提出レポ - zephy

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2007-11-27

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薬理レポ

Tubocurarine（Tub）はコリン受容体阻害薬で、Carbachol（CCh）は非水解性コリン受容体作用薬である。各々を単独投与した場合と同時投与の場合の反応を比較し、同時投与でのみ生じる最終結果の理由を考察しなさい。投与量はTub 10mg/kg、CCh 10μg/kgとする。 200字以内。

回答：カルバコールが投与されると、血管運動神経からのノルエピネフリンの遊離を抑制する他、血管内皮細胞からＮＯの遊離によって血管平滑筋を弛緩させる。そのため末梢血管が拡張、血圧が下降する。一方、ツボクラリンは骨格筋弛緩作用の他、自律神経節や副腎髄質の遮断作用を持つため血圧が下降する。この２薬品が同時に投与されると、正常時に比べ極端に血圧が下がりすぎることとなり、ネコが死亡することとなったと考えられる。正解：【解説】　単独では治療効果のある薬物でも、他の薬物との併用で致死的となる場合があります。生きた動物を使った実習でそれを示すことは倫理上できませんが、シミュレーションプログラムの上では可能です。この設問ではTubとCChの同時投与でネコが死亡することを観察してもらいました。Tubでニコチン受容体が抑制された条件下でCChによる過剰なムスカリン受容体刺激が生じた場合、交感神経節のニコチン受容体が遮断されたまま副交感神経のムスカリン受容体のみが活性化され、交感神経による代償性血圧上昇がなく血圧・脈拍低下が持続してしまい、循環不全により死に至ります。得点： 11 / 15

質問2 (10点) Virtual Cat 2. Adenosine のED50値

Adenosineによる血圧低下作用のED50値（最大反応の50％を生じるアゴニスト濃度）を求めなさい。最大濃度のAdenosineでの反応を100％とする。解答欄には数値のみを半角数字で入力し、用量反応曲線のグラフも期限までに提出のこと。

回答： No. 回答採点正解 (値) 1. 9.2 0%

この質問全般に関するフィードバック：【解説】　S状の濃度反応曲線が提出されており、こちらで求めたED50値に近い値を回答していることが必要です。多くの回答は正しい数値を求めていましたが、グラフのX軸とY軸に目盛り、単位、「反応率」などのラベル表記がないものは減点です。【注】質問2、7、8 の欄は「得点：」ではなく「採点者の上書き：　」の数字が点数です。

得点： 0 / 10 採点者の上書き： 10

質問3 (15点) Virtual Cat 3. Unknown Drug の阻害薬

プログラム中の17種類の『Unknown Drugs』のうち、各自に指定する1つの薬物をその反応パターンから推定し、作用を阻止する薬物を『Standard Drugs』の中から選びなさい。回答は各自の課題薬物ではなく阻害作用を示した『Standard Drugs』の名前を述べ、阻止した作用についての考察をすること。（200字以内、15点）

回答：指定薬物のアルファベット　（I）指定薬物の作用を阻止した薬物　（Mepyramine）阻止された指定薬物の作用についての考察：　ヒスタミンはH1受容体を介し内皮細胞からNOなど血管弛緩因子を遊離し、H2受容体を介しても血管を拡張させる。これにより全末梢血管抵抗が低下し血圧が降下する。メピラミンはH１拮抗薬に分類される。H1受容体に可逆的、競合的に結合し、ヒスタミンの作用を遮断する。特に、血管透過性低下、気管支平滑筋弛緩、瘙痒感軽減に用いられ、Ⅰ型アレルギー性疾患に用いられる。主な副作用として鎮静・催眠作用を持つ。正解：【解説】　指定の薬物でどのような反応が観察されるかを述べ、反応の特徴などから指定薬物が何かを考察し、さらに拮抗薬を用いて濃度依存性にそれが抑制されることを記述していれば満点の回答です。指定薬物による反応を記述せずにいきなり指定薬物名を述べている回答が多く見られました。得点： 10 / 15

質問4 (10点) Virtual Rat 1-a. Renal Nerve Stimulation －正常ラットと脊髄破壊ラット

正常ラットと脊髄破壊ラットで『Nerve Stimulation』より腎神経を刺激し、両者の反応の違いとその理由を述べなさい。200字以内。

回答：腎神経を刺激すると、正常ラット・脊髄破壊ラットとも大動脈圧の上昇が見られた。また、正常ラットには心拍数の大きな低下が見られたのに対し、脊髄破壊ラットでは心拍数に変化は見られなかった。これは、圧受容器が血圧上昇を感じ取ると反射によって心拍数を減少させる圧受容器反射が脊髄破壊ラットでは起こらなかったためと考えられる。正解：【解説】正常ラットでは腎神経刺激後の血圧上昇に伴い、やや遅れて脈拍の低下が観察されます。一方脊髄破壊ラットでは、圧受容体反射の消失により、血圧上昇は見られるものの脈拍の低下は観察されません。これが最大の相違点です。得点： 10 / 10

質問5 (10点) Virtual Rat 1-b. Renal Nerve Stimulation －大動脈圧

正常ラットで認めた腎神経刺激による大動脈圧への反応がどの自律神経受容体を介するものであるか明らかにしなさい。受容体を同定した根拠も述べること。200字以内。

回答：受容体：　（AT1）受容体同定の根拠：腎神経を刺激すると、糸球体近接細胞からレニンが放出され、アンジオテンシンⅡが生成される。アンジオテンシンⅡは血管平滑筋のAT１に作用し、血管を収縮させ血圧を上昇させる。これは正常ラットにアンジオテンシンⅡを投与した場合に腎神経刺激と同様の反応を示した点、またアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のロサルタン投与後腎神経刺激を行った場合血圧上昇が見られなくなった点から同定できる。　正解：【解説】正常ラットの腎神経刺激による血圧の上昇はα1拮抗薬のPrazosinで抑制でき、血管に分布する交感神経が血圧上昇に関与することがわかります。さらに神経刺激にもかかわらず血圧上昇が長時間続くのはRAA系が関与する可能性も疑わせます。実際Losartan（AII受容体拮抗薬）で腎神経刺激による血圧上昇が抑制され、また外因性に投与したAIIでも腎神経刺激と同様の反応が得られます。当初はα1を正解として作成した問題でしたが、おそらくα1とAIIの両者が関与しており、どちらも正解としました。得点： 10 / 10

質問6 (10点) Virtual Rat 1-c. Renal Nerve Stimulation －脈拍

正常ラットで見られた腎神経刺激による脈拍への反応はどの自律神経受容体を介するものか、明らかにしなさい。受容体を同定した根拠も述べること。200字以内。

回答：受容体：　（ムスカリン受容体）受容体同定の根拠：　圧受容器反射の遠心路において、心臓交感神経と血管収縮神経は抑制され、心臓迷走神経は刺激される。迷走神経刺激は主に拍動の減少を示すが、これは抗コリン作用薬のアトロピンによって阻害される。アトロピンは低濃度でムスカリン受容体と結合し、Achのムスカリン様作用を遮断するが、ニコチン様作用には影響しない。このときの作用は競合的拮抗である。正解：【解説】質問4で述べたように脈拍の低下は圧受容体を介するものであり、感知された血圧の上昇が副交感神経で心臓に伝えられることによって生じます。この反応はAtropineで抑制されるムスカリン受容体を介するものであり、Atropineは腎神経刺激による血圧上昇は抑制せずに脈拍低下のみを阻害します。一方、Prazosinによってα1受容体を阻害して血圧上昇を抑制すると脈拍低下も起こらず、脈拍低下が血圧上昇に伴う二次的なものであることがわかります。解答には圧受容体を介する反応であることを明確に述べることが必要です。得点： 10 / 10

質問7 (15点) Virtual Rat 2-(1). Isoprenaline のED50値

Propranololの非存在下および1, 2, 10μmol/lの存在下で各々Isoprenalineの用量反応曲線を作成し、4個のED50値を求めなさい。Propranolol非存在下での最大反応を常に100％とする。回答欄には上から順にPropranolol非存在下, 1μmol/l, 2μmol/l, 10μmol/l存在下の値を、単位をつけず数値のみ半角数字で入れること。グラフも期限までに提出のこと。

回答： No. 回答採点正解 (値) 1. 2.7 0% 2. 5.0 0% 3. 17 0% 4. 38 0%

この質問全般に関するフィードバック：【解説】 4本のS字状の濃度反応曲線が提出されており、こちらで求めたED50値に近い値を回答していることが必要です。グラフのX軸とY軸に目盛り、単位、「反応率」などのラベル表記がないものは減点です。

得点： 0 / 15 採点者の上書き： 11

質問8 (15点) Virtual Rat 2-(2). Propranolol の Ki値

Propranolol の Ki値を求めなさい。各濃度のPropranolol存在下で求めたIsoprenalineのED50値をAとし、Propranolol非存在下での値をA0とする。 X軸にlog([Propranolol])を、Y軸にlog[(A/A0)-1] をとると（Schildプロット）、近似直線とX軸との切片にマイナスをつけた値がpA2値となる。pA2=-logKiであるため、Ki=10^-pA2 の式よりKi値を求めることができる。解答欄には単位をつけず半角数字でKi値の数値のみを入力し、グラフも期限までに提出のこと。

回答： No. 回答採点正解 (値) 1. 0.282 0%

この質問全般に関するフィードバック：【解説】 Schild プロットを正しく作成でき、そこから正しくpA2値を求めていることが必要です。pA2値は6-7のプラスの数値 (従って正解のKi値は0.1-1μmol/L) になるはずで、0.2など1以下のpA2値が求まった場合はX軸の目盛りの取り方が間違っています。グラフのX軸とY軸に目盛り、単位、「log [Propranolol]」などのラベル表記がないものは減点です。

得点： 0 / 15