どれくらいの枚数の写真を撮れば、どれくらい信頼できるのか?
難しい問題ですがここは逆に考えて、遅延が判っている液晶の写真を、どれくらい沢山撮ると、どれくらいバラつくのか計算してみます。
以下、遅延計測ソフトのモード2の使用、シャッタースピード1/60秒、ブラウン管も液晶もリフレッシュレート60Hz、書き換え時間1/60秒を前提にしています。
遅延フレーム数×文字の高さ分の誤差、ブランク時間、オーバースキャンなど諸々の誤差は無視します。
今、遅延が0.5フレの液晶があるとします。写真を撮ると半分ずつの確率で0フレと、1フレの写真がでます。
10枚写真を撮るとその組み合わせは2の10乗、2^10=1024通りになります。
全て0になる組み合わせは1通り、
1つだけ1になる組み合わせ
これは何枚目が1になるのかを考えればすぐにわかると思います。
答えは10です。
2つが1になる組み合わせ
これも同様に、何枚目と何枚目が1になるかを考えると、
(1,2)(1,3)....(1,10) 9通り
(2,3)(2,4)....(2,10) 8通り
.
.
.
(8,9)(8,10) 2通り
(9,10) 1通り
答えは45です。
3つが1になる組み合わせ
何枚目と何枚目と何枚目が1になるか。
(1,2,3)(1,2,4)(1,2,5)...
実はこれは異なる10個の数字から異なる3個の数字を選ぶのと等しくなります。
つまり、
C(10,3)=10!/{3!(10!-3!)}=120 (!は階乗)
同様に、C(10,4)=210、C(10,5)=252となります。
以上を踏まえて枚数を20、30と増やした場合のばらつきを%で表示すると以下の表の様になります。
10枚 | 20枚 | 30枚 | 40枚 | 50枚 | 100枚 | |
0.0 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
---|---|---|---|---|---|---|
0.1 | 1.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.2 | 4.4 | 0.6 | 0.3 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.3 | 11.7 | 5.2 | 4.7 | 1.9 | 1.6 | 0.1 |
0.4 | 20.5 | 19.4 | 24.3 | 19.6 | 22.4 | 13.5 |
0.5 | 24.6 | 33.6 | 41.5 | 46.7 | 52.0 | 68.0 |
0.6 | 20.5 | 28.0 | 24.3 | 27.8 | 22.4 | 18.2 |
0.7 | 11.7 | 11.1 | 4.7 | 3.9 | 1.6 | 0.2 |
0.8 | 4.4 | 1.9 | 0.3 | 0.1 | 0.0 | 0.0 |
0.9 | 1.0 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
1.0 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
20枚、40枚、100枚の時に上下対称になっていませんが、これは結果を四捨五入した関係でそうなっているだけで、実際は綺麗な対称形になっています。
例えば20枚の時、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65はそれぞれ、7.4%、12%、16%、17.6%、16%、12%、7.4%ですが、0.4は0.35以上0.45未満なので19.4%、0.6は0.55以上0.65未満なので18%となっています。
同様に0.4や、0.6の確率が増えたり減ったりするのも四捨五入の影響です。
今度は0.1フレ遅延の場合を考えます。
写真を撮ると10%の確率で1フレ、90%の確率で0フレがでます。
10枚写真を撮るときの組み合わせが1024通りになるのは、0.5フレの場合と同じです。
しかし今度はその発生率が異なってきます。
全て0になる組み合わせは、0.5フレの場合も0.1フレの場合も1通りです。
0.5フレの場合はこれを2^10=1024で割って、言い方を変えれば0.5^10をかけて確率(%)を出しました。
0が出る確率も、1が出る確率も0.5なので、どの組み合わせも同じ0.5^10をかければ確率が出ます。
0.1フレの場合は組み合わせによってかける値を変える必要があります。
全て0になる組み合わせの場合は0.9^10をかけて約34.9%
1つだけ1になる組み合わせは10、それに0.1^1と、0.9^9をかけて約38.7%
2つが1になる組み合わせは45、それに0.1^2と0.9^8をかけて約19.4%
3つが1になる組み合わせは120、それに0.1^3と0.9^7をかけて約5.7%
以上を踏まえて枚数を20、30と増やした場合のばらつきを%で表示すると以下の表の様になります。
10枚 | 20枚 | 30枚 | 40枚 | 50枚 | 100枚 | |
0.0 | 34.9 | 12.2 | 18.4 | 8.0 | 11.2 | 2.4 |
---|---|---|---|---|---|---|
0.1 | 38.7 | 55.5 | 64.1 | 71.3 | 76.6 | 90.4 |
0.2 | 19.4 | 28.5 | 16.8 | 20.1 | 12.1 | 7.3 |
0.3 | 5.7 | 19.0 | 0.8 | 0.5 | 0.1 | 0.0 |
0.4 | 1.1 | 0.2 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.5 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.6 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.7 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.8 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.9 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
1.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
0.0や、0.2の確率が増えたり減ったりするのは四捨五入の影響です。
0.1〜0.5フレ遅延の写真を30枚撮影した場合のバラつきを%で表すと、以下の表になります。
0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.5 | |
0.0 | 18.4 | 1.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
---|---|---|---|---|---|
0.1 | 64.1 | 24.5 | 3.0 | 0.2 | 0.0 |
0.2 | 16.8 | 50.6 | 25.1 | 4.2 | 0.3 |
0.3 | 0.8 | 21.4 | 44.9 | 24.8 | 4.7 |
0.4 | 0.0 | 2.5 | 23.0 | 42.3 | 24.3 |
0.5 | 0.0 | 0.1 | 3.8 | 23.7 | 41.5 |
0.6 | 0.0 | 0.0 | 0.2 | 4.5 | 24.3 |
0.7 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | 4.7 |
0.8 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.3 |
0.9 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
1.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
100枚撮って平均をとっても0.1フレ未満の精度があるとはいい難いので、30枚程撮影して平均±0.1フレとするのが、妥当ではないかと思われます。