皮膚 / 16 /


平成16年度 「皮膚」 概説試験

問題1.以下の1)〜5)の文章に対し、正しいものに○、誤っているものに×を解答欄に記入せよ。 1)ランゲルハンス細胞は神経堤由来である。 2)メラニンはメラノサイトが産生し、表皮細胞には含まれない。 3)天疱瘡ではヘミデスモゾームに対する自己抗体を認められる。 4)類天疱瘡の水疱内には棘融解細胞が認められる。 5)先天性表皮水疱症でケラチン5あるいは14の遺伝子異常が認められるものは、栄養障害型先天性表皮水疱症である。

(解答) 1)×2)×3)×4)×5)× 1) ランゲルハンス細胞は骨髄由来です。(STEP皮膚科 p.15) 2) メラノサイトで産生されたメラニンはケラチノサイトに移行します。(STEP皮膚科 p.12) 3) デスモソームの構成蛋白であるデスモグレインへの自己抗体が産生されます。(STEP p.170) 4) 棘融解はデスモゾームの変性・形成不全によるもので、天疱瘡などで起こります。(STEP p.51) 5) ケラチン5、14の異常は単純型です。栄養障害型は7型コラーゲンの異常です。(STEP p.181)

問題2.以下の1)〜6)の設問に対しa〜eのうち1つを選び記号を解答欄に記入せよ。 I.Qスイッチルビーレーザーが著効するのはどれか。 1.太田母斑  2.異所性蒙古斑  3.尋常性白斑  4.ポートワイン母斑 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) b) 1. ○ 他にカバーマークで隠すという方法も場合によっては行われます。(STEP皮膚科 p.262) 2. ○ Qスイッチルビーレーザー著効。年齢とともに消退傾向。 3. × 日焼けをさせるPUVA療法。健常部の皮膚移植も試みられています。(STEP皮膚科 p.250) 4. × 色素レーザー光線治療。Sturge-Weber症候群、Klippel-Weber症候群の部分症状のことも。(STEP p.264)

II.アジソン病について正しいものを選べ。 1.副腎皮質機能不全により生じる。  2.現在では、結核性が多い。 3.全身の色素沈着、倦怠感、食欲不振などの症状を呈する。 4.掌紋、膝、肘などの他、乳輪、腋窩、会陰部に色素沈着は強い。 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) a) 1. ○ それによりメラノサイト刺激ホルモン、ACTH分泌が過剰になり、色素沈着が生じます。(STEP皮膚科 p.256) 2. × 結核性のものが37%、特発性が42%です。結核によるものは激減。(year note 2004 D-58) 3. ○ 症状は、コルチゾール欠乏(やせ、脱力、食欲不振、低血糖、倦怠感)、アルドステロン欠乏(Na↓、K↑、低血糖、代謝性アシドーシス)、アンドロゲン欠乏(無月経、腋毛・恥毛の脱落、骨粗鬆症)、ACTH↑(色素沈着)からなる。(year note 2004 D-58) 4. ○ 頬粘膜、歯肉部の他、顔面、手背など衣服の擦れる部位、手のしわや腋窩など。(内科診断学p.887)

III.正しいものを選べ。 1.アミロイドーシス:AL(免疫グロブリンL鎖)、AA(protein A)などの線維構造を有する特異蛋白が諸臓器の組織間隙に沈着する。 2.エーラスダンロス症候群:皮膚の過伸展、関節の異常可動、皮膚血管の脆弱を主徴とする遺伝性コラーゲン合成異常症。 3.痛風結節:尿酸塩結晶に対する異物肉芽腫。 4.ポルフィリン症:ポルフィリン体またはその前駆体の代謝異常で急性間欠性ポルフィリン症以外では日光暴露により紅斑、水疱などが生じる。 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) e) 1. ○ 原発性・多発性骨髄腫ではAL、続発性・遺伝性ではAAよりなる。(year note 2004 D-120) 2. ○ Ehlers-Danlos症候群。膠原線維合成経路に異常があります。(STEP皮膚科 p.242) 3. ○ 痛風結節は皮下結節で、結節自体には痛みはありません。偽痛風はリン酸カルシウム。(STEP p.241) 4. ○ ポルフォリン体はヘムを合成する途中の物質で、光線曝露により励起されます。急性間欠性ポルフォリン症では前駆体が蓄積するので光線過敏は見られません。(STEP皮膚科 p.234-235)

IV.結節性紅斑を生じやすい疾患を選べ。 1.溶連菌の上気道感染(咽頭炎、扁桃腺炎など)

2.アナフィラクトイド紫斑  3.ベーチェット病   4.サルコイドーシス a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) a) 1. ○ 感染症で最多。(STEP皮膚科 p.118) 2. × 名前の通り紫斑が起こります。紫というより紅色だそうですが・・・。(STEP皮膚科 p.130) 3. ○ 生じる疾患は他に潰瘍性大腸炎、Crohn病、サルコイドーシス、リウマチなど。(STEP皮膚科 p.118)  4. ○ 上記の通り。

V.全身性エリテマドーデスの皮膚症状を選べ。 1.蝶形紅斑  2.日光過敏  3.円板状紅斑(狼瘡)  4.レイノー現象 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) e) 全身性エリテマトーデスの皮膚症状:蝶形紅斑、手掌および手指の紅斑、頭部脱毛、皮下硬結、皮下結節、光線過敏、粘膜疹。また、レイノー症状はほぼ必発。(STEP皮膚科 p.203-205) 1. ○ 60%に見られます。(year note 2004 F-49) 2. ○ 顔面、耳介、前胸部V野に起こります。(STEP皮膚科 p.205)  4. ○ 寒冷、振動、ストレスなどの刺激によって、手指に蒼白、チアノーゼ、紅斑の変化を生じ、数分でもとに戻る。

VI.皮膚筋炎で正しいものを選べ。 1.成人では内臓悪性の合併が多い。  2.肺線維症を伴うことがある。 3.治療の基本はステロイド剤の全身投与である。 4.手指関節背面の紅色丘疹(ゴットロン徴候)がみられることが多い。 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) e) 1. ○? 内臓悪性"腫瘍"だと思いますので○でしょう。(STEP皮膚科 p.215) 2. ○ 間質性肺炎(肺線維症)は5-10%でみられます。(STEP皮膚科 p.215) 3. ○ 血清CPK値を参考にしながら投与量を調節します。(STEP皮膚科 p.216) 4. ○ 他に肘、膝などにも見られます。(STEP皮膚科 p.214)

問題3.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 I.アトピー性皮膚炎に関して正しい組み合わせはどれか。 (1)年令により皮疹の好発部位が異なる。  (2)好酸球増多をきたしやすい。 (3)10〜20代に白内障や網膜剥離をきたすことがある。 (4)Th1サイトカインの優位をきたしやすい。  (5)皮膚のバリアー機能は正常である。

a)1,2,3  b)2,3,4  c)3,4,5  d)1,2,5  e)2,4,5

(解答) a) 1. ○ 部位だけでなく症状も異なります。(STEP皮膚科 p.92) 2. ○ Th2型免疫反応が優位になっていることに関連します。(STEP皮膚科 p.91) 3. ○ 代表的な合併症です。他には感染症など。(STEP皮膚科 p.95) 4. × Th2が優位になっています。(STEP皮膚科 p.90) 5. × 発汗・皮脂分泌が共に低下します。(STEP皮膚科 p.91)

II.アトピー性皮膚炎に関して正しい組み合わせはどれか。 (1)カポジー水痘様発疹症を合併しやすい。

(2)原因療法として食物除去療法を行うことがある。  (3)肥厚性癒痕をきたしやすい。 (4)ステロイド外用剤は禁忌である。  (5)IgE高値をきたしやすい。 a)1,2,3  b)2,3,4  c)3,4,5  d)1,2,5  e)2,4,5

(解答) d) 1. ○ ウイルス感染が合併して起こります。(STEP皮膚科 p.95) 2. ○ 特定のものを摂取した後に明らかに増悪する場合にそれを制限します。(STEP皮膚科 p.96) 3. × 様々な症状がありますが、肥厚性瘢痕はないようです。(STEP皮膚科 p.92-93) 4. × 免疫抑制薬とステロイドが外用療法の基本です。(STEP皮膚科 p.96) 5. ○ 80%の患者で高値です。(STEP皮膚科 p.91)

III.アレルギー性接触皮膚炎に関して正しい組み合わせはどれか。 (1)T細胞が関与する遅延型皮膚反応である。  (2)原因検索にはパッチテストが有用である。 (3)脱感作療法がよく行われている。  (4)Th2サイトカインの優位をきたしやすい。 (5)ランゲルハンス細胞が抗原提示に関わっている。 a)1,2,3  b)2,3,4  c)3,4,5  d)1,2,5  e)2,4,5

(解答) d) (1) ○ 4型反応、つまり遅延型皮膚反応のプロトタイプです。(STEP皮膚科 p.87) (2) ○ アレルギー性が疑われれば行います。(STEP皮膚科 p.88) (3) × 原因物質を取り除き、ステロイド外用、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬を内服します。 (4) × Th1優位のようです。(STEP皮膚科 p.87) (5) ○ ランゲルハンス細胞は抗原提示細胞の一種です。

問題4.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 I.スポロトリコーシスの診断に有用なものは何れか。 1.スポロトリキン反応  2.苛性カリウムによる直接検鏡 3.皮膚生検(病理学的検査)  4.PDA(potato dextrose agar)上の分離培養 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) ? 1. ○? スポロトリキン抗原による皮内反応は特異性が高く診断に有用、らしいです(戸田新細菌学p.) 2. ? する、という資料はないようですが・・・。 3. ×? PAS染色で菌要素を認めますが、有用ではないようです。(STEP皮膚科 p.366) 4. ×? 培養はサブローブドウ糖寒天培地で行います。(STEP皮膚科 p.366)

II.スポロトリコーシスについて正しいものは何れか。 1.小児の顔面と高齢者の上肢に多い  2.治療の第1選択はアンホテリシンBの点滴である 3.温熱療法が奏功する例がある  4.原因菌は棘刺などの小さな傷から真皮に侵入する a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) a)? 1. ○ 高温では発育しないので身体の末端に生じます。(STEP皮膚科 p.366) 2. ×? 関連する資料が見つかりませんでした。治療としてはヨードカリ、抗真菌薬を内服します。アンホテリシンBはポリエン系抗真菌薬です。(STEP皮膚科 p.366) 3. ○ 熱傷に注意しましょう。(STEP皮膚科 p.366) 4. ○ 自然界の常在菌で、外傷から侵入します。(STEP皮膚科 p.366)

III.次の白癬のうち通常内服療法の適応となるのは何れか。 1.股部白癬  2.頭部白癬  3.爪白癬  4.趾間型足白癬 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) c)? 基本的に浅在性は外用、深在性は内服のようです。  1.×? 選択肢より。浅在性なので外用?  2.○? 選択肢より。深在性となりケルスス禿瘡となると内服します。(STEP皮膚科 p.361)  3.○ 爪白癬は抗真菌薬を内服して治療します。(STEP皮膚科 p.361)  4.× 趾間型は外用。角化型は内服して治療します。(STEP皮膚科 p.360)

IV,次の疾患と原因菌の組合せのうち正しいものは何れか。 1.黒色分芽菌症…Fonsecaea pedrosoi  2.頭部白癬…Microsporum canis 3.乳児寄生菌性紅斑…Cryptococcus neoformans  4.スポロトリコーシス…Aspergillus flavus a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) b) 1. ○ 臨床的にはクロモミコーシスと呼ばれるそうです。(STEP皮膚科 p.367) 2. ○ ペットから感染して頭部白癬を起こし、ケルスス禿瘡にいたる事も。(STEP皮膚科 p.361) 3. × カンジダ(大部分はCandida albicans)によるおむつかぶれのことです。(STEP皮膚科 p.363)     Cryptococcus neoformansはクリプトコッカス症の原因菌。 4. × 原因菌はSporothrix schenchii。(STEP皮膚科 p.366)     Aspergillus flavusはアスペルギルス症の原因菌。

問題5.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 I.魚鱗癬について正しいものを選べ 1.水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の原因はケラチン1又はケラチン10の遺伝子変異と同定されている。 2.コロジオン児(collodion baby)の基礎疾患として最も重症なのは、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症である。 3.後天性魚鱗癬は重篤な栄養障害に伴うことがある。 4.尋常性魚鱗癬ではしばしば毛孔一致性の角化が認められる。 a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1−4のすべて

(解答) e)? 1. ○ ケラチン線維が異常となり、表皮細胞同士の結合が弱くなります。(STEP皮膚科 p.187) 2. ○ 分娩された時にフィルム状の膜に覆われています。(STEP皮膚科 p.188) 3. ○? 悪性腫瘍の合併が特徴らしいのでそれにより栄養障害が起こる・・・? 4. ○ 毛孔性角化とあるのでおそらく○ではないでしょうか。

II.疾患と病理組織像の組み合わせで正しいものを選べ 1.道化師様魚鱗癬・・・・・・・層板顆粒の異常または欠如 2.伴性遺伝性魚鱗癬'・・・・・・顆粒層の非薄化または消失 3.扁平苔癬・・・・・・・・・・コロイド小体 4.Thost-Unna型掌蹠角化症・・・顆粒変性  5.膿疱性乾癬・・・・・・・・・液状変性 a)1,2  b)1,3  c)3,4  d)2,5  e)4,5

(解答) b) 1. ○ 他に角層肥厚、角質細胞内の多数の脂肪滴。(4/21授業プリント) 2. × 顆粒層は正常です。角質肥厚が起こります。(4/21授業プリント) 3. ○ 苔癬型組織反応が多数起こります。(4/21授業プリント) 4. × Thost-Unna型は顆粒変性(−)。顆粒変性(+)はVorner(oにウムラウト)型 5. × 病理組織所見ではKogoj海綿状膿疱を認めます。

III.乾癬について正しいものを選べ 1.乾癬では高年発症の方が若年発症より遺伝要因の関与が大きいと言われている。 2.Auspitz現象は外傷や掻破により新しい皮疹が誘発される現象である。 3.滴状乾癬は溶連菌感染症の1〜2週間後に発症することが多い。 4.乾癬は人種別では白人>東洋人>黒人の順に多い。 5.Kobner(oにウムラルト)現象は乾癬に特異的な現象である。 a)1,2  b)1,3  c)3,4  d)2,5  e)4,5

(解答) c)  1.× 選択肢より。  2.× 鱗屑を剥離していくと点状出血を認める現象です。(STEP皮膚科 p.47)この文はKobner(oにウムラルト)現象の説明。  3.○ 皮疹の1〜2週間前に咽頭炎や扁桃炎が先行することが多いです。  4.○ 本邦の有病率は0.02〜0.1%。白人は2〜3%。  5.× 乾癬、扁平苔癬、自家感作性皮膚炎、青年性扁平疣贅などで見られます。(STEP p.47)

問題6.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 1.76歳女性が,「数年前から顔面にイボがある」との主訴で来院した。現症として直径約1cmの扁平隆起性黒褐色局面が右頬に見られ,顔面の他部位には老人斑が多発していた。考えられる疾患はどれか。 1.脂漏性角化症  2.Paget病  3.日光角化症  4.Bowen病 a)1のみ  b)1,3,4  c)2,3  d)2,4  e)1−4のすべて

(解答) a) 1. ○ 良性の腫瘍で80歳を超えるとほぼ100%の人にみられます。(STEP皮膚科 p.276) 2. × 顔に出来ることはあるのでしょうか・・・? 3. × 生じるのは紅斑のようです。(STEP皮膚科 p.149) 4. × 中年以降の?幹、四肢に生じる褐色調の角化局面です。(STEP皮膚科 p.282)

II.「皮膚原発性上皮性悪性腫瘍であり,進行しても転移はごく稀である。」この記載にあうものはどれか。 1.基底細胞癌  2.隆起性皮膚線維肉腫  3.石灰化上皮腫  4.有疎細胞癌 a)1のみ  b)1,3,4  c)2,3  d)2,4  e)1−4のすべて

(解答) a) 1. ○ 中年以降の顔面に前駆症状なしに好発。転移は稀。(STEP皮膚科 p.285) 2. ×? 選択肢より。線維芽細胞様紡錘形細胞の増殖からなる低悪性度肉腫。 3. × 真皮下層〜皮下組織層にわたる毛母細胞由来の良性腫瘍。(STEP皮膚科 p.279) 4. × 転移を起こします。(STEP皮膚科 p.285)

III.次の悪性黒色腫に関する記載で誤りはどれか。 1.悪性黒色腫は白人より有色人種に生じやすい。 2.巨大先天性色素性母斑は悪性黒色腫の発生母地として重要である。 3.Spitz母斑は悪性黒色腫になる確率が高い。 4.結節型悪性黒色腫は放射線,抗癌剤に反応がよいため他型より予後がよい。 a)1のみ  b)1,3,4  c)2,3  d)2,4  e)1−4のすべて

(解答) b)  1.× 逆です。白人に多く、黄色人種は少なく、黒人にはまれです。(STEP皮膚科 p.288)  2.○? 巨大色素性母斑は発生母地になるようです。(STEP皮膚科 p.292)  3.×? そのようなデータは見つかりませんでしたが・・・。  4.×? 他の病型に比べ悪性度が高いようです。

問題7.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 1.ウイルス感染症の治療とワクチンの正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。   疾患       治療        ワクチン a.水痘       アシクロビル    弱毒生ワクチン b.C型肝炎     インターフェロン  成分ワクチン c.単純疱疹     ガンシクロビル   なし d.インフルエンザ  リバビディン    不活化ワクチン e.麻疹       対処療法      弱毒生ワクチン

(解答) a,e   a.○ b.× ワクチンはまだ開発されていない。 c.× 治療はアシクロビル、バラシクロビル。   d.× リバビディンはC型肝炎の治療薬。e.○

II.皮膚の黄色ブドウ球菌感染症について正しい記述を選びなさい。 1.毛包性膿皮症の原因菌として最も分離頻度が高い。 2.肝疾患を有する患者のMRSAによる壊死性筋膜炎が有明海沿岸で間題となっている。 3.伝染性膿痂疹では血中に表皮剥奪毒素(ET)を証明できる。 4.表皮剥奪毒素(ET)はデスモグレイン1を切断する酵素活惟を持つ。 5.菌DNAのパルス電気泳動パターンにより院内感染源の検討が可能である。 a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

(解答) c)? 1. ○ 多くは黄色ブドウ球菌が原因です。(STEP皮膚科 p.319) 2. ×? ありうる話ですがよく分かりません。 3. × 血中には入りません。入るとSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)となります。 4. ○ そのようです。 5. ○? 選択肢より。

III.最近の性感染症の動向について正しいものを選びなさい。 1.最近のサーベイランスにおいて最も頻度が高い性感染症は淋疾である。 2.本邦でのHIV感染症患者は増加している。 3.梅毒スピロヘータのペニシリン耐性はほとんどみられていない。 4.尖圭コンジローマの原因ウイルスとしてはHPV−16が主流となっている。 5.泌尿器以外のクラミディア感染症はほとんどみられていない。 a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5

(解答) c)  1.× 選択肢より。    2.○ 異性間の性的接触による患者の増加が著しくなってきている。  3.○ ペニシリン療法にて治療します。  4.× HPV6型と11型が80〜90%を占めています。(STEP皮膚科 p.350)  5.× オウム病、肺炎などが有名です。

問題8.以下の設問に対し記号を解答欄に記入せよ。 45歳女性。体重50kg。熱湯をかぶり左肩関節から左指先までの熱傷を受傷して来院。左上肢は全面に水疱が認められ、一部は破れている。針で穿刺すると痛みは感じる。右上肢を含めてその他の部位に熱傷はない。 I.受傷面積は?        1.約5%  2.約10%  3.約20%  4.約30%

II.左上肢の熱傷の重症度は   1.1度熱傷  2.2度熱傷  3.3度熱傷  4.4度熱傷

I (解答) 2.  9の法則では9%、5の法則では10%です。

II (解答) 2.  紅斑で1度、水疱・びらんで2度、壊死・炭化で3・4度となります。

III.熱傷について下記の文の正しいものには○、誤ったものには×をつけなさい。 1.できるだけ早期から抗生物質の投与を行う  2.水疱蓋はできるだけ早期にすべて除去する。 3.毎日の包交では消毒液を十分に使用する。  4.後遺症として癒痕拘縮があげられる。

(解答) 1.×2.×?3.×4.○  1.× 菌交代現象を避けるために初期には投与しない。  2.×? 痂皮下で上皮化を待つとのことなので×?   3.× 消毒は不要。  4.○ 真皮深層で瘢痕化するとのこと。

問題9.下記の文の正しいものには○、誤ったものには×を解答欄に記入せよ。 1.光線過敏性皮膚症の発症機序には光毒性と光アレルギー性がある。 2.種痘様発疹症は近年サイトメガロウイルスの持続感染症であることが判明した。 3.色素性乾皮症は紫外線によるDNA損傷を修復できないことより生じる。 4.褥瘡は臨床所見より、緑色期、黄色期、赤色期、白色期に区別される。

(解答) 1.○2.×3.○4.× 1. ○  2. × EBウイルスです。 3. ○  4. × 黒色期(黒色壊死)、黄色期(黄色壊死)、赤色期(肉芽形成)、白色期(上皮化)です。

問10.正しい文章の組み合わせはどれか。a〜eの記号を1つ選び解答欄に記入せよ。 1.日焼け(sun burn)は中波紫外線UVBによる。 2.可視光線は皮膚深部にまで到達する。 3.春先(3−4月)が最も紫外線が強い。 4.皮膚の「しわ」や「たるみ」は長波紫外線UVAによる。 5.最も強く紫外線を透過させない色は黒色である。 a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5

(解答) b) 1. ○ UVBは真皮上層あたりまで侵入して日焼けを起こします。(STEP皮膚科 p.143) 2. ○ 真皮血管や異物が皮表より透見出来るのはそのためです。(STEP皮膚科 p.145) 3. × 選択肢より。春先に強まるようですが最も強いわけではない? 4. × 被覆部の細かいしわは加齢によるものなので×? 5. ○ 白はよく透過させ、黒は白の1/10程度しか透過させないようです。

問題11.以下の設問に対しa〜eのうち1つを選び解答欄に記入せよ。 1.次の文章で正しいものはどれか。 a)ATLの皮膚病変の頻度は極めて低い。 b)菌状息肉症では好中球の表皮内微小膿瘍がみられる。 c)高齢者の下腿にB細胞性のリンパ腫が生じる事がある。 d)皮膚原発CD30陽性リンパ腫は極めて予後不良である。 e)皮膚ではB細胞リンパ腫がT細胞リンパ腫より圧倒的に多い。

(解答) c) a)× 皮膚浸潤は約50%の患者に見られます。(STEP皮膚科 p.299) b)× 異型リンパ球の大小の腫瘍が形成されます。(STEP皮膚科 p.295) c)○? 生じることもあるのでは・・・? d)× 予後の良い例もあります。(STEP皮膚科 p.301) e)× T細胞性が70〜80%を占めます。(STEP皮膚科 p.294)

II.次の文章で正しいものはどれか。 a)糖尿病では皮膚の血管障害がおこることはまずない。 b)眼瞼には高コレステロール血症による黄色腫のみが起こる。 c)ステロイド長期内服により多毛となることがある。 d)遅発性皮膚ポルフィリン症は慢性の腎障害に起因する。 e)内臓病変に関連して基底細胞癌が多発するものをレーザー・トレラ症候群という。

(解答) c)? a)×? まずない、とは言い切れないような・・・。 b)×? 高コレステロール血症では眼瞼にも黄色腫が起こりますが・・・。 c)○? 比較的短期間で起こるようですが・・・。 d)? 透析により起こることはあるようですが・・・。 e)× 脂漏性角化症が多発するものを言います。(STEP皮膚科 p.276)

III.次の文章で誤ったものはどれか。 a)尋常性乾癬における表皮増殖はIL−6などのサイトカインの作用による。 b)菌状息肉症はCD4陽性Tリンパ球の腫瘍性病変である。

c)ケラチノサイトは接着分子を発現する。 d)肥満細胞はヒスタミンとプロスタグランディンを分泌し、サイトカインなどは分泌しない。 e)ランゲルハンス細胞は情報をTリンパ球に提示する。

(解答) a)?d)? a)×? IL−6は関与していないようです。 b)○ 紅斑期、扁平浸潤期を経て腫瘍期となります。(STEP皮膚科 p.295) c)? 接着分子というのが何のことかイマイチ分かりませんが、ケラチンを発現します。(STEP皮膚科 p.6)  d)×? サイトカインを分泌するという資料がチラホラあります。 e)○ 病原体が皮膚内に侵入すると、病原体を補足し、所属リンパ節へと遊走し、抗原情報をTリンパ球に伝達します。(STEP皮膚科 p.15)

問題12.以下の設間に対して記号a〜eを選び解答欄に記入せよ。 I.36歳の男性。3週前より尿管結石のためアロプリノールを内服していた。3日前より口腔内びらんと歯肉腫脹を呈してきたため歯科処置を受けたところ、口腔症状は増悪し摂食困難となり、さらに手掌・足底に1cmまでの紅斑が出現してきた。この症例につき正しいものを2つ選べ。 a)直ちに入院し、治療開始する。 b)眼瞼、陰部の粘膜症状はないので外来治療で十分である。 c)アロプリノール内服を中止する。 d)アロプリノール内服は継続してよい。 e)Darier's sign陽性である。

(解答) a),c)  アロプリノールによる固定薬疹だと考えられます。  a)○ 重症例は入院治療を原則とします。(4/30授業プリント)  b)× 摂食困難という事から十分とは言えません。  c)○ 原因薬剤の投与は中止します。(4/30授業プリント)  d)× 同上。  e)× 肥満細胞腫(色素性蕁麻疹)で見られる著しい隆起です。(STEP皮膚科 p.47)

II.蕁麻疹関連疾患について正しいものを1つ選べ。 a)尋麻疹では白色描記症がみられる。 b)尋麻疹では好酸球増多をきたしやすい。 c)クインケ浮腫は遺伝性のものが非遺伝性より多い。 d)コリン性葬麻疹は神経質な青年に多い。 e)食物依存性運動誘発性アナフィラキシーをおこす食物は米が最も多い。

(解答) d)?  a)×赤色描記症です。白色はアトピー性皮膚炎。 b)×そのような資料は見つかりませんでした。  c)×? 遺伝型はわが国に十数家系ということで遺伝性の方が少なそうですが・・・。  d)○? 青年期には多いようです。  e)× 小麦が原因と考えられているようです。

III.薬疹の病型と原因薬剤の組み合わせで正しいものを2つ選べ。 a)固定薬疹:バルビツール  b)Hypersensitivity syndrome:副腎皮質ステロイド薬 c)光線過敏型:ビタミンC  d)扁平苔癬型:アスピリン  e)色素沈着型:ミノサイクリン

(解答) a)c)  a)○ 解熱消炎鎮痛薬が60%、そのほかにもフェニトイン、アロプリノール、ミノサイクリン(STEP皮膚科 p.167) c)○ 抗菌薬、抗癌剤などで起こります。ビタミンCの欠乏または代謝障害が関与しているとか。 d)× 金製剤、サイアザイド系利尿薬、ACE阻害薬、β‐ブロッカー、抗結核薬、降圧薬のメチルドーパ、テトラサイクリン(STEP皮膚科 p.165) e)× 抗腫瘍剤により起こるそうです