消化管 / 概説 / 03


消化管

2003年度概説試験(復元) 1.次の文章で正しいものはどれか。 a.テネスムスは遠位大腸の強い炎症によって起こる。b.浸透圧性下痢では血便は少ない。 c.分泌性下痢は絶食により改善しない。d.腸管内の水分は大部分大腸で吸収される。 e.滲出性下痢は食事摂取により軽減する。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>1 <解説> a.○…虚血性大腸炎で起こる。 b.○…腹腔内に水の停滞をきたして起こる。血便は普通(-)。 c.○…その通り。 d.×…実は水分の80%は小腸で吸収される。 e.×…食事により下痢は増強する。 2.以下のうち、関連痛はどれか。 a.Headの知覚過敏帯 b.Boasの点 c.McBuerney?の点 d.筋性防御 e.小野寺の点 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>3(もしくは2?) a.○…胆嚢炎によりTh7-11支配の右季肋部皮膚に起こる知覚過敏。 b.×…Th10-12のすぐ右側にある胆石仙痛点。 c.×…虫垂炎の圧痛点。 d.○…内臓病変に基づく骨格筋の反射性収縮のこと。 e.○…胆嚢炎、胃炎、胃潰瘍によりTh8-9横突起から下肢にかけて放散する痛みがある。 ※aとeは正しいと思います。筋性防御が関連痛なのかどうかは自信がありません・・。 3.以下のうち、便秘を来す疾患はどれか。 a.WDHA症候群 b.バセドウ病 c.糖尿病 d.腸管癒着 e.過敏性腸症候群 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e .b,c,d 5.c,d,e <解答>5 <解説> a.×…水様性下痢。 b.×…腸運動亢進→下痢 c.d.○ e.○…便秘・下痢ともに見られる 4.クローン病のX線・内視鏡所見として正しいものはどれか。 a.敷石状外観 b.縦走潰瘍 c.拇指圧痕像 d.輪状潰瘍 e.炎症性ポリープ 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>2 <解説> a.○ b.○ c.×…虚血性大腸炎の所見。 d.×…腸結核の所見。 e.○…潰瘍性大腸炎の所見だが、一部クローン病にも見られる。 5.クローン病の治療法として誤ったものはどれか。 a.成分栄養療法 b.ステロイド c.5−ASA製剤 d.非ステロイド性消炎鎮痛剤 e.抗TNF−α抗体 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e <解答>4 <解説>5-ASAとはサラゾピリン、ペンタサのこと。 6.腸結核に関する以下の記載のうち正しいものはどれか。 a.非乾酪性肉芽腫を認める。 b.左側結腸に好発する。 c.大部分で結核菌培養が陽性となる。 d.治癒期に偽憩室がみられる。 e.狭窄は外科治療の適応となる。 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e A. 消化管・腹膜 A - 71 A - 71 <解答>5 <解説> a.×…「非乾酪性」ではなく「乾酪性」。 b.×…回盲部、回腸、結腸に好発。 c.×…例えば糞便の結核菌培養は、結核菌が体内をさまよっている続発性腸結核では陽性となるが、腸管のリンパ節を中心に住み着いている原発性腸結核の場合、多くは陰性となる。 d.○ e.○…内科的治療に抵抗性の場合は外科的切除の適応になる。 7.潰瘍性大腸炎の特徴につき正しいものはどれか。 a.本邦ではクローン病よりも有病率が低い。 b.男性よりも女性が多い。 c.本邦における有病率は増加しつつある。 d.一般人口よりも大腸癌発生率が低い。 e.60歳以上の高齢者に好発する。 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e <解答>3 <解説>潰瘍性大腸炎の有病率は10万人対53人。(クローン病は15人。)若年成人に好発し、有病率は毎年10%ずつ増加している。 8.虚血性大腸炎の特徴として正しいものはどれか。 a.盲腸・上行結腸に好発する。 b.治癒期に縦走潰瘍を認める。 c.狭窄型よりも一過性型が多い。 d.高齢者に好発する。 e.再発を繰り返す。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>4 <解説> a.×…虚血性大腸炎は脾彎曲部や下行・S状結腸に好発する。 b.○ c.○…多くは可逆性で10日以内に寛解する。(つまり一過性) d.○ e.×…再発は稀である。 9.急性大腸炎の原因として頻度の高い薬剤はどれか。 a.プロトンポンプ阻害剤 b.ペニシリン c.非ステロイド性消炎鎮痛剤 d.カルシウム拮抗剤 e.ヒスタミン2受容体拮抗剤 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e <解答>3 10.早期大腸癌の正しい定義はどれか。 a.粘膜内にとどまる癌 b.腺腫を伴う癌 c.リンパ節転移のない癌 d.静脈侵襲とリンパ管侵襲のない癌 e.粘膜下層までにとどまる癌 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e <解答>5 <解説>胃癌の早期癌の定義とほぼ同様である。 11.家族性大腸腺腫症の大腸外病変はどれか。 a.結節性紅斑 b.口唇の色素沈着 c.胃底腺ポリープ d.骨腫瘍 e.デスモイド腫瘍 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>5 <解説>デスモイド腫瘍とは、腹部をはじめ各部の膜および線維組織などにできる、良性悪性中間の腫瘍のことである。 12.65歳、男性。早期大腸癌に対し、内視鏡的粘膜切除をしたところ、終了2時間後より腹痛が出現した。まず行うべき検査はどれか。 a.鎮静剤の投与 b.胸・腹部単純X線撮影 c.大腸内視鏡の再検 d.注腸X線検査 e.試験開腹 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e A. 消化管・腹膜 A - 72 A - 72 <解答>2 <解説>穿孔を疑い、free airの有無をまず確認すべき。再検はその後でもよいでしょう。 13.正しい記述はどれか a.胃粘液は副細胞、表層上皮細胞より分泌される。 b.ペプシノーゲンは主細胞より分泌される。 c.胃全摘後、長期間を経た患者では悪性貧血を来すことがある。 d.胃液分泌量は1日およそ1〜2リットルである。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,c,d 4.a,b,d 5.全て <解答>5 14.正しい記述はどれか a.オリゴペプチドは小腸吸収上皮細胞の刷子縁膜のアミノペプチダーゼによりアミノ酸に分解される b.壁細胞よりH+が分泌されると、同時にK+が細胞内へ流入する。 c.頻回の下痢を来すと高K血症を来す。 d.M cellはパイエル板上皮中に存在する。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,c,d 4.a,b,d 5.全て <解答>4 <解説>頻回の下痢では低K血症になる。 15.正しい記述はどれか a.腸上皮化生は、内視鏡的検査にて前底部に散在する灰白色調小隆起として観察される。 b.吻合部潰瘍の好発部位は吻合縁から1cm肛門側付近である。 c.アニサキス症に腐食性胃炎を合併することが多い。 d.日本では胃潰瘍に比し、十二指腸潰瘍の有病率が高い。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,d 5.全て <解答>おそらく1 <解説>a.△…腸上皮化生は胃癌の温床になるといわれているものなので、胃癌の好発部位である前庭部に見られることはあるだろう。「灰白色調小隆起」なのかどうかは分かりません・・。 b.○ c.×…「腐食性肺炎」とは薬物や酸アルカリなどの化学物質による(誤嚥性)肺炎のこと。アニサキスとは関係ないでしょう。 d.×…本邦では、胃潰瘍82万人、十二指腸潰瘍22万人(1993年)。 16.正しい記述はどれか a.Mallory-Weiss syndromeは十二指腸球部後部潰瘍、食道潰瘍を来すことがある。 b.G cellは胃前底部に多く存在する。 c.凝血が付着している胃潰瘍は、内視鏡的ステージ分類A1 stageに分類される。 d.慢性腎不全では高ガストリン血症を来す。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,c,d 4.a,b,d 5.全て <解答>4(もしくは2?) <解説> a.△…朝倉にもそういう記述はないが、食道潰瘍ならあってもよさそう・・。 b.○…幽門前庭部および小腸上部にある。 c.×…「厚い白苔をつけていて周囲粘膜部が浮腫状に膨らみ、再生上皮が全く見られない時期」がstage A1とされる。凝血は関係ないのでは? d.○…腎不全のためガストリン代謝排泄不良となる。 A. 消化管・腹膜 A - 73 A - 73 17.正しい記述はどれか a.迅速ウレアーゼ検査は、内視鏡的検査を必要とする。 b.プロトンポンプ阻害剤はH2受容体拮抗剤に比し、胃酸分泌をより強力に抑制する。 c.Helicobacter pylori除菌療法による十二指腸潰瘍再発率の低下は証明されている。 d.Helicobacter pyloriは便中に排出される。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,c,d 4.a,b,d 5.全て <解答>2 ×a.迅速ウレアーゼ検査…尿素呼気試験とも呼ばれ、試薬の内服と呼気の採取のみで可能。 18.正しい記述はどれか a.CCKにより胆嚢収縮、Oddi筋弛緩を来す。 b.ビタミンB12は回腸末端で吸収される。 以下? <解答>?a.b.はともに正しい。 21.正しい記述はどれか。正しい組み合わせを選択せよ。 a.Dieulafoy潰瘍は、露出血管を伴う巨大潰瘍のことをいう。 b.Cajal細胞は間質細胞である。 c.分泌型IgAは腸管感染防御機構に関与する。 d.胃酸も腸管感染防御の一翼を担っている。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,b,d 4.a,c,d 5.全て <解答>5 ○a.Dieulafoy潰瘍…粘膜下の血管が異所性に上皮を覆ったもので、しばしば大量出血をもたらす。(巨大であるかどうかの記述は確認できませんでした。一応○で。) ○b.カハールの間質細胞は消化管自動運動の歩調取り細胞と言われている。 ○c.○d. 22.正しい記述はどれか。正しい組み合わせを選択せよ。 a.Menetrier病では低蛋白血症を来すことがある。 b.アニサキス症は内視鏡的治療の適応ではない。 c.脳外科手術は急性胃粘膜病変の誘因になりうる。 d.胃内異物の発生頻度は乳幼児と高齢者で高い。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,b,d 4.a,c,d 5.全て <解答>4 ○a.Menetrier病…粘液壁が肥厚して大脳回様の外観を呈し、蛋白漏出性胃腸症を呈する。 ×b.胃アニサキス症は内視鏡治療の適応。(腸アニサキス症は保存的療法) ○c.AGMLの原因には薬剤、アルコール、ストレス、重症疾患、大手術後などがある。 ○d.高い。 23.十二指腸潰瘍について正しい記述はどれか。正しい組み合わせを選択せよ。 a.胃潰瘍に比して胃酸分泌量が多い傾向にある。 b.球部後壁が好発部位である。 c.Helicobacter pylori除菌後の再発率は胃潰瘍に比し低い。 d.穿孔は胃潰瘍より頻度が高い。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.a,b,d 4.a,c,d 5.全て <解答>4 ○a.幽門輪に近い胃潰瘍や十二指腸潰瘍では過酸が多い。(高位潰瘍は胃酸↓) ×b.球部前壁に後発する。 ○c.逆に、十二指腸潰瘍の90〜100%にピロリ菌が検出される。 (胃潰瘍からは70〜80%) ○d.特に球部前壁潰瘍に多い。胃後壁の潰瘍に多いのは「穿通」(cf. 穿孔・穿通の違い) 24.食道に関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.気管分岐部は、食道の生理的狭窄部ではない。 b.ヨード染色法による色素内視鏡検査で、正常食道粘膜は褐色に染まる。 c.ヨード染色法による色素内視鏡検査で、食道癌は不染帯となる。 d.トルイジンブルー染色法による色素内視鏡検査で、正常食道粘膜は染まらない。 e.超音波検査で、正常食道壁は5層に描出され第5層は漿膜を表す。 A. 消化管・腹膜 A - 74 A - 74 <解答>b.c.d. ×a.食道の生理的狭窄部…食道入口部、気管分岐部(左主気管支交叉部)、食道裂孔部 ○b.ヨード(ルゴール)とグリコーゲンが反応して茶褐色に染まる。 ○c.不染色帯として「くっきり」観察できる。(yn A-13) ○d.トルイジンブルーでは癌領域が染まる。 ×e.食道は漿膜を持たない(だから浸潤が早い)。ちなみに5層構造は胃の話で、食道は9層構造である。 25.食道疾患に関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.Mallory-Weiss症候群では、悪心、嘔吐後に吐血を見ることが多い。 b.Rokitansky憩室は牽引性憩室である。 c.逆流性食道炎で全周性の炎症はLos Angels分類のGrade Aである。 d.食道裂孔ヘルニアは逆流性食道炎になることはない。 e.逆流性食道炎の治療にプロトンポンプ阻害薬を用いる。 <解答>a.b.e. ○a.激しい嘔吐後の吐血が一般的。 ○b.圧出性憩室…Zenker憩室・ope適応(+) 牽引性憩室…Rokitansky憩室・ope適応(-) ?c. ×d.逆流性食道炎の多くは食道裂孔ヘルニアを伴う。(高齢者に多い) ○e.ファーストチョイス。他にH2ブロッカー、中和剤、粘膜保護薬など。 27.食道癌に関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.癌の壁深達度が粘膜下層に留まるものを早期食道癌をという。 b.バレット食道は食道腺癌の母地となる。 c.日本において組織学的に扁平上皮癌が多い。 d.喫煙、高濃度のアルコール摂取、熱い飲食物の摂取等が食道癌発生の誘引となる。 e.癌の深達度が粘膜層に留まるものは内視鏡的粘膜切除の適応となる。 <解答>b.c.d. ×a.それは「表在癌」。早期癌は癌浸潤が「粘膜層」まででリンパ節転移が「ない」もの。 ○b.加齢、高濃度アルコール、喫煙、高塩食、もリスクファクター ○c.95%は扁平上皮癌。腺癌は1〜3%(「白い巨塔」では腺癌でした。) ○d.b.で説明済み ?e.粘膜癌ではEMR、PDT(アルゴン・ダイ・レーザーによる焼却)、放射線療法を選択する。リンパ節転移の有無に触れていないので×か? 28.食道疾患に関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.食道静脈瘤に対する治療ではEVLが行われる。 b.食道静脈瘤で発赤所見は出血の可能性が高い。 c.EISは血管内、外に硬化剤を注入する。 d.Vasopressin静注により門脈圧は亢進する。 e.Budd-Chiari症候群では門脈圧は亢進しない。 <解答>a.b.c. ○a.EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)や内視鏡的硬化薬注入療法(EIS)を行なう。 ○b.青色静脈瘤、連珠状静脈瘤(F2)以上、発赤所見(RCS)(+)は破裂の徴候。 ○c.食道静脈瘤内にエタノールアミン、周囲にエトキシスクレロール等の硬化剤を注入。 ×d.バソプレッシンは腹腔内の細動脈を収縮させて、門脈圧を下げる。 ×e.門脈圧亢進症の原因:肝硬変、特発性門脈圧亢進症、Budd-Chiari症候群 etc… 29.胃腫瘍に関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.胃MALT腫瘍に対する治療の一つにHelicobacter pyloriの除菌がある。 b.胃原発の悪性リンパ腫ではB細胞性が多い。 c.胃肉腫の中で悪性リンパ腫が最も多い。 d.胃カルチノイド腫瘍はカルチノイド症候群を呈する。 e.胃カルチノイド腫瘍は胃粘膜下層より発生するので、粘膜下腫瘍の形態をとる。 A. 消化管・腹膜 A - 75 A - 75 <解答>a.b.c. ○a.MALTリンパ腫はHPと密接に関係している。 ○b.T細胞性は主に縦隔から、B細胞性は腹部から生じることが多い。 ○c.胃肉腫は胃悪性腫瘍の2%前後を占める。悪性リンパ腫(60%)>平滑筋肉腫(30%)×d.カルチノイド症候群…弁膜性心疾患、気管支喘息様発作、チアノーゼ,腹部けいれん,下痢などからなる症候群で,通常,セロトニンやブラジキニン,ヒスタミン,プロスタグランジン,ポリペプチドホルモンを含む過剰な血管作用性物質を分泌する転移性腸管カルチノイド腫瘍によって引き起こされる。 ただし、消化管カルチノイドはカルチノイド症候群に特異な症状を示さないことが多い。 ×e.カルチノイドは粘膜下腫瘍の場合が多いが、ポリープ様となることもある。 30.胃ポリープに関する次の記述のうち正しいのはどれか。 a.過形成ポリープは癌化することが多い。 b.内視鏡下で発赤調ポリープが観察される。 c.山田IV型ポリープは有茎性ポリープである。 d.胃腺腫は内視鏡で白色調扁平な隆起として観察される。 e.胃腺腫は放置するとほとんどが癌化する。 <解答>c.d.e. ×a.過形成ポリープの癌化率は1〜2%と低い。 ×b.過形成性ポリープは発赤、乳頭状。腺腫性ポリープは平滑、灰白色調、扁平。 ○c.山田の分類。 ○d.同b. △e.直径2cm以上では癌化していることが少なくない。 31.正しいものを選べ a.肝鎌状間膜は肝を後上方から支える b.肝十二指腸間膜内には門脈、総肝動脈、リンパ節が存在する c.肝十二指腸間膜の腹側にはウィンスロー孔が存在する d.網嚢と腹膜腔はbare areaを通じて交通する e.小網は肝胃間膜、脾腎間膜からなる 1.a 2.a,c 3.b 4.b,d 5.e <解答>3? ×a.前上方から支えている? ○b.肝十二指腸間膜…肝門部と十二指腸を結び、門脈、総肝動脈、固有肝動脈、近位総胆管、総肝管、リンパ節、神経が存在する。 ?c.ウィンスロー孔(網嚢孔)は網嚢に通じており肝十二指腸間膜自由縁の後方にある。 ×?d.bare area…無漿膜野であるが、おそらく網嚢とは無関係。 ×e.小網は肝胃間膜と肝十二指腸間膜からなる。 32.正しいものを選べ a.大網は腹膜播種の好発部位であるb.正常の腹膜はCTで指摘が容易である c.膵ガンは胃結腸間膜を介して横行結腸へ浸潤するのが普通である d.横行結腸間膜は大湾から下方に伸びる間膜であるe.横行結腸間膜と小腸間膜には連続性はない 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e <解答>1 ○a.腹膜播種性転移は大網や腸間膜に多い。 ×b.おそらく容易ではない。 ×c.?そもそも膵は後腹膜臓器のはず…ちなみに後腹膜臓器とは腎臓、副腎、十二指腸、尿管、膵臓、aorta ×d.それは大網。 ×e.ある。 33.正しいものを選べ a.網嚢と通常の腹膜腔には交通はない b.網嚢は膵臓の背側に位置する c.膵嚢は胃の背側に位置する d.臍静脈、傍臍静脈は肝鎌状間膜内を走行する e.大網は二層の腹膜より構成される 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e A. 消化管・腹膜 A - 76 A - 76 <解答>4? ×a.網嚢孔(ウィンスロー孔)によって交通している。 ×b.膵臓は後腹膜にあり、網嚢はそれより腹側に位置する。 ○?c.膵嚢→膵臓? 膵臓は胃の後方、みぞおちから左上腹部、第一、二腰椎あたり。○d.そのとおり。 ×e.腸間膜は2枚の腹膜から成る。同様に考えると、大網は4層の腹膜より構成される。 34.胸部食道に隣接する臓器はどれか a.下行大動脈 b.気管 c.上大静脈 d.横隔神経 e.心嚢 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>2 解剖は各自参照してください・・・ 35.特発性食道破裂について正しい組み合わせを選べ a.食道下部1/3に多い b.胸写で縦隔陰影の拡大、縦隔気腫が観察される c.原則として保存治療 d.確定診断には食道内視鏡が有用 e.確定診断には水溶性造影剤による食道造影が有用である 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 3 a) 正しい b) 胸写では縦隔気腫像、胸水が認められる。胸水は破裂の7割以上が左側であることより左側胸水が多い。また、特発性食道破裂例の13〜17%に縦隔気腫は認められる。よって縦隔陰影の拡大は伴わない c) 治療は、飲食を禁止して食道の安静を保つとともに中心静脈栄養による管理を行なう。胸腔ドレナージによって分泌物の貯留を防ぎ、感染予防のために広域スペクトルの抗生物質を非経口に投与する。ただしこのような保存的治療で閉鎖する可能性は少なく、多くは外科的な閉鎖術が必要となる。(Mallory-Weiss症候群と違って保存的治療はしない。) d) 正しい e) 正しい 疑われる症例に対しては積極的に食道造影を施行。造影剤が漏れ出ているのを確認して確定診断とする。 36.食道良性腫瘍で最も多いものを選べ a.脂肪腫 b.平滑筋腫 c.神経鞘腫 d.血管腫 e.線維腺腫 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 b 食道良性腫瘍で最も多いものは b の平滑筋腫。 37.食道癌について正しいものを選べ a.胸部上部に好発する b.50歳代に多い c.飲酒、喫煙は発癌のrisk factorである d.男性に多い e.特定の国や地域に集積する傾向がある 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 5 a) 好発部位は胸部中部で約55%。続いて胸部下部および腹部食道が多く30%。 b) 60歳台に多い c) 正しい リスクファクターは、1. 50歳以上の男性 2. 喫煙者と大量飲酒者 3. 頭頸部癌患者 4. Barrett食道、腐食性食道炎、食道アカラシアなどの食道疾患 d) 正しい 4:1で男性に多い e) 正しい 日本では東北から北関東地方、奈良から和歌山地方、南九州から沖縄にかけて多発地域が存在する。アメリカ合衆国では10万人に対し5人の割合で、中華人民共和国北部では10万人に対し130人に発症する。 A. 消化管・腹膜 A - 77 A - 77 38.食道表在癌について正しいものを選べ a.早期癌は粘膜下層にとどまる癌でリンパ節転移は問わない b.ルゴール液に対し不染性を示す c.深達度診断に超音波内視鏡が有用である d.ほとんどが扁平上皮癌である e.粘膜下層に留まる癌に対しては内視鏡的切除術適応である 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 4 a) まず、筋層にまで食い込んだ進行癌と粘膜下層に留まる表在癌の2つに大別。表在癌のうち、転移がないものを早期癌と呼ぶ。 b) 正しい ヨードは扁平上皮細胞中のグリコーゲンと反応、粘膜は茶褐色に染色される。癌の部分は不染体として明らかになる。トルイジンブルーも同様の目的で使われるが、ヨードとは逆に、食道の正常上皮の欠失部分や壊死物質と結合するために異常部分が青く染まることに注意する。臨床ではこの2つを共に用いる二重染色が行なわれている。 c) 正しい 超音波内視鏡(EUS)によって表在癌の深達度やリンパ節転移の有無を正確に診断できる。 d) 正しい 食道癌の90%以上が扁平上皮癌 e) 粘膜筋板を超えて粘膜下層まで達するとリンパ節転移を高率に引き起こすため、原則として食道切除術を行なう。 39.胸部食道癌について正しいものを選べ a.胸部中部癌は右開胸でアプローチする b.胸部中部進行癌は腹腔内リンパ節郭清を行う c.再建臓器には胃を使う d.再建ルートには胸骨後経術を使う e.再建臓器には結腸がもっとも血流がよく安全である 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 1 a) 普通中・下部胸部食動癌に対しては右開胸による胸部全摘出術を行なう。 b) 胸部食道癌でも容易に頸部や腹部のリンパ節に転移する。 c) 再建には普通胃、次に結腸が用いられる。 d) 近年は後縦隔ルートが普及し始めている。 e) 胃を用いる術式が最も広く行なわれている。その理由は3点。1) 食道→胃という生理的な食物通過が確保されること、2) 吻合部が1箇所ですむこと 3) 頸部への挙上がもっとも容易であること があげられる。 40.食道癌の非手術的治療について正しいものを選べ a.化学療法、放射線療法では進行癌の根治は不可能である b.放射線療法単独は化学療法合併より予後が良い c.通過障害改善に食道ステント d.化学療法の第一選択はFP療法(5−FU+CDDP) e.他臓器浸潤の高度進行癌に対しては術前治療が施行される 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 5 ? a) 化学療法としてはシスプラチン(CDDP)とフルオロウラシル(5-FU)が用いられるが効果は満足できるものではない。食道癌の90%以上を占める扁平上皮癌は放射線感受性が高いが、単独での治癒を期待することはできない。 b) 放射線療法と化学療法を併用する。 c) 正しい。外科的手術適応のない症例ではQOLの改善目的にステント挿入を行なう。 d) 正しい。 e) 正しい。 予後改善のために術前化学療法や術前放射線療法で腫瘤のダウンステージングをはかり、切除術を行なうこともある。 41.イレウスの初期治療で明らかに誤っているものはどれか。 a.下剤投与 b.輸液 c.絶食 d.経鼻的チューブによる腸内容排除 e.抗生物質 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 〈解答〉 a a) 不要。 b) 脱水が起こっているので必要。 c) 腸管の安静を保つために必要。 d) 必要な処置。 e) 抗生物質投与が必要とする見解と不要とする見解が対立している。 A. 消化管・腹膜 A - 78 A - 78 42.絞扼性イレウスについて正しいものはどれか。 a.下剤を投与する b.保存的治療を行う c.エコーは診断に有用である。 d.腹水が貯留する e.腹部単純撮影で無ガスイレウス像が見られる 3つ。選択肢は5つでしたが組み合わせがわかりません。 〈解答〉 a) 不要。 b) 絞扼性イレウスは緊急手術を行なう。他のイレウスはまず、保存的に治療する。 43.急性虫垂炎について正しいものを選べ。 a.診断がついてから手術を行う b.保存的に経過を見る c.エコーより腹部単純写真が有用である d.痛みが心窩部から右下腹部に移動する e.悪心・嘔吐がおこる 3つ。選択肢は5つでしたが組み合わせがわかりません。 〈解答〉 a) 正しい。診断がはっきりしない時は数時間から翌日まで経過をみることもある。 b) 原則的に手術。最近ではカタル性虫垂炎に対しては、禁食と抗生物質投与による保存的治療を行なうようになってきた。 d) 正しい。初期は心窩部に鈍い周期性疼痛(内臓痛)を訴え、その後右下腹部に限局する鋭い持続性疼痛(体性痛)となる。 e) 正しい。前駆症状として一般的な腹痛、悪心、嘔吐を伴う。 44.27歳、男性。10日前に腹痛を訴えて診察を受け、十二指腸潰瘍と診断されていた。アルコールを大量摂取後、激しい腹痛のため来院した。早急に行うべき検査として正しいものを1つ選べ。 a.腹部単純写真 b.MRI c.血管造影 d.注腸X線 e.試験開腹 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 〈解答〉 1 十二指腸潰瘍の方が胃潰瘍よりも穿孔を起こしやすく、その頻度は2倍以上とも言われている。穿孔が疑われる場合、直ちに立位の腹部単純X線撮影を行なう。そして横隔膜下にfree airを認めれば、診断は確定する。ただしこの所見が認められる確率は80%なのでこの所見が無いからといって本症を否定することは出来ない。 45.筋性防御をおこすものとして正しいものはどれか。 a.胃潰瘍穿孔 b.急性腎盂腎炎 c.急性虫垂炎 d.過敏性大腸炎 e.? 3つ。選択肢は5つでしたが組み合わせがわかりません。 〈解答〉 a) 正しい b) 患側の腰痛およびCVA(第12肋骨と脊椎のつくる三角)の叩打痛を伴うのが特徴 c) 排便で軽快し、食後に発生する腹痛 d) 正しい。心窩部から始まって、右下腹部に限局した痛みを伴う。 46.緊急手術の適応となるものはどれか。 a.急性膵炎 b.虚血性腸炎 c.卵巣嚢腫茎捻転 d.絞扼性イレウス e.大腸憩室炎 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,e 〈解答〉 3 卵巣嚢腫茎捻転は、卵巣嚢腫(腫瘍)が卵巣固有靭帯と骨盤漏斗靭帯を茎として捻転した状態をいう。成熟嚢胞性奇形腫に起こりやすい。腫瘍は変性・壊死を起こし、下腹部激痛と悪心・嘔吐などの腹膜刺激症状を呈する。 絞扼性イレウスは緊急手術の適応。他のイレウスはまず、保存的に治療。初診後、短時間のうちに保存的治療・緊急手術or待機的手術が必要かどうかの判断を行なうことが、イレウスの初期治療において重要で、予後を左右する。 A. 消化管・腹膜 A - 79 A - 79 47.タール便の原因として正しいものはどれか。 a.食道胃静脈瘤出血 b.MW症候群 c.十二指腸潰瘍出血 d.大腸憩室炎 e.虚血性大腸炎 1.a,b,c 2.b,c,d 3.c,d,e 4.a,b,e 5.a,d,e 〈解答〉 1 上部消化管出血の疾患を選べばよい。ならびにタール便は胃・十二指腸潰瘍によるものがもっとも多く、約60%を占める。 48.AGMLの原因となるものはどれか。 a.絶食 b.ストレス c.NSAIDの投与 d.Ca拮抗薬の投与 e.抗コリン剤の投与 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.d,e 5.a,e 〈解答〉 2 アルコールなどの胃粘膜直接刺激や精神的・身体的ストレスなどが要因となる。他にNSAIDは胃粘膜の防御因子であるプロスタグランジンの合成を阻害するので、特に本症を起こしやすい薬剤である。 49.食道静脈瘤の出血に対する治療として正しいものはどれか。 a.エタノール注入 b.高Na−エピネフリン局所注入 c.硬化療法 d.結紮療法 e.S−B tube 1.a,b,c 2.b,c,d 3.c,d,e 4.a,b,e 5.a,d,e 〈解答〉 3 まずバイタルサインのチェックをして、ショック状態か否かを確認する。もしもショック状態であれば直ちにその治療を行なう。それに引き続いて緊急内視鏡を行ない、出血部位を確認。確認できた場合にはEVLを第一選択とし、ときにEISを行なう。これらの手技で止血が困難な場合にS-B tubeを用いて止血する。 *) 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)とは、軟性ループを使い、内視鏡的に静脈瘤を正常粘膜も含め結紮し、消去する内視鏡的結紮術である。単独では再発・再出血率が高いので硬化療法と併用することが多い。 **) 内視鏡硬化薬注入療法(EIS)とは、食道静脈瘤内にエタノールアミン、周囲にエトキシスクレロール等の塞栓薬を注入し、引き起こされた炎症と随伴する肉芽形成で再出血予防を図ろうとするもので、緊急的にも実施できる。ただし総ビリルビン4mg/dl以上の高度肝障害例では硬化療法は禁忌。 ***) 出血時で緊急内視鏡検査が行えない場合、あるいは視野確保が十分とれない場合はSengstaken-Blakemore tubeの経鼻的挿入による静脈破裂部の圧迫止血を行なう。 50.胃潰瘍出血の治療法として適当でないものはどれか。 a.内視鏡的クリップ b.内視鏡下エタノール注入 c.プロトンポンプ阻害剤投与 d.輸液 e.NSAID 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 〈解答〉 5 NSAIDは胃粘膜の防御因子であるプロスタグランジンの合成を阻害するので胃潰瘍患者に投与してはならない。 51.消化管出血の検査として有用なものはどれか。 a.超音波 b.胃内視鏡 c.血管造影 d.出血シンチ e.CT 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 〈解答〉 2 A. 消化管・腹膜 A - 80 A - 80 52.上部消化管出血によりショックをきたした症例に対する適切な治療法はどれか。 a.昇圧剤投与 b.H2ブロッカーの投与 c.輸血 d.消炎鎮痛剤の投与 e.セミファーラー体位 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 解答) 4? ×?a. 昇圧剤の投与は適宜行いますが、なによりも輸液による昇圧が先決です。 ○ b. 潰瘍からの出血の場合は投与します。直接ショックに有効なわけじゃないけど。 ○ c. 輸液からスタートし、重症なら輸血に切り替えます。 ○ d. 不穏不安に対して鎮痛薬を注射することがあります。 × e. 吐血した患者は頭に行く血流の確保のために頭部を低く、下肢を高くします。セミファーラー体位とは、上体を25〜30度挙上した体位のことで不適です。 53.胃癌を示す粘膜ひだの所見として正しいのはどれか。 a.ひだの途絶 b.ひだの急峻な先細り c.ひだ先端の太まり d.ひだの癒合(融合) 1.a,c,d 2.a,b 3.b,c 4.dのみ 5.全て 解答) 5 良性潰瘍ではひだの漸減消失や境界不明瞭が目立ちます。 54.注腸造影検査について正しいのはどれか。 a.バリウムを経肛門的に注入する。 b.空気を経肛門的に注入する。 c.いわゆるapple core signは全周性の2型進行大腸癌の所見である。 d.拇指圧痕像は大腸ポリープの所見である。 e.鉛管像は虚血性大腸炎の所見である。 解答) a, b ○ a. 造影するには造影剤が必要だと思います。○ b. 二重造影のための空気を入れるのも経肛門的です。 × d. 虚血性大腸炎の所見です。数日で消失するとか。 × e. 潰瘍性大腸炎の所見です。 55.次のうち唾液腺腫瘍の説明として正しいものはどれか。 a.腺房細胞癌(acinic cell carcinoma)、粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma)は高悪性度の癌である。 b.多形性腺腫(plemorphic adenoma)は奇形種に分類される。 c.ワルチン腫瘍(Warthin tumor)はリンパ組織からなる間質とオンコサイト様細胞質を持つ腫瘍細胞からなる。 d.腺様嚢胞腫(adenoid cystic carcinoma)は上皮細胞と筋上皮細胞からなる混合腫瘍だ。 1.aのみ 2.a,b 3.cのみ 4.c,d 5.b,d 解答) 4 × a. 腺房細胞癌と粘表皮癌は悪性度が低く、腺腫と癌腫の中間と考えられてきましたが、近年癌腫の分類に入れられました。 × b. 調べた限りではそういう記述は得られませんでした。混合腫瘍ではあります。 ○ c. ワルチン腫瘍は腫瘍細胞が好酸性、最顆粒状の細胞質をもち、間質はリンパ組織に飛んでいます。”オンコサイト様”ってどういうことか知りませんけど、好酸性顆粒状細胞質をもつ大型細胞がoncocytoma (膨大細胞腫) の特徴なので、多分よいのでは? ○ d. 腺様のう胞”癌”のことだと思われます。これは癌なので上皮細胞の腫瘍化があり、さらに筋上皮細胞に似た細胞の増殖が見られるということなので、多分○・・・かな。 56.次のうち慢性胃炎の説明として正しいものはどれか。 a.自己免疫性胃炎は幽門腺領域の萎縮を特徴とする。 b.自己免疫性胃炎は逆萎縮性胃炎とも呼ばれる。 c.萎縮性胃炎の原因にはHelicobacter pylori感染が注目されるようになった。 d.腸上皮化生は幽門腺領域だけに見られ、体部腺領域には現れることはない。 1.a,b 2.b,c 3.c,d 4.a,c 5.b,d A. 消化管・腹膜 A - 81 A - 81 解答) 2 × a. 壁細胞に対する抗体であり、幽門側に限局しているわけではありません。 ○ b. 萎縮型胃炎にはピロリ菌感染によるものと、自己免疫性のものが含まれ、自己免疫性胃炎(AIG)では体部からの萎縮が目立つことから逆萎縮性胃炎(ピロリだと幽門側から)と呼ばれることがあります。 ○ c. その通り。ピロリに対する自己防衛手段として腸上皮化生が起こっているという説。 × d. そんなことはない。だんだん幽門部から体部へと広がっていき、低酸症となります。 57.次のうち胃癌の病理の説明として正しいものはどれか。 a.分化型胃癌は血行性に肝臓転移を起こしやすい。 b.分化型胃癌は腹膜播種による転移を起こしやすい。 c.若年者に起こる胃癌は低分化型癌であることが多い。 d.低分化型胃癌は腸上皮化生で囲まれることが多い。 1.a,c 2.b,d 3.a,d 4.b,c 5.c,d 解答) 1 ○ a.胃における腸上皮化生から発生し、高齢者や男性に多いようです。 × b.未分化型で腹膜播種やリンパ行性転移がみられやすいのです。 ○ c.未分化型は若年者に多く見られ、低分化型、印環細胞癌(クルケンベルグ転移しやすい)などが含まれます。 × d.高分化型胃癌は腸上皮化生から派生することが多いとされています。 58.潰瘍性大腸炎の組織像として特徴的なものを選べ。 a.全層性炎症 b.肉芽腫 c.陰窩膿瘍 d.basal plasmacytosis e.核内封入体 1.a,b 2.a,c 3.c,d 4.d,e 5.b,e 解答) 3 × a. UCは粘膜層のみの炎症。全層性はクローン病で見られます。× b. 基本的に肉芽形成しません。 ○ c. 陰窩(crypt)内に好中球が出現して、膿瘍(abscess)形成します。 ○ d. 炎症性腸疾患(IBD)全体の指標として用いられます。× e. 聞いたことないけど…。どうですか? 59.以下の腸炎についての記述で正しいものの組み合わせを選べ。 a.エルシニア腸炎では、膿瘍を伴う類上皮細胞肉芽腫が特徴的である。 b.腸結核では乾酪壊死を伴う膿瘍を伴う類上皮細胞肉芽腫が特徴的である。 c.アメーバ腸炎では融解壊死が特徴的である。 d.虚血性大腸炎では粘膜の立ち枯れ壊死が特徴的である。 e.サイトメガロウイルスによる腸炎は核内封入体が特徴的である。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.d,e 4.全て正しい 5.全て誤り ○ a. エルシニア腸炎は偽結核型肉芽腫(中心からabscess, epithelioid cell&Langhans巨細胞、リンパ球)を形成します。 ○ b. 乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫。 ○ c. アメーバ赤痢の特徴とされています。 × d. 立ち枯れ壊死(!?) はアポトーシスのこと。 ○?e. サイトメガロウイルスは核内封入体をもつ巨細胞をつくるのが有名ですが・・。 60.以下の腸炎についての記述で正しいものの組み合わせを選べ。 a.放射性腸炎では血管内皮細胞下の泡沫細胞出現が特徴的組織所見である。 b.偽膜性腸炎の原因はClostridium difficileの毒素による。 c.病原性大腸菌O−157感染による腸炎の組織像は虚血性腸炎と類似している。 d.腸チフスでは類上皮細胞肉芽腫がしばしば出現する。 e.抗癌剤性腸炎では奇異な核を有する異型細胞が出現する。 1.a,b,c 2.b,c,d 3.d,e 4.全て正しい 5.全て誤り A. 消化管・腹膜 A - 82 A - 82 解答) ? (b, dが○なので2か4なのでしょうが。 ? a. 泡沫細胞が出現するという記述は見つけましたが場所までは特定できず。 ○ b. 抗生物質が菌交代現象を惹起した結果。 ○?c. 選択肢から○? よくわかりません。 ○ d. 細胞結節を形成する。 ? e.よくわかりません。 61.間違っているものを一つ選べ。 a.口腔、咽頭の悪性腫瘍では高率に消化器、呼吸器に重複癌が認められる。 b.う歯、喫煙歴、飲酒歴は口腔癌のリスクファクターである。 c.口腔癌で最も部位的に多いのは口腔底癌である。d.口腔癌の組織型としては扁平上皮癌が多い。 e.初期の口腔癌は切除や放射線治療で治療可能であるが、比較的早期におとがい下、額下部、頸部に転移をきたすと治療成績が低下する。 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答) 3 ○ a. 多重癌(4%〜15%、消化管、肺)。 × c. 口腔癌で最も部位的に多いのは舌癌です。 ○ e. 早期にオトガイ下、顎下、内頸リンパ節に頸部転移を来します。 62.間違っているものを一つ選べ。 a.口蓋扁桃に原発する癌は口腔癌に分類される。b.中咽頭癌の組織は分化度が高い扁平上皮癌が多い。 c.中咽頭癌の原発巣の治療には手術と放射線療法がある。 d.中咽頭癌の切除に伴う組織欠損は前腕皮弁や大胸筋皮弁によって形成される。 e.頸部リンパ節転移に対しては頸部郭清術が行われる。 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答) 1 (2002年概説70参照) 耳鼻科 腔は前弓までで、それより後ろにある口蓋扁桃は中咽頭に分類されます。 63.間違っているものを一つ選べ。 a. 下咽頭癌や喉頭癌で声帯が固定している場合、TNM分類ではT2となる。 b. 進行した下咽頭癌症例で放射線療法や化学療法のみで完治が困難な場合は咽頭、喉頭、頸部食道の合併切除が行われる。 c.下咽頭癌は頸部リンパ節転移しやすい。 d.下咽頭癌の頸部リンパ節転移に対しては頸部郭清術が行われる。 e.下咽頭癌で切除された咽頭、顎部食道再建には遊離空腸移植が行われることが多い。 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答) 1 声帯固定はT3、これはぜひ覚えてください。 64.小腸出血と小腸穿孔につき正しいものの組み合わせはどれか。 a.小腸出血は大腸出血より頻度が高い。 b.小腸出血は少量であれば血管造影より出血シンチのほうが診断に適している。 c.小腸穿孔は外傷性が非外傷性より少ない。 d.穿孔時の腹腔内遊離ガス像の出現は回腸では少ない。 1.a,b,c 2.a,b 3.b,d 4.cのみ 5.全て 解答) 3 × a. 全消化管出血の2〜5%と少なめ。 ○ b. 大量にでていれば造影でもわかるけど、0.1ml/minならテクネシウムのシンチを。 × c. 外傷性が60%です。 ○ d. その通り。空腸では多いようです。 A. 消化管・腹膜 A - 83 A - 83 65.腸瘻につき正しいものの組み合わせはどれか。 a.消化管手術後の縫合不全により発生するのは管状瘻が多い。 b.小腸が膀胱と瘻孔を形成したものは内腸瘻である。 c.腸瘻の治療ではまず水分電解質の補正を行う。 d.クローン病、腸結核、放線菌症では瘻孔をきたす。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て 解答) 5 ○ a. 外腸瘻の間接瘻が多い。 ○ b. 腸管と他の部位の臓器(腸管も含む)との間の瘻孔形成をさします。 ○ c. 大事なことでございます。 ○ d. ほかには癌、イレウスなど。 66.腸間膜血管閉塞症と短腸症候群に関して正しいものはどれか。 a.腸管壊死は腸管のischemic injuryのみによって発生する。 b.上腸間膜動脈閉塞症の起始部での閉塞は塞栓によることが多い。 c.短腸症候群は小腸の長さが100cm以下、消化吸収障害により代謝障害が起こるものをいう。 d.経腸栄養で体重減少10%以上が3ヶ月続くと、小腸機能障害の認定が得られる。 1.a,b,c 2.a,b 3.b,d 4.c,d 5.全て 解答) 4 × a. ischemic injury + reperfusion injury(superoxideによる)らしいですよ。 × b. 塞栓は中結腸動脈分岐部とその末梢側に、血栓症は中枢側に(こちらの方が広範囲)。 ○ c. 短いだけではありません。回腸が残っていれば機能が保たれることもある。 ○ d. そういうふうに決められているのです。 67.小腸腫瘍に関して正しい組み合わせはどれか。 a.小腸には良性腫瘍より悪性腫瘍が多い。 b.悪性リンパ腫の予後は腺癌、カルチノイドより良い。 c.腫瘍は小腸の中部に発生することが多い。 d.転移性小腸腫瘍は肺癌や乳癌などの腹腔以外からの転移がある。 1.a,b,c 2.a,b 3.b,d 4.cのみ 5.全て 解答) ? (dのみという選択肢が4番だったのかな?) × a. 消化管全体に占める小腸の悪性腫瘍の割合は1%以下。良性が60%(ミヴプリより)。 × b. 5生率 カルチノイド50%, 腺癌 19%, 悪性リンパ腫 26%らしいです。 × c. 悪性リンパ腫、カルチノイドは回腸、癌はVater乳頭部、平滑筋腫は空腸や回腸に好発します。”中部”って言われても困るけど、空腸口側や回腸肛門側に好発するらしい。 ○ d. ありえます。他にメラノーマ、腎細胞癌などからの転移も。 68.大腸の解剖に関して正しいものはどれか。 a.結腸には3本のtaeniaがあり、縦走筋がtaeniaを形成する。 b.中直腸動脈は内直腸動脈から分枝している。 c.下方向リンパ節とは鼠径部へのリンパ流をいう。 d.上直腸弁が腹膜翻転部で、この部より肛門側がRbの領域となる。 1.a,b,c 2.a,c 3.c,d 4.dのみ 5.全て 解答) 1 ○ a. 結腸ひもは筋層の外縦層の平滑筋が3ケ所でよく発達したものです。 ○ b. 中・下直腸動脈は内腸骨動脈から、上直腸動脈は下腸間膜動脈から分岐します。 ○ c. そうだと思いますけど。 × d. 腹膜翻転部は直腸内ではKohlrausch皺襞(中直腸弁)に相当し、それより下が下部直腸(Rb)です。 A. 消化管・腹膜 A - 84 A - 84 69.大腸の生理に関して正しいものはどれか。 a.下腹神経を損傷すると排尿障害が起こる。 b.大腸では右側結腸より左側結腸で水分を吸収する。 c.大腸では炭水化物や蛋白質は嫌気性菌によりブドウ糖やアミノ酸に変化して、吸収される。 d.大腸では逆蠕動波が発生するので便として出されるのは24から48時間後である。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>2 ○a)その通り。 ×b)主に右側結腸で水分を吸収する。 ○c)その通り。 ×d)逆蠕動によりこねくり回されて、30分〜2時間で排泄される。 70.便秘と下痢に関して正しいものはどれか。 a.大腸では食事摂取と大腸蠕動には関連がない。 b.便を保持しているのは内肛門括約筋の力による。 c.感染性下痢ではまず抗生物質と止痢剤を投与して、下痢を止める。 d.Ogilvie syndromeでは右側結腸拡張により、減圧が生じる。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>1 ○a)食事がきっかけで、胃・結腸反射により蠕動が起きる。 ○b)不随意的な内肛門括約筋の働きが大きい。 ○c)ほかに脱水防止のための水分・電解質の輸液も大事。 ×d)手術・外傷などの合併症による急性偽性腸閉塞症候群。右側結腸拡張と左側結腸閉塞が特徴的。もちろん圧が上昇する。 71.直腸脱についてただしいものをえらべ。 a.直腸脱は同心円状に広がる。 b.直腸脱は直腸壁が薄くなっているのが原因である。 c.直腸脱には便秘・便失禁の合併が多い。 d.手術は経腹的のほうが会陰側からのアプローチよりも再発率は低い。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>5 ○a)同心円状なのが特徴的。 ○b)直腸および肛門支持組織の脆弱性が原因。 ○c)肛門括約筋の筋力低下による。 ○d)会陰側からのアプローチでは、侵襲性が低いが、再発率が高い。 72.大腸の損傷について正しいものを選べ。 a.外傷により出血が疑われるときにはperitoneal lavageを行い出血を確認する。 b.大腸損傷と合併するのは腎臓の損傷である。 c.大腸の損傷は小腸損傷より死亡率高い。 d.大腸損傷は近年プライマリ・ケアの率が低下している。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て 解答>1 ○a)腹腔内穿刺peritoneal lavageを行う。 ○b)その通り。 ○c)感染などの影響で死亡率が高い。 ×d)そのような報告はない。 73.炎症性腸疾患について正しいものを選べ。 a.腸結核では活性病変には抗結核療法を行い、狭窄が発生してから手術を行う。 b.腸のベーチェット病は深掘れ潰瘍が形成され穿孔・保存的治療無効例では狭窄形成術を行う。 c.虚血性腸炎は一過性のものが多く手術することは少ない。 d.閉塞性大腸炎は大腸癌の部が穿孔を起こすものを言う。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て A. 消化管・腹膜 A - 85 A - 85 <解答>1 ○a)まずは抗結核療法を行い、難治例に対して手術を行う。 ○b)難治性易穿孔性潰瘍が特徴的。 ○c)再発はまれなのが特徴的。多くは内科的治療で十分。 ×d)明らかに違う。 74.子宮内膜症・粘膜脱症候群について正しいものを選べ。 a.子宮内膜症は腸管に発生するときにはS状結腸がおおい。 b.子宮内膜症の症状として排卵期の疼痛がある。 c.子宮内膜症には性腺刺激ホルモン抑制剤を用いる。 d.粘膜脱症候群努責の習慣がある場合潰瘍のみができる。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>4 ×a)直腸に多いと言われている。 ×b)月経時疼痛が特徴的。 ×c)GnRH agonistやゲスターゲン(プロゲステロン)を用いる。 ○d)潰瘍でなく隆起性病変ができる。 75.大腸癌について正しいものを選べ。 a.粘膜下層にまで浸潤したものはDukes Bに属する。 b.直腸下の癌は進行すると残便感が強くなる。 c.側方リンパ節転移陽性例はRsへの進行がんになる。 d.大腸癌では下層への癌には15%程度のリンパ節転移があるので浸潤の多い時にはリンパ節郭清が必要である。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>3 ×a)腸壁を貫くが、リンパ節転移(−)なのがDukes B。 ○b)左側結腸〜肛門側の大腸癌は症状が強い。 ×c)Rbのリンパ流は、大部分が内腸骨・総腸骨リンパ節に至るため側方リンパ流と呼ばれる。(STEP外科 P.107参照) ○d)その通り。 76.ストーマに関して正しいものはどれか。 a.ストーマは作製すれば全て直腸機能障害の認定を受けられる。 b.ストーマはskin levelより突出させて作製する必要はない。 c.洗腸排便法は 24 時間排便をしなくてよいので若い患者によいケアの方法である。 d.ストーマの大きさは変化するので装具の穴の大きさは変える必要がある。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>2 ○a)その通り。 ×b)普通、皮膚より1cmほど突出させる。術後の処置が容易。 ○c)ストーマには自然排便法と洗腸排便法がある。後者は、ストーマから腸内に湯を入れ、浣腸の要領で強制的に排便させる。1日・2日は排便は不必要になる。 ×d)大きさを変える必要はない。 77.痔裂について。 a.痔裂は肛門腺への感染によりおこる。 b.肛門管は扁平上皮なので扁平上皮がんが多い。 c.毛巣洞は先天性のものなので切除により治癒する。 d.肛門掻痒症は肛門を不潔にしていると発生するので石鹸をしっかり使用して常に清潔にするよう指導する必要がある。 1.a,b,c 2.a,c 3.b,d 4.dのみ 5.全て <解答>3 ×a)硬い便の排泄を繰り返すことによる。 ○b)その通り。 ×c)先天性ではない。毛深い人などに出来ると言われている。 ○d)その通り。 A. 消化管・腹膜 A - 86 A - 86 78.大腿ヘルニアについて正しい記載はどれか。 a.中年男性に多い。 b.片側性に発生しやすい。 c.大腿動脈の外側に脱出する。 d.嵌頓しやすい。 e.修復はMcVay?法による。 <解答> ×a)中年女性、特に経産婦に多い。 ○b)80%が片側性である。 ×c)大腿動脈の内側に脱出する ○d)特徴的。 ○e)McVay?法や鼠径法がある。 79.腹壁瘢痕ヘルニアについて正しいものを選べ。 a.これは先天性の疾患である。 b.触診によりヘルニア門の触知が可能である。 c.嵌頓しやすい。 d.90%以上は感染が原因である。 e.再発防止には腹膜と皮膚を十分に縫合する必要がある。 <解答> ×a)手術創感染から生じる。腹壁ヘルニア中最多。 ×b)触知できない。 ×c)嵌頓はまれ。 ○d)前述。 ○e)その通り。 80.癌性腹膜炎について正しいものを選べ。 a.胃の低分化腺癌が原発となることは少ない。 b.直腸視診は有用な検査法である。 c.血清腹水を呈する。 d.腹水細胞診は確定診断になりうる。 e.腹水細胞診は利尿剤によく反応する。 <解答> ×a)胃・腸・卵巣癌に好発する。 ×b)そんなことはない。 ○c)血性もしくは浸出性腹水が特徴的。 ○d)腹水の腫瘍マーカーおよび細胞診にて診断する。 ×e)利尿剤で腹水は減少する。 81.腸間膜を持つものはどれか。 a.上行結腸 b.下行結腸 c.横行結腸 d.S状結腸 e.下部直腸 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e <解答>4 横行結腸とS状結腸だけが腸間膜をもつ。 82.腹水の診断で正しいものはどれか。 a.波動の触知 b.臍の陥凹所見 c.濁音界の体位変換現象 d.叩打痛 e.グル音の亢進 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e <解答>? ○a) ×b) ○c) ×d) ×e) 83.胃に関する解剖について正しいものを選べ。 a.右胃大網動脈は胃十二指腸動脈から分岐することが多い。 b.胃幽門側胃切除を行うとき、左胃動脈は切離する。 c.胃の神経支配は副交感神経である腹腔神経節からと交感神経である迷走神経からなる。 d.胃後壁の約半分は後腹膜に固定されていることが多い。 e.噴門側リンパ節(No1、2)に明らかに転移が認められても、胃全摘する必要はない。 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e <解答>1 ○a)その通り。 ○b)胃幽門側胃切除術では、左右の胃動脈と胃大網動脈を結紮・切離する。 ×c)交感神経である腹腔神経節と副交感神経である迷走神経によって支配されている。 ×d)後腹膜に固定されていない。 ×e)U癌とsafety marginを確保できないM・L癌は全摘が必要。 A. 消化管・腹膜 A - 87 A - 87 84.幽門側胃切除術で結紮切離するのはどれか。 a.右胃動脈 b.上膵十二指腸動脈 c.胃十二指腸動脈 d.短胃動脈 e.右胃大網動脈 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e <解答>2 前述の通り、胃幽門側胃切除術では、左右の胃動脈と胃大網動脈を結紮・切離する。 85.55歳の男性。2年前に胃前庭部早期胃癌のため、幽門側胃切除を受けた。最近3ヶ月ほど、午後になると全身倦怠感と疲労感とが強くなり、会社でも食後2時間ぐらいして横になって休むようになった。時々下痢をする。体重も減少気味である。この病態について正しいのはどれか。 a.食後に高血糖になる。 b.低張性脱水を起こす。 c.運動療法により症状は改善する。 d.インスリンの反応性過分泌がある。 e.間食をすると症状は改善する。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e <解答>3 食後2・3時間で生じる後期ダンピング症候群の症例。食後一過性高血糖→→インスリン過剰分泌→→低血糖症状の病態生理。間食で症状が改善するのが特徴的。 86.胃癌に対する胃全摘術について正しいものを選べ。 a.BillrothI法による再建が一般的である。 b.開胸操作を行うことはない。 c.胃全摘における脾摘の意義は郭清である。 d.術後合併症に逆流性食道炎がある。 e.術後長期間を経ても貧血に注意する。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 解答)BillrothI法は残胃と十二指腸を端々吻合するので、胃全摘術では行えない。dについては噴門部が失われるので正しい。eについては胃の壁細胞から分泌される内因子が失われるのでビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血を5年以上のちに引き起こすことがあり正しいよって5番が正解 87.胃全摘出術後5日目に体温が38.0度に上昇した。考えられる合併症として正しいものはどれか。 a.創部皮下腫瘍 b.縫合不全 c.急性肺炎 d.急性胆嚢炎 1.a,b 2.b,c 3.a,c,d 4.dのみ 5.全て 解答)bは術後合併症として代表的。あと急性胆のう炎もリンパ節郭清による胆嚢周囲の神経や血管の損傷、術後の腸管麻痺による胆汁うったいにより起こるかのうせいあり、これを満たすのは5しかないので正解は5 88.上部消化管造影で胃癌を示唆する所見はどれか? a.粘液皺壁のこん棒状変化 b.粘液皺壁の癒合 c.bridging fold d.瀑状胃 e.島状結節性隆起 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 解答)a,b,eは胃がんの代表的な所見よって、2番が正解。 89.胃癌の転移について正しいものを選べ。 a.右鎖骨上リンパ節への転移もVirchowの転移という。 b.リンパ節転移は粘膜内癌でもみられる。 c.肝転移は高分化腺癌に多い。 d.胃癌手術後再発で最も多いのは後腹膜播種性転移である。 e.Krukenberg tumorは閉経後婦人に多い。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 解答)aについては左鎖骨下リンパ節への転移をいう。よって4か5になるが、粘膜内癌でもリンパ節転移の可能性はあるので、正解は4。 A. 消化管・腹膜 A - 88 A - 88 90.次のうちで正しいものの組み合わせはどれか? a.固形癌では手術時すでに微小転移が存在している可能性がある。 b.原発巣切除により転移巣が増大することがある。c.術中操作により腫瘍細胞散布の可能性はない。 d.癌の手術では治癒切除であれば、再発は認められない。 1.a,b 2.b,c 3.a,c,d 4.dのみ 5.全て 解答)cは明らかに違う。これは1が正解。 91. 以下の記述で正しいものの組み合わせを選べ。 a.腫瘍マーカーの変動は化学療法の効果の目安とはならない。 b.腫瘍マーカーの上昇しない進行癌はない。 c.早期癌のほとんどで腫瘍マーカーの上昇を認める。 d.大腸癌の肝転移ではCEAの上昇を認めることが多い。 1.a,b,c 2.a,d 3.b,d 4.dのみ 5.全て 解答)aは明らかにだめ。よって3か4だが、進行がんすべてが腫瘍マーカーの上昇をきたすとは考えにくいよって正解は4。 92.49歳の女性。胃部不快感と体重減少とを主訴として来院。上部消化管透視にてスキルス胃癌と診断された。この疾患について正しいのはどれか。 a.高年齢層に好発する b.内視鏡検査により早期発見しやすい。 c.間質成分の増殖が顕著である。 d.腹膜播種転移を起こしやすい。 e.蛋白漏出を起こしやすい。 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e 解答)スキルスは線維性の結合組織の増殖を特徴としていて、腹膜播種転移をきたしやすいよって、正解は4。 93.高分化腺癌が転移しやすいのはどこか。 a.肺 b.肝 c.リンパ節 d.腹膜 e.骨 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e 解答)bには転移がよく認められるので1か3またリンパ節転移もきたしやすいので正解は3。 94.65歳の男性。上部消化管透視および内視鏡にて胃体下部前壁に径5cmの粘膜下腫瘍が認められた。この疾患について正しいのはどれか。 a.リンパ節転移をきたしやすい。 b.内視鏡による生検で診断は容易である。 c.c-kit蛋白が陽性であれば分子標的治療薬の効果が期待できる。 d.治療の第一選択は外科的切除である。 e.胃全摘手術の適応である。 1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e eは×よりcd。cはGISTにイマチニブが○。 解答 4 95.54歳の男性。胃癌。開腹すると、遠隔臓器への転移は無く、腹膜播種も見られない。癌腫は上胃部にあって小弯から後壁に及び、明らかに漿膜までの浸潤が見られる。隣接他臓器への浸潤は無い。幽門下リンパ節の数個に転移が疑われる。腫瘍の上縁は食道・胃接合部から20mm離れている。この患者の根治的胃切除術として最も適切なものはどれか。 a.開胸・開腹による下部食道・上部胃切除術 b.胃全摘術 c.噴門側胃亜全摘術 d.分節胃切除術 e.幽門側胃亜全摘術 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答)まず進行がんは2cm以上のマージンをとって切除するので噴門側は切除しなくてはならない。また、幽門側のリンパ節郭清も行う必要があるので、幽門側も切除する必要がある。よって胃全摘術を行う必要がある。正解は2。 A. 消化管・腹膜 A - 89 A - 89 96.抗癌剤の作用機序について正しい記述は次の内どれですか。 a.5−FUはDNA合成障害およびRNA機能障害をもたらす。 b.CDDPはDNA intrastrand cross linkをおこす。 c.CPT−11はDNA Topoisomerase Iの阻害作用がある。 d.Docetaxelは微小管脱重合阻害作用があり、微小管安定化による癌細胞の分裂を阻害する。 (選択肢がわかりません) 解答)aはそのとおり。bについてはCDDPは2本のDNA鎖間に架橋を形成するので正しい。cはそのとおり。dもそのとおり。よってすべて正しい。 97.以下の文について間違っているものを選びなさい。 a.癌は遺伝的要因がほとんどを規定する疾患である。 b.ヒトの癌の原因となるウイルスは見つかっていない。 c.ウイルスの癌遺伝子の中には、元来ヒトの遺伝子に存在するものがある。 d.Kunudsonの2ヒットセオリーとは、癌細胞には癌遺伝子と癌抑制遺伝子の両方に異常があることを示す。 e.DNA癌遺伝子には、癌抑制遺伝子の機能を抑制する作用があるものがある。 1.a,b 2.a,c 3.b,d 4.b,e 5.c,d 解答)2セットセオリーは癌抑制遺伝子がヘテロ接合性の消失をおこすことによって癌化が起こるという説なのでdはだめ。人の癌の原因となるウイルスも存在するので、bもだめ。よって正解は3。 98.細胞死について正しいものの組み合わせを選びなさい。 a.細胞死には大きく分けてアポトーシスとネクローシスがある。 b.抗癌剤は細胞にアポトーシスを起こす。 c.核の分断化はアポトーシスの特徴である。 d.アポトーシスは遺伝子発現によって制御された細胞死である。 1.a,b 2.a,c,d 3.dのみ 4.全て 解答)a,c,dは正しい。bについては抗がん剤は能動的細胞死をおこすので、アポトーシスではなく、ネクローシスである。よって正解は2。 99.糞便検査について正しいものはどれか。 a.閉塞性黄疸では黒色便となる。 b.脂肪滴はズダンIII染色で青色に染まる。 c.オルトトルイジン反応はグアヤック反応よりも鋭敏である。 d.免疫学的潜血反応は大腸癌検診に用いられている。 e.蟯虫卵は肛門周囲にセロテープを貼付して検査する。 1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e 解答)閉塞性黄疸では灰白色便である。ズダンIII染色陽性は赤色に染まる。cdeはそのとおり。よって正解は5。 100.腹痛の原因疾患として不適切なものはどれか。 a.腸リンパ管拡張症 b.ポルフィリン症 c.尿毒症 d.肺梗塞 e.糖尿病性アシドーシス 1.a 2.b 3.c 4.d 5.e 解答)尿毒症は消化器潰瘍をきたすことがあるので腹痛もおこるはず。bdeは腹痛をきたす疾患として有名。よって、正解はa。