聴嗅味覚器 / 概説 / H16


1.中耳伝音理論について正しいのはどれか。
(1)耳小骨連鎖のてこ比が音増幅に最も大きな役割をもつ。
(2)鼓膜・耳小骨がすべてなくなると30dBの伝音難聴となる。
(3)鼓膜小穿孔で耳小骨が正常な場合に予測される難聴は12.5dBである。
(4)鼓室形成術V型はcancel効果を利用した術式である。
(5)慢性中耳炎で耳漏が増えるときに聞こえがよくなることがある。

a(1)(2) b(3)(5) c(3)(4)(5) d(2)(3)(4)(5) eすべて正しい
(解答)c  (解説)(1)× 面積比で25dB、てこ比で2.5dB増幅 (2)40

2.聴神経腫瘍について正しいものはどれか。 (1)一側性である。
(2)進行性の感音難聴がある。
(3)初期にブルンスの眼振を認めることがある。
(4)発生部位は蝸牛神経が多い。
(5)ある程度大きくなるとめまい症状が強くなる。
 a(1)(2)  b(1)(3)  c(1)(2)(3)  d(1)(2)(3)(5) eすべて正しい

(解答)a ?  (解説)(1)○ (2)○ (3)× Bruns眼振の出現は進行例。 (4)× 圧倒的に前庭神経が多い。 (5)? Stepには前庭機能を代償していた中枢神経が侵されると中枢性前庭性めまいを起こすとあるが、選択肢的に×か?

3.側頭骨骨折について正しいものはどれか。
(1)縦骨折と横骨折がある。
(2)頭蓋底骨折は伴わない。
(3)難聴、めまい、顔面神経麻痺などが主な症状である。
(4)難聴は伝音難聴である。
(5)髄膜炎を併発することもある。
a(1)(2)  b(3)(4)  c(1)(3)(5)   d(2)(3)(5) eすべて正しい

(解答)c    (解説) (2)× 錐体長軸に対して平行に折れると縦(多い)、長軸を横断すると横(少ない)。(4)× 縦→伝音(混合)、横→感音。

4.内耳性難聴をきたすものはどれか。
(1)アスピリン
(2)ペニシリン
(3)アミノ配糖体抗生物質
(4)ループ利尿剤
(5)シスプラチンなどの抗癌剤
 a(3)(4)  b(1)(3)(4)  c(3)(4)(5) d(1)(3)(4)(5) eすべて正しい

(解答)d (解説)アミノ配糖体、ループ利尿剤、サリチル酸塩、抗癌剤、インターフェロンなど

5.他覚的聴力検査として利用できるのはどれか。
(1)純音聴力検査
(2)聴性脳幹反応
(3)アブミ骨筋反射
(4)Bekesyの自記オージオメトリー
(5)SISIテスト
 a(2)(3)  b(2)(4)  c(2)(3)(4) d(2)(3)(4)(5) eすべて正しい

(解答)a(解説)(1)× 患者さんに聞こえたら合図してもらい記録。 (4)× 患者さん自身が調節して気導聴力閾値を測定。
6.突発難聴について正しいものはどれか。
(1)ほとんど一側性
(2)聾に至るものがある。
(3)早期治療が重要
(4)聴神経腫瘍の初発症状として出現することがある。
(5)めまいを伴うことがある。
 a(1)(2)  b(4)(5)  c(1)(3)(4)   d(1)(3)(4)(5)  eすべて正しい
(解答)e   (解説)(4)○ 突発性難聴は画像で聴神経腫瘍を除外することが必要。
7.職業性、騒音性難聴について正しいものは
(1)C5 dipをきたす。
(2)ステロイドが有効である。
(3)耳栓は無効である。
(4)蝸牛血管条の障害である。
(5)中音域から障害されるのが特徴である。
 a(1)(3)  b(1)(4)  c(2)(3)(4) d(2)(3)(4)(5) eすべて間違い

(解答)? (解説)(1)○ (2)× 職業性は治癒不能。 (3)× 有効 (4)× 有毛細胞障害。 (5)○ 4000Hz付近から低下する。

8.人工内耳について正しいものは
(1)小児の先天聾には有効性が低い。
(2)小児では出生後なるべく早期に手術を行ったほうが効果が高い。
(3)手術後リハビリテーションが必要である。
(4)電話での会話は不可能である。
(5)言葉の聞き取りには個人差が大きい。
 a(1)(2)(3)  b(3)(5)  c(2)(3)(5) d(1)(3)(4)(5) eすべて正しい
(解答)c (解説)(1)× ろう児の早期聴覚確立を目指す。 (2)○ 早ければ早いほどよい。遅くとも4歳。  (4)× 可能。

9.リクルートメント現象について正しいのはどれか。 (1)内耳障害と後内耳(迷路)疾患を鑑別診断するのに有効
(2)入力音の変化に対して感覚レベルがそれ以上になる現象を言う
(3)他覚的検査でのみ証明される。
(4)老人性難聴ではほとんど陽性となる。
(5)男女差が著しい。
 a(1)(3)  b(3)(5)  c(1)(2)(4)   d(1)(3)(4)(5) eすべて正しい

(解答)c (解説)(1)○ 内耳性で陽性 (2)○ (3)× 自記オージオメトリなども用いる。 (4)○?選択肢から。陰性例も多いらしい。後迷路性の変化も加わるため。

10.遺伝性難聴について正しいのはどれか。
(1)両側高度難聴(60dB以上)は1000人に1人出生する。
(2)人工内耳は聴覚獲得に有用
(3)非症候性遺伝が多い
(4)常染色体劣性遺伝が多い
(5)ミトコンドリア難聴は母系遺伝をする
a(1)(2)  b(3)(5)  c(2)(3)(5) d(1)(3)(4)(5) eすべて正しい

(解答)e (解説)(1)○ 60〜90dB、90dB以上それぞれ10万人に50人ずつ。 (3)○ 70%。 (4)○ 常劣38%、常優10%、伴性2%。