百日咳菌


各論

4.小児科に、爆発性・連続性の咳と吹笛様吸気を見せる子供が母親と来院していた。 痰を吐くと咳がおさまり症状が回復した。 戸田新p521

1) この症状から考えられる病名と病原菌を述べよ

百日咳、百日咳菌(Bordetella pertussis)

2) この菌の形態・性状および病原因子について知っていることを述べよ

グラム陰性好気性桿菌で、糖を発酵しない細胞内のGi蛋白質をADPリボシル化することによりアデニル酸シクラーゼを活性化し続け、cAMP量を増加させる。また、ヒスタミンに対する感受性を亢進させる。

3) 投与すべき抗生剤を述べよ

第1次選択剤としてエリスロマイシン(マクロライド系)、第2次選択剤としてST合剤が使われる。(ST合剤については戸田新p162を参照)

4) この菌の予防方法について述べよ

百日咳は1−5歳の乳幼児での羅患率が非常に高いために,生後3〜48ヶ月までに百日咳ワクチンを接種することにより予防できる。ワクチンは、百日咳毒素(PT)と菌体表面にある繊維状赤血球凝集素(FHA)によってできている百日咳成分ワクチン(コンポーネントワクチン)が使用されている。このワクチンは通常ジフテリアトキソイド,破傷風トキソイドとともに3種混合ワクチンとして使用され,間隔をあけて3回行う。