卒業


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「ちょっと、いい加減にしてよね!いったいどういうつもり?毎日毎日。もう〜し・つ・こ・い!!」 「そんな事言うなよ、お前のことを思ってのことだろ!このわからずや!」

「カット〜!!はいOK〜。あすかちゃ〜んよかったね今日も。明日もこの調子で頼んだよ。」 「は〜い、ありがとうございます。明日もよろしくお願いしま〜す。」 撮影スタッフや、監督にペコリと頭を下げマネージャーのもとへ走っていった。 「おつかれ〜。今日の撮影はこれで終わりだけど、・・・この後どうする?ホテルに戻る?それとも・・・」 スケジュール帳を閉じ、あすかを見ると着々と、出掛ける準備をしていた。 「やっぱりいくの・・・?ゾイド・・・だっけ・・・?あのゲーム。  べつにやるなとは、言わないんだけどさ・・・もう少し回数減らしてもらえると助かるんだけどなぁ。」 「え〜そんなこといってもゾイド、対戦ゲームだし・・・  (せっかく遠出してるんだからいろんな人と戦いたいじゃん!!!)  あっ!そうだ。桐原さんが、対戦相手になってくれれば、少しは回数減るかな?」 「え?・・・いや〜私、あ〜いうの苦手だし。UFOキャッチャーぐらいしかできないから。」 「でしょ〜。だから、撮影の合間に、現地の人達と対戦しにいくんじゃない。  大丈夫、ちゃんとメガネかけて変装してくから。・・・大丈夫だよ、そんなに心配しないで」 心配そうな桐原マネージャーを椅子に座らせてあすかは、うわさのゲームセンターへ向かった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 プルルルル・・・プルルルルル・・・プルルルルル・・・ピッ。 「もしもし。あ、京介君?」 「仕事終わった?」 「うん」 「今日はもう終わり?」 「うん・・・どうしたの?」 「なんか寂しくなっちゃって・・・。」 「・・・へんなの。それよか、今ゲームセンターに向かってるんだけど、なんでも高速機が集まるゲームセンター  らしいの。負けないように頑張らなくちゃね。まっ、京介君は負けることなんか無いんでしょうけど!」 「いやぁ、負ける時もあるさ」 「え〜。京介君がまけるところなんて想像できないよ。」 「ついさっき司郎に負けたよ。」 「ウェ!?まじですか!?」 「あぁ、女神さまに負けてくださいって言われちゃってね。」 「・・・?なにそれ。」

「話すと長いんだけど・・・」 「じゃあ、いいや。もう着くから切るよ。じゃあね。」ピッ。 携帯をポケットに入れ、ゲームセンターに入るとゾイド∽を探した。 「う〜んと・・・どこだ〜?・・・ゾイド、ゾイドっと・・・。」 店内を歩いていると、人が集まっている場所があった。 「・・・あれじゃない・・・よね?・・・うわ、ゾイドだ。すごい人・・・。」 あまりの人の多さに、ちょっと戸惑いながらも画面を覗くとCWとJAが戦っていた。 「へ〜。あのコマンドウルフ強そう。イエーガーは、そこそこだけどあれじゃ勝てないよ・・・。」 予想通り、JAはCWに負けた。そのあともCWは、勝ち続けた。 あのコマンドウルフ、機体が操縦についていけてない。あれじゃ、この先長くないな。なんて考えてると 視線が自分に集まってることに気づき、ふと台を見ると席が空いていた。 「あ・・・!」 ギャラリーしてたつもりが、知らない間に並んでしまっていた。 「あ・・・いやその・・・。わたし・・・。」 そういって、列から離れようとするが、人に囲まれていて、出れそうにない。 「うえ〜ん、でれないよ〜。しょうがないか・・・。」 ポケットからカードケースを取り出し、席に座りコインとカードを入れた。 画面にはJAとCWが表示され、ステージが決定された。 対戦が始まると、JAはCWを圧倒していた。ほかの誰が見ても力の差は、はっきりしていた。 JAは、このあとも勝ち続け、ここにいる人達とはほとんど戦ったであろうJAを、止めようとする人はいなかった。 JAは、CPU戦をさくさくこなしていると、店に女の子が入ってきた。 すると、さっきゾイドをやっていた人が、その女の子へ駆け寄って行くのが見えた。 近くにいた人に聞いてみると、どうやらこのゲームセンターで最強のLSだという。 あすかは、うれしくなりCPUを終わらせその女の子へと駆け寄っていった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ゲームセンターを後にして、あすかはホテルへと歩き出した。 ホテルの部屋に入り、ベットに倒れこんであすかは、携帯電話の待ち受け画面を眺めていた。 待ち受け画面には、京介とあすかが2ショットで写っていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「あすかー。CASでたかー?俺のほうはぜんぜんでないんだよな〜、ライガーブレードが・・・。」 「こっちも全然だめ〜。オーガノイドシステムしかでない。もーう、出ろ!出ろ!出ろ〜!!!」 そういってビットのライガーゼロを倒すが、CASは出ず、「ストライクレーザークロー10」を手に入れた。 「はー。今回もライガーブレードでなかったなー。」 そう言って司郎は、自販機のある休憩所へ行き、ペプシを飲んでいた。 あすかも、CPUを終わらせて休憩所へ来て、自販機で飲み物を買って司郎の隣に座った。 プシュ。あすかは、買ってきた飲み物をおいしそうに飲みだした。それを見て司郎は、ペプシを噴き出してしまった。 あすかも噴き出しそうになるが、何とか抑え司郎のほうを向き、 「きったないな〜。なに噴き出してんのよ!もう、早く拭いてよね。」 そう言って司郎にハンカチを渡した。司郎はハンカチを受け取り、拭きながら 「おい、お前なに飲んでんだよ。」 「え?なにって、コーラじゃない。そんな噴き出すものじゃないでしょ。」 「おまえ、コーラって言ったらペプシだろ。ペ・プ・シ。」 「はあ?コーラって言ったら、コカ・コーラだからね。」 「いいか、おまえ。コーラの本場アメリカじゃ、コーラといったらペプシなんだよ!」 「ここは、アメリカじゃなくて日本なの。日本でコーラといったらコカ・コーラ!!」 二人の口げんかは、長々続き、次第にエスカレートしていく。すると、わけのわからないことまで言い合いに出てきた。 「だから、ランエボは最高なんだって、低速からグググッってくる、あのトルクなんて。」 「なにいってんの?インプレッサのスムーズなエンジンの立ち上がりにくらべたらランエボなんて、」 「はあ?そんなこというなら、俺のブレードライガーと勝負しろよ。」 「望むところよ!私のパンツァーと勝負よ。」 「お二人さん。まず、乗り換えないとな。」 そこへ京介が入ってきて、二人をなだめた。 「お、京介。用事は済んだのか?だったらゾイド勝負だ〜!」 「なにいってんの、私が最初よ。」 「まあまあ、二人とも相手してやるから、落ち着けって。」 二人を軽く蹴散らし、京介はベンダーへ向かった。 「あーあ、京介つぇーなぁ。ぜんぜんかてねぇー。」 「ほーんと、何で勝てないかなぁ。」 ふたりは、しょんぼりしてCPU戦を始めた。

ピコン! 「CASイエーガー」を手に入れました。

「あ・・・でちゃった。でもイエーガーか、パンツァーがよかったのに。」 「贅沢言うなよ。おれなんか・・・・おれなんか・・・。うあ〜ん。」 「はいはい、わかったから。もう泣かないの、よしよし。」 あすかは、ベンダーの前で悩んでいた。今までとまったく戦い方が変わることと、 乗り換えることで、ゼロからのスタート。司郎や京介との差が広がるんではないかという不安。 「あすか、大丈夫だって。おまえならすぐにうまくなれるさ。困ったときは、俺が力になるから。」 「京介君・・・。」 そしてあすかは、イエーガーに乗り換えた。 「京介君、記念写真撮ろう。乗り換えた記念。」 「いいよ。撮ろうか。」 携帯電話を取り出し、二人はぴったりくっついた。 「京介君、近すぎ!もうちょい離れてよ。」 「これぐらい近づかないと入んないって。」 「もう・・・バカ・・・。」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「あのころは、楽しかったな・・・。」 ふと、起き上がり京介に、電話をした。 プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・ピッ。 「もしもし、わた・・・。」 「(ただいま運転中のため、電話に出ることができません。発信音のあとに・・・」ピッ。 携帯電話をベットに投げて、バスルームへ向かった。 携帯電話に着信メロディが、鳴るが気づかない・・・。

バスローブに身を包み、バスルームから出てくると着信を知らせる合図が暗い部屋で光っていた。 あすかは、それに気づき急いで携帯電話を確認した。【不在着信:京介くん】 プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・ピッ。 「もしもし、京介君?」 「うん?・・・どうした。」 「なんか寂しくなっちゃって・・・。」 「・・・へんなの。」 「お互い様でしょ?」 二人は笑いながら長い夜、時間を忘れて語り合った。 そして二人の思いは、一線を越えた・・・。       終わり