消化管 / 卒試 / 04


消化管

2004年度卒業試験(復元) メモ:問題・解答用マークシートが一つの(名前つき)封筒に入れてあり、封筒ごと提出。持ち帰りは不可能。 問題番号は1〜7168にはa〜c、70にはa,b、71にはa,bの小問があり、全部で75問でした。 1. 以下の記載で正しいものを選べ。 a. 健常成人の一日糞便排出量は400〜500gである。 b. 健常成人の糞便pHは7.0〜7.5である。 c. グアヤック反応はオルトトルイジン反応よりも鋭敏である。 d. 上部消化管出血の診断に免疫学的潜血反応が有用である。 e. スダンIII染色は粘液便の診断に用いられる。 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e (答) 2. H15年度概説99番参照。 a. ×、1日の便重量が平均250 gを超えると下痢。 b. ○ c. ×、逆。 d.上部消化管出血ではヘモグロビン変性の可能性があり不確実。 e. 脂肪滴で赤色に染色される。 2. 下記のうち、器質性便秘をきたす病態はどれか。 a. 脱水 b. 糖尿病 c. 強皮症 d. 内痔核 e. 甲状腺機能亢進症 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde aは便が硬くなることによる器質性便秘○。dは便意を感じなくなる機能性便秘×。 解答 1。 3. 関連痛でないものを選べ a. 胆嚢炎.右肩甲部痛 b. 膵炎.左肩甲部痛 c. 心筋梗塞.心窩部痛 d. 急性虫垂炎.右肩甲部痛 e. 過敏性腸症候群.左下腹部痛 1.ab 2.ae 3.bc 4.cd 5.de (答) 5. a. ○ b. 左背部に関連痛。c. ○ d. 心窩部痛→右下腹部に限局。e. 左下腹部痛は内臓痛? 4. 特発性虚血性大腸炎の特徴として正しいものはどれか。 a. 一過性型よりも狭窄型が多い。 b. 右側結腸に好発する。 c. 発症直後の組織で担鉄細胞を認める。 d. 発症すると腹痛と下血が見られる。 e. 40歳以下の若年者でも発症する。 1.ab 2.ae 3.bc 4.cd 5.de (答) 5. a. 一過性型の方が多い。 b. ×、下行結腸、S状結腸に多い。 d. ○ e. ○ 5. 腸管型べーチェット病に関して、正しいものはどれか。 a. 回盲部が好発部位である。 b. 副腎皮質ステロイドが著効する。 c. 完全型ベーチェット病に合併することが多い。 d. ? e. 穿通、穿孔を伴うことは極めて稀である。 1.ab 2.ae 3.bc 4.cd 5.de (答) 1. a. ○ e. ×、極めて稀というわけでもない。 6. 正しいものを一つ選べ a. Peutz-Jeghers症候群 - 脱毛 b. Cronkhite-Canada病 - 爪の萎縮 c. Turcot症候群 - 骨腫 d. Cowden病 - Cafe-au-lait斑 e. 若年性ポリポーシス - 口唇色素沈着 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e (答) 2. A. 消化管・腹膜 A - 14 A - 14 7. 胃酸分泌を促進するものを選べ。 a. ガストリン b. アセチルコリン c. ヒスタミン d. ソマトスタチン e. セクレチン 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde (答) 1. a.b.c. ○ d. ×、胃酸分泌↓。e. ×、胃酸分泌↓。 8. 消化管運動について正しい組み合わせを選びなさい。 a. 小腸の分節運動やふりこ運動は食物の攪拌、混和する。 b. 蠕動運動は口側から肛門側の方向のみである。 c. アセチルコリンは消化管運動を抑制する。 d. モチリンでinterdigestive migrating contractionは誘発される。 e. ガストリンは消化管運動を亢進させる。 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde (答) 3. 原田先生のプリント【消化管生理学 2】参照。 a. ○ b. ×、逆蠕動が十二指腸、回盲部付近で起こる。 c. アセチルコリンはガストリン分泌を亢進させる。 d.e. ○ 9. 食道癌について正しいものを選べ。 a. 食道癌は色素内視鏡検査にてヨード染色で褐色に染まる。 b. 壁進達度が粘膜下層まで至るものを早期癌とする。 c. 表層にとどまるものはEMRの適応とならない。 d. 食道癌の90%以上が扁平上皮癌である。 e. バレット上皮は食道腺癌の発生母地となる。 (答) d,e? 渡邊先生のプリント参照。 a. ×、癌では不染帯となる。 b. ×、早期食道癌:原発層の壁進達度が粘膜層にとどまりリンパ節転移を認めない食道癌。 c. ?、表在癌:癌腫の壁進達度が粘膜下層までにとどまるもの。EMRの絶対適応は深達度m2以下であることより、「表層にとどまる」の意味にもよるがおそらく×。 d.e. ○ 10. 胃・十二指腸潰瘍に関して正しいものはどれか。 a. Ul-2の潰瘍は組織欠損が固有筋層に達する潰瘍である。 b.胃角部小彎は胃潰瘍の好発部位である。 c. Helicobacter pylori陽性の胃潰瘍は除菌療法の適応となる。 d.プロトンポンプ阻害剤はHelicobacter pyloriの除菌療法の時に使われる。 e.十二指腸潰瘍は高齢者に好発する。 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde (答) 4. 原田先生のプリント参照。 a. ×、固有筋層→粘膜下層。b.c.d. ○ e. ×、若年者には十二指腸潰瘍が多く、高齢者になるに従い胃潰瘍が多くなってくる。 11.胃潰瘍の治療薬で正しいものはどれか。 a.プロトンポンプインヒビター b.H2阻害薬 c.NSAID d.副腎皮質ステロイド e.プロスタグランジン製剤 1abc 2abe 3ade 4bcd 5cde <答え> 2 12.胃癌について正しいものを一つ選べ 1)リンパ節転移のある胃癌は早期胃癌ではない 2)深達度が粘膜内にとどまる胃癌は全て内視鏡的粘膜切除術の適応である 3)低分化型腺癌は内視鏡的粘膜切除術のよい適応である 4)血行性転移は肝転移が最も多い 5)表在型は隆起型が最も多い A. 消化管・腹膜 A - 15 A - 15 <答え>4 1、リンパ節転移は問わない 13.胃腫瘍に関して正しいものはどれか a.MALTリンパ腫の治療法にH.pylori除菌療法がある b.過形成性ポリープは良性ポリープで癌化する事はない c.胃に限局したカルチノイドの多くはカルチノイド症候群を呈する d.Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の治療にメシル酸イマチニブが用いられる e.胃腺腫の一部は癌化する 1 a,b,c 2 a,b,e 3 a,d,e 4 b,c,d 5 c,d,e <答え>3 a ○ b× 1〜2%はある d ○ 14.正しい組み合わせを選べ。 a.クローン病と潰瘍性大腸炎においてCTで鑑別は容易である。 b.消化管癌の深達度診断にはMRIが極めて有用である。 c.炎症性腸炎と大腸癌はCTで鑑別は容易である。 d.虫垂炎の診断にCTは有用である。 1)a 2)a,b 3)c,d 4)d 5)すべて <解答>4 ×a.これらは、内視鏡および注腸造影により診断する。 ×b.消化管癌の深達度には、超音波内視鏡が有効。 ×c.内視鏡と注腸造影で。CTでは鑑別までにはいたらないので×。 ○d.CTでは虫垂の腫れが確認され、造影でhighとなる 15.食道の解剖について誤っているものを選べ。 a.食道粘膜は重層扁平上皮である b.頸部食道と胸部食道の境界は胸骨上縁である c.食道は後縦隔にあり左主気管支の後ろを通る d.食道は3ヶ所の生理的狭窄部位を持つ e.食道は漿膜によっておおわれている 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答 5 abcd その通り e 食道の外膜は結合織であり、漿膜をもたない 16.食道の病変について正しいものを選べ a Rokitansky憩室は圧出性である b 特発性食道破裂は保存的に治癒することはない c 腐蝕性食道炎は晩期食道癌の合併がある d 食道アカラシアは神経叢消失による弛緩不全である e 食道の良性腫瘍で最も頻度が高いものは平滑筋腫である 1abc 2abe 3ade 4bcd 5cde 解答 5 17.正しいものはどれか。 a. 胸部上部食道癌は気管に浸潤しやすい。 b. 胸部中部食道癌は横隔神経沿いのリンパ節への転移が重要である。 c. 胸部中部食道癌は左主気管支に浸潤しやすい。 d. 胸部下部食道癌は腹腔リンパ節に高頻度に転移が見られる。 e. 胸部下部食道癌は大動脈弓に浸潤しやすい。 1 abc 2 abe 3 ade 4 bcd 5 cde <答え>1 a ○ d× 予想外に多いらしい 高頻度ではないらしい c○? A. 消化管・腹膜 A - 16 A - 16 18.上部消化管出血で多いのはどれか。 a.食道静脈瘤破裂 b.Mallory-Weiss症候群 c.急性びらん性胃炎 d.十二指腸潰瘍 e.胃癌 <答え>a (1)胃潰瘍 (2)食道静脈瘤 (3)十二指腸潰瘍 (4)急性胃粘膜病変 (5)胃腫瘍 (6)マロリー・ワイス 19.胃潰瘍からの出血に対する治療として正しくないものはどれか。 a.内視鏡的クリップによる止血 b.内視鏡下エタノール注入 c.プロトンポンプインヒビターの投与 d.輸液 e.NSAIDの投与 1 a 2 b 3 c 4 d 5 e (答)5 20.絞厄性イレウスについて正しいものを選べ。 a、保存的に治療する。 b、診断に超音波検査が有用である。 c、腹単で無ガスイレウス像が見られる。 d、腹水の貯留が見られることがある。 e、下剤を使用する。 1(abc) 2(bcd) 3(cde) 4(abe) 5(ade) <答え>2 a×手術 e禁忌 21.虫垂炎について正しい組み合わせを選べ (a) 診断がつき次第に手術を施行する (b) 腹膜刺激症状を呈さない場合は保存的治療をおこない経過を見る (c) 腹痛は最初は心窩部で痛むが、その後に右下腹部に移動する (d) 虫垂炎の症状としては腹痛、発熱、悪心、嘔吐がある (e) 虫垂炎の診断には腹部エコーより腹部単純写真のほうが有用である 1.(a)(b)(c) 2.(b)(c)(d) 3.(c)(d)(e) 4.(a)(b)(e) 5.(a)(d)(e) 解答 2 (a)× カタル性は保存的に診る (e)× 腹部エコーや腹部CTが有用 22.緊急手術の適応となる疾患を選べ a.急性膵炎 b.虚血性腸炎 c.卵巣嚢腫茎捻転 d.絞扼性イレウス e.大腸憩室 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,e 解答 3 a 安静、絶食、酵素阻害薬、感染予防に抗菌薬 b 腸炎の重症度(一過性型、狭窄型、壊死型)によって、治療方針は変わる。壊死型なら緊急開腹手術 c 一般に緊急手術 d 緊急手術の適応 23.58歳男性。アルコール飲酒後、気分が悪くなり食べ物を吐いた。その直後、新鮮血を嘔吐した。緊急内視鏡検査にて食道胃噴門部に縦走する粘膜裂傷を認めた。この疾患について正しいものはどれか。 a 腹腔内圧の上昇が原因である。 b アルコール胃炎が関与している。 c 胃酸分泌が亢進している。 d 下部食道括約筋圧が亢進している。 e 自然に止血・治癒することがある。 1 ab 2 bc 3 cd 4 de 5 ae 解答5 マロリーワイス症候群のこと:嘔吐により腹腔内の圧力が急激に上昇し胃-食道の接合部付近に裂け目ができ出血し、吐血、下血を来たす疾患。 a ○ b 胃潰瘍のことかもしれん c d アカラシア e ○ A. 消化管・腹膜 A - 17 A - 17 24.胃癌を示す粘膜ひだの所見として正しいものはどれか。 a ひだの途絶 bひだの急峻な先細り c ひだの先端の太まり d ひだの癒合 1 acd 2 ab 3 bc 4 dのみ 5 すべて 解答 5 過去問頻出 2003年概説53など 25.注腸造影検査 a大腸内の便・残渣を前処理する必要がある。 bバリウムを肛門から注入する。 c空気を肛門から注入する。 d胃で用いられる造影剤より濃度の高いものを使用する。 e鎮痙剤を使用しない。 1abc 2abe 3bcd 4ade 5cde 解答 1 27.潰瘍性大腸炎の組織像で正しいものはどれか? a) 密な慢性炎症細胞浸潤 b) Basal plasmacytosis c) 陰窩膿瘍(crypt abcess) d) 杯細胞減少(goblet cell depletion) e) 陰窩の捻れ(crypt distortion) 選択肢 1)a,b,c 2)a,c,d 3)b,c,d 4)c,d,e 5)すべて 解答5? acdはまず正しい。ここで、過去問よりbが正しいので選択肢的に5になる。 2003年度概説58参照。 ○b. 炎症性腸疾患(IBD)全体の指標として用いられます。 ○ c. 陰窩(crypt)内に好中球が出現して、膿瘍(abscess)形成します。 UCは粘膜層のみの炎症。全層性はクローン病で見られます。基本的に肉芽形成しません。 29.以下の腸炎についての記述で正しいものの組み合わせを選べ。 a.放射性腸炎では血管内皮細胞下の泡沫細胞出現が特徴的所見である。 b.偽膜性腸炎の原因は病原性大腸菌O-157の感染である。 c.Clostridium difficile の毒素による腸炎の組織像は虚血性腸炎と類似している。 d.腸チフスでは類上皮肉芽腫がしばしば出現する。 e.抗癌剤性腸炎では奇異な核を有する異型細胞が出現する。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,d,e 4.全て正しい 5.全て誤り 解答3 b ×抗生剤の投与による菌交代現象が原因。Clostridium difficileなど。 d ○ 30.上中下咽頭癌についての記載で正しい組合せを選べ a.上咽頭癌は放射線感受性が高い b.下咽頭癌は第6脳神経麻痺をしばしば合併する c.中咽頭癌が頸部に転移することは稀である d.下咽頭癌は予後不良で手術、放射線、化学療法を組合せた集学的治療が行われる事が多い e.中咽頭癌がもっとも発生しやすいのは舌根部である 1.a,b 2.b,c 3.d,e 4.c,e 5.a,d 解答5 a ○上咽頭癌は低〜未分化癌が多く比較的放射線、化学療法の感受性が比較的高い。 b ×あるとすれば上咽頭癌。破裂孔から中頭蓋窩に進展するので動眼神経や外転神経がまず障害され、複視をきたす。 c ×頸部リンパ節転移が多い d ○ e A. 消化管・腹膜 A - 18 A - 18 31.扁桃について正しいものも選べ a.抗体を産生し、免疫反応をおこして感染防御を行う b.扁桃病巣感染症の確定診断はPaul-Bunnel試験である c.扁桃周囲膿瘍に対する治療は切開排膿である d.咽頭扁桃は思春期までに退縮する 1.a c d 2.a d 3.b c 4.d 5.全て 解答 1. 解説a.○パイエル板類似の非常に大きなリンパ濾胞を持ち、B細胞がIgA産生細胞に成熟する。 b.×EBVの検査法である。c.d.○ 32.皮膚と腸管との間に瘻孔を形成するものを選べ a.急性出血性直腸潰瘍 b.? c.放射線腸炎 d.放散菌症 e.虚血性大腸炎 選択肢 すいません、覚えてません。非典型的でした 解答 不明 解説 クローン病、腸結核、放線菌症、癌、腸閉塞で起こしやすい。 33.大量下血を来たすものを選べ a.内痔核 b.大腸動静脈奇形 c.メッケル憩室炎 d.子宮内膜症 1.abc 2.bc 3.ad 4.全て ←だったかな? 解答2:b○ c○ 34.虚血性大腸炎について正しいものを選びなさい。 a.潰瘍のかたちは縦走潰瘍である。 b.症状としては腹痛のあとに下血がみられる。 c.一過性型が多く保存的治療で治癒することが多い。 d.腹部血管造影では下腸間膜動脈の閉塞がみられる。 1(a,b,c) 2(b,c,d) 3(a,b,d) 4(a,c,d) 5(すべて) 解答 1 解説 d.閉塞部位は明らかでないことが多い 35.Crohn病の手術適応が多いのはどれか a.保存的治療無効 b.狭窄 c.瘻孔形成 d.出血 1. abc 2. bcd 3. bc 4. ad 5. abcd 解答 3 解説 講義プリント(1外科 壬生)には、手術適応は 1. free perforation 穿孔 2. massive bleeding 大出血 3. intraabdominal abcess 腹腔内膿瘍 4. fistula 瘻孔形成 5. intractability 内科的治療無効 6. stenosis or obstruction 狭窄・閉塞 7. toxic megacolon 8. carcinoma 癌 とあり、選択肢のすべてを満たすが、標準外科学(医学書院)には次のとおりに書いてある 絶対的適応:腸閉塞、穿孔・急性腹膜炎、大量出血、中毒性巨大結腸症、癌合併 相対的適応:難治性狭窄、膿瘍、外瘻・内瘻、内科的治療無効、二次的肛門病変 36.遺伝性大腸癌について正しいものをえらべ。 a 直腸癌が多い。 b 大腸癌が多発する。 c 40歳代で発症することが多い。 d p53遺伝子の異常が多い。 1.abc 2.bcd 3.ab 4.cd 5.ad 解答 3 解説 FAP,HNPCCのこと。 c.× 若年発症が多く、放置すると50歳までに死亡する。 d.× FAPでは5qAPC,HNPCCではhMSH2などの異常が多い。 A. 消化管・腹膜 A - 19 A - 19 37.鼠径ヘルニアについて正しいもの一つを選べ。 1. 鼠径ヘルニアは、男性よりも女性に多い 2. 内鼠径ヘルニアの方が、外鼠径ヘルニアよりも多い 3. 内鼠径ヘルニアは、嵌頓しやすい 4. Bassini法は、外鼠径ヘルニア修復の標準術式である 5. Mesh Plug法は、創部にかかる緊張が少なく術後疼痛が軽い 解答 5 解説 鼠径ヘルニアは男性に多く、外鼠径ヘルニアの頻度が高い。大腿ヘルニアは中年女性に多く、嵌頓しやすい。Bassini法は過去行われていた術式で現在は行われない。 38.大腿ヘルニアについて間違った記載はどれか? 1.中年女性に多い 2.両側性に発生しやすい 3.大腿動脈の内側に脱出する 4.嵌頓しやすい 5.修復はMcVay?法による 解答 2 解説 原則片側性に起きる。 40.55歳男性。2年前に胃前庭部早期胃がんのために幽門側胃切除をうけた。最近3ヶ月ほど、午後になると全身倦怠感と疲労感が強くなり、会社でも食後2時間ぐらいして横になって休むようになった。時々下痢をする。体重も減少気味である。この病態にたいして正しいのはどれか。 a.食後に高血糖になる。 b.低張性脱水をおこす。 c.運動量療法により軽快する。 d.インスリンの反応性過分泌がある。 e.間食をすると症状は改善する。 1.ab 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde 解答 3 解説 後期ダンピング症候群…食後2〜3時間してから脱力感、めまい、冷汗などの症状が出現する。これは、糖質の急速な吸収によって、一過性に過血糖が生じ、反応性にインシュリンの分泌が亢進し、反動的に低血糖を来すためである。本症候群は、胃切除後よりも、胃全摘後に多い。症状の発現を見た場合には、直ちに糖分の補給を行う。 41.胃十二指腸潰瘍について正しいものを選べ。 a. 治療は手術によるものがほとんどである。 b. 十二指腸潰瘍の後壁穿通は保存的に経過観察が可能である。 c. 胃十二指腸潰瘍穿孔の治療には腹腔鏡下手術を考える。 d. コントロール不良の出血も手術適応となる。 e. 胃十二指腸潰瘍による狭窄に対しては、手術をすることはない。 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde <解答> 4 <解説>(a)× H2受容体拮抗薬やPPIの開発により手術患者は激減。(b)(c)(d)○ (d)× 高度の狭窄は手術。 45.化学療法適応の必要条件として正しい組み合わせを選べ。 a.全身状態が良好である b.遠隔転移がある c.臓器機能が保たれている d.十分なinformed consentが得られている。 (1)a,b (2)a,c,d (3) d (4)a〜d全て 45:遠隔転移がなくても化学療法をする場合あり。解答 2 46. 癌性疼痛に使用しない薬はどれか。 a. 塩酸モルヒネ b. ナプロキセン(ナイキサン) c. アセトアミノフェン d. リン酸コデイン e. 臭化スコポラミン(ブスコパン) A. 消化管・腹膜 A - 20 A - 20

解答> e <解説>(e)は鎮痙作用、消化管運動抑制作用、胃液分泌抑制作用で鎮痛作用はない。 47.末期がん患者の症状として正しくないものはどれか。 a.食欲不振 b.癌性疼痛 c.うつ状態 d.体重増加 e.混乱 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e <解答> d 48. 急性出血性直腸潰瘍について正しいものを選びなさい。 a.先行する腹痛がある。 b.寝たきり状態の高齢者に発症しやすい。 c.突然の新鮮血下血で発症する。 d.直腸上部の単発性小円形潰瘍がみられる。 e.排便時のいきみが関与する。 1 a,b 2 a,e 3 b,c 4 c,d 5 d,e <解答> 3 <解説>2003年度卒試19を参照。 (a)× 無痛性で急激に発症。(b)(c)○ (d)×直腸下部に多発する地図状、類円形の潰瘍が穿孔。 (e)× 排便時のいきみは本疾患に関係ないらしい。 46.消化管出血について正しいものを選べ。 (1)胃腫瘍は胃潰瘍より出血をおこす頻度は少ない。 (2)Mallory-Weiss症候群は激しい嘔吐後に発症することが多い。 (3)胃潰瘍は動脈性の出血を来すことがある。 (4)食道静脈瘤の出血は高アンモニア血症の原因とはならない。 (5)消化管出血によりショックをおこすことはない。 a (1)(2)(3) b (1)(2)(5) c (1)(4)(5) d (2)(3)(4) e (3)(4)(5) <解答> a 2003年度卒試46番と同問。 ○(1) 出血の頻度では胃潰瘍の方が多い。(year note) ○(2) その通り。 ○(3) その通り。 ×(4) 消化管出血といえば、BUN上昇と高アンモニア血症。 ×(5) oozing bleedingとspurting bleedingがあるが、後者は出血性ショックを起こす可能性がある。 51.70歳女性。空腹時の腹部の痛みを訴え、受診。外来にて上部消化管内視鏡検査を行なった。矢印が指している部位は次のどれか。(画像は穴から出たカメラの管(=噴門部からでたカメラ)と鋭角の構造物があり、その構造物上に発赤がある。その発赤に矢印がついている。問題復元するときは適当な写真を貼りつけてあげてください。あまりにも典型的な図なんで、どの本にも似たような絵はあるはず) 1 胃噴門部 2 胃体部 3 胃角部 4 幽門前庭部 5 十二指腸部 【解答】3 【解説】解説の仕様もないが、敢えてするならポイントはカメラの管が見えてるってことは少なくとも肛門側から口側を見上げてるってことと、胃のなかで、このような鋭角をとる構造は胃角であるということ 52.69歳男性。1ヶ月前より嘔気、嘔吐が出現し、改善しなかった。1ヶ月で約6kg体重が減少した。1週間前より食餌を摂取していない。小腸造影にて空腸に図52のような像が得られた。正しい診断は?(内腔の狭小化があったように見えました。) a.腸結核 b.Crohn病 c.悪性リンパ腫 d.Gastrointestinal stromal tumor e.癌 【解答】e? 【解説】 ・年齢的にCrohn病は×。腸結核は部位的に×(回盲部に多い) ・小腸の悪性腫瘍は癌>悪性リンパ腫>平滑筋肉腫(GIST)の順。 ・症状は腹痛、閉塞症状、出血。癌は腹痛、嘔吐、イレウスなどの閉塞症状をきたしやすいが、悪性リンパ腫では閉塞症状は比較的少ない。 A. 消化管・腹膜 A - 21 A - 21 53. 64歳男性。検診で便潜血陽性を指摘された。近医で大腸内視鏡検査を受けたところ大腸に病変を指摘された。生検でgroup5であったため来院した。(大腸内視鏡所見、超音波内視鏡所見で隆起性の病変があった。)腹部CT、エコーではリンパ節転移、遠隔転移ともに認めなかった。正しいものを選べ。 a.粘膜内にとどまる陥凹性大腸癌と判断、内視鏡的切除。 b.粘膜下層にとどまる陥凹性大腸癌と判断、外科的切除。 c.粘膜内にとどまる隆起性大腸癌と判断、ポリペクトミー。 d.粘膜下層にとどまる隆起性大腸癌と判断、外科的切除。 e.固有筋層に浸潤した隆起性大腸癌と判断、外科的切除。 【解説】診断は大腸癌 治療方針:粘膜内の癌は内視鏡的切除 sm1までの早期癌も内視鏡的切除適応 sm2,3は腹腔鏡下治療の適応 進行癌は外科的治療(切除) 病期進行例は化学療法、放射線療法 54.画像問題。カラーアトラス8ページのAと同じような内視鏡図 50才女性、胸焼けを主訴に来院。上部消化管内視鏡図を以下に示す。 診断を一つ選べ。(図はyear note ATLASより) 1.胃癌 2.食道静脈瘤 3.逆流性食道炎 4.マロリーワイス症候群 5.食道裂孔ヘルニア 【解答】3 【解説】画像解説:線状の縦長のびらん、周囲粘膜が白色調。 55.70歳 男性 主訴:嚥下困難。内視鏡写真を示す。(写真は2枚で、1枚はルゴール染色がかけてありました。食道・胃接合部から食道側にかけて広がる境界明瞭な扁平な病変で、ルゴール染色にて不染帯は認めませんでした。)治療法はどれか? a.内視鏡的粘膜切除 b.内視鏡的食道拡張術 c.食道切除+リンパ節郭清 d.PPI投与 e.H.pylori除菌 1)a 2)b 3)c 4)d 5)e 【解答】4? 【解説】ルゴール染色で不染帯を認めないことから、逆流性食道炎が考えられる。 →治療はPPI。(画像がないのでなんともいえないが・・・) 56.胃の二重造影。胃潰瘍の画像だったような?詳しくは書けませんでした。申し訳ない 57.52歳男。空腹時に上腹部痛。ウレアーゼ陽性。治療方針はどれか?(画像)胃内視鏡で胃角部小弯に潰瘍らしきものが見られた。 a.EMR b.胃切除 c.PPI d.pylori除菌 e.NSAID 1.(ab) 2.(bc) 3.(cd) 4.(de) 5.(ae) 【解答】3 【解説】H. pylori感染が確認された潰瘍は、除菌療法を行う。 除菌療法はPPI(ランソプラゾールやオメプラゾール)+アモキシシリン+クラリスロマイシンによる三剤除菌療法(1週間)。 A. 消化管・腹膜 A - 22 A - 22 58. 画像問題 画像はSTEP内科P57の画像 診断名は何か?急性胃粘膜病変と思われる 【解説】急性胃粘膜病変の内視鏡所見:胃粘膜に多発性の浮腫、発赤、びらん、潰瘍を認める。 59.卵巣癌の患者。CTを示す。矢印の構造物は以下のいずれか。 1.小腸 2.横行結腸 3.正常の大網 4.大網の播種性病変 5.?の播種性病変 60.76歳男性。胃潰瘍の既往あり。近医にて毎年内視鏡検査を受けていた。今回はじめて食道の病変を指摘された。自覚症状は特に認めない。内視鏡写真(60a,b)この疾患について誤りはどれか。 a. 比較的早期と考えられ、病変は一箇所に限局していることが多い。 b. 第一選択はEMRである。 c. 放射線化学療法は考慮すべきでない。 d. CTよりMRIのほうが有用である。 e. 予後を推定するためにリンパ節転移の検索が必要である。 1(abc) 2(abe) 3(ade) 4(bcd) 5(cde) 写真:食道の内視鏡写真とルゴール散布後の写真。 60a:びらん、出血を伴う不整な食道粘膜に見えた。境界不明。 60b:ルゴールで明瞭な不染帯を認めた。平坦型〜潰瘍型。 【解説】 〜食道癌の検査、診断〜 ・ 食道造影:存在診断(辺縁不整な陰影欠損) ・ 内視鏡(ルゴール染色):病変範囲の診断(ルゴール不染帯) ・ 生検:確定診断 ・ 超音波内視鏡:深達度、近傍のリンパ節転移 ・ CT、MRI:他臓器浸潤、リンパ節転移 ・ エコー:リンパ節転移 〜根治手術の適応とならないもの〜 ・ 他臓器(大動脈、気管、気管支など)浸潤:簡単に合併切除可能なら根治術可能、 高度リンパ節転移、遠隔転移、胸膜播種、腹膜播種、全身状態不良 61. 67歳男性。2ヶ月前から嚥下困難と体重減少(10kg)があった。来院時のCT、消化管内視鏡を示す。正しいものを選べ。(診断はおそらく食道癌で、大動脈弓レベルのCTが提示されていました。食道壁から外に浸潤している様子で、すぐそばには大動脈弓や気管がありました。内視鏡はなぜかモザイクがかかっていて(謎)よくわかりませんでした。) a. 治療方針を決めるのに気管支鏡検査が有用である。 b. 全身化学療法が第一選択である。 c. 全身状態がいいうちに、手術にふみきる。 d. 精査として頸部エコーが有用である。 e. リンパ節転移の検索が大切である。 1. a b c 2. a b e 3. a d e 4. b c d 5. c d e 【解答】5? 【解説】 a. 〇 重要臓器へ浸潤する場合は切除不能となり、姑息的に胃を用いたバイパスを行う。 b. × 切除可能ならば食道切除が第一選択。 c. 〇 d.〇 e.〇 A. 消化管・腹膜 A - 23 A - 23 63.胃癌の切除病変について。 粘膜面、漿膜面、割面の肉眼像3つと病変部の病理像が示してある。正しい所見はどれか? (1)浸潤限局型−高分化 (2)腫瘤型−低分化 (3)潰瘍浸潤型−高分化 (4)びまん浸潤型−低分化 【解答】(4) 病理で印環細胞らしきものがみられる。肉眼像は潰瘍が少しみられ、いまいちはっきりしないが、胃壁がうすく進展性がなさそうな印象。→スキルス胃癌 64. 大腸の、次の画像について答えよ。(おそらく虚血性大腸炎でした) 1. 融解壊死がみられる。 2. 好酸球浸潤がみられる。 3. 核内封入体が特徴的である。 4. 類上皮細胞が特徴的である。 5. 赤血球貪食像が病原性を示す所見として重要である。 【解答】(虚血性大腸炎なら)5 【解説】 赤血球貪食像(担鉄細胞)は虚血性大腸炎の慢性期生検組織所見として大事。 65. 小腸の炎症性病変の組織像を示す。これについて以下から正しい組合せを選べ。 <画像は、おそらく乾酪性肉芽腫> a.NSAIDの投与が原因となる。 b.乾酪壊死を認める。 c.Ziel-Neelsen染色で菌体を証明する必要がある。 d.虚血性腸炎と類似した病像を呈する。 e.アミロイドが沈着している。 1.a b 2.b c 3.c d 4.d e 5. a e 【解答】(画像が乾酪性肉芽腫とすると)2 【解説】診断は腸結核 a. 治療は抗結核療法(SM, INH, RFP, EB) b. 組織所見として、乾酪性肉芽腫、Langhans型巨細胞、結核菌が大事。c. ○、 d. 腸結核では輪状・帯状潰瘍が特徴、虚血性腸炎は縦走潰瘍 66.45才男性。1ヶ月前から続く口の中の痛みを訴えて来院。左舌下に潰瘍を伴った25ミリの硬結を認め、左顎下に15ミリの転移と思われるリンパ節を触れる。他臓器に転移は認めない。TMN分類は? 1.口腔癌T1N1M0 2.口腔癌T2N1M0 3.口腔癌T3N2M0 4.中咽頭癌T1N1M0 5.中咽頭癌T2N1M0 【解答】2 【解説】口腔癌のTNM分類 T1:≦2cm, T2:2cm<腫瘍≦4cm, T3:>4cm, T4:隣接組織 N1:同側単発≦3cm, N2:3cm<同側単発≦6cm,同側多発≦6cm,同側または対側≦6cm, N3:>6cm 67. 63歳男性。2ヶ月前から続く嚥下痛を主訴に来院。左梨状陥凹に腫瘍を認め、左の声帯は固定している。喉頭ファイバー写真を示す。正しいものの組み合わせを選べ。 (写真は、声門の上部の梨状陥凹部に、白色調の隆起性病変がありました。) a、組織型として腺癌が最も多い。 b、頸部リンパ節転移は少ない。 c、高率に食道・胃に重複癌を認める。 d、治療として、手術・放射線・化学療法を行う。 e、摘出手術後は再建手術が行われる。 1(a,b,c) 2(a,b,e) 3(a,d,e) 4(b,c,d) 5(c,d,e) 【解答】5 【解説】扁平上皮癌が多いです。また、高率に頸部リンパ節転移が見られます A. 消化管・腹膜 A - 24 A - 24 68.64歳男性。1カ月前に新鮮血の下血があり、近医を受診した。大腸造影にて、図68の所見が得られた。 (a)図68の大腸造影にて病変の部位はどこか? 1.Rs 2.Ra 3.Rb 4.S状結腸 画像添付(側面像で仙骨上部部分直腸アップルコアサイン) (b)(解答69)図68の所見による癌の所見は 1.1型 2.0.1a+1c型 3.2型 4.3型 (c)(解答70)この病変に関して次の記述で正しいのは ア.直腸診では病変部を経肛門的に触知できない イ.側方リンパ節への転移は少ないので側方郭清はいらない ウ.肛門括約筋温存手術の適応である エ.この所見では便の軟化剤を投与すべきである 【解答】 a)1? b)3? c)ア、イ、ウ 【解説】 a) Rs:岬角〜S2下縁、Ra:〜腹膜反転部、Rb:〜恥骨直腸筋付着部上縁 b) apple core signは進行した2型でみられる。 c)ア. 直腸は約20cmあり、Rsの病変は直腸診では触知できない。 イ. 側方リンパ節転移は15%あり、Ra, Rb, Pの癌が適応となるが、予後が良くなるかは不明。 ウ. 歯状線(肛門の約2cm上)より8cm以上離れていれば適応となる。それ以下はMiles手術。 71.68歳、男性。大腸内視鏡検査のため、下剤を2L内服した直後に腹部膨満感を認めた。CEAは12.0ng/mlであった。次にCTを提示する。bはaよりも尾側の断面である。 (a)次のうち正しいものはどれか? ア.拡張しているのは結腸である。 イ.右下腹部で壁の肥厚が認められこの部分が閉塞の原因である。 ウ.腹水は認められない。 1.ア,イ 2.イ,ウ 3.ア,ウ 4.すべて正しい 5.すべて間違い (b) ? (http://www.aso-group.co.jp/aih/kouhou/kakuka/housya/tf/case376/index.htm)に類似 解答 ?