成体防御因子


語句問題

3.生体防御反応と病原因子(因子が分からなければその機能)の関係について書き、進化について考えうることを書け

細菌やウィルスなどの病原体は、その巨大個体群、高増殖性、高突然変異率といった特徴ゆえに進化速度が大きい。従って、宿主の免疫防御機構を回避し得る突然変異を獲得した病原体は急速に選択され、集団中に広がる。一方で宿主側も多様性を持つため、病原体に抵抗可能な機構を獲得した個体は選択されてきた。抗体による多様性生成の機構は、いわば一個体内での進化の過程の再現であると言える。このように、種々の免疫防御機構とその回避機構は、進化学的には病原性と抵抗性との競争の産物である。 しかし、ヒトは病原体と比べて進化速度が圧倒的に小さい。従ってヒトの免疫機構は病原体によって打ち破られる確率が高い。ただし、宿主にたかる病原体は、宿主を食いつくしては自分も生きていけないし、全く搾取しないわけにもいかない「寄生のパラドクス」の状態におかれている。それゆえ医学や分子生物学の分野では「宿主に対して破壊的にふるまう病原体は出現したばかりの新参者であって、それらは次策に宿主に無害になり、さらに宿主と共生する方向へと進化する」と考えられている。