【質問】
「太平洋戦争初期,零戦は無敗を誇り,米軍はまったく歯がたたなかった.
 その後,無傷の零戦が米軍に捕獲され,米軍はこれを徹底的に研究し,零戦に対抗する戦闘機を作り,ここから太平洋戦争の流れが大きく傾いた」
という話を聞いたことがあります.
 零戦の欠点は,どこにあったのでしょうか?
 また,米軍は零戦に対抗するため,どういった戦闘機を作ったのですか?

 【回答】
 基本的にその話は,事実と違うと思った方がいいですよ.

 まず米軍は,「零戦に対抗する戦闘機を作った」ということはありません.
 その話をした人は,戦史に興味があるならグラマンF8Fを,ない人ならF6Fを念頭においていたんでしょうけど,無傷の古賀忠義一飛曹の零戦が回収されたのが1942年7月,
 対抗機と呼ばれるF6Fの開発は,1941年6月に始まっているので,俗に言われる「零戦の対抗機種として開発された」というのは,疑わしい話です.

 零戦の欠点は
1) 防弾の欠如
2) 空力的欠陥による急降下速度制限の大きさ
3) 無線機不良により集団戦法が不可能
など多数あります.
 堀越二郎&奥宮正武の「零戦」などを,ヒマがあれば一読をおすすめします.

 米軍は昭和17年初めまでに,中国大陸とアリューシャン列島で,修理可能な程度に損傷した零戦を入手しました.
(だから「無傷の零戦」はウソ)
 このうち,通称アリューシャン・ゼロは米本土に運ばれ,性能試験が実施されると同時に,米戦闘機が零戦に対抗する戦術の開発に使用されました.
(だから「対抗する戦闘機」,つまりハード開発はウソ)

 あなたの質問のような,一見正しそうで実はウソ,といった妄説はたくさんありますので,注意してくださいね.

軍事板,2002/08/09

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