真菌


各論

真菌とその病原性について。  真菌は下等真核生物の一つである。最も狭義の古典的定義によれば、真菌は光合成能を欠き、多糖体性の細胞壁を有する下等真核生物から、生殖細胞に鞭毛のあるもの(卵菌類、ツボカビ類など)を除いた集団ということになる。このように定義された真菌には、後述のように接合菌類(接合胞子を形成)、子嚢菌類(子嚢胞子を形成)、担子菌類(担子胞子を形成)、不完全菌類(最後の2者と関係あるが分類不能)の4群が含まれる。  真菌は真核生物である。このことに由来する性質の中で医学的に重要なのは、細胞質のリボソームが80S型(ミトコンドリアのリボソームは70S型)であるために、タンパク合成阻害を起こす抗細菌化学療法剤は真菌には実用上ほとんど無効であることと、膜ステロールの存在と関係して、ステロールを持たない細菌には作用せず、真菌に有効な薬剤が存在することである。

カンジダ・アルビカンス 口腔、皮膚などに常在 カンジダ症の大部分、菌交代症 人から人へは伝染しない
アスペルギルス属
生活環境に広く存在 アスペルスギルス症、菌交代症

終末感染の様相を呈し、治療困難 


ペニシリウム属 自然界に広く存在 ペニシリウム症(爪、耳、肺など) 青カビ(緑ないし青色を呈する)

スコプラリオプシス属 自然界に広く存在 スコプラリオプシス症(爪、耳など) 褐色調の集落

ガラクトミセス・ゲオトリクム 自然界に広く存在 ゲオトリクム症(肺、口腔、皮膚など) 穀物、チーズなどの加工食品の汚染菌 ニューモシスチス・カリニイ カリニ肺炎 原虫に類似、健康な人は発症しない