・成体防御因子
・化学療法剤の選択毒性
ある薬剤の微細物に対する障害作用が、宿主に対するそれに比較して大きいことをいい、化学療法の中心をなす概念である。
・バイオフィルム
水中に生息する細菌は、水中を泳ぎ回っている状態と、固体表面や水面に自分たちの棲み家として、多糖体の膜を作って生活している状態がある。菌体と菌体外多糖体からなるこの膜をバイオフィルムという。補体による殺菌や食細胞の貪食からのエスケープのみならず、菌の定着にも役立っている。
・Quorum sensing
細菌が、周囲の仲間がどれくらいの密度で存在しているかを知ること。簡単には細胞密度依存的遺伝子発現制御系と言い換えられる。
・真菌の二形性
真菌が特定の環境条件の下で、酵母形と菌糸形の間で形態変換を行うこと。(感染組織内では酵母形、培養では菌糸形となる。)
・ファージ
細菌にに感染し宿主とするウィルス
・ビルレントファージ
細菌に感染すると増殖、溶菌する
・テンペレートファージ
増殖するとは限らず一部がプロファージとしてそのまま分裂、子孫に伝えられる
・プラーク
少量のファージと大量の菌を混ぜて培養するとファージは菌に感染した後、増殖・溶菌というサイクルを繰り返す結果、最初にファージのあったところを中心に溶菌斑を生じる。この溶菌斑のこと。
・溶原菌とプロファージ
溶原菌:ファージゲノムを維持しながら分裂・増殖を続ける菌のこと
プロファージ:溶原菌の中におけるファージのゲノムのこと
溶原化:新たにファージを感染させて溶原菌を生み出すこと
・形質導入
普遍形質導入:特定の遺伝子を導入するとは限らず、菌のどの遺伝子でも導入できる
特殊形質導入:特定の遺伝子ないしは遺伝子群のみを導入する
・溶原変換
特定のテンペレートファージによる溶原化によって特定の形質が菌に与えられる現象であり、その形質を支配する遺伝子がファージゲノムの一部としてはじめから存在する。ゆえに、このファージによる感染を受けた菌の100%にその形質が伝えられる。溶原変換の代表的な例は、ジフテリア菌におけるジフテリア毒素、コレラ毒素、O157など。)
・プラスミド
染色体より小さいが遺伝物質としてのDNAであり、細胞質性の遺伝因子。
・Fプラスミド
大腸菌に存在し、大腸菌どうしあるいは大腸菌から他の腸内細菌へ接合により伝達される能力をもつプラスミドのこと。DNA複製、遺伝伝達に必要な遺伝子群、他DNAとの組み換えに必要な情報を持つ。
・Rプラスミド
プラスミド上に抗生物質に対する耐性遺伝子を持つもの。一種類のみから5〜6、また10種以上を持つものもあり、そのようなものを多剤耐性因子という。
・S→R変異
腸内細菌は通常正円、平滑、均等、浸潤性のS型集落を作るが、周辺不整、粗、不均質のR型集落に変異すること。
S→R変異は菌体表面の構造の変化に基づく。
・形質転換
細菌や真核生物の性質に生じた遺伝性の変化。菌体から抽出した高分子DNAが直接他の菌体に取り込まれて新しい形質の獲得につながる現象のこと。
・制限酵素と修飾酵素
制限酵素:細菌などが有するDNAの特定の塩基配列を認識して切断する作用をもつ酵素
修飾酵素:細菌などが有する自己のDNAが自らの酵素によって分解を受けないための酵素
・条件致死変異
ある一定の条件下では、分裂・増殖が可能であるが、異なる条件下では致死的になるという変異をいう。
温度感受性変異とサプレッサー感受性変異(ナンセンス変異)がある。
・Hfr
High frequency of recombination 高頻度組換え型のこと。Fプラスミドには他のDNAとの組換えを起こしやすい特別の領域があり、この部分で宿主染色体に組み込まれる場合がある。このような大腸菌は染色体遺伝子を高率に伝達することが可能であり、Hfrと呼ばれる。
・H抗原
鞭毛の抗原である。タンパク質flagellinの重合体である。
・O抗原:菌体に由来する抗原である。細胞壁外膜のリポ多糖(LPS)の多糖部分が抗原になっている。コロニーにはR型とS型がある。
・K抗原:莢膜の抗原で、O抗原をおおっている。酸性の多糖で陰性に荷電しており、親水性である。
・M抗原:ムコイド株の有する表現抗原で酸性多糖からなる。