腎・高血圧 / 卒試 / 高血圧


腎・高血圧

<高血圧> 【1】( )に適切な語句を下記の選択項目から選択せよ。ただし、複数回用いてもよい。 ・1999年のWHO/ISHや2000年の日本高血圧学会による高血圧分類では、高血圧は収縮期血圧(1)mmHg以上、かつ/または拡張期血圧(2)mmHg以上と定義されている。 ・悪性高血圧症の定義は拡張期血圧が(3)mmHg以上で、眼底所見がKeith-Wagener IV度の所見を呈するもの、すなわちKeith-Wagener III度の所見に加えて(4)を伴うものである。 ・動脈圧受容器からの情報は延髄の(5)に入力したのち、尾側延髄腹外側野を介して、吻側延髄腹外側野の活動性を緊張性に(6)している。 ・アンジオテンシン変換酵素はアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するのみならず、ブラジキニンの(7)を促進する。 ・腎傍糸球体細胞からのレニン分泌はアンギオテンシンIIにより(8)され、体液量の増加により(9)される。 ・血圧は一般に昼間高く、夜間就寝中に低下する日内変動を示すが、夜間の血圧下降が減少する代表的な疾患として、(10)が挙げられる。 ・線維筋性異形成による腎動脈狭窄は腎動脈の(11)に多く、大動脈炎性の場合は腎動脈の(12)に多い。 【選択項目】A)90、 B)95、 C)100、 D)110、 E)120、 F)130、 G)140、 H)150、 I)160、 J)170、 K)180、 L)軟性白斑、 M)硬性白斑、 N)うっ血乳頭、 O)出血、 P)疑核、 Q)青斑核、 R)弧束核、 S)刺激、 T)抑制、 U)産生、 V)分解、 W)腎血管性高血圧、 X)クッシング症候群、 Y)起始部、 Z)中間〜遠位部 (解答)1)G 2)A 3)F 4)N 5)R 6)T 7)V 8)T 9)T 10)X 11)Z 12)Y(C159~,12/8,12/16,1/6) 5)6)頚動脈洞を圧迫する→舌咽神経が興奮を延髄の弧束核に伝える。弧束核から迷走神経背側核へ伝えられる。→心臓の洞房結節や房室結節を抑制→徐脈化(valsalva法を元に考えてもよいかもしれないが、弧束核から腹外側野へは抑制性ニューロンGABAで伝達) 7)キニンは血管拡張ペプチドであり、これが分解されることにより血管収縮 8)ANG IIのNegative feedback、Na・水の負荷でもレニンは抑制される 10)クッシング病ではACTH分泌の日内変動が消失する。 11,12)線維筋性異形成は小児から中高年まで発症するが、小児の高血圧の中では高率をしめる。主幹腎動脈の遠位部若しくは第一分枝までを障害。特徴的な所見としては、血管造影上、肥厚と菲薄化した部分が交互になった数珠球状を呈す。進行は緩徐で1/3は進行しない。完全閉塞はまれ(これはかつての解説にありましたが、確証がえられませんでした。すいません)。経皮的腎動脈拡張術のよい適応。 大動脈炎性は若い女性に多い、大動脈への開口部〜腎動脈主幹部の起始部、4〜7年で10~15%が完全閉塞、10%に腎機能障害(すいません。これもよくわかりません) 【2】臓器合併症のない高血圧患者の非薬物療法として推奨されるものはどれか。 1)食塩摂取制限 2)マグネシウム、カルシウムの摂取制限 3)野菜や果物の摂取 4)タンパク質の摂取制限 5)適度の有酸素運動 A.1,2,3 B.1,2,5 C.2,3,4 D.2,3,5 E.3,4,5 F.1,3,5 (解答)F(12/12) 非薬物療法としては、食事療法(食塩制限、K摂取制限、野菜摂取)運動療法(有酸素運動)体重制限(肥満と血圧、インスリン抵抗性との関係)嗜好品(アルコール、タバコ) 【4】高血圧の薬物治療について正しくないものを選べ。 1.高度の腎不全患者では高アルドステロン薬のスピロノラクトンが適している。 2.耐糖能異常のある患者ではα遮断薬も有効である。 3.冠動脈攣縮狭心症を有する患者にはCa拮抗薬が有効である。 4.ACE阻害薬には蛋白尿抑制効果がある。 5.原発性アルドステロン症患者の降圧にはループ利尿薬が有効である。 A.12 B.15 C.23 D.34 E.35 F.24 E. 腎・高血圧 E - 8 E - 8 (解答)C(C164,C170,12/12) 1)スピロノラクトンは高K血症を起こすので、腎障害を伴う場合は禁忌(サイアザイド系利尿薬も) 4)ACE阻害薬には副作用として蛋白尿がある 5)原発性アルドステロン症では、低K血症となっており、低K血症時はループ利尿薬は禁忌 【5】以下の条件下の高血圧の薬物療法に関して正しいものを選べ。 1.解離性大動脈瘤では収縮期血圧を150mmHg程度に維持するように降圧療法を行う。 2.妊娠中毒症ではレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が亢進しているので、ACE阻害薬が第一選択となる。 3.閉塞性肺疾患患者ではβ(ベータ)遮断薬は好ましくない。 4.降圧治療を受けている患者でも、外科手術前には降圧薬は1〜2週間中止するのが原則である。 5.前立腺肥大症を有する高血圧患者には、α(アルファ)遮断薬も積極的な適応となる。 A.12 B.15 C.23 D.34 E.35 F.24 (解答)E(C62,C144,C165,12/12,1/6) 1)収縮期血圧を100〜120mmHgにする 2)RAA系は亢進しているが、ACE阻害薬・ARBは催奇形性が疑われており禁忌 3)気管支痙攣等の喘息増悪をきたすので禁忌 4)たぶん間違いだと(すいません) 5)○ 【9】低K血症を来たす高血圧症は以下のどれか。 1.原発性アルドステロン症 2.腎血管性高血圧 3.barrter症候群 4.liddle症候群 5.甘草大量摂取による高血圧 (解答)1,2,4,5(D58,D59,12/16) 3)低K血症を呈すが、血圧は正常 4)若年発症の低K血症を伴う高血圧。上皮型Naチャネルの変異による活性亢進でNaの再吸収が増加し、K分泌が増強。 5)甘草(グリチルリチン)の摂取は偽性アルドステロン症を誘発することがある 【10】原発性アルドステロン症に関して正しいのはどれか。 (1)内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。 (2)低カリウム、代謝性アルカローシスが見られる。 (3)腺腫によるものは、ACTH依存性である。 (4)血清レニン活性や血漿コルチゾール濃度はいずれも低い。 (5)特発性アルドステロン症の治療では、まず副腎摘出術を考える。 A.(1,2,3) B.(1,2,5) C(2,3,4) D(2,3,5) E(3,4,5) F(1,3,5) (解答)A(D57,D77,S(3)p242,12/16) 1)○かつ20〜40代の多い女性に多い 2)低Kより筋力低下、周期性四肢麻痺が、アルカローシスによりテタニーが生じる 3)原発性アルドステロン症は、アルドステロン産生腫瘍・特発性アルドステロン症・グルココルチコイド反応性アルドステロン症の三つに分けられるが、この中で腫瘍かつACTH依存性があるのはアルドステロン産生腫瘍 4)原発性アルドステロン症では、血中ACTHは正常範囲なので血漿コルチゾール濃度は正常ではなかと(すいません) 5)特発性アルドステロン症では、スピロノラクトン、Ca拮抗薬などの内科的治療が行われる 【11】次に行う検査3つ 1.血漿レニン活性 2.腹部血管エコー 3.MIBGシンチ 4.腎生検 5.腎シンチグラム、レノグラム (解答)1,2,5(D56) ←ただ問題が何の次に行うのかわからないので勝手に考えました 1)原発性アルドステロン症では低下している 2)原発性アルドステロン症の成因となる腫瘍や過形成の診断に用いられる 3)褐色細胞腫の部位診断に用いられる 4)これはないかと 5)選択肢的に

高血圧 8.高血圧の薬物療法に関して正しくないものを選べ。 1)高度の腎不全患者では抗アルドステロン薬のスピロノラクトンが適している。 2)原発性アルドステロン症患者の降圧にはACE阻害薬が有効である。 3)ACE阻害薬は蛋白尿抑制効果がある。 4)安静時狭心症を有する患者にはCa拮抗薬が第一選択となる。 5).度房室ブロックがある場合にはCa拮抗薬のジルチアゼムは適していない。 A.(1,2) B.(1,5) C.(2,3) D(3,4) E.(3,5) F(2,4) <解答>A

9.30才、女性で160/110mmHgの高血圧を指摘される。左腎は縮小、右腎は正常大。血清レニン値は上昇、しかし左腎静脈レニン値が上昇し右腎静脈レニン値は減少していた。本例の高血圧の原因病変は? A)左腎動脈の粥状動脈硬化 B)右腎動脈の粥状動脈硬化 C)左腎動脈の線維筋性過形成 D)右腎動脈の線維筋性過形成 E)硝子用細動脈硬化 <解答>C <解説> 腎血管性高血圧の鑑別 粥状硬化症ー中年、男性、両側性が多い 繊維筋性異形成ー若・中年、女性、片側が多い 大動脈炎症候群ー若年、女性、両側性が多い 14.次のうち誤っているものの組み合わせを選べ。 (1) α-blocker・・・血清脂質上昇 (2) Β-blocker・・・ASOの増悪 (3) Ca拮抗薬・・・浮腫 (4) 利尿薬・・・高尿酸血症 (5) ACE inhibitor・・・対糖能異常 A.(1)(2) B.(2)(3) C.(3)(4) D.(4)(5) E.(1)(5) <解答>E 18.糖尿病を合併する高血圧患者の治療で誤っているものはどれか? 1)糖尿病のない患者に比べて臓器合併症が生じやすいため、血圧を高めにコントロールする必要がある。 2)β遮断薬は耐糖能の改善に効果がある。 3)ACE阻害薬は、腎症の進展を予防するので有用である。 4)糖尿病性神経症のある人では起立性低血圧があるため、α遮断薬は使用しにくい。 5)第1選択薬として、Ca拮抗薬も用いられている。 A.1)2),B.2)3),C.3)4),D.4)5),E.1)5) <解答>A 19.高齢者高血圧に関して誤っているものはどれか? 1)β.遮断薬の有効性が高い 2)高齢者では若年者に比し、収縮期高血圧を呈する割合が高い 3)高齢者では臓器障害を有することが多いので短時間に速やかに降圧目標を達成する 4)アンジオテンシン.受容体拮抗薬は第一選択薬とはならない 5)食後低血糖を呈することがある A(1,2,3) B(1,3,4) C(1,4,5) D(2,3,4) E(2,4,5) F(3,4,5) <解答>B <解説>1× Ca拮抗薬、ACE阻害薬、AII受容体阻害薬、利尿薬が有効 3× 緩徐な降圧をする 20.低K血症を呈する高血圧症をきたすものはどれか。 1.原発性アルドステロン症 2.腎血管性高血圧 3.Bartter症候群 4.? 5.甘草の過剰摂取 a) 123 b) 125 c) 124 d) 235 e) 345 f) 135 <解答> b <解説>1)○ 2)続発性アルドステロン症になり○ 3)血圧は正常 5)偽アルドステロン症になり○ 21.原発性アルドステロン症に関して正しいのはどれか。 1)内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。 2)低カリウム血症、代謝性アルカローシスが見られる。 3)血漿レニン活性や血漿コルチゾール濃度はともに低い。 4)特発性アルドステロン症の治療では、まず副腎摘出術を考える。 5)腺腫によるものは、ACTH依存性である。 A(1,2,3) B(1,2,5) C(1,4,5) D(2,3,4) E(3,4,5) 【解答】B <解説>原発性アルドステロン症は、コルチゾールは上昇するものがある。また、特発性アルドステロン症の治療はスピロノラクトン。 E. 腎・高血圧 E - 15 E - 15 22. 褐色細胞腫の問題。過去に頻出のものと同一です。 23.褐色細胞腫について次のうち正しい組み合わせをえらべ 1.副腎髄質および交感神経節由来のクロム親和性細胞が腫瘍性に増殖したものである。 2.腫瘍の好発部位としては後腹膜腔が最も多く、半数以上は悪性である。 3.主症状として頭痛、発汗、動悸がある。 4.甲状腺髄様癌を合併するSipple症候群では、両側性、家族制発症であることが多い。 5.合併する高血圧の治療としてはβ遮断薬を第一選択とする。 <解答>1○ 2× 悪性は10% 3○ 4○ 5第一選択はα遮断薬

【高血圧】 ( )に適切な語句を下記の選択項目から選択せよ。ただし、複数回用いてもよい。 ・ 1999年のWHO/ISHや2000年の日本高血圧学会による高血圧分類では、高血圧は収縮期血圧( 1 )mmHg以上、かつ/または拡張期血圧( 2 )mmHg以上と定義されている。 ・ 悪性高血圧症の定義は拡張期血圧が( 3 )mmHg以上で、眼底所見がKeith-Wagener IV度の所見を呈するもの、すなわちKeith-Wagener III度の所見に加えて( 4 )を伴うものである。 ・ 動脈圧受容器からの情報は延髄の( 5 )に入力したのち、尾側延髄腹外側野を介して、吻側側延髄腹外側野の活動性を緊張性に( 6 )している。 ・ アンジオテンシン変換酵素はアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するのみならず、ブラジキニンの( 7 )を促進する。 ・ 腎傍糸球体細胞からのレニン分泌はアンギオテンシンIIにより( 8 )され、体液量の増加により( 9 )される。 ・ 血圧は一般に昼間多角、夜間就寝中に低下する日内変動を示すが、夜間の血圧下降が減少する代表的な疾患として、( 10 )が挙げられる。 ・ 線維筋性異形成による腎動脈狭窄は腎動脈の( 11 )に多く、動脈硬化性の場合は、腎動脈の( 12 )に多い。 【選択項目】A)90、 B)95、 C)100、 D)110、 E)120、 F)130、 G)140、 H)150、 I)160、 J)170、 K)180、 L)軟性白斑、 M)硬性白斑、 N)うっ血乳頭、 O)出血、 P)疑核、 Q)青斑核、 R)弧束核、 S)刺激、 T)抑制、 U)産生、 V)分解、 W)腎血管性高血圧、 X)クッシング症候群、 Y)起始部、 Z)中間〜遠位部 解答:1)G 2)A 3)F 4)N 5)R 6)T 7)V 8)T 9)T 10)X 11)Z 12)Y 解説:5)6)頚動脈洞を圧迫する→舌咽神経が興奮を延髄の弧束核に伝える。弧束核から迷走神経背側核へ伝えられる。→心臓の洞房結節や房室結節を抑制→徐脈化 10)クッシング病ではACTH分泌の日内変動が消失する。 11,12)線維筋性異形成は若い女性に多い、主幹腎動脈の遠位部若しくは腎内分枝を障害。進行は緩徐で1/3は進行しない。完全閉塞はまれ、経皮的腎動脈拡張術のよい適応。 動脈硬化性は45歳以上の男に多い、大動脈への開口部〜腎動脈主幹部の起始部、4−7年で10−15%が完全閉塞、10%に腎機能障害 13.低カリウム血症を呈することがある高血圧症はどれか。 1)原発性アルドステロン症 2)Barter症候群 3)腎血管性高血圧症 4)褐色細胞腫 5)甘草の過剰摂取による高血圧 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答 F(1,3,5) Bartter症候群は続発性アルドステロン症だが、血圧は正常。他に低K血症を呈する高血圧症としては、先天性副腎過形成や、Liddle症候群など。 14.原発性アルドステロン症に関して正しいのはどれか。 1)内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。 2)低カリウム血症、代謝性アルカローシスが見られる。 3)腺腫によるものは、ACTH依存性である。 4)血症レニン活性や血症コルチゾール濃度はともに低い。 5)特発性アルドステロン症の治療では、まず副腎摘出術を考える。 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答 A(1,2,3) 原発性アルドステロン症は、コルチゾールは上昇するものがある。また、特発性アルドステロン症の治療はスピロノラクトン。 15.先天性副腎過形成に伴う高血圧に関して正しいのはどれか。 1)高血圧をきたすのは11β-hydroxylase欠損症のみである。 2)ACTHの過剰分泌により両側副腎過形成をきたす。 3)酵素欠損により血症コルチゾール値が低下する。 4)高血圧とともに低カリウム血症が見られる。 5)治療は、まず副腎摘出術を考える。 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答 C(2,3,4) 11β−hydroxylase欠損、17α−hydroxylase欠損ともに高血圧をきたす。治療はコルチゾールやヒドロコルチゾンの投与。 16.褐色細胞腫に関して正しいのはどれか。 1)副腎髄質や傍神経節に存在するクロム親和性細胞が腫瘍化したものである。 2)腫瘍の発生部位として後腹膜腔が最も多く、しかも半数以上は悪性である。 3)主症状として頭痛、動機、発汗が挙げられる。 4)甲状腺髄様癌と合併したSipple症候群では両側性、家族性のことが多い。 5)降圧薬を用いる場合はβ遮断薬を第一選択薬とする。 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答 ?(1,3,4) 好発部位は後腹膜腔であるが、悪性は10%である。治療の第一選択は、外科的腫瘍全摘である。 17.臓器合併症のない高血圧患者の非薬物療法として推奨されるものはどれか。 1)食塩摂取制限 2)マグネシウム、カルシウムの摂取制限 3)野菜や果物の摂取 4)タンパク質の摂取制限 5)適度の有酸素運動 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答 F(1,3,5) 非薬物療法としては、食塩制限、減量、アルコール制限、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限、運動療法、禁煙など。 18.糖尿病を合併する高血圧患者の治療で誤っているものはどれか。 1)糖尿病のない高血圧患者に比べて臓器合併症が生じやすいため、血圧を高めにコントロールする必要がある。 2)β遮断薬はコレステロールを低下させるので有用である。 3)ACE阻害薬は、腎症の進展を予防するので有用である。 4)糖尿病性神経症のある人では起立性低血圧があるため、α遮断薬は使用しにくい。 5)利尿薬は、耐糖能低下、尿酸上昇、コレステロール上昇の副作用が出現する可能性があり、注意して使用する。 A.(1,2)B.(2,3)C.(3,4)D.(4,5)E.(1,5) 解答 A(1,2) 糖尿病患者の血圧コントロールは低め(130/85mmHg未満)にする。治療はACE阻害薬や、Ca拮抗薬が使用される。利尿薬は低K血症による耐糖能の悪化、β遮断薬は低血糖発作時の症状の隠蔽、α遮断薬は糖尿病性神経症による起立性低血圧を増悪させる可能性があるので、使用されにくい。 19.降圧薬の副作用で誤っているのはどれか。 1)降圧利尿薬…高尿酸血症 2)β遮断薬…喘息の悪化 3)カルシウム拮抗薬…浮腫 4)α遮断薬…尿閉 5)アンジオテンシンII受容体拮抗薬…耐糖能の悪化 A.(1,2)B.(2,3)C.(3,4)D.(4,5)E.(1,5) 解答:D 解説:1)○サイアザイド系は代謝経路が尿酸と拮抗するために抗尿酸血症をきたす。 2)○β2遮断効果により喘息に対しては禁忌。 3)○ 4)×α遮断薬の有名な副作用としては起立性低血圧など。 5)× 20.高齢者高血圧の治療について正しいのはどれか。 1)高齢者では収縮期高血圧の頻度が高いので、β遮断薬がよい適応となる。 2)わが国では長時間作用型Ca拮抗薬が高齢高血圧患者で多く使用されている。 3)85歳以上の超高齢者では高血圧治療による予後改善効果が示されていない。 4)高齢者では臓器障害を有することが多いので、速やかに降圧目標を達成する。 5)α1遮断薬は起立性低血圧をきたすことがあるので、高齢者では慎重に用いる。 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 解答:D 解説:1)× 2)○Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬、ACE阻害薬が第一選択になる。 3)○ 循環動態が帰って悪化することもあり、生活改善位のレベルまでの治療にとどめるべきという考えもあるらしい。症例も少なく生命予後改善のデータはない。 4)×高齢者、幼児ではゆっくりと目標血圧に下げる。目標血圧も高齢者程高めに設定する。 21.高血圧の薬物療法に関して正しくないものを選べ。 1)高度の腎不全患者では、高アルドステロン薬のスピロノラクトンが適している。 2)原発性アルドステロン症患者の降圧にはACE阻害薬が有効である。 3)ACE阻害薬は蛋白尿抑制効果がある。 4)安静時狭心症を有する患者にはCa拮抗薬が第一選択となる。 5)II度房室ブロックがある場合はCa拮抗薬のジルチアゼムは適していない。 A.(1,2)B.(1,5)C.(2,3)D.(3,4)E.(3,5)F.(2,4) (解答)A 1)ループ利尿薬であるフロセミドが適している。 2)ACE阻害薬を投与してもその作用機序から意味が無い。(原発性アルドステロン症はACTH依存性にアルドステロンを出していて、RAA系は押さえられているので、無効。)スピロノラクトンが有用。 3)? 4)正しい。 5)正しい。 22.以下の条件下の高血圧の薬物療法に関して正しいものを選べ。 1)解離性大動脈瘤では収縮期血圧を150mmHg程度に維持するよう降圧療法を行う。 2)妊婦中毒症ではレニン・アンギオテンシン系が亢進しているのでACE阻害薬が第一選択となる。 3)閉塞性動脈硬化症患者ではβ遮断薬は好ましくない。 4)降圧治療を受けている患者でも、外科手術前には降圧薬は1〜2習慣中止するのが原則である。 5)前立腺肥大症を有する高血圧患者には、α遮断薬も積極的な適応となる。 A.(1,2)B.(1,5)C.(2,4)D.(3,4)E.(3,5)F.(2,4) (解答)E 1)150ではなく110〜120mmHgが適当。 2)ACE阻害薬は新生児に腎不全をきたしうるし、催奇形性があるため適切でない。メチルドーパがよい。 3)β遮断薬ではなくACE阻害薬、Ca blockerが望ましい。 4) 降圧薬は使用したまま。 23.合併症のない高血圧症での降圧薬の併用に際して、好ましくないものを選べ。 1)ACE阻害薬+サイアザイド系利尿薬 2)β遮断薬+α遮断薬 3)非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬ジルチアゼム+β遮断薬 4)ACE阻害薬+カリウム保持性利尿薬 5)Ca拮抗薬+ACE阻害薬 A.(1,2)B.(1,5)C.(2,4)D.(3,4)E.(3,5)F.(2,4) (解答)D 3)どちらとも心収縮力を抑制するので×。 4)高Kを助長するから×。ACE阻害薬ではアルデステロンが低下し、Na-Kポンプの回転低下、Kが増加するためK保持性の利尿薬は×。 次の62歳、男性の症例について答えよ。 【主訴】後頭部痛、全身倦怠感 【現病歴】10年前より降圧治療を開始し、コントロールは良好であった。最近になり血圧のコントロールが困難となり、後頭部痛が見られるようになったためアンジオテンシン変換酵素阻害薬を併用開始した。しかし、急速に腎機能障害が出現したため紹介された。 【家族歴】母が高血圧。【既往歴】特記すべきことなし。 【生活歴】喫煙30本/日を40年間、飲酒2合/日。 【現症】身長164cm、体重60kg。眼底Keith-WagenerIIa、 臥位血圧176/102mmHg(右上肢)、150/92mmHg(右下肢)、胸部ではII音の亢進を認める。腹部では臍上部に収縮期から拡張期にわたる血管雑音を聴取する。 【主要検査所見】総蛋白7.4g/dl、BUN;30mg/dl,血清クレアチニン;3.1mg/dl, 血清Na138 mEq/L、血清K4.6 mEq/L、空腹時血糖94 mg/dl 、血色素13.2 g/dl、Ht39.8%、尿蛋白(+)、尿潜血(−)。 胸部X線:CTR56%、腹部X線:腸ガス像のため腎臓の輪郭は不明瞭。 24.最初に行う適切な処置を1つ選べ。 A)すべての降圧薬を中止して、内分泌学的評価を行う。 B)アンジオテンシン変換酵素阻害薬を中止する。 C)降圧薬の静脈内投与により血圧を直ちに正常化する。 D)塩分摂取量を2g/日に制限する。 E)蛋白摂取量を0.5/日に制限する。 25.次に行う検査はどれか。 1)血漿レニン活性測定。 2)腹部血管エコー検査。 3)腎シンチグラム、レノグラム。 4)腎生検。 5)動脈造影検査。 A.(1,2,3)B.(1,2,5)C.(2,3,4)D.(2,3,5)E.(3,4,5)F.(1,3,5) 24 (解答)B 慢性化していた高血圧が急に進んだこと、腹部でのbruitなどから腎血管性高血圧を疑い、ACE阻害薬を投与するも腎機能が悪化。両側の腎動脈が狭窄していると考えられる。腎機能を低下させたACE阻害薬をまず中止するのが最初にすべきこと。治療としては経皮的血管形成術(PTA) 25 (解答)D 1)は狭窄している側と健側のレニン活性の左右差を見る検査だが、ここでは診断的価値は少ないように思われる。4)は腎実質の病変があるわけではないので行う必要はない。