聴嗅味覚器 / 記述


【3-1】眼振を調べるための検査法を2つあげよ。
<解答>
1:カロリックテスト(温度眼振検査)
2:頭位変換眼振検査(Frenzel眼鏡を用いる)

【3-2】良性発作性頭位めまい症(BPPV)の所見を3つあげよ。
<解答>
1:特定の頭位をとると回転性のめまいを生じ、数十秒〜数分で消失する。
2:特定の頭位をとると、短い潜時の後に回転性眼振をおこす。
3:耳鳴り、難聴などの蝸牛神経症状は伴わない。

【3-3】BPPVの治療法について述べよ。
<解答>
めまいを誘発する頭位を積極的にとることで、回復が早くなる。(レビューブックマイナー S-30参照)
※予後は良好なので、多くの場合は経過観察で軽快する。

【3-4】メニエール病の所見を3つあげよ。
<解答>
1:突然の回転性めまい
2:耳鳴り
3:低音域の感音性難聴(後に高音域も難聴になる)
これらが発作性に反復する。

【3-7】・・・・・・・・・・・・・・・・・・といった現象のことを何というか。また、それを判断するテストを一つあげよ。
<解答>
現象名: リクルートメント現象(聴覚補充現象)>SISIテスト、自記オージオグラム

【4-1】外耳の自浄効果について述べよ。
<解答>外耳の上皮にはツチ骨臍から鼓膜縁へ、外耳道骨部から外耳道軟骨部へ向かう遊走能がある。これにより異物や老廃物を耳垢として排出し、外耳を清潔に保っている。

【4-2】鼓室形成術の目的を二つ述べよ。
<解答>・伝音の再建:耳小骨の連鎖を再建することで伝音が再建される
    ・穿孔の閉鎖:含気化鼓室を形成することで遮蔽効果が高められる

【2】伝音難聴と感音難聴をキーワードに、純音聴力検査について説明しなさい。
 純音聴力検査では125~8000Hzの間で気導聴力および骨導聴力を測定する。
難聴が認められる症例において気導聴力および骨導聴力の差すなはちABgapがあれば伝音難聴、もしABgapがなければ感音難聴と鑑別される。

2.上顎動揺と左頬部変形がみられた場合に考えられる顔面骨折部位は?
解答:上顎骨折(Le Fort II型)

上顎骨折はLe FortI〜III型に分けられる。I型は顔面下部打撲により歯槽骨折を来たしたもの、II型は顔面中部打撲により頬部骨折による顔面の三日月様変形を来たし三叉神経障害や鼻血、耳出血、髄液漏などを伴う。III型は顔面上部打撲により顔面のロバ様変形を来たす。一般に骨折線が上部にあるほど(III型が最も)重篤である。気道確保および整復(必要に応じて観血的)を行う

1.球麻痺型と偽性球麻痺型の嚥下障害の鑑別点について述べよ。
球麻痺型
 停滞型障害
 咽頭下降期型
 左右差があることが多い
 固形物の嚥下困難
 咽頭クリアランス低下
偽球麻痺型
 惹起遅延型障害
 咽頭挙上期型
 左右差なし
 水様物のむせ
 咽頭クリアランス正常

1.32歳男性が鼻汁、鼻閉を主訴に来院した。

1)問診の要点を述べよ。

解答: 問診にて症状を聞くことが診断上最も大切なことである。早期癌は問診ではわからないが、その他の疾患では問診で診断がつくことも多い。鼻閉はほとんど全ての鼻疾患に見られる症状であり、一側性か両側性かあるいは左右交互にあるか、一時的か持続的か、などを知る必要がある。特に「鼻閉、鼻汁、くしゃみ」を3主徴とよび、これらが同時に見られる場合、風邪やアレルギー性鼻炎が疑われ、さらにアレルギーの既往、家族暦、ペットの有無、季節性などを問診する必要がある。しかし、鼻閉のみしか見られない場合、他に腫瘍なども疑われる。腫瘍であれば腫瘍のある側に一側性に鼻閉があるはず(両側に同時に腫瘍ができることは考えにくい)であり、問診のポイントとなる。

2)前鼻孔からの観察で鼻粘膜は浮腫状、蒼白で水様性鼻汁を認めた。最も考えられる病名を一つ挙げ、診断のための検査について簡潔に述べよ。

病名:アレルギー性鼻炎

検査:血清中総IgEや鼻汁好酸球検査にてアレルギー性の検査を行う。また、抗原特定の検査として、皮内テスト、鼻粘膜誘発テスト、血清特異的IgE定量の測定を行う。

2.鼻出血についての以下の問いに解答せよ。
1)キーゼルバッハ部位からの小出血の止血法について要点を述べよ。
解答:仰臥位にはせず座位にて、尾翼を圧迫し冷却、また圧迫タンポンガーゼを挿入する。
2)下鼻道深部からの大量出血の止血法について要点を述べよ。
解答:血管塞栓術や顎動脈・外頚動脈結さつ術を行うが、止血バルーンで後鼻腔を閉鎖する。ここでは尿道カテーテルを代用してもよい。また、バイタルサインのチェックを怠ってはならない。

3.上顎癌の下記の進展方向に伴う症状について説明せよ。
解答: 1)下方進展:上顎歯痛、歯が浮いた感じ 2)内側進展:鼻閉、血性鼻汁、鼻出血 3)前方進展:頬部の腫脹、しびれ、疼痛、眼球突出 4)後外側進展:開口障害、顔面知覚異常

1.空間識はどのような入力系で形成されるか。入力系をみっつ挙げよ。~ 解答: 1.視覚  2.深部知覚  3.前庭

2.良性発作性頭位めまい症について述べよ。
解答: 内耳疾患の一つであり、特定の頭位(後方、一側に傾けたとき)で回転性めまい(30秒以内)が生じる。Frenzel眼鏡で頭位変換眼振検査を行うと、活発な純回旋眼振を認める。意識障害はない。理学療法により症状の改善を図るが、治療の必要のないことも多い。

5.顔面神経麻痺の予後判定について述べよ。
解答:神経興奮性試験(NET)やEnoG記録(evoked electromyography)が用いられる。前者は顔面神経を電気刺激しげ観察可能な末梢筋のれん縮を起こすのに必要な最小刺激量を測定し、左右比較する。後者は茎乳突孔からでた顔面神経幹を電気刺激して末梢筋の誘発筋電図を測定し、最大振幅を左右比較する。5%以下が手術適応となる。これらの検査は神経変性の程度を診断できるため、予後判定に有用である。

2.顔面軟部組織損傷の場合に気をつけなくてはならない点を簡潔に記せ。
解答:解剖学的に正しい位置に組織を戻す、ということが目的となる。その際、natural skin lineを考慮することが大切である。また、単純縫合でなく真皮縫合を行う。これにより真皮にかかる緊張が減り、瘢痕が目立たなくなるほか肥厚性瘢痕やケロイドの予防となる。また、縫合では傷を目立たなくするための視覚的効果をもたらすZ plastyやW plastyを用いる。