MRSA


各論

(3) MRSAの臨床的意義を述べよ。 MRSAは、methicillin-resistant Staphylococcus aureus(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の略である。これは、β-ラクタム系抗生物質に対する親和性の低い、新しいPBP2'を獲得したことにより、広範囲のβ-ラクタム系抗生物質に対する耐性を持つ菌である。ブドウ球菌のPBPには4種類が知られているが、MRSAのPBPはPBP2よりもやや分子量が大きいため、PBP2'と呼ばれる。これは、メチシリンなどとの結合力が弱いため、これらが効かないのである。 ブドウ球菌はもともと薬剤耐性菌の生じやすい菌で、MRSAもメチシリンが投与され始めた翌年の1961年には出現した。1980年頃からこの菌による院内感染が急増し、問題となった。 現在、MRSAの治療にはバンコマイシンが使用されているが、バンコマイシンへの耐性も出現している。

4)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
    ブドウ球菌は耐性菌が出現しやすい。MRSAは院内感染が多いとされる。病院において、抗生物質を頻繁に変えることがMRSAの出現を抑えることにつながり、感染予防にも役立つ。