免疫移植 / H17本


I. 次の文章の( ) 内に適切な語句を入れよ。 1. 造血幹細胞移植は、造血幹細胞の採取源や( ) の違いによって多様化しているが、最も多く実施されているのは( ) である。 2. 急性GVHD はドナー由来の( ) によって引き起こされ、主な標的臓器は( ),( ),( ) である。 3. 同種骨髄移植によって、成人の急性白血病は第1 寛解期の移植で少なくとも( )% 以上、成人の重症再生不良性貧血は少なくとも ( )% 以上に治癒が得られる。 4. 同種造血幹細胞移植による免疫学的抗白血病効果は( ) と呼ばれ、一種の養子免疫療法として注目されている。固形腫瘍に関す る同様の効果は( ) と呼ばれる。 解答 1. ドナー、自己PBSCT。 2. T細胞、皮膚、肝臓、腸管。 3. 50〜60%、70%。 4. GVL (Graft vs leukemia)、GVT(Graft vs tumor) 解説 1.2003 年の統計では、自己PBSCT が628 件、非血縁BMT が620 件。でも、原田先生のプリントでは、違うっぽい。 3. 原田先生の書かれた学会誌の記事「造血幹細胞移植の進歩と多様化」に書いてました。 II. 次の文章で正しいもの○、誤っているものに×を記せ。 ( )HLA 遺伝子型の一致する同胞間の骨髄移植こおいてもGVHD が発症するのは、HLA 以外の組織適合性が異なるからである。 ( ) 同種骨髄移植は、白血病や再生不良性貧血以外にも先天性免疫異常や代謝異常の根治療法として利用される。 ( ) 同種骨髄移植後は、免疫系もドナー免疫担当細胞によって再構築されるので、他の臓器移植のように免疫抑制療法は生涯続ける 必要は無い。 ( ) ドナーとレシピエントのABO 不適合は移植成績を大きく左右するので、出来るだけABO 一致ドナーを選択する。 ( ) 日本骨髄バンク(JMDP) に依頼して見いだされるHLA 一致非血縁ドナーからの骨髄移植の成績は、血縁ドナーからの骨髄移植 に比べて明らかに劣る。 解答 1. ○ 2. ○ 3. ○ 4. × 5. × III. 脳死について正しい組み合わせを1 から5 の中から選び、数字に○をつけよ。 a. 脳死判定には平坦脳波が必須である。 b.2 回目の脳死判定は1 回目の脳死判定後2 時間後に行われる。 c. 心停止ドナーから摘出した腎臓は使用不能である。 d.5 才の小児に、臓器摘出のための脳死判定を行った。 e. 本邦では、年間約500 例の脳死肝移植が行われている。 1.a のみ正しい 2.a,c が正しい 3.a,b,c が正しい 4. 全て正しい 5. 全て誤り IV. 肝移植について正しい組み合わせを1 から5 の中から選び、数字に○をつけよ。 a. 肝移植により、C 型肝炎は根治可能である。 b. ミラノ基準とは、PBC に対する肝移植適応基準である。 c. 免疫抑制剤の発達により、現在では急性細胞性拒絶反応は見られない。 d. 劇症肝炎の診断に肝性脳症の有無は必要ない。 e.B 型肝炎ウイルス時性患者は肝移植の禁忌とされている。 1.a のみ正しい 2.a,c が正しい 3.a,b,c が正しい 4. 全て正しい 5. 全て誤り V. 生殖と免疫について、正しいものに○、間違っているものに×をつけよ ( ) 胎児および胎盤は半同種移植片と考えることができる。 ( ) 絨毛細胞は母体子宮内膜細胞から分化し、母体一胎児境界を形成する。 ( ) 正常妊娠ではTh1 細胞がTh2 細胞に対し優位となる。 ( ) 不妊症のもっとも大きな原因は抗精子抗体による精子アレルギーである。 1 ( ) 習慣流産では抗リン脂質抗体の関与を考慮することが重要である。 VI.AIDS 関連の日和見感染症に関し、正しいものの組み合わせをa からf のなかから選び、記号に○を つけよ。 1) 播種性非定型抗酸菌症 2) クラミジア肺炎 3) マイコプラズマ脳炎 4) ヘルペス肺炎 a.1) のみ正しい b.1)3) が正しい c.1)2)3) が正しい d.4) のみ正しい e. 全て正しい f. 全て誤っている VII.HIV に関し、正しいものの組み合わせをa からf のなかから選び、記号に○をつけよ。 1)HIV 感染初期にはHIV 抗体は陰性の場合がある。 2) 日和見感染がみられるときは、直ちにHAART 療法を開始する。 3)CD4 陽性細胞数が200/ μ 1 以下の場合には日和見感染の予防治療を開始する。 4)HIV の感染経路の主流は男性間同性愛である。 a.1) のみ正しい b.1)3) が正しい c.1)2)3) が正しい d.4) のみ正しい e. 全て正しい f. 全て誤っている VIII. 腫瘍免疫について正しいものに○、誤っているものに×を記せ ( ) 腫瘍局所は、細菌感染局所に類似しており、抗腫瘍免疫は比較的容易に誘導される。 ( ) 腫瘍局所での自然免疫系の活性化の生じにくいことが腫瘍に対する獲得免疫が成立しにくい原因の一つである。 ( ) 腫瘍細胞は正常細胞に比べMHC クラスI 分子の発現が非常に強く、このことが、腫瘍免疫が成立しやすい要因の一つである。 ( ) 腫瘍細胞の変異遺伝子により産生される変異蛋白が腫瘍抗原ペプチドとしてT 細胞に認識される場合がある。 ( ) リンパ節は二次リンパ系器官である。 ( ) 樹状細胞、マクロファージおよび活性化B 細胞は抗原提示細胞と呼ばれる。 ( ) 抗原提示細胞はMHC クラスII 発現が高く主シグナルのみでT 細胞を活性イヒできる。 ( ) 腫瘍局所は、炎症局所に比べ樹状細胞が成熟化しやすい環境にある。 ( ) 腫瘍局所に存在する未熟樹状細胞は成熟樹状細胞に比べリンパ管へ侵入する能力が高く、このことが腫瘍免疫の成立を妨げる一 つの要因となっている。 ( ) 腫瘍細胞はしばしば免疫抑制性サイトカインを産生しており、これが自然免疫や獲得免疫成立の障害となっている場合がある。 IX. 次の文章に関し、正しいもの○、誤っているものに×を記せ。 ( ) 新生児では補体の中でとくにC3 が低い。 ( ) 新生児の単球機能は著明に低下している。 ( )IgM は胎盤移行しない。 ( ) 出生時のIgG が高いと胎内感染を意味する。 ( ) 新生児のIgG は生後4 〜 6 か月で最低になる。 ( ) 麻疹は生後6 か月までかからないかかかっても軽症である。 ( ) 百日咳は新生児ではかからない。 ( ) 水痘は新生児でもかかる。 ( ) 新生児ではインターフェロンγの産生は正常である。 ( ) 新生児ではインターロイキン2 の産生は低下している。 解答 1. × 2. × 3. × 4. × 5. ○ 6. ○ 7. × 8. ○ 9. × 10. × 1. × : C3 は成人とほとんど変わらない。低いのはC8,C9。 2. × : 新生児の血中単球数は成人と同等で、単球の増殖能・殺菌能は正期産児では正常。 3. × : 胎盤移行性があるのはIgG。 4. × : 母体由来IgG があるので必ずしも胎内感染とはいえない。IgM なら当てはまる。 5. ○ : 出生後は出生児由来IgG が産生されるが、母体由来IgG が減少するので、生後4 〜 6 か月までIgG は減少する。 6. ○ : 麻疹は生後3 か月までは母子免疫がきわめて有効。生後4 〜 6 か月の間はまれに罹患することがあるが軽症( 修飾麻疹)。生 後8 か月以降は普通に罹患する。 7. × : 百日咳の母子免疫は期待できない。 8. ○ : 水痘の母子免疫は生後1ヶ月ぐらいまで有効であるが、軽症化させる程度なので新生児でもかかると考えられる。 9. × : IFN- γの産生は正期産児においてきわめて不良であり、早産児やIUGR 児ではさらに不良となる。 10. × : IL-2 の産生は早産児においても良好なので新生児でも良好。 X. 精神神経免疫について正しいものに○、誤っているものに×を記せ。 ( ) ストレスにより免疫機能は必ず低下する。 ( ) ストレスの期間と風邪罹患率は相関する。 ( ) ストレスにより血糖値とコレステロールが上昇する。 ( ) リウマチ患者に落語をきかせることによってIL-6 の上昇がみられる。 ( ) 交感神経系を刺激することによってIL-6 の低下がみられる。 2 ( ) がんと性格について、Grossath-Maticek パーソナリティの分類ではタイプ2 が、がん死亡率が高い。 ( ) 内分泌系・神経系と免疫系は共通の情報伝達物質としてサイトカイン、プロスタグランディンなどがある。 ( ) 発熱を誘導する代表的サイトカインとしてIFN とTNF- αがある。 ( ) グルココルチコイドとカテコールアミンは免疫機能を低下する。 ( ) ストレスによって、ヘルペスウイルスやEB ウイルスの抗体価が上昇する。