そこに広がるのは、故郷の、真夏の国の、在りし日の姿。
 青く晴れ渡る空に、さんさんと輝く太陽。
 からりとした空気が肌を包み、海から微かに潮の香りが私を爽やかな気分にさせてくれる。
 山や森は深緑に染まり、町は活気に、人々の生気に溢れていた。
 
 しかし…… 
 
 それは、黒い服の少女と大きな人型の魔獣の出現によって塗り潰されてしまう。
 黒く淀んだ空と、際限なく大地を熱する太陽に。
 海からの潮風も途絶え、湿気が高く不快を募らせるむっとした空気に。
 山や森も枯れ木の茶色に染まり、気付けば町からも活気が消え失せた。
 
 黒い服の少女はルミナに言う。
 人々の夢を奪ったと。夢をなくした世界は滅びるのだと。
 
 ルミナは黒い服の少女に返す。
 夢を返して下さいと。どうすればこの世界を救えるのかと。
 
 そこまではいつもと同じ、何ひとつ変わらぬくり返し。
 でも、ここからは違う筈。昨日までと違うから。新たな希望が見つかる筈。
 
 少女は一言応えた。
 ……無理、と。夢のない、夢の叶わない世界に生きる術はないと。
 
 ルミナの希望は、その一言で砕かれてしまった。
 
 あなたが言うから、救いの力があるというから、地球(テーラ)へ来たのに……
 
 そうね、あなたはあなたの願いどおりに、我が王の狙いどおりに、此処へ来た。
 そして箱を開いた。叶わぬ夢を叶える為に、絶望の箱だと知らずにね。
 
 ルミナは絶望に震えた。
 
 なんて事をしてしまったの。
 夢に裏切られなければ、夏の国が滅びることはなかった。
 夢を信じなければ、夢に裏切られることはなかった。
 夢を見なければ、夢を信じることもなかった。
 そもそも夢を見なければ、真夏の国が滅ぶ所を見ることもなかった……。
 
 そう、夢がなければあなたが苦しむことはなかった。すべて夢が悪いの。
 だから、ね、我が王のために……、夢の絶望のために……、死んで? 
 
 黒い服の少女の言葉に、その冷たい笑顔に、そして夢への絶望に……、王女は身動き1つできなかった……。
 
「待ったぁ〜!!」
 不意に声が聞こえる。心の闇を切り裂くようなとてもとてもとても明るい声だ。
 ただ見るしかできなかった私、その心を溶かす、そんな声。
 声がした方に目を向けると、そこにいたのは……
 
 沙良、ちゃん?
「真夏の国を守るためっ 魔法少女プリティー・サーラ ただ今到着♪」
 沙良ちゃん、ううん、サーラがわたしに向かって笑顔を向ける。
 
「もう遅いわ、サーラ。この娘の夢は既に枯れ果てたわ。この枯れた夢の世界であなたはこの子に勝てるのかしら?」
 不適に笑う黒い少女が巨大な魔獣を消しかける。
「行けっ! バクラム《モー・ショーグン》。この夢ごとサーラをやっつけておしまいっ!!」
「モォ〜ショ〜!!」
 叫び声と共にモー・ショーグンと呼ばれた化け物がサーラに襲い掛かる。
 
「そんな、こと、ないっ、あたし、絶た、いに、負けな、いよ。」
 モー・ショーグンの攻撃を避けるサーラ。
 右へ左へ、モー・ショーグンの斧を避けるのに精一杯で言葉も途切れ途切れになってしまう。
 
 やはり無理なのでしょうか…… 
 
 そうルミナが思った瞬間、モー・ショーグンの斧がサーラに当たった。
「きゃっ」
 その勢いでサーラは外まで吹き飛ばされ、地面に打ち付けられてしまう。
 あまりの衝撃で土ぼこりが舞い上がりサーラの姿を覆い隠す。
 
 だが、それでも、その土ぼこりから姿を見せ、呪文を唱える。
「サーチス・ラーキル・サーラキス!!」
 杖から放たれたその魔法は、とても柔らかな光を放ちながらモー・ショーグンに向かって飛んで行く。
 しかし。
 しかし、ソレも、モー・ショーグンの咆哮の前にかき消され……
 
 それでも、サーラは諦めず立ち向って行く。
 何度吹き飛ばされ、地面に打ち付けられても。
 
 恐怖と絶望で何もする事が出来まないルミナを、ルミナの夢の世界を、ただ守る為に。
 
 苦戦の後、とうとう追い詰められてしまったサーラに、モー・ショーグンが斧を振り上げた!!
 
 もうダメだ。
 心のそこからそう思ったとき、ルミナは思わず体を起こし叫んでいた。
 
「サーラっ!! 逃げてっ!!!!!」 
 
 ――――………‥‥・‥‥………―――― 
 
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
 自分の叫び声で起きてしまったわたしは肩で息をしていました。
 と、とりあえず、落ち着かないと。
 そう思い、わたしはまだドクドク言っている心臓を治めるため、軽く深呼吸します。
「すぅ〜。はぁ〜。すぅ〜。はぁ〜。」
 
 と、深呼吸しながらですが今の状況を説明しときましょう。
 
 沙良ちゃん達と出会ったあと、沙良ちゃんの家で服をお借りしました。
 すぐにわたしのサイズにあったの服が出てきたのでとても驚いたのを覚えています。
 着替えたあと、わたしと沙良ちゃんは、暑いからと言って外に出たがらないアルトちゃんを置いて『夢をかなえる魔法』を探しに出かけました。
 結局、その日は見つからず仕方なく沙良ちゃんの家に戻る事にしました。
 わたしは本当に泊らせてもらって良いのが沙良ちゃんのお母さんに確認しましたが「アルちゃんもいるから大差ない」って言ってくれた事もあり、ありがたく泊めさせていただく事にしました。
 美味しいご飯を頂き、夜は沙良ちゃんの部屋に布団を敷いていっしょに寝る事になりました。
 
 っと、さっきのわたしの声で沙良ちゃんを起こしたのではないかと心配になり、辺りを見回してみましたが、居る筈の場所に沙良ちゃんが居ません。
 どこ行ったのでしょう……。
 少し気になったわたしは沙良ちゃんを探してリビングのある1階へ下りてみる事にしました。
 するとどうでしょう、台所の電気がついており、そこに人が居る気配がします。それも二人。
 沙良ちゃんかな? ならもう一人は? そう思って、恐る恐る覗いたわたしが見たものは…… 
 
 沙良ちゃんとアルトさんでした。
 いえ、ドロボウさんとかに出てこられても困るんですけど(笑 
 

〜夜の茶会〜

 
 俺とサラはこれからどうするか相談する為に台所に下りた。
 
 今回はかなり危なかった。
 しかし、ルミナ姫が途中で起きてくれたお陰で事無きを得た……。
 
「アッちゃんはナニ飲む?」
 バクラムに襲われている夢から覚めるなんて、かなりイレキュラーな事だ。
 だが今回はそのイレキュラーのお陰で助かったのだ。
 
「コーヒー」
 さすがは真夏の国の王女と言った所か。
 まあ、どちらにしろルミナ姫に感謝しないとな。
 
「いつものように、佐藤とミクル多めでいいよね」
 しかし、次回も……、とは期待はできない。
 
「おう、任せた」
 たぶん、ルミナ姫にかかる精神的な負担はかなりあるだろう。
 
「ちなみに、佐藤じゃなくて砂糖、ミクルじゃなくてミルクな」
 それに今回失敗したから、次回は万全を期して、直接来るかもしれない。
 
「あ、あたし、きちんと言ったもん!」
 そうなった場合、更にルミナ姫への負担が増えるハズだ。
 
「佐藤とミクルって」
 言えてねぇじゃん…… 
 それにアクセント違いな佐藤はともかくミクルって何だ? 禁則事項か? 
 
「あ、あの、私も何か貰っていいですか?」
 不意にサラ以外の声がした 
 自然とそちらに目が行く。
「あれっ、ルミナさん、どうしたの?」
 あんな夢見てすぐに寝直せるはずないだろ。
「えっと……、少し嫌な夢見てしまって……」
 ほらな。しかし…… 
「そろそろドアの影から身体も出したらどうだ」
 そう、今の今まで、ルミナ姫はドアの影から顔だけ出してのぞき見るように話してた訳だ。
「あっ、これは失礼しました」
 案外、ルミナ姫も抜けた所があるかも知れないな。
 
「じゃあ、そんなルミナさんにはコジローさん直伝のハープティーをご馳走してあげる」
「コジローさんって?」
「フリーカメラマンのコジローさん」
「はあ、そうなんですか……」
 サラの要領を得ない回答にハテナマークを浮かべまくるルミナ姫。
「それじゃあ、分からないって」
 俺は苦笑を交えながら、すでに出されていたコーヒーをすする。
 
「うん、うまい」
 男だった時ならば甘すぎて飲めた物じゃないが、今の俺にはこの位の甘さが好みだ。
 
「いつも思うがサラはこういう飲み物だけはうまいよな。このままでも喫茶店に出せるんじゃないか?」
「そっかなぁ、インスタントだしそんな事ないと思うけど……」
 いや、それでもサラの入れるコーヒーとかハープティーは本当にうまい。
 湯の熱さや、インスタントコーヒーの量、ティーパックを出す時間とか…… 
 それに砂糖にしてもミルクにしても自分で入れた時よりしっくり来るから不思議だ。
 甘いのが苦手なサーラの親父さんからも称賛はあれ、文句を言われている所は見た事ない。
 もしかして、そういう才能をあるのかも知れないな。
 
「そろそろかなっと。はい、ルミナさんできたよ」
「あ、ありがとう」
 ティーパックを取り出したばかりのハープティーを受け取ったルミナ姫は不意にカップを鼻に近付ける。
 
「あっ、いい薫り……」
「カモミールのハープティーだよ♪ 薫りもそうだけど沈静効果があってぐっすり眠れるから夢見が悪いときには最適♪」
 コジローからの受け売りを物知り顔でいう。
 
「そうなんだ……」
 まあ、全く違った事を言ってる訳じゃないし、実際に説明する事で効果を高める事が出来るのだから別に何も言うまい。
 ……、そこら辺わかってて言ったとは思えないが。
 
「本当においしい……。インスタントとは思えない……」
 予想外の美味さに目を丸くするルミナ姫を横目にサラは自分カップに口を付ける。
 いつ用意したか気付かなかったが、たぶん好物のアップルティーだろう。
 
 それから暫く、それぞれの飲み物に口を付けつつ、世間話をした……。
 
 
 互いに自身の飲み物を飲み終わり、そろそろ布団に戻ろうとした矢先のことだ。
「あっ、そだ、明日プール行こっ♪」
「はい?」
 


〜四角くて大きな水溜り〜

 
「はぁ、しっかし何で俺はここにいるんだ?」
 今日は昨日の翌日。当たり前? ……、当たり前だよね(笑
 それにしても……
 
「はぁ……」
 あっちゃんは今日だけでもう一ヵ月分になったかも知れないため息を再び吐く。
 
「あっちゃん、諦め悪いよ?」
「しっかしだな、なんでいきなりプールなんだ?」
「えっ」
 
「えっ? この週刊マッチに載ってるミスティ−・キーリの占いで」
 

※肝心のプールなシーンが書けないので保留~

 

〜再び〜

 
「あ、あなたは夢に出てきたっ!?」
「私は虚夢王の使いバクラム・サマナ。もう逃がさない」
 
 サマナはルミナさんにステッキを向けると呪文を唱える。
 あたしは咄嗟にルミナさんに向って叫ぶ。
 
「ダメっ! ルミナさん、逃げてっ!!」
「逃がさないと言った筈。ドリーム・イン・サマナ ドリーミング・デッド 我と来たれ、バクラム《モー・ショーグン》!」
 
 呪文を唱え、黒き光となったサマナはルミナさんにぶつかり、消えた。
 そして、残ったのは倒れたルミナさんだけだった。
 いつもの様に夢の中に潜ったんだ! 早く追わないと!!
 
「ドリーム・イン・サーラ ドリーミング・ガード 夢守りの少女、サーラが願う」
 
 あたしは呪文を唱え、白い光と化す。
 そしてルミナさんの額に開かれた光のトンネルに吸い込まれて行く。
 光のトンネルを抜けると、いつもの通り戦闘服に着替えていた。
 
 着いた先はルミナさんの夢の世界。
 けど本来の美しい世界ではなく、虚夢に侵された荒廃とした世界。
 
「急がなきゃ」
 そう呟き、魔法で翼を出したあたしはルミナさんのいる城の方へ飛んでいった。
 
 
 
 城の中で幾度と見た夢がくり換えされる。
 でも、ここからは違う筈。昨日までと違うから。新たな希望が見つかる筈。
 
 バクラム・サマナが一言応える。
「……無理、と。夢のない、夢の叶わない世界に生きる術はない」
 
「そんな事ない」
 私は答えた。
 夢はまだある。私は確かに絶望の箱を開けたのかもしれない。
 確かに私の中に絶望が広かった。でもお陰て希望も見つかったわ。
 一〇八の絶望に対してたった一つの希望だけど、口に出すことも出来ないちっぽけな希望だけど。
 だけど、あの子が教えてくれた。どんな小さな希望でも諦めずに頑張ればいつかは叶うって。
 ……………だから…………だから………だから……だからっ!!
 
「私は諦めないっ!!」
 私は決意を口に出してサマナを睨みつける。
「……しつこいお姫様。……もういい。バクラム《モー・ショーグン》、やってお仕舞いなさいっ!!」
「モォ〜ショ〜!!」
 叫び声と共にモー・ショーグンが襲い掛かって来る。
 振り上げられた斧を避けきれず、壁にたたきつけられてしまう。

「くっ」
 私は身体をくの字にしてしゃがみ込んでしまった。
 息が出来ない!?
「まだよ、まだ殺しはしない。」
 バクラム・サマナがゆっくりと近づいてくる。
「だって、あなたには手伝って貰わないと」
 一歩……。
「だからね……」
 また一歩……。
「だからあなたには絶望してもらわないとね?」
 
 
 
 あたしが着いた頃、ルミナさんはサマナに追いやられている所だった。
 危ないっ!! あたしは咄嗟に城の窓から飛び込む。
「待ったぁ〜!!」
 
 不意に響く明るい声。サーラだ。サーラが来てくれたんだ。
 声のした方を見上げる。もちろんそこには予想した通の人物がいた。
 
 狂った太陽を背にあたしは叫ぶ。
「夢を夢見て夢見頃 でも夢見るだけが夢じゃない
 夢叶えるため希望(ゆめ)を持て 努(ゆめ)を以って夢を成す
 夢見る心とその努力 努々忘れる物じゃない
 魔法少女プリティー・サーラ あなたの夢を守る為 夢見る翼でただ今到着♪」
 シャッキーン。ポーズも決まり絶好調♪ 今度は勝てる、絶対に♪
 ……って、なんでみんな唖然した顔で見てるのっ!?
 い、いいもん、勝手に進めるもん(うじうじ

 サーラが私の元へ降り立つ。
「ルミナさん、大丈夫?」
「えっ。あっ、はい」
 サーラの登場台詞に呆然としていた所に差し出された手。
 私が手を取ると、身体がふわりと浮き上がった。
「えっ?」

「とりあえず、逃げよ♪」
「えっ? えっ!? えぇっ!?」
 ルミナさんの手を取り、入って来た窓から飛び出した。
 言っておくけどルミナさんを安全な場所まで逃がす為だよ?
 
 私とサーラは町の外れに降り立った。
 確かにここなら辺りに建物も少ないから、瓦礫に潰されることもないかもしれない。
「んじゃ。あたし、行ってくるね。」
 そう言って、サーラは追いかけて来たモー・ショーグンに立ち向って行きました。
 
「今度は負けないよ!」
 あたしはモー・ショーグンに蹴りを食らわす。
 でも、効果があまり無いみたい。
 う〜ん、どうしかものか……
「って、うわっ、ちょっとっ、考え事っ、してるんだからっ、待ってよっ!」
 斧を振り回して反撃してきたモー・ショーグンに思わず文句を言うあたし。
「待ていわれて待つ奴なんていない。」「モォ〜ショ〜!!」
 それもそうだけど……
 
「登場のっ、ときっ、待って、くれたっ、じゃない!」
「アレはあまりにもあんたの台詞が間抜けだったから呆れてただけよ。」「モォ〜ショ〜!!」
「間抜け、って、そんな、事は、無い、もん!!」
「どっちでもいい。やれ、モー・ショーグン! そのままサーラを叩きのめしてお仕舞い!!」
「モォ〜ショ〜!!」
 

〜別れ〜

※内容がない。まだ未着手なようだ……


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BBS

 BBS

設定集

登場人物
魔法・技
その他設定

小説(TS)

オリジナル

【天体観測】
プリティーサーラ
ガルヴェローザ
胡蝶の見る夢
探偵物
目覚めの夜に別れを告げて

シェアード・版権

華代ちゃん
華代ちゃん番外編
ハンターシリーズ
※提供:真城悠さま
これは夢オチシリーズ
※提供:Zyukaさま
花子の悩み相談室!
※版権:流離太さま

小説(その他)

シェアード・版権

六門世界
※版権:グループSNE

参考資料

参考資料(創作用)

リンク?

少年少女文庫
喫茶ブルーコスモス
真城の城
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