呼吸器 / 呼吸器科 / 03概説


呼吸器/呼吸器科

(呼吸器科) 問題1.肺音について正しいものを選べ。 1.胸水貯留で呼吸音は増強する 2.正常肺胞音は吸気時より呼気時の方が弱い 3.捻髪音は間質性肺炎で吸気終末時に聞かれる 4.気管支喘息発作時の笛音(wheeze)は連続性で低調である 5.胸膜摩擦音は気道狭窄の時に聞かれる a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 答 c *胸水貯留で呼吸音は減弱。またwheezeは高音性の連続性ラ音。低音性連続性ラ音は慢性気管支炎で聴取される。胸膜摩擦音は胸膜炎の時聴くことができる。よって(c) 問題2.細菌性肺炎の起炎菌でもっとも頻度が高いものを1つ選べ a.肺炎球菌 b.肺炎桿菌 c.インフルエンザ菌 d.緑膿菌 e.MRSA 答 a 肺炎球菌が市中肺炎(成人)で最も多い。 問題3.ペニシリンが有効な菌種はどれか 1. 肺炎クラミジア 2.MRSA 3. インフルエンザ菌 4. 肺炎球菌 5. 肺炎桿菌 a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 答 d グラム陽性球菌、陽性桿菌、陰性球菌は原則的にペニシリンG。よって肺炎球菌は有効。またグラム陰性桿菌の中でインフルエンザ桿菌はABPC(広域ペニシリン)が有効。問題4.60才の女性が肺炎を生じた。膿性の喀疾を伴っている。喀疾グラム染色をしたところ、青紫色の双球菌の好中球貧食像が認められた。以下の原因菌で最も考慮が必要なものはどれか。 a. Streptococcus pneumoniae b. Legionella pneumophila c. Pseudomonas aeruginosa d. Mycoplasma pneumoniae e. Haemophilus influenzae 答 a 喀痰染色でグラム陽性の双球菌→肺炎球菌性肺炎。 問題5.免疫抑制状態にある患者が、呼吸困難および発熱を訴えた。喀痰を伴わない咳が強い。胸部X線では両側性のびまん性間質性・混合性陰影を呈している。以下の原因菌で最も考慮が必要なものはどれか。 a. Streptococcus pneumoniae b. Klebsiella pneumoniae c. Pseudomonas aeruginosa d. Pneumocystis carinii e. Aspergillus fumigatus 答 d 乾性咳嗽…胸膜・間質病変に多い。 a)では鉄さび色の粘調な痰、b)褐色・ゼリー状の粘調な痰が多い。 問題6.結核の記載について誤りを1つ選べ a.肺結核の感染様式は飛沫感染がもっとも多い b.結核感染から、ツ反陽転まで2−8週かかる c.初期変化群のひとつは肺門リンパ節腫大である。 d.初期感染結核より、2次性(慢性)結核の方が頻度が高い。 e.2次性(慢性)結核は、下葉に好発する。 〈解答〉e 〈解説〉e.2次性結核は、S1,S2,S6(肺後上部)に好発する。2002年度概説の問題24ではaを×としているが、飛沫核感染も広義の飛沫感染としていいと思われます(ステップ呼吸器科P254参照)。 問題7.肺癌の記述について正しいものを1つ選べ a.年間発生件数は胃癌より多い b.腺癌は煙草とは無関係である c.原因の第1位は受動的喫煙である d.女性は煙草に対する感受性が低い e.喫煙開始年齢が低いほど発病率が高い 〈解答〉e 〈解説〉2002年度卒試A3.参照 問題8.腫瘍随伴症候群について正しい組み合わせを1つ選べ a.SIADH−高Na血症 b.異所性ACTH症候群−高K血症 c.PTH-rP−高Ca血症 d.肺性肥大性骨関節症−高P血症 e.Eaton-Lambert症候群−高Mg血症 a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 〈解答〉d 〈解説〉2002年度卒試A4.参照。肺性肥大性骨関節症で高P血症を来すかどうかは不明ですが、bは明らかに誤りなので、選択肢的にこれでしょう。 問題9.非小細胞肺癌の治療につき正しいものはどれか1つ選べ a.I期肺癌の手術成績は5年生存率で90%を上回っている b.II期肺癌は放射線治療の適応となる c.III期肺癌では放射線治療単独より化学療法・放射線療法の併用療法が優れている d.化学療法を施行しても延命効果は得られない e.化学療法は症状が悪化してから開始する 〈解答〉d 〈解説〉2002年度卒試A5.参照 問題10.気管支喘息に関して正しいものはどれか 1.罹患率は減少している 2.気道閉塞の可逆性がみられなければ喘息でない 3.非特異的刺激に対しては気道過敏性が亢進していない 4.Th2細胞が病態に関与している 5.好酸球性気道炎症がみられる 〈解答〉2?,4,5 〈解説〉罹患率は増加傾向。気管支喘息の定義は、可逆性閉塞性障害と慢性剥離性好酸球性気道炎症と非特異的刺激に対する気道過敏性亢進の3つがそろうこと。また、気道炎症に関与する細胞には、好酸球・Th2・マクロファージ・上皮細胞・肥満細胞がある。問題11.気管支喘息に関して正しいものはどれか 1.症状の日内変動がみられる 2.気道閉塞の可逆性は、短時間作用型β2刺激薬の吸入の前後の一秒率の変化で評価する 3.ピークフローは努力に依存する度合いが大きいため、変動が診断には役立たない 4.喘息の診断のため、発作時に気道収縮を誘発する気道過敏性検査を行う 5.喀痰検査が診断に役立つ a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) [解答] b [解説] 1:明け方に多い。2:一秒率→一秒量(ステップでは一秒率となっているが、おそらく誤り)3:ピークフロー値は一秒量とよく相関し、患者への負担が軽いので、有用な客観的指標となる。4:発作時→非発作時。5:喀痰中の好酸球↑ 問題12.気管支喘息の治療に関して誤っているものはどれか 1.急性発作治療における第一選択薬は短時間作用型のβ2刺激薬吸入である 2.長時間作用型β2刺激薬の吸入は急性発作治療に用いる 3.キサンチン製剤は急性発作時に著明な気管支拡張効果がある 4.発作の時にステロイドを投与するときは点滴静注で用いる 5.慢性期治療の第一選択薬は吸入ステロイドである a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 〈解答〉c 〈解説〉キサンチン製剤に気管支拡張作用はあるが、著明とは言い難く、選択肢的にも×とした。(2002年度概説問題17参照) 問題13.慢性閉塞性肺疾患に関して正しいものはどれか 1.気管支拡張薬投与は呼吸困難を改善する 2.高炭酸ガス血症があれば酸素投与は禁忌である 3.喫煙を止めても長期間にわたる肺機能低下は軽減しない 4.呼吸リハビリテーションでは運動耐容能を改善しない 5.低酸素血症を有する患者では在宅酸素療法が生命予後を改善する a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 〈解答〉b 〈解説〉2002年度概説問題18参照 問題14.閉塞性肺疾患に関して誤っているものはどれか 1.慢性肺気腫ではHRCT画像でlow attenuation areaがみられない 2.慢性肺気腫では短時間作用型β2刺激薬吸入による閉塞性障害の可逆性が乏しい 3.びまん性汎細気管支炎の治療にはマクロライド系抗生物質の少量長期療法を行う 4.気道感染や心不全が慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の原因となる 5.慢性閉塞性肺疾患の急性増悪時には、ステロイドの全身投与を行わない a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 〈解答〉b 〈解説〉1:HRCTでlow attenuation areaや、giant bullaがみられる。 2、3,4:○ 5:COPDでは気管支喘息と違いステロイドの効果が弱いため、積極的には投与しないが、重症の時には用いられる。 問題15.好酸球性肺疾患に関して正しい組み合わせはどれか 1.急性好酸球性肺炎:末梢血好酸球増多 2.慢性好酸球性肺炎:butterfly shadow 3.Churg-Strauss Syndrome:末梢神経炎+皮疹 4.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症:中枢性気管支拡張+肺浸潤影 5.肺好酸球性肉芽腫症:気管支肺胞洗浄液中好酸球の著増 a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) 〈解答〉d 〈解説〉1:末梢血好酸球は増加しないことが多いが、BAL中の好酸球は著増。 2:60%以上の症例が外2/3のzoneに陰影を有する。問題16.アレルギー性肺疾患に関して正しいものはどれか 1.過敏性肺炎のうち我が国で最も多いのは夏型である 2.典型的な過敏性肺炎では抗原吸入直後に呼吸困難を来す 3.過敏性肺炎の慢性化・線維化はまれである 4.慢性好酸球性肺炎の病因は不明のことが多い 5.急性好酸球性肺炎の再発はほとんどない a.(1,2)b.(2,3)c.(3,4)d.(1,4,5)e.すべて 〈解答〉d 〈解説〉1:多い順に夏型過敏性肺臓炎、鳥飼病、農夫肺の順。 2:抗原暴露から4〜8時間して起こることが多い。 3:急性型・亜急性型を繰り返しているうちに、不可逆性の線維化を来す。 4:そのとおり 5:慢性好酸球性肺炎ではよくある。 問題17.以下の病理組織学的特徴を有する特発性間質性肺炎はどれか。 病変分布が小葉辺縁性、かつ斑状であり、線維化病巣は新しい線維化と古い線維化を混じている。 a.特発性肺線維症(IPF/UIP) b.非特異性間質性肺炎(NSIP) c.特発性器質化肺炎(COP) d.剥離性間質性肺炎(DIP) e.リンパ球性間質性肺炎(LIP) 〈解答〉a 〈解説〉線維化の時相が一致している→AIP,BOOP(COP),NSIP,DIP 古い線維化と新しい線維化が混在→UIP 問題18.喫煙ともっとも関連のある疾患はどれか a.特発性肺線維症(IPF/UIP) b.非特異性間質性肺炎(NSIP) c.特発性器質化肺炎(COP) d.剥離性間質性肺炎(DIP) e.リンパ球性間質性肺炎(LIP) 〈解答〉d 〈解説〉DIPの90%は喫煙者 問題19.胸水について正しいものを選べ。 1.ヒアルロン酸は膿胸で上昇することが多い 2.心不全では疹出性胸水が認められる 3.結核性胸水ではADA(adenosinedeaminase)が高値となることが多い 4.関節リウマチに伴う胸水では糖が低値をとりやすい 5.癌性胸膜炎では胸水中に癌細胞が認められることは少ない a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5) [解答] d [解説] 1. ヒアルロン酸↑は悪性胸膜中皮腫 2. 心不全は漏出性 5.多い 問題20.肺循環に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを選び、記号で答えなさい。 1.肺循環血液量が2倍になれば正常人では肺動脈圧も2倍に増加する。 2.換気も肺血流も肺下部により多く分布し、換気血流比も肺下部ほど高い値をとる。 3.肺性心の胸部X線写真では肺動脈主幹が太く、肺野末梢で狭小化する。 4.肺性心で肺高血圧が進むと、聴診で肺動脈弁狭窄や三尖弁閉鎖不全による心雑音を聴取するようになる。 5.平均肺動脈圧が50mmHgを示す場合、肺高血圧があると診断できる。 a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2,3,4) e.(3,4,5) [解答] d [解説]1:肺血管抵抗を小さくして肺動脈圧の上昇を抑える。5:50→25 問題21.65歳、男性。10日前より発熱、右胸痛出現。 胸部X線写真にて右胸水貯留を認めた。胸水検査の結果、T.P 4.0g/dl、LDH 350IU/L、glucose 40mg/dl、ADA 90U/L、細胞診ClassI、リンパ球(+++)であった。最も考えられる疾患は以下うちどれか。 a.結核性胸膜炎 b.膿胸 c.癌性胸膜炎 d.低蛋白血症による胸水貯留 e.慢性関節リウマチによる胸膜炎 〈解答〉a 〈解説〉ADA>50U/Lでは結核を疑う。問題22.肺機能検査に関して正しい文章を選べ 1.予測値に対して1秒量が70%未満であれば閉塞性障害と呼ぶ 2.ピークフローは努力に依存する度合いが小さい 3.肺内気道の狭窄は吸気よりも呼気の方が検出しやすい 4.CO拡散能の低下は必ずしも間質の肥厚を意味しない 5.慢性肺気腫では肺活量低下を示すことはまれである a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(1,4,5) e.すべて 〈解答〉c 〈解説〉1:FEV1.0%が70%以下を閉塞性障害と呼ぶ。 2:小さい→大きい 5:一秒率、肺活量ともに低下することが多い。 問題23.呼吸調節・呼吸困難に関して正しい文章はどれか 1.Paco2の異常は大動脈体で感知される 2.呼吸中枢の大部分は橋に存在する 3.低酸素に対する中枢の応答はPaco2上昇で増強する 4.呼吸困難を感知する特定の受容体は知られていない 5.動脈血ガスが正常なら器質的疾患による呼吸困難は否定的である a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(1,4,5) e.すべて 〈解答〉b 〈解説〉1:ヒトでは大動脈体の呼吸調節への関与はほとんどない。 4:頚動脈体など、多くの受容体が知られている。 問題24.呼吸調節異常に関して正しい文章はどれか 1.肥満低換気と睡眠時無呼吸の組み合わせをPickwick症候群と呼ぶ 2.心不全ではしばしばCheyne-Stokes呼吸を認める 3.肺胞低換気の原因としては呼吸中枢異常が最も多い 4.閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療の第一選択は外科治療である 5.睡眠時無呼吸の生命予後に対する影響は少ない a.(1,2) b.(2,3) c.(3,4) d.(1,4,5) e.すべて 〈解答〉a?b? 〈解説〉1:Pickwick症候群は、極度の肥満者に基礎疾患のない肺胞低換気状態を生じる疾患で、睡眠時無呼吸症候群の一臨床像として理解されている。 2:呼吸中枢障害、重症心不全、老人(睡眠時)、Pickwick症候群などで認める。 4:減量や、nasal CPAPが有効 5:突然死の原因となる。